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このあと、部屋祓いと称して、千里は各々の部屋に御守りの塩を素焼きの皿に載せて置いていった。
「一週間たったら処分していいですから」
「分かりました」
家族は全員下腹部にトラブルを抱えていた。千里は白虎に命じて可能な限り治療させた。どうしても霊障は生殖器に絡んで起きやすいようである。高校生の次女さんも中学生の長男さんも生理不順を抱えていたので卵巣の動きを正常にしてあげるよう白虎に言った、
小学生の次男さんは睾丸の調子が悪いようだったので睾丸を活性化してあげるように言った。今はスカート穿いたら女の子でも通りそうな中性的な顔つきだが、きっとこの子はこの後男らしくなる。長男さんの方は卵巣の働きを強化したからきっと女の子らしくなりそう、と千里は思った。
千里(特にY)は視力があまりないので、見える物より感じるもので行動している。だからこの長男さんは“女性器を活性化すべき”と思った。
ちなみに千里はここにいる子供は(旭川に出ている長女を除いて)女の子1人、男の子2人と思ったが、千里以外の人は女の子2人と男の子1人と思った。だって千里が“長男”と思った人(他の人は“三女”と思った)の部屋はミニーマウスのカーテン、花柄のベッドカバーで本棚にも少女漫画が並んでおり、クマのぬいぐるみなどもあって、女の子の部屋と思えた。本人もロングヘアの可愛い顔立ちで可愛い声で話していた。花絵だけが、彼女のビニールロッカーの中に学生服がかかっているのに気付いた。
ちなみに千里から「この子の卵巣を活性化させて」と言われた白虎は彼女のアロマターゼを活性化し、彼女の睾丸が生み出す男性ホルモンが全部、女性ホルモンに転化されるようにした。また喉の骨が変形仕掛けていたのを元に戻してあげた。ついでに彼女の机の引き出しにエステミックスが入っているのに気づき、追加してあげた!彼女はたぶん年末頃までには少し胸が膨らんでくるだろう。来年くらいには生理が来たりして?
神社に戻ってから、紀美は千里に訊いた。
「白膠木(ぬるで)ある?」
「ある」
と言って倉庫の奥から(実はさっき六合に取って来させた)白膠木を取りだしてきた。
紀美はそれで千里の指定した場所(ここ悪霊の逃げ場がない!と貞美が感心してた)に護摩壇を作り、火を点けてから保冷バッグの中身を取り出し火に投じた。そして真言を唱えている。
この手の儀式的なものの良い所は、手順をきちんと守り正しい真言なり祝詞を唱えれば、本人の霊的な力と無関係に効果を発揮することである。
火が消えてから千里に訊いた。
「浄化したと思う?」
「うん。大丈夫だよ」
「良かった。私霊感とか無いから結果を確認できないのよね」
「でも貞美ちゃんは分かったでしょ?」
「断末魔みたいなのが聞こえた」
「これって***教だよね」
「うん。たまたまあそこの家の霊的環境との相互作用で邪霊を引き寄せる力を発揮したのだと思う。普通の家ではここまで酷くならない」
とずっと見守っていた花絵さんが言った。でも貞美ははっきり言う。
「そもそもあそこの神様はタヌキか****って気がするけど」
「まあそういう所多いよね」
と花絵さんも笑っていた。
S中は今年は7月15日が終業式だった。本来は7月20日が終業式なのだが、今年は7月16-18日が連休である。そして体育祭の代休を7月19日に持って来た。そして文化祭(まだしてないけど)の代休を7月20日に持ってきた。
例によってS中は夏休み中の部活は原則禁止であるが、剣道部は男女とも北海道大会に進出したので特例で週3回の練習ができることになった。(お陰で普段より広く練習場が使える)
但し、千里・玖美子・沙苗・公世の4人はこれに参加せず、早川ラボで集中練習(準合宿)をすることにした。早川ラボの練習には、R中の木里清香・前田柔良も参加する。
7月16-17日には市内のP神社・Q神社・R神社で例祭が行われた。
P神社では千里Yがこれに参加する。Q神社ではVがBの代行をする。
P神社の例祭はこのように進行した。
1日目
早朝神輿と宮司が船で沖合に出る。
日出(4:04)とともに神降ろしの神事
神輿が港に戻り、町内を練り歩き午前9時に神社に戻る。
巫女舞が奉納される(純代(高3)と広海(高1))。
町内会長の玉串奉奠。
10時 小さい女の子たちの巫女舞(いつもテレビ局が取材に来る)
11時 小さい男の子たちによる漁獲物の奉納
12時 甘酒の振る舞い
12時・14時・16時 中学生巫女による巫女舞
(穂花:リーダー、蓮菜・沙苗・結花(中2)・玲羅(中1))、恵香:笛係
縁起物の頒布
日没(19:13)〜20時頃 大人の氏子さんによる神楽
この神楽を花絵・純代・千里の3人が見守り、その後帰宅。高木姉妹はこれを観客として見守りそれから帰宅した。多くの巫女は16時の巫女舞が終わった所で帰宅している。
2日呂。
神輿が町内を巡行。
純代と広海の巫女舞。
午後からは芸能
・雅楽演奏(旭川A神社のグループ)
・留萌黒潮太鼓
・留萌尺八合奏団
・留萌人形浄瑠璃
・地元幼稚園児の楽器演奏
・N小吹奏楽部の演奏
・N小合唱サークルの演奏
・有志による民謡や舞踊など
・ソーラン節の大合唱と踊り
中学生5人による巫女舞
木遣り歌の奉納
宮司の祝詞奏上(太鼓:梨花、笛:恵香)
