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(C) Eriko Kawaguchi 2022-09-17
公世もその日、夢(?)を見ていた。
夢の中に千里が出てくるので、嫌な予感がする。
「きみちゃん、睾丸要らないよね?それと、おしっこは女の子みたいにしたいでしょ?睾丸と、男の子の尿道を取り外してあげるね」
と言って、公世のお股から何か取り外して?持ってっちゃった!?
「ちょっと、そんなの取られたら困る〜!」
と公世は言ったのだが、千里はもうどこかに行ってしまったようだ。
翌朝、目が覚めてから、公世がトイレに行くと、またまたおしっこが“あの位置”から出るので
「またかよぉ!勘弁してよぉ!」
と公世は思った。
(性別が安定するようにと、わざわざ2度性転換させたのに!!)
ただ、今回はペニスは喪失してないので「前回よりはマシかな」と思った。でもペニスにおしっこの出る穴が無い!そもそも陰茎下部に尿道の分の膨らみが無く尿道(の男子的延長部分)がまるごと無くなっているのが分かる。睾丸については、これも無くなっていたが、睾丸くらいはもうどうでもいいような気がしてきた。(結果的に陰嚢が身体に貼り付くので排尿の邪魔にならない)
そういう訳で、“女王様の気まぐれ”?のお陰で、公世はまたまた学校の男子トイレでは個室を使用するようになる。それで男子たちはこう噂した。
「工藤さんが小便器の使用をやめて個室を使ってるね」
「やはり工藤さん、女の子になったんだもん。小便器とか使ったらいけないよね。個室を使わなきゃ」
「早くセーラー服に切り替えて女子トイレを使えばいいのに」
ちなみに今回の“夢”の裏事情は実はこういうことだった。
P大神が、千里が留萌を出た後の後任として少しずつ女性化を進めてきた沙苗が最近成績を上げてきて、彼女まで留萌を出て旭川か札幌の高校に行く可能性が出て来た。それで“後任の予備”と考えていた、セナを早急に本物の女性にしてあげる必要が出て来た。それで操作したものである。
美加の女性器は「もしかしたら誰かに移植できるかも」と思い、保管し育成していたものだが、兄(既に姉)に移植することになるとは思わなかった。
夢の中の、女王様=P大神、魔女っ子千里ちゃん(千里Gold)=千里γ(P大神しか知らない千里の分身。昨年の分裂以前から大神が密かに使役していた)だったのだが、セナの夢の中では多少?展開が実際の操作とは違っていたようである。
ちなみに公世の睾丸と尿道延長が無くなったのは何かの事故であり、P大神は関知していない(セナ自身の霊的能力の影響かも)。
2004年12月2日(木)、任天堂は携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」を日本でも発売した。
2001年に発売されたゲームボーイ・アドバンス(GBA)の事実上の後継機である。これ以降、任天堂のゲーム機は初代“ファミコン”からWii に至る据え置き型のゲーム機から、携帯型のゲーム機にその主軸を移すこととなる。
DSは11月21日にアメリカで先行発売されていたが、日本市場ではこの日の投入となった。
千里が夕飯を作っていたら、玲羅が来て言った。
「ねぇ、お姉ちゃん、DS買ってぇ」
「ディーエスって・・・何だっけ?」
千里はゲームなどしないので、言葉が分からない。
「任天堂のゲーム機だよ。今日発売されたんだよ」
「今日発売されたんなら、しばらくは手に入らないんじゃないの?」
「確かに品薄にはなってるみたい」
「いくらなの?」
「1万5千円だけど、ソフトも欲しい」
「ソフトが無かったら、ただの電熱器だね!」
「マリオとポケモンが欲しい」
「どっちかにしてよぉ」
「じゃポケモン。4800円なんだけど」
「合計で約2万円か。分かった。じゃ買えそうになったらね」
「よろしくー」
なんかうちでお金を持っているのは私ということになってるなあ、と千里は思った。お母ちゃんまで私に色々頼んでくるし!
