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■女子中学生・秋の嵐(5)

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(C) Eriko Kawaguchi 2022-09-03
 
9月3日(金・のぞく・不成就日).
 
“のぞく”は“除く”で吉凶微妙な日である。あまりよくないが“井戸掘り”には吉!
 
初広は母に付き添われて、この日丸一日病院で検査を受けていた。尿を取り、血圧・体温などを測定の上で採血する。2時間待ちしてMRIを撮ってから精神科に行き、そこで心理テストのようなものを受けた。また心理療法士さんとお話をして、自分史を作った。
 
最後に婦人科!で検診を受けたが、婦人科とか掛かるの恥ずかしーと初広は思った。婦人科では最初に服を全部脱いで、全体観察をされる。その上で、身体のあちこちの寸法を測られた。更に内診!!までされたが、「女の人って、こんな検査されるの?激烈に恥ずかしー!」と思った。
 
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なお、初広が自分はバージンではないと申告したので、処女用クスコではなく普通のクスコが使用された。医師はクスコで膣の内部をよくよく観察していた。
 
「これは天然のヴァギナですね。人工的に手術で造ったものではないです」
「そんな手術受けた覚えはないので」
 
内診を終え、椅子を普通の位置に戻す。
 
「でもほんとに先週までは男だったんですか?」
と婦人科医は当惑したような表情で言った。
 
「朝は確かにペニスから排尿したし、バストとかもありませんでした。でも夕方彼女とデートしてセックスしようとしたら、ペニスが無くてこういう形になっていたんです」
 
ほんの1時間ほどの間に男から女に変わっていたと言っても信用されない気がしたので、朝までは男だったということにした。
 
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「途中トイレに行ったりはしてません?」
「トイレには何度か行ってますが、座ってする習慣なので気付きませんでした」
「なるほど」
 
本当は性変に気付く2時間前にも立って、おしっこしてるけどね。
 

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「あなたの性染色体はXXなので、あなたは元々女性だったのだと思います」
「え〜〜〜!?」
 
(↑単にY染色体が検出できなかっただけだと思う)
 
「それにあなたは心理的にも80%くらい女性です。これまで男として生きてきてやりにくいと思っていませんでした?」
 
それはそうだろうなと思った。これまでは無理に“男をしていた”部分が大きい。
 
「他の男子とあまり話が合わなくて苦労してました」
 
「そうでしょうね。本当は女性なのだから。時々あるんですよ。本来の性とは違う性に似た形で生まれて、多いのは13-15歳くらいの頃に、自然に本来の性別の形に戻ってしまうケースで。あなたのように20歳でこういう現象が起きるのはひじょうに珍しいのですが」
 
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「どうしたらいいんでしょう」
「この人は本来は女性であったのが、男と誤認されかねない形で生まれていただけであるという診断書を書きますよ。それを家庭裁判所に提出すれば性別を女性に訂正できますから。それで今後は立派な女性として生きていけますよ」
 
「でも僕が女になってしまったら女性とは結婚できなくなりますよね」
「そうですね。現在日本では同性婚を認めていないので」
「僕の恋人は僕が女であっても結婚したいと言っているんです。結婚するためには男のままでいないといけないですよね」
 
「恋人というのは女性ですか?」
「そうです。でもバイセクシャルなんです」
「なるほど」
「むしろ男より女の方が好きらしいです。だから僕が女になってくれて嬉しいとか言っています」
 
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医師はしばらく考えていたが言った。
 
「では戸籍上の性別はそのままにしておいた方がいいかも知れないですね。ただ、あなたが戸籍上は男性なのに、女性的な外見であると、あちこちでトラブルが起きる可能性はありますよ」
 
「それは仕方ないです」
「ではこの人は間違い無く医学的に女性であるという診断書を書きますから、それを携帯して何かトラブルがあった場合はそれを提示して下さい」
「助かります!お願いします」
 

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旭川の杉村家。
 
初広(自粛してポロシャツにジーンズのパンツ姿)が町子と一緒に病院から戻ると打ちひしがれている様子の蜂郎は
「どうだった?」
と尋ねた。
 
「この子は性染色体もXXで、元々女性だという診断だった。何かの間違いで男みたいな外見だったけど、それが本来の姿に戻っただけだって。だから赤ちゃんも産めるだろうということ」
 
