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■女子中学生・秋の嵐(22)

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2004年12月14日(火).
 
千里たちが6時間目の授業を受けていた14:56.
 
突然の揺れが襲った。
 
「皆さん落ち着いて!」
と先生の声が飛ぶ。
 
「机の下に入って頭を守りましょう」
と先生が言うので、全員床に座り込むようにして机の下に入る。
 
色々物が倒れる音がするが、みんなその揺れが終わるのをじっと待った。
 
後にマスコミが「留萌支庁南部地震」と名付けた地震である(気象庁は命名していない)。震源地は留萌支庁南部(小平町大椴付近)の深さ8.6km. M6.1 であった。各地の震度は、震源となった小平町で震度6弱、近隣の苫前町旭で震度5強、羽幌町南3条で震度5弱を観測している。留萌市は震度3とされているが、S中は市街地よりは震源に近いので4近く揺れたかも。
 
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この地震による死者はなく、下記の軽傷者が報告された。
 
小平町5名、苫前町2名、羽幌町1名
 
震度6揺れた地震で死者が無かったのは運が良い。
 

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揺れが終わるのと同時に校内放送が流れる。
 
教頭先生の声だ。
「皆さん落ち着いて行動してください。校舎はゴジラが蹴飛ばしたりしない限り崩れません。順番に校庭に避難しましょう。貴重品以外は何も持たないで。まずは1年生から。2年生・3年生はお兄さん・お姉さんだから少し待っててね。全学年同時に避難すると混雑して将棋倒しとか起きたらいけないから、順序を守りましょう」
 
ゴジラが蹴飛ばしたりしない限りというので、結構笑いが起きていた。
 
こういう時にジョークが言えるというのは凄いなと千里は思った。
 
ところが、この1年生の避難中に、再度強い揺れが来たのである(15:01の余震)。
 
廊下で順番に校庭に向かおうとしていた1年生たちから悲鳴があがるが、廊下で避難状況を見ていた教頭が
「その場にしゃがんで、手を頭に乗せて」
とすぐ大きな声で指示したので、全員すぐその姿勢を取り、何とかパニックは避けることができた。
 
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2〜3年生は再度机の下に潜った。
 
この余震がやんだ所で避難を再開。15:25くらいまでには全校生徒が校庭に避難することができた。
 
各クラスのクラス委員と体育委員に全員居るかどうか確認するように指示がある。クラス委員だけでも良さそうだが、こういう時は神経がたかぶっているので数え間違いが起きやすい。それで二重にチェックさせるのである。実際人数が合わずに数え直しているクラスも結構あった、よくあるのが自分を数え落としているパターンである。15:40頃までに全員の無事が確認される。この後、原則として保護者に迎えに来てもらって下校ということになった。
 
その時点で既に学校まで来ている保護者も多かったので、順次名簿に誰に引き渡したかチェックしながら引き渡していく。
 
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千里の母は最初に小学校に行って玲羅を引き取り、その後、中学に来た。千里はチラッと留実子を見た。
 
「先生。花和さんの御両親は昼間は動けないと思います。私と一緒に下校にさせて下さい」
「ああ、近所だったっけ?」
「はい、すぐ近くです」
 
それで母に留実子も一緒に引き取ってもらうことにして、引き渡し名簿の留実子の所にも母にサインしてもらい、一緒に帰宅した。留実子の母にはメールをしておいた。
 
「ありがとね」
「いつものこと、いつものこと」
 

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この日は部活も休止となった(翌日今週いっぱい休みと通知)。
 
またP神社での勉強会も中止にすることを蓮菜と花絵さんの電話連絡で決定し、花絵さんが参加者全員にメールを送って通知した。メールで連絡の取れない子も、だいたい常識で考えて休みだろうと判断したようであった。あらためて翌日「今週いっぱいは休み」というのを各学校の校内で伝達した。
 
余震はこの日の夕方17:54, 深夜の2:29にも発生。翌日(12/15 Wed) は通常通り授業は行われはしたものの、余震の不安を抱きながらの授業となった。この日は休んでいる子も結構いた(15日は休んでも欠席にしない処置)。
 

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S中はまだ町の中心部に近いので、比較的被害が少なく、せいぜい花瓶が倒れて割れたりした程度だったのだが、市の北部で震源に近い、C町ではボロ家の壁が崩れたものなどもあった。P神社も結構片づけが大変だったらしいが、おキツネさんたちが頑張って片づけてくれた。
 
