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■女子中学生・夏祭り(11)

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千里Rが参加している修学旅行の3日目。7月21日(木).
 
この日は名古屋市に隣接する長久手町(ながくてちょう)をメイン会場(*20) にして開催中の愛・地球博(正式名:2005年日本国際博覧会/別名:愛知万博)を見学する。本来北海道の公立中学の修学旅行は道内と決まっているのが、この万博が行われていたことから、今年は留萌市内の大半の市立中学がこれを修学旅行の行き先として設定した。その代わり、保護者の負担も大きくなって、親は大変だったようである。
 
なお、長久手町は2012年に市制施行して長久手市になった。この時代はまだ長久手町である。
 
(*20) 当初隣接した瀬戸市海上(かいしょ)地区に会場を設営する予定だった。森を切り開き、跡地は住宅地に転用する計画だった。
 
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しかし環境保護をテーマにした万博に名を借りて自然破壊と宅地開発をするのかという批判にあい、会場を長久手町(ながくてちょう)の愛知青少年公園に変更。既存の建物を利用したり、元々の砂地などに規格品のモジュールを設置してパビリオンの設営が行われた。また元々の森をそのまま会場内に取り込み“森林体感ゾーン”とした。
 

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地下鉄で藤が丘駅まで行き日本初の浮上式リニアモーターカー“リニモ”に乗る。
 
「でも長久手(ながくて)といえば“小牧・長久手の戦い”だよね」
と美那が言うと、
「何だっけ?」
と大半の子。
 
「羽柴秀吉と徳川家康が戦った戦いだよ」
「それ大坂の陣とは違うの?」
 
「全然時代が違う。大坂の陣は秀吉が死んだ後、中心が居ない豊臣側と実質日本の支配者となっていた家康が戦ったもの。小牧長久手の戦いは本能寺の変があり、賤ヶ岳の戦いの後で、1984年に秀吉が家康と最初に兵を交えたもの」
「それどっちが勝ったの?」
「解釈次第。どちらが勝ったとも言える」
「ほほぉ」
 

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1582 本能寺の変
1583 賤ヶ岳の戦い(柴田勝家死す)
1584 小牧長久手の戦い
1586 天正大地震
1590 関東の連れション
1598 秀吉死す
1600 関ヶ原の戦い
1614-15 大坂の陣
 
「両者の決着が付くのは1590年の“連れション”を待たなければならない」
「何それ〜!?」
「天正18年(1590)の北条攻めの時、秀吉と家康が連れションして、それで2人は和解したと言われる」
 
「なるほどー。男の人は連れションで仲良くなるのか」
「古代の部族同士の交渉では、和議が成立したら長(おさ)同士がちんちん握りあったらしいよ」
「ほー」
 
「女同士はどうするの?」
「やっぱ、おっぱいの触りっこじゃない?」
 
「ちょっとここではしない!他のお客さんに迷惑!」
と玖美子が注意する。
 
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それで停まってホッとしたものの、公世は「女の子こわい」と思った。
 
(公世は今日は昨日夕方買ったズボンを穿いている。司から借りたズボンは部屋で乾かし中)
 

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一行は“リニモ”を万博会場駅(*21)で降りて駅の南側に広がる万博会場に入る。
 
点呼して全員居ることを確認し、あとはグループごとの自由行動となる。グループのリーダー(携帯を持っている人が任命されている)は1時間ごとに全員そろっていることをメールで報告する。万一グループからはぐれたり迷子になった人は、高さ25mの2本の“緑の塔”が目立つ“愛・地球広場”に来るよう言われる。そこに誰か先生が「留萌S中」の旗を持って居ることになっている。
 
