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■女子中学生・秋の嵐(13)

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(C) Eriko Kawaguchi 2022-09-10
 
10月9日(土).
 
千里Rは毎月1回の旭川行きをした(9月はお休みしたので8月29日以来)。
 
YとGも月に1度は天子に会いに行っている。Vも2〜3ヶ月に一度は行く。ただ、きーちゃんの所に顔を出すのはRだけである(GがRの振りをして行っていることはある)。
 
今回は11日が体育の日の祝日で3連休であり、それに合わせて3日間の行程になった。9日は稚内の藤原毬毛(桃源)、紋別市のお坊さん・長谷川順恭さんと士別(しべつ)市内で落ち合い、大きな邸宅に行った。
 
「何です?これは」
と順恭さんが顔をしかめている。
 
「みんな油断しないでね」
と桃源が注意を呼びかける、
 
物凄い量の雑霊がいるが、誰も祓おうとしない。“親玉”を刺激しないようにするためである。
 
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「ここか」
といって庭の一角にある小さな池のところに行く。
 
「****明王の第3、使うよ」
と桃源が言う。全員頷く。
 
桃源は最初に池の周り12ヶ所に何かを埋めた。順恭さんがスコップで穴を掘り、そこに袋に包んだ何かを桃源さんが入れ、順恭さんが穴を埋める。その作業の間、千里ときーちゃんは強い結界でふたりをガードしていた。ガード無しではこの池のそばには30秒も居られない。
 
作業が終わってから、4人で池を取り囲む。
 
桃源が右手をあげる。全員所定の真言を唱える。“掛かった”感触がある。
 
「成功。封印した」
「お疲れ様〜」
「今回はちょっと手強かったね」
「あんたたち、いつもこんな危ないことやってるの?」
と順恭さん。
 
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「世界の破壊を防ぐため」
と桃源。
「世界の平和を守るため」
ときーちゃん。
桃源がこちらを見るので千里は続ける。
「愛と正義の美人集団」
 
すると桃源は「ほほぉ」という顔をして
「駿馬・天野(“てんの”と読んだ)・桃源・順恭、人呼んでシュテントウジ!」
 

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「何かその名前でもう10年くらい活動してるみたいだ」
「以前、小登愛(おとめ)ちゃんと瓜生和尚が入ってた時は“愛の桃の木売り”と称していた」
 
今日参加している順恭さんは“瓜生和尚”の従甥に当たり、後継者に指名されていたので、彼の引退後、桃源が何度か組んで仕事をしていた。若いのに結構な法力の持ち主である。しかし大規模案件に参加させたのは今回が初めてだった。
 
「一昨年、函館の案件をした時は、トコロテンだったね」
「釧路の封印は後から“オテントウサン”と名前が付いてた(おとめ・天・桃・サン!)」
「東京でやった案件は、“テントウハイチ”(天・桃・灰麗・千里)」
「以前トーテンポールと名乗ったこともあったね」
 
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「名乗ったのは久しぶりだから、しばらくこの4人で行く?」
「でも美人集団と言われると僕はなんか居心地悪い」
「順恭さんは充分美男子」
「でも美人って女じゃないの?」
「順恭さん、女装してもいいよ」
「檀家さんが逃げるからやめとく」
 
「ところでこの雑霊たちはどうする?」
「それは駿馬に任せた」
「え〜〜!?」
「10分で処理できるよね」
「やってもいいですけど、皆さん席を外して欲しいです」
「OKOK。じゃ3人でお茶でも飲んでからまた来るよ」
「はい。その間に処理しておきます」
 
それで、桃源・きーちゃん・順恭は桃源の車に乗ってどこかに行った。
 

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千里はこの邸宅全体に霊的なシールドを掛けた。桃源が眷属を残していて、千里が何をするのか覗き見しようとした場合に備えたものである。もっとも本当に眷属を残していたら、その眷属まで処分されてしまう危険があるから、そんな馬鹿なことはしないだろうとは思った。そもそも桃源は他人の術を覗き見するような人ではない。しかし念のためである。
 
そして眷属を呼び出す。
 
「とうちゃん、りくちゃん、こうちゃん、せいちゃん、げんちゃん、びゃくちゃん」
 
戦闘集団である。
 
6人はすぐ姿を現した。
 
「こいつらをよろしく」
「おお、これはごちそうだ」
と言って、彼らはほんの7〜8分で、敷地内に居た雑霊を全部、
 
食べちゃった!
 
