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■女子中学生・夢見るセーラー服(21)

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(C) Eriko Kawaguchi 2022-02-04
 
千里の小4以来のクラスメイトで美人として学年でも1〜2位の(男子からの)人気がある、新田優美絵(しんでんゆみえ)のお父さんは浩音(ひろね)、お母さんは礼佳(あやか)という。
 
この名前を見て想像が付く人もあるかも知れないが、実は浩音は1960年12月2日の生まれで、1960年2月23日生まれの浩宮徳仁(ひろのみや・なるひと)殿下(後の徳仁天皇)にちなんで“浩”の字が使用された。この年は“浩”の字が子供の名前に物凄い人気だった。そして礼佳の方は1966年3月13日の生まれで、こちらは1965年11月30日生まれの礼宮文仁(あやのみや・ふみひと)殿下(後の秋篠宮文仁皇嗣殿下)にちなんで“礼”の字が使用された。礼佳という名前は“れいか”と読まれやすいが、礼宮由来なので“あやか”なのである。
 
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なお、浩音は1935年12月2日が子年子月子日であったので、父は“子”(ね)の字を使って浩子(ひろね)と名付けようとした。しかしそれでは“ひろこ”と読まれて女の子だと思われると母から言われ、妥協して子(ね)と同音の音(ね)に変えた。しかしそれでも“ひろね”がそもそも女性的に響くので結構女の子と間違われて苦労している。就職の時も女性車掌の制服を渡されて、「本当にこれ着て勤務しようか?」と一瞬悩んだらしい。
 
礼佳の方は“礼”の字を使うことを決めた後、最初に“礼子”という名前を考えたが、母の母(礼佳の祖母)が「これからの時代はたぶん子を使わない名前が主流になる」と言うので、3月の別名・佳月にちなんで、礼佳にした。彼女の名前も時々「のりよしさんですか?」などと言われて性別を誤解されることがあった。実は就職した時、研修に行ったら周囲が男性ばかりで「今年は女子の採用少なかったのかなあ」などと思っていたら「君何ふざけてスカート穿いてるの?君まさかオカマ?」などと言われて、自分が誤って男子として登録され、男性新入社員の研修に行かされていたことが分かったなどということがあった。(でもそのまま男性の研修に参加して列車の運転体験とかもし、楽しかった)
 
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それで実は2人は「性別を誤解される」という共通点で親しくなり、結婚したのである。でもいきなり結婚式場で新郎と新婦の名前が逆に掲示されていた!そして子供ができると、幼稚園の名簿で父親の名前と母親の名前が逆に印刷されていて「すみませーん。これ逆です」と申告したりしたという。
 

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千里は優美絵の家に遊びに行ったこともあるが、優美絵の美人度というのは、やはり遺伝だよなあと思った。
 
お母さんも物凄い美人で、北海道大学の出身だが、ミス北大に選ばれたこともあるし、東京の出版社が出している雑誌の地方モデルもしていたらしい。お父さんもかなりの美形で、若い頃は結構女装させられて、友人女性と一緒に女子のみのイベントに参加したりしたこともあると笑って言っていた。実際今でも女装したら普通に女の人(しかもかなりの美人)に見える感じなのである。優美絵は3人姉妹の末妹だが、お姉さんたち2人も美人である。
 
札幌の高校に行っている長姉は雑誌のモデルをしていて、事務所に勧められてタレントのレッスンも受けている(アイドルの札幌公演のバックで踊ったこともある)し、中3の次姉はS中でも1〜2を争う美人として妹以上に人気が高い。去年のホワイトデーとかマジで持ち帰りきれないくらいホワイトチョコやマシュマロをもらったらしい。
 
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その優美絵の父・新田浩音は、現在、留萌駅の助役を務めているのだが、2003年8月1日(金)、その日は朝の当番で、5時半に出勤してきて駅を開けた。5:54の始発便を見送ってから駅の掃除をしながら1時間後の次の便に備える。この当時、留萌線の午前中の列車はこのように運行されていた。
 

 
6:39に深川から到着した下り便の発車が7:05まで待たされるのは、留萌より先には列車交換できる場所が無いからである!(増毛駅にさえも待避線が無い)
 
