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留実子については、普段ワイシャツとズボンで男子トイレの小便器を堂々と使用してる。更衣室だけは女子更衣室を使っている。ただし女子更衣室の入口にカーテンスタンドがあり、そこが留実子の着替え場所に指定されている。留実子が他の女子の着替えを見たりしないようにするためである。実際彼は下着も男物(シャツとトランクス)を付けている。
彼の扱いについては広沢先生・清原先生と話し合い、結局男子制服で参加することになった。彼に無理矢理女子制服を着せても男が女の服を着ているようにしか見えない(実際そうだと思う)ので女子トイレなどで痴漢と誤認される。また彼自身、小便器がないとかったるいと言う。
それで留実子は男子制服で参加することになった。バスの座席も男子の並びで男子の友人たちと猥談などしていた。
多くのクラスメイト・友人は彼にはペニスがあると思っている。実際男子トイレで隣り合わせになって彼のペニスを“目撃”した男子も多い。先日の函館遠征では男子と同じ部屋で何の問題も起きなかった。
花和君は男湯に入ったみたいという噂が流れていた。
彼には睾丸もあるのでは?あるいは男性ホルモンを飲んでいるのではと思っている人も多い。
将来的には多分、鞠古君が“ちゃんと”ヴァギナも造って完全な女性になり、留実子と性別逆転結婚するのだろうと思っている友人も多い。
鞠古君は“ペニスを切った”し、おっぱいも大きくなってるから実質既に女性になったのだろうと思っている人が多い。
「ちんちんは切ったけど睾丸が残ってるから今はまだ男の分類らしいよ」
「そのうち睾丸も取るんだろうね」
「今はクリちゃんをいじると射精するらしい」
「射精って、ちんちんも無いのにどこから?」
「女の子のおしっこ出てくる所と同じ所から精液が出るんだって」
「へー。そうやって射精するんだ?」
「ちんちんが無いから男の子の精液みたいに飛ばないらしい。流れ出してくる感じだって」
「男の子の精液って飛ぶんだ!?」
女子中学生で男の子の射精現場を見たことのある子はほとんど居ない。
さて公世のケースはこうであった。
保健室の清原先生、体育の広沢先生は、公世にこう言った。
「水着は女子用を着てもらわないと困るけど、修学旅行の服装については“制服”としてのルールが守られていればいいから、男子制服・女子制服のどちらを着てもいいよ」
それで彼はいつものように“ワイシャツ”とズボンを着て出掛けるつもりだった。ところが・・・朝になって困惑した。
「お母さん、ぼくのスラックスが見当たらないんだけど」
「え?どうして?」
と母も探してくれるが、母は廊下に公世のスラックスが2本干してあることに気付く。
「洗って干してる最中なのでは」
「あ。昨日市長さんに会うのに制服を着てズボン穿いたから、その後うっかり洗濯機に放り込んじゃった」
「それが今朝洗われて今干されてるわけか」
「でもなぜ2本とも」
「ああ、あんたのズボン脱ぎ捨ててあったから洗濯機に放り込んでおいたよ」
と姉の弓枝。
「え〜?困る」
「あんたズボンは2つしか無いの?」
「うん」
彼が“ワイシャツ”と思い込んでいるブラウスの方は何枚もあるので洗濯されても平気である。
「どうしよう?」
「スラックスが無いのならスカートを穿けばいい」
と姉は言った。
「え〜!?だってスカート穿いて男子トイレに入れないよ」
「あんたはそもそも男子トイレには入れない」
「うっ」
姉は言った。
「あんたが男子の服装しても女子にしか見えないから、男子トイレに入ろうとすれば毎回トラブるよ。その度に先生が『この生徒は校内では男子トイレを使っているので』と説明しても納得しない人いるだろうし、集団行動に遅れが出るよ。この修学旅行の間だけでも、他の人に迷惑掛けない服装しなさいよ」
えーん。ぼくが男子制服着ると人に迷惑掛けるの?
