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■娘たちの卵(9)

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(C)Eriko Kawaguchi 2018-12-14
 
龍虎と支香が指定されたレストランに入り、紅川という名前を言うと、奥の個室に案内された。ドアを開けてもらって中に入り
 
「おはようございます。田代龍虎と親権者ですが」
と支香が言うと、中に居た紅川社長と田所マネージャーが驚いてこちらを見ている。
 
「ワンティスの長野支香さん?」
「はい。あちこちでお世話になっております。私がこちらの田代龍虎、本名長野龍虎の保護者です」
 
「すみません。長野さん、ご結婚なさっていたんでしたっけ?」
「いえ、独身です。恋人は時々作っていますが」
 
「では龍虎ちゃんは、長野さんとどなたの間の子供なんですか?誰か芸能人か音楽家ですか?芸能人ではない一般の方ですか?」
 
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「いえ。この子は私の子供ではなくて、姉、長野夕香と、高岡猛獅との間の子供なんです」
 
「何ですと〜〜〜!?」
 
紅川社長は驚愕のあまり1分近く次の言葉が出なかった。
 

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長野支香は龍虎本人にあまり聞かせたくない話なのでと言ったので、同席していたマネージャーの田所が
「龍虎ちゃん、ちょっと私と外に出てよう」
と言って、ふたりでオープン席の方に移動した。
 
それで支香は龍虎のことについて語った。
 
・ワンティスは恋愛禁止だったが、高岡猛獅と長野夕香はデビュー時点で既に事実上の結婚状態にあったので特に容認された。
 
・デビュー時点で既に夕香は龍虎を妊娠していた。それで密かに産み、生まれた子供は友人のミュージシャン夫妻の志水英世・照絵に託された。この時点で龍虎の存在を知っていたのは志水夫妻と事務所社長のみで妹の自分でさえ知らなかった。
 
・ところが高岡と夕香は事故で死亡してしまう。志水夫妻は葬儀に行くと共に龍虎の扱いについて相談しようとしたが事務所社長から追い払われてしまう。
 
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・困った志水夫妻は自分たちで龍虎を育てようと決意。自分たちの子供のように可愛がって育てた。高岡側からの「預け料」の支払いも途絶えてしまったのだが、ふたりは自分たちの収入だけで頑張って龍虎を育てていた。
 
・龍虎が5歳の時、病気で入院することになった。あちこちの病院を回ったものの、原因は不明であった。
 
・その最中に志水英世が崖から転落して死亡する。
 
・収入が無くなり入院中の龍虎を抱えて途方にくれた志水照代が、ミュージシャン時代の伝手を辿って、自分に連絡してきた。それで初めて自分は龍虎の存在を知った。しかし自分ひとりではどうにもできないので、上島雷太に相談した。それで上島が、龍虎の入院費などを出してくれるようになった。
 
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・この時点で実は龍虎には戸籍が無いことも判明した。上島はその方面に明るい弁護士に頼み、その弁護士もかなり苦労した上で、長野龍虎の戸籍を作ってくれた。結局龍虎は(既に死亡している)長野夕香を戸籍筆頭者とする戸籍に入れられ、叔母である自分が未成年後見人となった。
 
・上島は自分の知人に色々尋ねて、龍虎の症例に該当するような病気が無いか調べてくれた。その結果、渋川市の病院の先生が似た例を医学雑誌に報告していたことが判明。龍虎を連れて訪ねてみると、確かにその病気だということが判明。原因は極めて発見困難な場所にある腫瘍で、手術を受けて摘出した。
 
・龍虎の入院は年中から小学1年まで断続的に2年半にも及んだ。渋川市の病院に辿り着くまで何度も転院している。
 
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・それで退院のメドもついたが、困った問題が起きた。龍虎が入院中は良いのだが、退院した場合、自分は仕事が忙しくてとても龍虎の世話が出来ない。志水照代も福井県の実家が大変になっていて、実家に戻らなければならない状態だった。しかし龍虎をひとりで放置できないし、月に1度は渋川市の病院に検診のため連れて来なければならない。
 
・一時は照代が龍虎を連れて福井の実家に戻り、毎月JRで往復しようかとも言っていたのだが、それは病み上がりの龍虎には体力的に辛すぎることだった。
 
・それで悩んでいた時、龍虎は偶然同じ病院に入院していた田代幸恵と知り合い仲が良くなる。それで自分がこの子の退院後のことで悩んでいると言うと、だったら自分ちの子供にならないかと誘った。
 