千里の家では不安定な置き方をされていた茶碗などが落ちて割れる被害があったものの、母と千里・玲羅の3人で何とか当日の内に片づけることができた。小春の家はそもそも大して物が無いので、小春とコリンの2人で何とか片づけた。W町のGとVの家、病院跡、は留萌市街地の西部、また天野道場は、留萌市街地の東部にあり、いづれも震源から遠いので、ほとんど被害は出なかった。早川ラボは、わりと震源に近いが、たまたま来ていた朱雀によれば結構揺れたものの、新しい建物なのだし、基本的に物が無いので、被害も無かったらしい。
 
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千里の父の船は火曜日地震の直後に操業を打ち切り、その日の深夜帰港した。それで母は真夜中に車で迎えに行ったが、帰宅するなり2:29の余震が来たので、思わず悲鳴をあげた。翌日朝は父が寝ていたので、千里は堂々とセーラー服で家を出たものの、帰りは小春の家で体操服に着替えてから帰宅。玲羅が呆れたような顔をしていた。
 

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12月19日(日).
 
沙苗が、“天野道場”での練習を終えた後、今日はまだ時間の余裕があるからバスで帰ろうと思い、市街地の方へ歩いて行っていたら、Q大神に呼び止められた。
 
「沙苗、お前の身体を少しメンテしてあげるから、いらっしゃい」
「はい」
 
それで沙苗は、Q大神に連れられて、Q神社の深部に入り、言われるままに横になった。
 
「お前の女性器を1年分くらい進化させてあげるよ」
「ありがとうございます」
 
沙苗はそれで眠ってしまった。起きた時は、自宅で寝ていた。
 

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12月21日(火).
 
この日の昼休みの放送室担当は千里だった。千里は
 
「本当に悲しいできごとでしたが、ワンティスの高岡猛獅さん・長野夕香さんが亡くなってから、もうすぐ1年になります」
 
と言って、発売がずっと延期になっている、ワンティスのアルバム『ワンザナドゥ』の音源を再度流した。
 
校内の反響は大きかった。
 
(千里も先生や生徒たちも物凄く貴重な音源を流している/聴いているという意識が全く無い!)
 

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12月22日(水).
 
沙苗は母と一緒に札幌に行き、S医大で診察を受けた。
 
沙苗の身体は10月末の検診と11月末検診の間で、女性器が急成長するという変化があったのだが、今月の検診では11月の検診の時より更に女性器は成長していた。
 
「先月ほどの急成長ではないけど、先月より明らかに育っているね」
「やはり内面の女性化が進行しているんですね」
「どうもそんな感じだね」
 
今後毎回MRIを撮って、状況を把握することにした。
 

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12月22日(水).
 
天皇誕生日の祝日の前日(平日)、留萌市のクリスマスイベントが市民体育館で行われる。今年もS中合唱同好会がこれに参加する。
 
さて、このイベントは毎年恒例にはなっているものの、そんなに人が来るイベントではなく、あまりにも観客席に人が少ないのは寂しいというので、漁協や農協の関係者、あるいは近くの中学校の生徒などが動員されて客席に座っていたりする。それでも客席が半分も埋まるかどうかというのが例年である。
 
しかしこの年は違っていたのである。
 
合唱同好会のメンバーが学校が終わった後、バスで市民体育館まで行くと、体育館前に長蛇の列ができている!
 
そしてその列の管理をしているスタッフがたくさん居る!
 
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「何の騒ぎ?」
と言いながら、千里たちは会場入口まで行く。そして入口の所で
 
「済みません。行列の最後に並んで下さい」
と言われる。
 
「私たち出演者です」
と言って、藤井先生が身分証明書を見せて、やっと中に入れてもらった。
 
そして普段は、出演まで1階の客席に座っているのだが、この年は
「すみません。出演者の方は、出番まで2階席で待機して下さい」
と言われた。
 
プログラムを見て驚きの声があがる。
 
17:25 F幼稚園
17:35 お元気会集団演技
17:45 N小学校合唱サークル
18:00 松原珠妃オンステージ(1)
18:30 V小学校吹奏楽部
18:50 S中合唱同好会
19:05 S高校チア部
19:20 Herring & seagull
19:40 留萌商工会女声合唱団
19:55 クリスマスツリー点灯式
20:00 松原珠妃オンステージ(2)
 
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「松原珠妃?」
「あの『黒潮』の?」
「まさか」
「あんな大歌手がこんな田舎に来る訳無い」
「きっと同じ名前の別の歌手だよ」
「去年も矢野顕子と聞いてびっくりしたら別の矢野秋子だったし」
などと合唱同好会のメンバーは言っていた。
 

