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■娘たちの卵(10)

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紅川は少し協議したいから少し待っててくれと言われ、龍虎と支香がオープンスペースに移動した。30分ほどしてから、また部屋に入ってくれと言われて入る。
 
「まあそういう訳で、君は今回のオーディションの優勝者だったんだけど」
と紅川さん。
 
あまりにも驚くことの連続で伝え忘れていたのだろう。
 
「一応女の子のコンテストなので、優勝者は君だけど、第1回ロックギャルは2位の柴田さんにしたいと思う。それで両者ともデビューの方向で」
 
「わっ。柴田さんが2位だったんですか?あの子、凄く明るくていい感じですよ」
「うん。明るい雰囲気なのがいいよね」
と紅川さんも笑顔で言う。
 
「それで君は第1回ロックギャルコンテストに優勝した、新人男の子アイドルという線ではどうだろう?」
 
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「やりたいです。私、父と同じ世界に入りたいとずっと思っていました」
「うんうん。高岡猛獅の息子だといえば注目度も凄いだろうし」
と紅川さんは言ったのだが、龍虎は言った。
 
「社長、たいへん申し訳ないのですが、もし可能なら、父が誰かというのは例えば20歳くらいまでは伏せていただけないでしょうか?父の名前を使って売り出すのは、父が喜ばない気がします」
 
「なるほど」
 
「社長、工藤夕貴ちゃんがデビューした時、しばらくの間は井沢八朗の娘だというのが伏せられていましたよね。ああいう例にならえませんかね?」
と支香が言った。
 
紅川さんはしばらく考えていた。
「君は純粋な素材として見た時も物凄く光り輝くものを持っている。それなら確かに父親の名は伏せておいたほうがより広い層のファンを開拓できるかも知れないね」
 
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この件に付いては、あらためて上島雷太と一緒の席で協議することになった。
 

柴田さんとも話し合いたいということだったので、龍虎たちは退出して必要なら後でまた話をすることにする。それで龍虎と支香はラウンジに行って田代夫妻や彩佳たちと合流した。
 
「ボクが優勝だけど、女の子のコンテストだから、2位の子を第1回ロックギャルということにして、ボクも彼女もデビューという線でいくことになった」
 
「おお!おめでとう。とうとう龍も芸能デビューか」
「詳しいことについては、再度話し合いの場を持つことになったけどね」
「それでデビュー前に手術してちゃんと女の子になるのね?」
「しないよー!」
 

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8月9-17日に台湾で行われた男子ウィリアム・ジョーンズ・カップだが、龍良を欠く日本は予選リーグ7戦全敗という悲惨な結果になった。取り敢えず5-8位決定戦に進み、ここで貴司が土壇場でスリーを決め、ブザービーターで逆転勝利する。5-6位決定戦でも貴司や前山ら、若手の活躍で接戦を演じ、延長戦に突入するが、そこで力尽きて敗北。
 
最終的には6位になった。予選全敗したにしてはまあまあの成績である。
 

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8月18日帰国し、貴司はそのまま羽田から伊丹に飛んだ。
 
松山10:50(NH5823)13:30羽田15:00(NH31)16:05伊丹
 
千里は前日たまたま大阪に来ていたので、A4 Avantを運転して貴司を伊丹空港まで迎えに行った。
 
「お帰り。お疲れ様。頑張ったね」
「ありがとう。しかしまた6位だし」
「貴司のブザービーターが無かったら8位だったかも知れないもん。よくやったと思うよ」
「ご褒美にセックスとかダメ?」
 
「阿倍子さんとの離婚届けは?」
「え、えっと・・・」
「じゃフェラしてあげるよ」
「おぉぉぉ!!」
 
それで市川ラボの居室に行き、フェラをしてあげたら、涙を流して喜んでいた。
 

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その後、晩御飯にすきやきを作り一緒に食べたが、貴司は遠征明けだし今千里と体力を使うこと?をしたので、たくさん食べた。
 
「でもアジア大会マジで頑張ってね」
「うん。頑張って、病床の社長にも報告しなきゃ」
と貴司が言うので、千里は驚く。
 
「社長さん、どうかしたの?」
「僕が台湾に行っていた間のことなんだけど、会議中に突然倒れて入院したんだけど意識不明らしい。原因不明とかで。明日会社が引けたあと、お見舞いに行ってくるよ」
 
「意識不明って、かなり重い病気なのでは?でも貴司の会社で社長が倒れたらやばいんじゃないの?今の社長さんになってから急成長したんでしょ?」
「そうなんだよね。取り敢えず今、先代社長の弟の昌二副社長が指揮を執っているんだけど」
 
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その夜も貴司は21時から0時まで市川ドラゴンズのメンバーと一緒に練習した。千里は例によって貴司が練習している間にスペインに移動してレオパルダの練習に参加。日本時間の明け方こちらに戻る。そして朝御飯を一緒に食べてから、甘地駅で「いってらっしゃーい」と見送った。
 

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8月18日(月).
 