6時半頃、三女・優美絵のクラスメイト・村山千里がセーラー服を着て黄色いスポーツバッグを持って駅に入って来る。
 
「おはよう、村山さん」
「おはようございます、優美絵ちゃんのお父さん」
と向こうも笑顔で挨拶する。
 
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改札すると、千里は新千歳空港までの切符を持っていた。
 
「村山さんひとりでどこか旅行?」
「ええ。ちょっと知り合いのところまで」
と言うので、親戚の家にでも行くのかと思った。まあ中学生なら1人旅も大丈夫だろう。
 
「じゃ気をつけてね」
「ありがとうございます」
 

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6:39に深川からの下り便が到着する。乗客が降りてくる。上り側のポイントを切り替える。6:50に増毛からの上り便が到着し、村山さんを含めた乗客が乗り込んで6:51に発車する。下り側のポイントを切り替える。深川から到着していた下り便が7:05に発車する。この留萌駅での列車交換は朝の緊張する30分間である。
 
この後は今増毛に向かった列車が折り返してくる1時間後まで待機になる。その後は9:11に深川から到着した列車を当駅で折り返し、その後は12:04にまた深川から留萌までの列車が到着してすぐ折り返すのを待つことになる。
 
11時半すぎのことだった。
 
優美絵のクラスメイトである、沢田玖美子と“村山千里”が一緒に駅の中に入ってきた。浩音は目をゴシゴシした。ふたりは体操服姿で、長い棒のようなものが突き出ているキャリーを引き、玖美子は黒いスポーツバッグ、千里は赤いスポーツバッグを持っている。キャリーから出ている棒は竹刀で、キャリーには剣道の防具が入っているのかなと思った。
 
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「こんにちはー、優美絵ちゃんのお父さん」
と2人が笑顔で挨拶する。2人は函館の先(正確には函館は通らない:後述)の七里浜駅までの切符を持っていた。
 
「こんにちは。君たち剣道の大会?」
「はい。渡島(おしま)支庁で大会があるんですよ」
「へー。そんな遠くでって、もしかして道大会?」
「そうなんです。道大会なんて出るの初めてだから、どんな凄い人たちがいるかと戦々恐々です」
「いや、君たちも道大会に出られるって凄いじゃん。頑張ってね」
「はい、ありがとうございます」
 
それで浩音は2人を見送ったものの、朝村山さんを見送った気がするのは勘違いだろうか?誰か別の子だったっけ?と首をひねった。
 

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7/28-31に、沙苗・道田さんと一緒に剣道の合宿をした後、千里と玖美子は翌日の8月1日(金)、11時過ぎに留萌駅前で待ち合わせた。お昼御飯とおやつ・飲み物などを買ってから、JRで渡島振興局内の上磯町(当時:現在は北斗市)まで行った。
 
留萌12:15-13:11深川13:18(スーパーホワイトアロー16号)14:20札幌15:07(スーパー北斗16号)18:20五稜郭(*11) 18:31-18:35七里浜
 
宿舎は主催者側でまとめて確保してもらっていた(宿代は参加料と一緒に振り込んでいる)ので、千里と玖美子は駅前で指定旅館の送迎バスに乗り、その旅館に行った。そして主催者から送られてきている葉書を見せて、部屋に案内してもらった。
 
「まあ道大会なんて、地区大会の延長くらいの気持ちで気楽に行こう」
「同感同感。緊張したって始まらないしね。どうせ優勝とかには無縁だし」
 
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そういう訳で、明日・明後日(8/2-3)は、この町(*12)で剣道の道大会があるのである。千里と玖美子は留萌地区大会でBEST4に入ったので、全道大会に出ることになった。全道大会の個人戦出場者は、14振興局(支庁)および札幌市の各地区予選の上位4人+開催地から4人の合計64人である。団体戦は各地区予選の優勝校である。つまりR中からは団体戦のメンバーが選手5名+補欠2名の7名来ている(その7人の中に個人戦に出る、田沼さんと木里さんも入っている)。
 

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(*11)函館本線と江差線は実は五稜郭駅(の北側)で分岐している。つまり線路のトポロジーとしては、長万部方面から江差方面に向かうルートの途中、五稜郭駅から函館駅だけが1駅まるで支線ででもあるかのように飛び出す構造をしている。それで札幌方面から七里浜・木古内方面に向かうには函館まで行かずに、五稜郭で乗り換えればいいのである。当時は優等列車のほとんどが五稜郭駅にも停車していた。
 

 

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(*12) 実は2003年の北海道中学校剣道大会の開催場所はかなり調べたものの分からなかった(北海道中体連に問い合わせれば分かるだろうが、お手を煩わせるのは申し訳無い)。調べていて分かったこと:−
 
・2004年の剣道は稚内市(道北)
・2003年には剣道の中体連全国大会が北見市で開かれている。
・2003年の軟式野球は登別・室蘭近辺(道央南部)の分散開催
・2003年の柔道は札幌市(道央)
 