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・田代夫妻は医学的に子供を作れない。それでもし龍虎がうちの子供になってくれたら、自分たちの子供のように育てたいと言った。それで自分、上島、それに田代夫妻で話し合った結果、龍虎は田代夫妻の里子になることになった。
 
・退院して学校に復帰するこになった時、田代夫妻と龍虎で苗字が違う問題で何か他の子から言われていじめられたりしないだろうかと学校側と相談した。だったら「通称・田代龍虎」で学校の名簿には記載すればいいですよ、と校長が言った。それで龍虎は戸籍上は長野龍虎だが、通称・田代龍虎で生活している。
 
・上島から田代夫妻には毎月かなりの額の養育費が支払われているが、田代夫妻は基本的には自分たちの給料だけで龍虎を育てており、上島からの養育費は、バレエなどの高額なレッスンの費用や楽器の購入費などにのみ使用している。
 
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「だったら、龍虎ちゃんのデビューに向けて話し合う段階では、田代さんたちと上島先生も入れて話し合った方が良いですね」
と紅川社長は言った。
 
「そうですね。あらためてまた場所を設けて頂ければ」
「でしたら、話し合いに都合の良い日時を指定して頂けませんか。上島先生は物凄くご多忙のようですので」
 
「分かりました。連絡を取ります」
 

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そこまで話が終わった所で龍虎たちを呼び戻した。
 
「叔母さんから話を聞いたけど、君もまだ女子中学生なのに、ほんとに今まで大変だったんだね」
と紅川さんは言った。すると龍虎は困ったような顔をして
 
「私、よく間違われるんですけど、男の子です。だから女子中学生ではなく男子中学生です」
 
「何〜〜〜〜!?」
と紅川さんは三度(みたび)絶句した。
 

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「でも、君、スカート穿いてるじゃん」
 
「オーディション受ける人はみんなスカート穿いてと言われたもので・・・」
と龍虎が言うと、長野支香は可笑しそうに
 
「この子は可愛いもんだから、小さい頃からみんなにスカート穿かせられたり、振袖着せられたりとかしてるんです。だからこの子にとってスカートは普通の服なんです」
 
「なるほどー」
と言いながらも紅川さんは戸惑っているようだ。
 
「もしかして女の子になりたい男の子とか?」
「みんな『女の子になっちゃいなよ』って唆すんですけど、私は女の子にはなりたくないです」
 
「いや、女の子になりたい男の子を扱ったこともあるので、もしそうなら、デビュー前に性転換手術を受けてもらった方がいいのかなと一瞬思ったのですが、そういうのではないんですね?」
 
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「性転換手術は勘弁して下さい」
 
「あれ?でも君、水着になってたよね?男の子なら、お股の所が膨らみそうなのに」
「私の小さいから」
「いや。待てよ。胸も膨らんでいた気がする」
 

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それで支香が説明した。
 
「この子は先ほども説明したように、幼稚園から小学1年に掛けて大病をして。それでかなり強いお薬とかも使っていたので、一時は髪の毛も全部抜けてしまってウィッグを使っていた時代もありますし、お薬の副作用で、男性器の発達も遅くて、ほんとに小さいんですよ。それとやはり副作用で胸も少しだけ膨らんでいるんですよね。ただ、昨年末に完治宣言が出て治療は終了したので、おちんちんも少しずつ大きくなっていくし、胸も小さくなって行くだろうという先生のお話なんです」
 
「そういうことでしたか。じゃもう病気の方はもういいんですか?」
「はい。やはり治療の副作用で、この子、昨年頃は小学2〜3年生の女の子くらいの背丈しかなかったのですが、治療を終えた後、1年ほどで随分背が伸びて、今は小学6年生の女の子程度の背丈はありますね」
 
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「へー。じゃ急速に回復してきているんですね」
「おちんちんも伸びたよね?」
「うん。この春からでも2cm近く伸びたかな」
「それは凄い」
「でもまだ摘まめないもんね」
「うん」
と言って、龍虎は恥ずかしがって下を向いている。
 
「ああ、いいよ、いいよ。きっとすぐに大きくなるよ。あ、それでもしかして声変わりも?」
「そうなんです。男性器の発達が遅れているので、声変わりもまだなんですよ」
「なるほどですね」
と言いながら紅川は考えた。
 
声変わり前の男の子アイドルだって!? それはそれは・・・金の卵だ!!
 