&&エージェンシーの事務所に大株主の悠木朝道氏が訪れた。
 
「これはこれはどうも。何かありましたか?」
と笑顔で出迎えた斉藤邦明社長は、悠木氏の次の言葉に絶句した。
 
「今日から僕がここの社長になることにした。あなたには退職金1億円払うから1時間以内にここから出て行って。あ。メールアドレスは即削除するから、パソコンの使用は禁止ね」
 

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2014年8月18日(月).
 
§§プロの紅川、シックスティーンの鳥田編集長、長野支香、志水照代、田代夫妻、そして上島雷太の会談が都内の料亭で行われた(龍虎は出席しない)。
 
ここで支香・照代・上島の三者から龍虎の出生と病気との闘いに関する説明が再度行われた。龍虎を日本の戸籍に掲載するために弁護士さんがしてくれた作業内容なども上島から説明があった。
 
「この子は奇跡の子ですね」
と鳥田編集長が言った。
「そして類い希な天才だと思う」
と上島雷太が言った。
 
「音楽の才能もダンスの才能も高いです。でも本人はどちらかというと演劇に興味があるようなんですよ」
と田代幸恵が言う。
 
「確認しますが、現在は、健康状態は問題無いんですね?」
「はい。再度健康診断も受けさせてきました」
と言って、長野支香は診断書を提出する。
 
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紅川と鳥田が見て頷いている。
「では今は健康そのものなんですね」
 
支香は診断書を渡した時、性別の所が女の方に丸が付いているのに気付き、ギクッとしたが、紅川と鳥田は気付かなかったようである。
 

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「2位の柴田邦江ちゃんの方も、繰り上げというのには不満があるけど、大きなチャンスだからぜひやりたいということで、先日も言っていましたように《ロックギャルコンテスト初代優勝者》と《初代ロックギャル》ということで、前後してデビューさせようと思っています」
と紅川さんは言った。
 
「時期的にはいつ頃になりますか?」
「たぶん年末年始付近。だから何かの特別番組ででもデビューさせようかと思っているんですよ」
 
「習い事とかクラブ活動は辞めさせた方がいいですよね?」
「お願いします。芸能活動との両立は無理だと思います」
「ただ、ピアノは直前に発表会が迫っていますし、バレエは年末に発表会があって、龍虎は重要な役どころなんですよ。今辞めると配役のやりくりができないと思うので、そこまではやらせてもいいですか?」
「年内だったらいいです」
「ではそれでよろしくお願いします」
 
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それで龍虎はピアノは9月の発表会までで辞め、ヴァイオリンは夏休みいっぱい、バレエは年末の発表会で辞めることにしたのである。部活については学校教育の一環ということで、この後で再度調整した結果、2月の新人大会をもって退部することで学校側・事務所側の了承を得た。龍虎は最終的に3月に歌手デビューすることになったので、3月以降はプロということになり、アマチュア規定に引っかかって、それ以降は大会に(歌唱者としては)出られなくなるので、その直前まで部活を続けることになった。
 

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龍虎の実の両親が高岡猛獅と長野夕香であることは、龍虎本人の希望通り、20歳になるまでは伏せることになった。
 
「それに実は高岡のご両親との問題もあるんですよ」
と長野支香は説明する。
 
「龍虎の戸籍を作った時、夕香は母親であることが裁判によって認められて、夕香の戸籍に龍虎は入籍したのですが、父親が高岡猛獅であることも当時DNA鑑定により明らかにはなったのですが、高岡の父、龍虎の祖父に当たるはずの人がそのようなことは認められないといって、龍虎の父親欄に高岡猛獅と記載することに反対しているんです」
 
「それはまたなぜ?」
 
「高岡が亡くなった後、お父さんは様々な人に高岡の知人だとか友人だとか言われて、随分詐欺のような目に遭っているんですよ。実は高岡の隠し子だと主張してきた人もあって、その時はDNA鑑定で否定されたのですが、そのような経緯から疑心暗鬼になっているんです」
 
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「ああ」
 
「それでこちらは当時DNA鑑定書などもお見せして、丁寧に説明したし、上島さんにも話して頂いたのですが、心を開いて下さらなくて」
 
「いや、気持ちは分かる気もします」
 
「それで無理することもないだろうということになって、龍虎の父親欄は取り敢えず空白のままにしているんです。ですから法的には高岡猛獅との親子関係は未認定の状態なので、その状態のまま高岡猛獅の息子であると公表するのは、お父さんの感情を害することになります」
 