「それに別にスカート穿くこと自体に抵抗はないんでしょ?スカート穿けばいいじゃん」
「そんなあ」
なんかその内「別にちんちん無くてもいいんでしょ?」と言われて性転換手術受けさせられそう。
「それに内地は暑いからスカートのほうが涼しくていいよ」
「確かに暑いかも」
「だからスカートを穿こう」
「うーん」
「そしてスカート穿くならリボンも結ぼう」
「え〜〜?リボンなんてまるで女の子みたいな」
「人は男女が入り交じったものを見ると落ち着かなくて気になる。スカートも穿くんだから完全に女の子を装ったほうがいい。だからリボンを着けよう」
という訳で、公世はこの修学旅行にスカートを穿き、ブラウスにリボンまで付けた完全な女子の制服で出て行くことになったのであった。
なんかスカート穿くこと以上にリボンを付けることに抵抗があった。
これじゃ本当に女の子になってしまったみたいじゃん。
母の車で学校まで送ってもらい、スカートとリボンの女子制服で整列した公世を見てクラスメイトは驚いた。
「公世ちゃんスカート穿いたのね」
彼がそこまで急速に女子化するとはみんな思ってなかった。
「なんか一線を越えてしまった気分」
と本人も言っていた。
公世は
『このままだと、ぼく高校に進学する前に性転換手術を受けなさいと言われたりしないよね?』
と物凄く不安であった。
雅海が言った。
「とうとう、公世ちゃんスカートにしたんだ」
「実はうっかりズボンを全部洗濯してしまって」
と公世。
「公世ちゃんはその手の事故が多すぎる」
と沙苗。
すると司が言った。
「公世ちゃん、ズボン穿きたいのだったらぼくの着替えを穿く?」
「司ちゃんズボン持ってるの?」
「今朝までぼくズボンで参加するつもりだったから荷物に入れてたんだよ。ぼくのならもしかしたら公世ちゃんに入るかも」
と言って司が自分の荷物からズボンを出す。それで公世がスカートの下から穿いてみるとそんなにきつくない感じである。
実は公世が穿けるのは司のズボンくらいだった。他の男子のズボンはヒップが入らない。雅海のズボンでは小さすぎる。ウェスト以前に足が入らない。同じスポーツマンの司のスラックスだけが公世にも入るのである。
「助かる。これ貸して」
「いいよ」
それで公世はズボンを穿いたままスカートを脱ぎ、スカートは荷物に入れた。
ということで公世はスカート姿をみんなの前で披露したものの、司のお陰でズボンで修学旅行に参加できたのである。
でも
「司ちゃんよけいなことを」
とみんな言っていた!
但しトイレについては
「公世ちゃん、トラブル避けるために旅行中は女子トイレ使って」
とクラス委員の優美絵が言い、公世も
「それは妥協する」
と言って、女子トイレの使用に同意した。お陰で彼は旅行中のトイレに関してはノートラブルであった。
(リボンは外し忘れでこの日はずっと付けてた。翌日以降も同じクラスの女子の誰かが結んでくれた)
S中の一行は次のようなスケジュールで名古屋に移動した。
S中6:45(貸切バス)9:30新千歳空港12:20(ANA708便)14:00中部国際空港1550(名鉄快特)16:18名鉄名古屋
新千歳空港ではセナと沙苗は普通に女子トイレを使った。雅海と司もいつものように女子トイレを使った。公世は不安そうにしているのを優美絵が手を握ってあげて一緒に女子トイレに入った。
「いつも学校外では女子トイレ使ってるんでしょ?」
「というか、大会の時とかは男子トイレに入れてもらえないから女子トイレ使ってる」
「大丈夫だよ。公世ちゃん、女の子なんだから」
「ぼく女の子にならないといけないのかなあ」
「雅海ちゃんは正式に法律上の性別を修正したし、司ちゃんも申請すると聞いたよ(本人だけがまだ知らない!)。公世ちゃんも中学卒業するまでに戸籍上の性別をちゃんと女性に修正すればいいよ」
「うーん。どうしよう・・・」
(少しずつ女の子になってもいい気分になりつつある?もうあと一押しで「ぼく女の子になりたい」などと言い出すかも?)