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「満足満足」
「ごちそうさま〜」
と言って、彼らは帰って行った。
 

千里はシールドを解除した。桃源たちは20分ほどで戻って来た。
 
「すごい。きれいになってる!」
と順恭が驚いたように言った。
 
「どうやったんですか?」
「企業秘密で」
 
桃源が頷くようにしていた。桃源としては東京での千里の様子を見ていて、たぶんこの程度は瞬殺だろうと思っていたので、予想通りという所である。もっとも“この千里”は東京での案件を知らない!
 
千里は釧路での案件以来、2〜3ヶ月に一度、この手の“普通の霊能者”には手に余るような案件の処理をしている(実際にはRとGが半分ずつくらいしている)。その謝礼は物凄い金額であり、それだけで、Yが光辞の朗読のお礼にもらっている金額に充分匹敵する。それできーちゃんは半月後、千里に税務申告に関する注意を与えることになる。
 
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9日この後は、きーちゃんの車で旭川に戻り、午後いっぱい龍笛の練習をした。翌日10日は午前中にフルートとピアノの練習をし、午後からは越智さんが来てくださったので、剣道の稽古を付けてもらった。
 
真剣の素振りも見てもらったが
「ちょっと待って。その刀、見せて」
と言われるのでお見せする。
 
「これは村正ではないか!」
と驚いている。
 
文化祭で藁の試斬に使ったのは実はこの村正である。千里もさっすが凄い切れ味!と思った。
 
「辻斬りを働いていた奴から取り上げました」
「この刀を持ったら辻斬りとかしたくなる気持ちは分かるけど、ほんとに人を斬ってたの?」
「暗闇で、男性固有の刀を見せて、若い女の子に悲鳴をあげさせていたようですよ」
「困った辻斬りだな」
 
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「そちらの刀は1年くらい使えないようにしておきましたから」
「永久に使えないようにすれば良かったのに」
と越智さん。
「私も同意見」
ときーちゃんも言っていた。
 
越智さんが貸して貸してというので、結局この刀は越智さんに、しばらく?預けることにした。これほどの名刀は、千里が持っているより、越智さんのような人が持っているほうが有意義である。でも代わりに、きーちゃんが持っている“関の孫六”を預かった。
 
なお、11日は朝から天子の所に行き、1日一緒に過ごした。
 

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さて、北海道では七五三は一般に10月15日(を中心)に行う。これは11月15日になるともう真冬で、寒すぎるからである。今年は10月15日が金曜日であったため、参拝客は10月9-11日の土日祝にする人たちと、10月16-17日の土日にする人で分散した。しかしどちらにしてもこの時期の参拝客は多くなった。
 
P神社では、千里・恵香をはじめ、蓮菜・沙苗・セナなどの中学生が大忙しとなった。Q神社でも、千里・京子・映子・循子の笛担当巫女だけでなく、臨時のバイト巫女さんたちも忙しく駆け回った。
 

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10月9-11日(土日祝)の連休。
 
今年も全道中学バスケット新人ワークスが札幌で開かれた。
 
昨年は11月1-3日の連休に開催されたのだが今年は11月に連休が無い!しかしこのイベントは3日連続の休みでないとできないので、今年は10月の開催となった。
 
数子は蓮菜に連絡した。
「どちらかの千里ちゃん、出てくれないかなあ」
「今回は無理だと思う」
「そうなの!?」
「七五三の参拝集中日だから、イエローもブルーも動けない。レッドは旭川に行くみたいな話してたよ」
「3人全滅かぁ!」
「神社の行事とぶつかると厳しいかもね」
「分かった。今回は千里抜きで頑張る」
 