千里はこの“ニンテンドーDS”本体及び“ポケモンダッシュ”について、千里自身はとても行列に並んで買うような時間は取れないので、眷属に頼むことにした。ただし男の眷属に頼むと強引なことをしかねないので、女の眷属に頼むことにし、<たいちゃん>に購入作業を依頼した。彼女なら購入できそうな場所を予測して買いに行くことができる。
実際彼女は12月10日(金)には購入に成功した(2時間前から並んだらしい。千里は彼女をねぎらい、夕張温泉で過ごす休暇を与えた)。彼女の苦労のお陰で、玲羅はクラスで3番目に早くこの新型ゲーム機を手に入れることができたらしかった(その1番目と2番目の子が凄い)。
12月6-8日(月火水).
2学期の期末テストが行われた。筆記試験はこのような分担で受けた。
R:英語・国語・社会・保健・美術・家庭
Y:数学・理科・音楽・技術
アンバランスになったのは、Yがすぐ消えてしまうのでRを無理矢理呼び出したせいである。
実技では、家庭・技術・美術は普段の授業での制作で評価するということで、期末テストとして実施されたのは、体育と音楽である。体育は身体能力の高いRが受け、Yが音楽を受けた。
例によって、音楽の藤井先生は
「千里ちゃんがリコーダーを吹けないのはノーベル賞クラスの謎だ」
と言っていた!
今回はリコーダーで吹くべき曲を代わりにファイフで吹いて評価をもらった。
「千里はきっと前世でリコーダーで殴られて死んだんだよ」
「リコーダーを踏んで足が滑って階段から落ちて死んだのかも」
「いやリコーダーの名人に恋人を奪われたのかも」
など、いくつかの説が提示されていた!
12月11-12日(土日).
千里Rはきーちゃんとの音楽レッスン、越智さんからの剣道の稽古を受けに旭川に出たが、今回は公世を連れて行った。
公世が千里(R)に相談したのである。
「ぼくの男性器がおかしなことになってるんだけど、千里ちゃん、これ何とかする方法分からないよね」
「見せてみて」
「え?でも」
「女の子同士じゃん。恥ずかしがらないで」
女の子同士というのには異論があるものの、見てもらわないと始まらないので、恥ずかしかったが、多目的トイレの中でズボンとパンツを脱いで見せた。
「不思議なことになってるね」
「それで立っておしっこできなくて困ってる」
「11日に私、きーちゃんに会いに行くから、その時、公世もおいでよ。きっと何とかしてくれるよ」
「ほんと?」
それで12月11日、公世は千里と一緒に朝一番の高速バスに乗り、旭川に出たのである。
瑞江に迎えに来てもらい、9時半頃にきーちゃんの家に入った。
まずは公世を、きーちゃんに見せる。
「なぜこんな不思議なことに!?」
と、きーちゃんも困惑した。
「どうも公世の身体に干渉している人があるみたい」
「公世ちゃんが立派な女の子になるまで干渉は続くかもね」
「女の子になりたくないです」
「じゃ私が公世ちゃんを一度完全な女の子に変えるから」
「え〜!?」
「その後で、再度男の娘に戻してあげるよ。そしたら普通の男の娘になれるはず」
「分かりました。それでお願いします」
「ただ一度女の子に変えたら24時間経たないと男の娘に戻せないのよ。だから今女の子に変えて、明日のお昼頃に男の娘に戻すというのでいい?」
千里はその“24時間”ってどっから出て来た設定?と思うが、きっときーちゃんは公世に女の子の身体を丸一日体験させて、女の子になりたい気持ちを増幅させたいのだろうと解釈する(正解!)