2年続けて道北という確率は低いとみて、それ以外かと考えた。野球は多数の会場を使用するのでそれ以外の地域かと考えた。2003年は中体連剣道全国大会が道東の北見市で行われているので、地元の負荷を考えると道大会は別の地域ではないかと考えた。それで消去法で道南という可能性が出て来たのである。
 
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無論根拠は無い。例えば2014-2015は2年連続道南(渡島振興局森町・檜山振興局乙部町)で開かれている。また全国大会を前にシミュレーションを兼ねて、同じ会場で道大会をした可能性はある。
 
しかし決定打が無いので、この物語では2003年の全道大会の開催地を道南に設定した。道南も広いが上磯町浜分(はまわけ)にしたのは、地図を見ていてここでイマジネーションが広がったからである。
 

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旅館の部屋に案内されると、千里と玖美子は2人で1部屋(4畳半)なのだが、隣の部屋がR中だった。R中は7人+顧問の安藤先生(女性)なので4人部屋(8畳)を2部屋使用していた。軽く挨拶はしたものの、大会前なので、お互いの部屋を訪問したりするのは控えた。なおR中の男子は別の旅館らしかった。主催者は男女を完全に分離したようである。
 
初日の8月2日は、午前中に受付をし、竹刀の検査を受けて検印をもらう。お昼から監督主将会議があるが、これはR中の安藤監督と田沼さんが出た。後で田沼さんから連絡があり、書類を一揃いもらった。会場で練習時間が割当てられていたが、狭い所で多数ひしめいていても練習にならないので、千里と玖美子はそちらには出ず、町内をジョギングしたり、浜辺で素振りや切り返しをしたり、旅館の部屋で腕立て伏せやお互いに足を押さえて腹筋などをしていた、
 
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2日目の8月3日になってから試合は行われる。午前中は団体戦なので千里たちの出場は無い。それでこれを見ずに!旅館の部屋の中で休んでいた!今更ジタバタするより、心を整え、体調を整えることが大事と千里と玖美子は考えた。そして11時頃、コンビニで買ってきたお弁当を食べ、それから会場に向かう。会場はH中学校だが、隣接するH小学校もサブ会場として使用されている。
 
千里たちは対戦表を見て、各々の初戦の場所と時刻を確認した。
 
「じゃまた後で」
と言って別れ、各々の場所に向かった。
 

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玖美子はH中の体育館だったが、千里の初戦はH小体育館になっていたので、道路を渡って、そちらに向かった。
 
千里は地区大会2位だったので、1回戦は釧路地区3位だった人との対戦だった。それなりに強いなとは思ったが、千里は“少し本気”を出し、相手には1本どころか全く当てられることもなく2本取り勝利した。
 
2回戦からはメイン会場のH中体育館になる。玖美子と会う。
 
「どうだった?」
「負けたぁ。1本も取れなかった」
「ああ」
 
玖美子は地区大会4位だったので、後志地区1位の人と当たったらしい。各地区1位の人は、やはり相当強いようだ。
 
千里の2回戦の相手は根室地区2位だった人のようである。“やや本気”で行く。対戦してみて、結構強いなと思ったので、1本取られた所で少しブーストする。それで1本取り返す。その後けっこう互角の勝負になったが、そろそろ時間切れかな?という感じになった時、一瞬相手に隙が出来たので、すかさず面を打った。それが決まって2本勝ちとなった。これでBEST16となった。
 
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ここに残っている人の多くは、各地区で1位か2位だった人ばかりのようだ。
 
3回戦の相手は空知の1位だった人であった。かなり強〜いと思ったので、“結構本気”で行くことにした。対戦してみて、その強さがよく分かる。何の前触れ的な動きも無いところから一瞬で攻めて来る。ただ、攻めてくる直前に僅かな“空気の変化”があるので、千里はうまく逃げることができた。
 
対戦は1分を過ぎ、2分を過ぎる。度々相手は仕掛けてくるが、どうしても1本が取れない。次第に相手は焦ってきた。ややラフな攻めが来た所で千里はきれいに返し胴で1本取った。千里が1本取ると相手は更に焦ってくる。そこで千里は全く攻める様子の無い所から瞬間的に攻めに転じ、面を打つ。
 
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これが1本決まって、結局千里はこの“かなり強い相手”に2本勝ちすることができた。
 
「凄い凄い」
「今の相手には完璧に勢いで負けてた。判定になったら私の負けだった」
「それでも2本取ったじゃん」
「それは向こうの油断だと思うな」
「うん。千里は見た感じあまり強いように見えない。だから相手はこちらを嘗めやすい」
と玖美子は言った。
 
「まあ次回からは通じないだろうけどね」
「来年までに鍛えよう」
 

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