(*21) 万博終了後は「愛・地球博記念公園駅(愛知県立大学前)」と改名された。また駅舎も1/3ほどに縮小された。
 

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千里は“剣道部グループ”で、
 
千里/玖美子/沙苗/セナ/真由奈/公世/司/雅海
 
という8人の大所帯で移動した。男女比がよく分からないグループだ。
 
適正規模は3-4人なのだが、司が「野球部のグループに居ると告白されまくる」と言って公世のツテで逃げて来て、部活をしてない雅海がセナや司に誘われて参加した。しかし佐藤君が「男の娘が多いからぼくまで女子トイレに連れ込まれそう」(よく分かっている)と言って竹田君を誘って離脱。8人になった。
 
なおコリンは千里のペンダントに変身して付いている。絶対に千里とはぐれないようにするためである!(小春のように髪留めに変身するにはコリンは大きすぎる)むろんコリンの分の料金も払っている。
 
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この中で携帯を持っているのは真由奈以外の全員である。真由奈と仲の良いセナは「絶対私から離れないように」と言っていた。トイレも一緒に行っていた。
 
「でもこのグループは携帯所持率が高い」
「半分くらいしか持ってないとこもあったみたいね」
 

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千里たちのグループは人気の「ワンダーサーカス電力館」に行く。少し列に並ぶが、ここの待ち場所は屋根もあり、スポット冷房も掛けられていて、辛くなかった。そして平日だし、朝早いこともあり15分ほどで入れた。
 
ライド型のエキシビジョンである。“旅立ちの駅”から電車型の乗り物に乗って、万華鏡トンネル/銀河の駅/天空の駅/珊瑚の駅/ふくろうの駅/四季の駅/祭りの駅/明日への感動スマイル、そして“さらなる旅立ちの駅”まで約10分の見学であった。
 
「座って居ればいいだけというのは良い」
「うん。歩き回るのは疲れる」
 
と座って見るのは好評だった。珍しく千里も起きていた。
 

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「ところでここ何のテーマのパビリオンだったんだっけ?」
「電力会社!」
 
どうもテーマが分ってない人がいるようだ。
 
「だから太陽光発電、風力発電、燃料電池とかの説明があった」
「燃料電池って何?」
 
全く話を聞いてない人がいるようだ。
 
「水素を燃やして電気を作る仕組みだよ。10年後の自動車は全部燃料電池車になるらしいよ」
「へー。だったらガソリンを給油するんじゃなくて水素を給油するんだ?」
「ガス・ステーションで、レギュラー、ハイオク、軽油、水素って並ぶようになるのかもね」
「へー」
「水素は燃やしても水になるだけだから、とても環境に優しい」
「なるほどー」
 
そういう話が中で説明されたはずなのだが。
 
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ここを出ると隣の「JR東海超電導リニア館」に行く人が多いようだったが、玖美子や真由奈は
「リニアにはさっき乗ったし」
と言って、それを飛ばして「ワンダーホイール、展・覧・車」に行く。
 
「観覧車に乗るのって最後じゃないの〜?」
「素敵な彼とワイングラス片手に夜景を背景に甘いキッス」
「早めに乗らないと混むもん」
 
ということで中に入る。まずはプレショーで車の歴史を遡っていく。それからキャビンに乗り込むが定員4人なので、こう乗った。
 
千里/玖美子/セナ/真由奈
沙苗/公世/司/雅海
 
女の子キャビンと男の娘キャビン?
 
でも係の人には8人全員女子に見えたはず。
 
第1キャビンは玖美子、第2キャビンは沙苗も公世もいるので安心である。
 
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キャビンは半分は展示内容を見ていき、半分は外の会場景色を見る。
 
展示内容はラスコーの洞窟から始まって車の歴史を辿っていく。
 
キャビンから降りると短いポストショーがあり、全部で20分ほどのエキシビッションであった。
 

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“展覧車”を出た後は、少し歩いて企業パビリオンゾーンBにある日立グループ館に行った(電力館・展覧車はゾーンA。入口の右手に企業ゾーンA、左手にBがある)。
 
左側4分の1が、佐渡の割戸を思わせるような大きな“欠け”で分離されている不思議なデザインのパビリオンである。(渓谷と川を表現しているらしい)
 
人気パビリオンだけにまだ10時というのに1時間近く待った(*22).
 