「その状況ならやはり当面伏せておいた方が良さそうですね」
 
「ですから公表するのは最低でもお父さんが軟化して下さった後ということに」
「ええ。そうしましょう」
 

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「しかし上島先生は、龍虎ちゃんのいわばお父さんに近いポジションで支援して来られたんですね?」
 
「それでアルトさんには、僕自身の隠し子かと疑われて説明に苦労しました」
「ああ、それは上島先生の普段の行いが」
などと紅川さんは言っている。
 
「その件については全く面目ないです」
と上島は謝った。春風アルトは元§§プロのタレントであり、紅川は父親にも等しい存在である。
 
「だから龍虎は言いますね。ボクにはお母さんが4人(長野夕香・長野支香・志水照代・田代幸恵)、お父さんが4人(高岡猛獅・上島雷太・志水英世・田代涼太)いるって」
 
「いい人たちに守られていると思いますよ」
と紅川は言った。
 
この日の打合せで龍虎が§§プロから男の子タレントとしてデビューすることが決定。契約書を準備して、上島にも内容を確認してもらった上で今月中くらいに契約を結ぶことが決まった。実際には翌週8月25日(月)に契約書に長野支香が押印して契約は発効した。
 
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千里はサマーロックフェスティバルの後、KARIONの全国ツアーにフルート・篠笛の奏者、および幕間ゲストとして参加するゴールデン・シックスのメンバーとして帯同した。ゴールデンシックスの方は、例によってメンバーは毎回違うのだが、千里がKARIONの演奏にも参加することになったことで、今回、カノン・リノン・タイモ(千里)の3人は固定となった。
 
ツアーはまずは東京から始まる。
 
2014.08.16(土) 東京国際パティオ
2014.08.17(日) 大阪ユーホール
2014.08.20(水) 金沢スポーツセンター
 
17日の大阪公演に出た後、18日に帰国して伊丹に飛んできた貴司を迎えて一晩市川ラボで過ごした。19日朝甘地駅で貴司を見送り、仮眠した後、市川ラボや先日購入したアパートを見てから、新大阪に移動してサンダーバードで金沢に移動。確保してもらっているホテルに泊まった。
 
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甘地16:09-16:50姫路17:14-17:58新大阪新大阪18:16-21:00金沢
 
朝9時、1階ラウンジに朝食バイキングに行く。ここでカノン・リノンおよびこの日の公演に参加した、朝風月夜(美空の姉)、菱川典恵(千里の知人でレディ加賀に所属するシューティング・ガード)、大阪公演にも参加してもらった京都在住の入口孝子(元DRKのメンバー)と、朝食を取りながら打ち合わせる。
 
「ところで今日の楽器担当は?」
「私はグロッケンシュピール、梨乃はギター、千里はベース、孝子がヴァイオリン、月夜さんがキーボード、菱川さんがドラムス」
と花野子が説明する。
 
金沢公演ということで、千里が菱川さんに
「ちょっとドラムス叩いてくれない?」
と言って呼び出したのである。彼女は高校の軽音部でドラムスを打っていた。孝子は京都在住なので「金沢も近いよね?」と言って来てもらった。彼女は学校の先生なのだが、夏休み中なので有休を取って出てきてくれた。月夜さんは偶然金沢の友人の所に来ていて、昨夜ついでに美空に会いに来た所を徴用した。
 
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「なんかうまくまとまっている気がする」
「でも私が居なかったらどうしてたの?」
と月夜が訊く。
「その時は北陸にいる知り合いに電話掛けまくって」
「何かひとつでも楽器出来たら、それをやってもらう」
「後は、花野子や千里を適当にコンバートして」
 
「花野子と千里が全国に知り合い居るから、その人脈で何とかなるのよね〜」
などと梨乃は言っていた。
 
「どうにも頭数が足りない場合は、赤字になるけど北海道から誰か呼ぶ」
「主婦してる子もいるから多分誰か空いてる」
「サーヤとかは来てくれる確率が高い」
「サーヤの場合は彼氏も一緒だな」
と言っていると、菱川さんが
 
「彼氏は子供のお世話係?」
などと言う。
 
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「もちろん女装させて出演させる」
「彼の女装は全く違和感無い」
「女装趣味?」
「諸事情で、彼はしばしば女装させられる」
「女装してサーヤと並んでいる所で『どちらが男でしょう?』と訊くと多くの人が、サーヤの方が男だと思う」
 
「ああ、そういう夫婦は居そう」
「サーヤは小さい頃、お兄さんと一緒に遊んでいると、だいたい姉と弟だと思われていた」
「ああ、そういう兄妹は居そう」
 
「でも今日はフルートが居ないね」
 
大阪公演では滋賀県在住の大波布留子がフルートで参加したのである。彼女は銀行に勤めているので平日は動けない。
 
「そこはやはり千里にベース弾きながらフルートも吹いてもらうということで」
「さすがに無理!」
 
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娘たちの卵(10)

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