今回のルートは新しくオープンしたばかりのセントレア空港を見て、そして空港から名古屋駅に直結する名鉄特急に乗るというのも大いなる社会見学であった。そのため空港で2時間も時間を取って空港内を見学した、
しかし千里Yは名古屋駅に着くと、そのまま河洛邑に行っちゃった!(小春は驚いたものの千里の髪留めに変身して付いて行った)
近鉄名古屋16:50(特急)17:18近鉄四日市17:23-17:50恋の道温泉
河洛邑に来てみると、藤子さんや真理さんが使っていた私邸は無くなっていた。どうも土地も売却されたようで、一般の駐車場になっていた。千里は事務の長谷倉さんに「恵雨さんに私が来たと伝えて。あとどこか泊まる部屋をお願い」と言い、上級のゲストルームに案内してもらった。
一方、名駅で千里Yがグループから離れるのを見てびっくりした千里Gはまずそこに千里Vを転送した。Vは(Gもだが)いつでも入れ替われるように夏制服を着ている。
千里の近くに居た蓮菜は、千里が向こうに行ってしまうので「千里ぉ!」と叫んだが、背中から「どうしたの?」と千里に声を掛けられたので、千里が遠くに離れて行くのを見ながらも“こちらの千里でいいことにした”。でも2人の千里をこんなに近い距離で見るのは初めてだと思った。
(千里Vは誰も消さない。誰からも消されない。何故かはその内述べる)
一方、千里GはVを転送した上で、夏制服を持たせた星子を早川ラボに転送する。そして星子が(もう夕方なのに)まだ寝ている千里Rを起こした。
「千里、修学旅行に行かなきゃ」
「あ、忘れてた!」
「とにかく制服に着替えて、着替えも用意して」
「うん」
それで千里Rは星子を連れてコリンの家に瞬間移動する。
「千里!?なんで留萌にいるの?修学旅行に行ったと思ってた」
とコリンが驚いて言う。
しかし取り敢えず千里Rはここで制服に着替えて、4日分の着替えを持った。ここは千里の別宅のようなものなので着替えもたくさんある。多分村山家より多い。女子制服もここに置いていたので星子が持っていったのは使わなかった。
「じゃ2人まとめて名古屋に転送するね」
「待って。私が居なくなるとこの家、小糸だけになる」
とコリン。
小糸が不安そうに見ている。
「源次をこちらに呼べばいいよ」
「でもあいつオスだよ」
「一時的に(?)女の子に変えればいい」
「そうだね」
ということで隣の鈿女(うずめ)神社にいる源次が呼ばれ、即女の子に変えられる。
(性別を変えたのはG。人間だと2〜3時間掛かるがキツネは身体が小さいので10分くらいで変化する)
「えーん。ぼく女の子になっちゃった」
「千里が帰って来るまで小糸の世話を頼む。万一ヒグマとか来たら、私を呼べば何とかするから。買物とかは小町に頼んでおく」
と言って、星子は源次に自分の携帯番号を教えた。
「じゃ行くよ」
それで千里Rと、ペンダントに変えられたコリンが名古屋に転送された。それと同時にVは留萌に戻された。
だからこの修学旅行は、名古屋に着くまでは千里Yと小春が参加したが、その後は千里Rとコリンが参加したのである。コリンはみんなの前では小春を装っていた。
千里たちはもう名古屋市内のホテルの部屋に入っていたのだが、同じ部屋の穂花は一瞬千里が2人になったような気がしたものの、すぐ1人に戻ったので、気にしないことにした。
なお、3年1組はこのような部屋割になっている。
(女子)
大沢恵香 琴尾蓮菜 高山世那
沢田玖美子 新田優美絵 原田沙苗 祐川雅海
戸口萌花 那倉絵梨 広川佐奈恵
風月美都 深草小春 村山千里 矢野穂花
(男子)
秋田 上原 大越 小沢
加藤 菊地 曽川 高橋
飛内 中山 東野
増田 三木 児玉
(男の娘)
(1組)工藤公世 (2組)鞠古知佐
ホテルの部屋は4人部屋が基本なのだが、1組女子は新しく女子になった雅海を入れて14人なので、3人の部屋が2つできる。元々ツインの部屋(バス無し)にエクストラベッドを1つか2つ入れたものなので4人部屋では床面積がほぼベッドで埋まっている。
セナは彼女のことをよく理解?している恵香・蓮菜と同じ部屋にした。また沙苗は同じ剣道部の玖美子や理解者の優美絵と同じ部屋にした。
そして雅海は沙苗と同じ部屋にした。雅海も
「普通に女子部屋に入れるからね」
とクラス委員の優美絵に言われた時は「え〜〜!?」と思ったものの、
「沙苗ちゃんと一緒なら何とかなるかな」
と思った。
しかも他のルームメイトが玖美子と優美絵というのは
“解剖検査”される恐れがない!
という安心のルームメイトなのである。
優美絵は雅海が近い内に性別変更予定と聞いていたので、それを織り込み済みで部屋割表を作っていた。この座席割りは、クラス委員の優美絵が、恵香・玖美子と話し合いながら決めた。
さりげなく千里は眷属の小春と同じ部屋になるようにしている。座敷童子なのでみんなの意識に残らない小春の分をちゃんと確保したのは恵香のお陰である。