「現在の健康状態は?」
「風邪も引かないくらいに丈夫ですよ」
「ほほお。体育の授業には出ているんですか?」
「はい。5月の体育祭の時は、最前列でパフォーマンスしたもんね」
「へー!」
 
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そのあたりまで話が進んだ所で紅川社長は、思い出したように言った。
 
「ところでこのオーディションは女の子のオーディションだったのですが、なぜそれに応募したんですか?」
 
「え?女の子のオーディションだったんですか?」
と龍虎は驚いたように言った。
 
「だって『ロックギャルコンテスト』という名前だし」
と紅川さんは言うが
 
「もしかして『ギャル』って女の子のことなんですか?」
と龍虎は訊く。
 
「そうだけど・・・」
と言って、紅川さんは隣にいる田所さんを見る。
 
「ギャルということばは今の若い子たちには馴染みが無いかも知れないですね」
と言って彼女は笑っていた。
 
「そうだっけ?」
と社長。
「そういえばあまり聞かなくなった言葉ですね」
と支香も言った上で
 
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「すみません。私はそのオーディションのタイトルをよく見ていませんでした」
と付け加えた。
 
「でも募集要項には芸能事務所と契約していない12-19歳の女性と書いていたと思うんだけど」
 
「済みません。私の友だちが勝手に応募しちゃったんです。自分がオーディション受けたいけど、一人じゃ不安だから一緒に受けてと言われて。書類とか音源とかもその子が勝手に用意して出してしまって」
 
「あ、もしかして埼玉予選で3位になった子?」
「はい。そうなんです。小学2年生以来の親友なんですよ」
と龍虎は答えた。
 
「その子・・・とはただの友だち?恋愛関係とかは?」
「すみません。私、その恋愛というのがよく分からなくて」
 
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支香が補足した。
「この子は男性器の発達が後れている影響もあるかもしれませんが、恋愛感情というのが分からないと言いますね。その彩佳ちゃんとは本当に純粋にお友だちですよ、そもそもこの子、友だちは女の子ばかりで」
 
「ええ。私、男の子の友だちってほとんど居ないです」
「へー」
 
「女の子たちからは普通に女の子の友だちと同列に扱われている感じだよね」
「何かそんなことも言われました。中学になって学生服を着て私が学校に出てきたら、今までみたいに付き合えないかもと思ってたけど、その心配は全然無かったって言われました。私、学生服を着てても女の子にしか見えないからとか」
 
「ああ、確かに君は学生服を着たら、女子中学生の男装に見えてしまうかも」
 
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「応援団さんですか?と言われたこともあります」
「確かに最近は応援団はどこも部員不足だから、女子部員が学ラン着てやっている場合もけっこうありますよね」
 
「そうなんです。それかと思われたみたいで。だから私、しばしば男子トイレを使えないんですよ」
「追い出されちゃうね」
「え〜〜?だったらまさか女子トイレ使うの?」
 
「できるだけ多目的トイレとかの男女共用トイレを使うようにはしているんですけど、しばしば友だちから女子トイレに連れ込まれちゃいます。それで私が学生服でトイレの待ち行列に並んでいても、誰も騒がないんですよね」
 
「まあ学生服を着てても女の子にしか見えないからね。修学旅行では女湯に連れ込まれたと言ってたね」
「嘘!?」
 
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「この子、他の子の裸を見ないようにずっと目を瞑っていたそうです。当時この子の裸は女の子の裸にしか見えませんでした。ちんちんが小さくて肌に埋もれていたので」
 
「恥ずかしかったけど、男湯には入れさせてもらえなかったから」
「まああんたが男湯に入ったら襲われちゃうだろうね。部屋も女子と一緒に寝たよね」
「気心の知れた子たちばかりだったから安眠できました。私は男子部屋に入れられたら安眠出来なかったと思います」
 
「あんた自身も、周囲の男子たちもね」
「そうかも」
 

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紅川さんはかなり考えていた。そして言った。
 
「要するに君は、女の子になりたい男の子ではなくて、現在暫定的に女の子である男の子なんだ?」
 
「そんな指摘をされたことはあります。自分では普通の男の子のつもりなんですけど」
と龍虎が言うが、支香は苦笑していた。
 

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