「それでいいです。お願いします」
と公世が言うので、公世はNo.3の部屋に入れられ、まずは眠らせた上で、女の子への性転換を掛けた。これで公世は(きーちゃんが知る範囲でも)3回目の女の子への性転換である。これだけ頻繁に体内に卵巣が存在していると、女性ホルモンの分泌量もかなりになるかもという気はした。身体の基本部分の女性化が進むかも知れないし、それは精神にも影響を与えるかも。それで自分で進んで
「ぼく女の子になりたくなった。きーちゃんぼくを女の子に変えて」
と言い出してくれないかなあ、ときーちゃんは妄想した(ほとんどビョーキ)。
公世が寝ている間に、まずは龍笛の練習をした。
お昼頃、公世が起きてくる。
「女の子の身体はいいでしょ?」
「これはこれでいいけど、ぼくは男の子でいたいから」
「分かってるよ。明日ちゃんと男の娘に戻してあげるから」
「お願いします」
でも「せっかく女の子になってるんだから」と言われて、物凄く可愛い服を着せられた。
「さすがに恥ずかしい」
「誰にも見られないから平気だよ」
でも、きーちゃんは公世がスカートを穿いていてもちゃんと転ばずに歩けるので感心していた。
お昼を3人で一緒に食べた後、午後は公世は勉強をしていて(勉強するのが偉い!と千里は思った)、千里はきーちゃんからフルートとピアノを習った。「スカートだと冷えやすいから」と言われて、公世は可愛いキティちゃんの膝掛けを掛けてもらった。
夕食はコリンが作ったが、公世も手伝った。
「きみよさん、すごく料理の手際がいい」
「母ちゃんや姉ちゃんに言われて小さい頃からだいぶやらされていたから」
「へー。立派な主婦になれますね」
「いや、主婦になるつもりはないけど」
「独身主義なんですか?」
あれ〜?湖鈴(コリン)さんってぼくの性別知らなかったっけ?と公世は思ったが、もちろん湖鈴(コリン)はわざと言っている。
夕食後はお風呂に交替で入った。公世はお風呂上がりに、ベビードールを着せられてしまった。
「恥ずかしいですー」
と抵抗したが
「だって女の子になってる内に体験しておかなくちゃね」
などと言われる。
結局そのまま各々の部屋に入って休む。
公世はNo.3の部屋で自分のベビードール姿を鏡に映して「恥ずかしいけど、可愛い!」と思った。
しばらくその姿を鑑賞してから、ベッドに潜り込む。
ドキドキ。
していいよね?
などと自分に言い訳するようにしてから、女の子だけにある器官を指でいじる。
気持ちいい!!
この気持ち良さを味わうと、もう男の子には戻りたくないような気持ちにさえなる。
公世は極上の快楽を感じて、そのまま深い眠りに落ちていった。
翌日は結局ベビードールのまま朝御飯を食べたが、その後、スポーツブラを着けた上で“普通の”白い!道着と袴に着替えた。千里も白い道着と袴に着替える。
それで10時頃、越智さんが来る。
「ああ、今日は工藤さんも来たのね」
「夏には本当にご指導ありがとうございました。お陰で敢闘賞を取れました」
と公世もあらためてお礼を言った。
それで越智さんは2人に稽古を付けてくれた。
(つまり公世は今日は女の子の身体で稽古をした!)
「村山さんは見る度に成長してるけど、工藤さんも夏に比べてかなり成長したね」
と褒めてもらった。
「毎日5kmのジョギングと腕立て伏せ100回してるからかも」
「そうそう。そういう基礎トレーニングが大事なんだよ」
公世も越智さんとの稽古では色々細かい点を指摘されるので、物凄く参考になる。越智さんの指導も定期的に受けたいなあと思った。
お昼をみんなで一緒に食べてから越智さんは帰っていく。千里はお祖母ちゃんの家に行くから夕方落ち合おうと言って離脱する。それで公世はきーちゃんと2人になる。
「公世ちゃん、もうずっと女の子のままでいいという気持ちになってない?」
「すみません。男の子に戻して下さい」
「女の子の身体のほうが気持ちいいのに」
とは言ったものの、きーちゃんは公世をNp.3の部屋で眠らせると、男の娘への性転換を掛けた。
夕方、瑞江が千里と一緒に車で迎えに来てくれたが
「せっかくだから、女の子の服で留萌まで帰りなよ」
と言われ、凄くうまく乗せられたので、つい同意して、可愛いワンピースを着たまま、彼女の車に乗った。
瑞江はそのまま留萌の工藤家まで送ってくれた。公世が可愛い格好で帰宅したので、母や姉からは
「きみよも、ようやく女の子としての自覚が出てきたみたいね」
などと言われた。