神輿が沖合に運ばれ日没(19:12)と同時に神上げの神事。
ボランティアによる境内清掃
21:50から宮司・梨花・純代・花絵・千里・広海・セナの7人だけで秘密の神事。こういう神事が存在することも非公開である。広海とセナがこれに加わるのは初めてだが、確実に来年も留萌に居ると思われる人に伝統伝授のため参加してもらった。
花絵は秋には結婚して札幌に行ってしまうし、千里は来春に多分旭川か札幌の高校に行く。純代も旭川の大学に行く可能性がある(大学に落ちても専門学校に行くかも)。セナは旭川の高校に入る頭が無いので留萌に残る可能性が高い。広海は来年高校2年生なのでまだ留萌に居る可能性が高い。
セナが巫女さんのリーダーなら不安が大きいが、広海もいれば安心である。P大神は千里の後任にはセナを考えているようだが、本当にこの子で大丈夫か?沙苗なら安心なのだが。
朝8:00、千里Vは青い髪ゴム・青い腕時計を着けて千里Bを装い、龍笛“織姫”(No.200)とサブの龍笛 Tes.No 224 を持って、夏制服姿でQ神社に姿を現す。そして巫女服に着替えてから打合せをする。
9時、境内で神下ろしの神事。
神輿が旧市街地を一周して神社に戻る。
龍笛と太鼓が鳴り響く中、巫女舞が奉納される。
ここで千里はNo.224の龍笛を吹いた。
宮司が海産物を奉納。映子が龍笛を吹いて祝詞奏上。
神社庁からの献幣使が献幣を行い、祭詞を奏上する。
御神楽の奉納
旭川Q神社の雅楽団による演奏
宮司と献幣使の玉串奉奠。
午後からは芸能の奉納
・留萌黒潮太鼓
・留萌尺八合奏団
・留萌人形浄瑠璃(この3つは翌日はP神社で奉納)
・素人カラオケ大会!
千里たち中学生の巫女は夕方で解放される。
22時頃、御神輿が御旅所まで運行される。龍笛は京子が吹く。
2日目。
朝8:30千里Bを装った千里Vが御旅所に姿を表す。
9:00 千里が吹く“織姫”の調べに合わせて宮司の祝詞が奏上される。
9:20 神輿は御旅所を出発し、旧市街を回って神社に戻る。
千里の織姫の音(ね)が響く中、巫女舞が奉納される。
雅楽の奉納
宮司の祝詞
お酒のふるまい
縁起物の頒布
様々なものの奉納
・弓道の模範演技
・剣道の演舞
。アイヌ舞踊の奉納
・J小剣道部の児童たちによる剣道試合
・ちびっこ相撲大会
・浴衣の女の子たちによるカルタ大会
千里たち中学生の巫女は夕方の神事の前に解放される。
夕方
巫女舞奉納(笛:京子)
神上げの儀式
7月16-18日(土日祝)、函館で野球の全道大会が行われた。この大会は8月に東京のジャイアンツ球場(川崎市・よみうりランド内)その他で開催される全日本中学野球選手権大会の予選も兼ねている。
今回の大会は北北海道、中北海道、南北海道、そして札幌市代表の4チームでリーグ戦を行う。だから1日1試合で3日掛けることになる。そして上位2チームが全国大会に進出する。
それで強飯監督は15日、出発前のミーティングで部員たちに
「2勝1敗を狙おうと思う」
と言った。
「札幌代表は無茶苦茶強い。だからこれに負けるのは仕方ない。でもあと2つを何とか勝てば全国大会に行ける可能性がある」
つまり札幌市代表は凄く強いので多分3勝するだろう。そして残りの3チームは2勝1敗、1勝2敗。0勝3敗となる。だから2勝1敗なら全国大会に行けるのではないかということなのである。
「そううまく行くかなあ」
と司は疑問を感じて言葉を漏らした。
「そうだよね。札幌代表が3勝して、うちが2勝1敗だとしても他にも3勝のチームがあったら、全国行けないよね」
と小林君。
「いや3勝のチームが2つ出ることは無い」
と司。
「そうだっけ?」
「だって3勝のチームが2つあったら、その2チームの対戦はどっちが勝ったのさ?」
「あ、そうか」
(という話を聞いてもまだ分からない子もいる!)
今回派遣されるのは、S中野球部24名(ベンチに入らないメンバー、強飯監督、女子マネ3名を含む)および、S中応援団選抜14名と顧問の先生1名、チア部選抜7名とチア引率の先生1名、合計47名である。彼らは前日の15日(金)、終業式のあとで、貸し切りバスで函館まで移動した。
バスの座席は、女子マネ3名と司がひとまとまりの席を使っている。司の隣は水野尚美である。チア部8名もひとまとまりの席を使う。また補助席には丈夫な!応援団員が座っている。留実子は応援団の最前列、河合団長の隣である。念のため留実子に女子たちの隣の席に行く?と訊いたが「女と長時間一緒だとムラムラくるから勘弁して」と言っていた。やはり留実子は睾丸があるのでは?
到着してから全員で焼き肉屋さんに食べに行き、思いっきり食べてから宿舎に入る。野球部員の宿は主催者側で確保されているが、応援団員・チア部は学校で確保したビジネスホテルに入った。通常シングル1泊3000円!という安い宿である。
「都会には安い宿があるんだねー」
ここのツイン部屋にエクストラベッドを入れてもらい、ツイン部屋に4人泊めることで、4人部屋1万円で泊めてもらう。
チア部8名(顧問を含む)は4人部屋を2つ使う。応援団のほうは、このような部屋割になった。
4人部屋×3+(顧問+河合団長+花和旗手)
顧問の部屋は窓際に留実子、真ん中に顧問、入口側に河合団長である。しかも留実子と顧問の先生の間に、ホテルから借りた移動黒板を置いた。