「なんかズボン穿いてると蒸れる気がする」
と公世が言うと
「だからスカート穿けばいいのに」
と言われていた。
 
実際司は「ほくスカート穿いてきて良かったぁ」と思っていた。
 
長く待ったので(小春の振りをした)コリンに飲み物を買ってこさせ、みんなに配ったりした。
 
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「小春ちゃん食べ物とかは無いよね」
「買ってくる!」(*23)
 
ということでハンバーガーやサンドイッチ、おにぎりなども配られた(お金は後で適当に精算)
 
(*22) ここは最大人気だったパビリオンで最長8時間待ちだったらしい。それだけで1日終わってしまう。入場料高いのに。千里たちが1時間で入れたのは物凄く運が良かった。
 
(*23) コリンは多分愛・地球広場に行って買ってきた。
 

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やがて順番が来て中に入る。
 
このパビリオンは稀少動物たちに関する展示がなされており、プレショーで稀少動物の紹介があった後、メインションーはライドに乗って「渓谷」「ジャングル」「サバンナ」「海」「エピローグ」の5つのゾーンを巡るようになっている。ジオラマの背景に3DCGによる動物を重ねた映像が表示される。
 
「たくさん待って疲れたぁ」
と言って、カレーショップに入る。(待ってる間にもかなり食べた気がするが)
 
「カレーが1000円か。高いね」
「まあお祭りの飲食店なんてそんなものでしょ」
「場所代が高いからねー」
 
と言いながら、カツカレー(1000円)(*24) とフランクフルト(500円)を食べる。
 
(*24) カツカレー、ビーフカレー、ポークカレー、パンプキンカレーが各1000円。
 
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「まあ小腹は満ちたかな」
などと言って、今度はキッコロ・ゴンドラ(600円)に乗って会場の南端、グローバルコモン4に行く。ひとつのゴンドラに8人乗るので、このグループはちょうど全員乗ることが出来た。
 
「この人数案外良かったかも」
などと言っていた。
 
「しかしなかなか良い眺めだ」
 
「モリゾー・ゴンドラの方は住宅地の上を通過するから、その区間ではガラスが磨りガラスに変化するらしいね」
 
モリゾー・ゴンドラ(無料)は、企業パビリオンゾーンB(今居た所)から、瀬戸会場(市民パビリオンなどがある)へ行くゴンドラである。
 
「なんか無駄な所にハイテクを使っている気がする」
「技術もだけど無駄な金を使ってる気がする」
 
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「住宅地を通らないようにルートを設定できなかったのかね」(*25)
「そもそも会場を分けた意味が分からん」
 
(*25) ゴンドラ設置に対する猛烈な反対運動が起きて住宅地をできるだけ避けるように大きく湾曲したルートが設定された。しかしそもそも瀬戸会場が不人気でこのモリゾー・ゴンドラは無料なのに利用者も少なかった。シャトルバスでも良かったのではという気がする。住宅地に来たら曇るガラスとか、どう考えてもお金と技術の無駄遣い。実際乗った人によるとほとんどの区間で外が見えなかったらしい。
 

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ゴンドラを降りる。
 
「それでどこ見るの?」
「適当」
「え〜〜!?」
「だって午後は人が増えるから“見たい所”を見ようとしたらひたすら並ぶだけで終わってしまう。だからすぐ入れる所に入る」
「それつまんない所のような気がする」
 
ということで、ゴンドラの駅のすぐそばにあるチェコ館、その左手にあるポーランド館には少し待ち行列ができているので、ポーランド館の向こう側にあるウクライナ館が全く行列が無かったのでそこに入る。
 