一方留実子も野球の大会とぶつかり、旗手になったばかりの留実子は
 
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「選手権とかでなければ応援団に行きたい」
 
ということで欠席。結局、数子と1年生4人というわずか5人で行くことになった。ただこれでは交替要員が居ないので、数子は同じクラスの尚子と志保に助っ人をお願いし、7人で札幌に行った(この大会はバスケ協会に登録がなくても、当該校の2年生以下の女子生徒で、事前提出した名簿に記載された者なら参加できる)。2人は「交通費宿泊費タダで札幌に泊まりがけ旅行」という言葉に乗せられ、参加してくれた。
 
結果は3日間で6試合4勝2敗で、女子参加67校中19位という、そこそこの成績となり、こういうチームで参加してこれだけの成績をあげたことについて数子や雪子は結構な手応えを感じた。1年生たちが力を付けてきていることを如実に示しており、三井先生も「あなたたち頑張ったね」と言っていた。
 
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やはり昨年秋以降、まともな練習場(ハーフコートだけど)が得られたのが大きいよなあと数子は思っていた。それまでは練習場所がなく、男子がウォーミングアップしている間だけコートを使えるという不便な状態だった。
 
なお男子は1勝5敗の118校中89位。昨年事情!により“ほぼ女子だけ”で参加した時よりも成績を落として伊藤先生が難しい顔をしていた(貴司が抜けた穴が大きすぎる)。
 

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ところでこの連休、前述のように実は野球の大会も開催されていた。新人戦の留萌支庁大会で、参加校は8校である。1回戦→準決勝→決勝と進む。
 
1回戦の相手はT中だったが、試合が始まる前に軽い?揉めごとがあった。
 
試合開始前に軽く練習しようとしていたら、
「そこ、女子マネージャーさんはグラウンドに入らないで」
と審判さんが言う。
 
“司は”当惑する。女子マネの生駒さんはベンチでセーラー服を着てスコアブックの用意をしている。“彼女は”グラウンドに入っていない。
 
「君だよ、君」
と審判さんが司の前まで来て言ったので、“司は”やっと自分が女子マネジャーと誤解されたことに気付く。
 
「すみません。ぼく選手ですけど」
「女子の選手登録は禁止されてるんだけど」
「ぼく男子ですー」
「嘘ついてはいかん」
 
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(この場面は、白石麻衣とか橋本環奈クラスの容姿の子がユニフォーム着てて「ぼく男子ですー」と可愛い声で言っている状況を想像してもらえるとよい。審判が信用する訳がない)
 
それで他の選手が集まって来て、
「福川さんは確かに男子です。女子ではありません」
と証言してくれる。 強飯監督まで出て来て
「福川は確かに男子です」
と言う。
 
「ほんとですか?」
と審判は半信半疑である。
 
「福川君、生徒手帳持ってない?」
「荷物に入ってます」
と言って、司はベンチまで行き、自分の荷物から生徒手帳を取ってきて審判に提示した。そこには学生服を着た司の写真がプリントされており、性別も確かに男と記載されている。
 
「うーん。学校にも男子として登校しているのなら、取り敢えずこの試合の出場は暫定的に認めます」
と審判さんは言った!
 
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試合では、T中はS中の新エース・前川の多彩な変化球に全くバットを当てることができず、一方では1年生で4番に抜擢された阪井君がタイムリーを打って2点を取り、エース前川のホームランも出て3対0で勝利した。
 
しかし試合後、主催者側から
「福川さんが本当に男子なのか病院で検査を受けて診断書を出して欲しい」
と言われ、病院も指定された!
 

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女子中学生・秋の嵐(13)

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