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しかし千里たちが2階席から見ていたら、本当に松原珠妃・本人が登場するので
「うっそー!?」
という声があがる。
 
「本物だ」
「いや、そっくりさんかも」
などという声。
 
しかし松原珠妃は笑顔でステージに登場すると、『黒潮 (Hawaian version)』、『ハワイアン・ラブソング』『17歳』『夏少女』、そして新曲『ドテ焼きロック』の5曲を熱唱した。この『ドテ焼きロック』がとてもコミカルな歌詞で、会場全体が異様に盛り上がった。
 
「私、お好み焼き食べたくなった」
「たこ焼きでもいいけど」
という声があがる。
 
実はこの曲の1番と2番の間、2番と3番の間に「タコヤキ・タマゴヤキ、オコノミヤキ・イカヤキ、タイ焼き・回転焼き、ホットケーキ・クレープ」という“こなもん連呼”が入っていたのである。
 
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ちなみに“イカ焼き”というので、千里たちは、イカを1匹丸ごと串に刺し、タレを付けて焼いたものを想像したのだが、この歌詞に出てくるイカ焼きというのは関西で見られる“粉もん”であり、お好み焼きに似た食べ物である。半円形や長方形に畳んで食品パックに入れたりして屋台などで売られている。
 
また“タマゴヤキ”というのも、たこ焼きに似た料理(熊谷真菜は『たこやき』の中で、これがたこ焼きのルーツではと推察している)で、関西以外では“明石焼き”と呼ばれているものである。これも千里たちは、卵を焼きながらくるくる巻いた方を想像している。
 

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裏事情を言うと、こういうことであった。
 
2003年はデビュー曲『黒潮』で日本の歌謡史に残る特大セールスをあげた松原珠妃も、2作目の『哀しい峠』は全く売れず、業界では「一発屋だったな」という見方が支配的になっていた。それでこの年末年始、珠妃はほとんどスケジュールが入っていなかったのである。ただ12月24-25日は、『黒潮・ハワイアン・バージョン』を出した縁で、スパリゾートハワイアンズでライブをする予定になっている。しかしそれ以外では、ライブとかテレビ出演とか、あるいはディナーショーなどの予定も全く無かった。
そんな折、たまたま留萌市長が予算の陳情などもあり、東京に出張していて、広告代理店の人と話していた時にその話題が出たのである。
 
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「うちも町の振興のためには大規模なイベントとかやって人を呼びたいけど、大きなイベントやるにはお金もかかるから大変ですよ」
 
「大きなイベントをやる場合も、やはりコアになるものが必要でしょうね。地方の自治体さんのイベントを見ていると、地元の老人会の踊りとか、幼稚園児の合奏とかそういのうが続いて、それもそれなりに良いのですが集客力はありません。よその町からでも見に行ってみようかなと思うような目玉が無いと厳しいですね」
 
「そうですねえ。うちも年末のクリスマスのイベントでは、演歌歌手とかアイドルとか呼んでるんですが」
 
「どういう人を呼びました?」
「去年が矢野秋子」
「シンガーソングライターの矢野顕子ですか?」
「いえ。マリンシスタというアイドルグループのメンバーなのですが」
「ああ、そちらですか」
「一昨年とその前が色鉛筆の広中恵美、その前が演歌歌手の稲原越子」
「全く集客力ありませんね」
と広告代理店の人はハッキリ言う。
 
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「やはりこのクラスじゃダメですか」
「もう少し名前の通っている人が使えるといいんですけどね」
「例えば松原珠妃みたいな?」
と市長は言った。
 
すると広告代理店の人は何か考えている。
「彼女は日程次第では取れますよ」
「え〜〜〜!?でもギャラが高いですよね?」
「交通費宿泊費別で50万とかではどうです?」
「そんなに安くていいんですか?」
「今月まではこの予算で行けます。多分1月か2月になったら1桁上になります」
 
この代理店の人は松原珠妃の次のシングルがヒットしそうという裏情報を得ていたのである。
 
「出します!」
「何日が都合がいいですか?」
「12月の下旬ならいつでも」
 
ということで、平日ではあるが、12月22日に松原珠妃が留萌に来ることになったのであった。
 
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彼女は12月23日には、一部のファンからの熱心なお誘いで、札幌でライブをすることになっていた。それでそのついでに前日の22日に留萌に来てくれることになった。
 

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