館の中央に灰色の女性の像?があり、グルグル回っている。展示は「ウクライナの歴史」と「今日のウクライナ」に別れているようである。なんか人工衛星からの映像がリアルタイムで表示されている。またコンピュータゲーム“コサック”のコーナーなどもあった。
 
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「あ、レストランがある」
ということで中に入る。ボルシチとかキャベツロールとかのメニューがあり、それぞれ好きなものを頼む。このグループは人に合わせようという子は居ない。個性の強いグループである。
 
「へー。ボルシチってロシア料理と思ってたけど実はウクライナ発祥だったのか」
「このレストランの名前“タカ・ハタ”って高畑さんがやってるの?」
「いや、ウクライナ語で“そんな家”という意味らしい。така хата, Such a House」
「なんか発音がいい」
「いや以前近所にウクライナ人のイリーナ(Iрина) ちゃんが住んでたから日常会話くらいならできる。沙苗もできるでしょ?」
「当時は私も少しウクライナ語話してたけど、もうかなり忘れた」
「そう?」
 
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実際千里はウェイトレスさんと少し言葉を交わしていたが、向こうは日本人の女子中学生がウクライナ語で話しかけてきたのに感激して、みんなにヨーグルトのようなものが配られた。
「これ店長さんからの女の子たちへのプレゼントらしい」
「へー」
 
女の子かどうか微妙な人もいるがまあ見た目女の子でいいだろう。
 
「ダクユー(Дякую)」
と沙苗が言う。
「どういう意味?」
「ありがとう、ということ。これは覚えてた」
 
それで他のみんなも「ダクユー」と言って、また向こうは感動したようだった。
 

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「でもさっき千里何をウェイトレスさんと話してたの?」
「えーっと料理のこと訊いてたんだけど、日本語ではどう言えばいいんだっけ?」
と沙苗に訊くが
「私もほとんど聞き取れなかった」
という。
「千里は英語なら英語、フランス語ならフランス語で考えながら話してるからだいたい日本語に直すのが苦手」
と玖美子が言う。
 
「英語は得意だけどテストの点は取れないという困った人だね」
と沙苗が言う。
 
「不便な天才だ」
 

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ウクライナ館を出た後、ロシア館は列がかなり出来てるのでパス、イギリス館も少し列ができてて、オーストリア館は長蛇の列なのでパス。スイス館も飛ばしてベルギー館に入る。
 
何か芸術作品?が多数展示されているが飛ばして行く。
 
「あ、ベルギーワッフルだ!」
 
ということでここに結構列ができていたが、列に並んだ。パビリオンの待ち時間は我慢できなくても食べ物のためには並ぶ。それでワッフル(プレーン126円/チョコ147円/アーモンド147円)をしっかりゲットした。
 
「税込みで切りのいい数字にしてくれたらいいのに」
 
126円=120円+5%, 147円=140円+5%
 
「律儀なんじゃない?」
「消費税が悪いのよ」
 

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その後、北欧共同館、コーカサス共同館、ポルトガル館、アイルランド館、と見たところでもう15時である。
 
「そろそろ戻ろうか」
「それがいいかも」
 
ということで、帰りはグローバル・トラムに乗ろうということでグローバル・コモン3まで歩いて行く。ここでモリゾーと遭遇したので記念写真を撮らせてもらう(コリンと公世が交替で撮影した)。
 
そこからグローバル・トラムに乗るが
「なんでグローバル・コモン1に行けないの〜?」
「不思議な運行系統だね。山手線みたいにグルグルずっと回せばいいのに」
 
ということで仕方ないので北ゲートまで戻った。そしてまた歩いて愛・地球広場まで行くが
「疲れたぁ」
「お腹空いたぁ」
という声でワールドレストラン(フードコート)に入り。結局ここで集合時間まで時間調整することになった。
 
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中華とか焼きそばとかスパゲティとか各自好きなものを買ってきて食べる。
 

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女子中学生・夏祭り(11)

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