「赤ちゃんも産める〜!?」
と声をあげて、蜂郎はもう立つ力も無くしたかのようだった。
 
「でもこの子の恋人の西村さんは初広が女であっても結婚したいとおっしゃってるのよ。私、一応、先方の御両親にも会ってきたけど、向こうは男嫌いのこの子がたとえ身体が女であっても戸籍上男性と結婚してくれるなら大歓迎と言って。だから向こうはこの縁談に乗り気なのよ」
 
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「それどういう結婚式になる訳?」
「一応世間体で、初広にタキシード着せて、西村さんのお嬢さんがウェディングドレスを着て式を挙げようという話をしている」
 
「それでいいのか?」
「いいんじゃない?性別なんて個人的なことだし」
「でもだったら跡継ぎは?」
「真広が居るから何とかなるんじゃない?」
と町子は言った。
 
(でも数時間後、夢は打ち砕かれることになる)
 

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盛岡市のある病院にて。
 
医師はその小学1年生を見た時、普通にスカートを穿いているし、可愛い顔立ちなので、女の子としか思わなかった。それで性別の検査をしてもらいたいと言われて困惑したのだが、脱がせてみると、普通女児には付いていないものが存在した。
 
「君、ペニスはあるんだね。あ、ペニスって分かる?」
「はい。ちんちんのことですよね。無ければいいのにと思うけど」
 
医師はその付近を触っていたが、あることに気付く。
「君、睾丸は?」
「コーガンって何ですか?」
「いや。キンタマというかタマタマというか」
「すみません。よく分かりません」
「えっと、ちんちんの後ろに柔らかい皮膚で出来た部分があるよね。この中に玉のようなものが入ってなかった?」
「え〜〜?そんなの知りませんけど」
(もちろんバッくれている)
 
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「もしかして停留睾丸かな」
と医師は呟き、指を入れるようにしてその付近を触っていたものの、見付けることができない。
「君、MRIを撮ってもいい?」
「よく分かりませんけど、お任せします」
 
それで医師はクライアントに服を着るように言ってから、付き添いのお祖母さんと一緒にMRI室に行かせた。
 

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そして2時間後。
 
「あなたには睾丸が無いようですね。そんなものを知らないというのであれば最初から無かったのかも。お祖母さんは、クライアントさんのおしめとかを替えたことがありますか?」
 
「はい。赤ちゃんの頃はよくやってました」
と60歳前後の祖母は答える。
 
「その時に睾丸があったかどうか覚えておられませんか?」
「さあ。ちんちんはありましたけど、睾丸までは記憶が」
 
「他に男の赤ん坊の育児をした経験は?」
「いえ。私は娘しか産んでないですし、この子の上も女の子なので」
 
医師は
「東京の大きな病院で精密検査を受けられたほうがいいと思いますが、睾丸欠損症である可能性と、陰核肥大である可能性と、どちらも考えられますね」
と言った。
 
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「うちは貧乏なので、そんな東京とかまで行くお金が無いです」
と祖母は言った。
 
「心理テストの結果は100%女性という判定結果ですし、取り敢えず、クライアントさんには睾丸も卵巣も存在しないので、医学的には中性、そして心理的には100%女性であるという診断書を書いておきますよ」
と医師は言う。
 
すると、祖母と、もうひとり付き添っている、学校の先生は頷きあっていた。
 

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札幌。
 
真広はその日。午前中しか授業が無かったので、午後からハンバーガー屋さんのバイトをした。終わってから本屋さんに寄り、数学の専門書と、女性ファッション雑誌を買った。女性ファッション雑誌って、前から買って読みたいなと思っていたものの、「男が女性ファッション雑誌買ってたら変に思われるかなあ」と恐くて買えなかった。でも女の子になったから、堂々と買えると思う。
 
アパート方面に行くバスに乗る。車内でもファッション雑誌を開けて拾い読みした。途中で乗ってきた女性客が、自分の横と、その前に座っている男性の横を見比べて自分の横に座った。自分が女性と見られていることを改めて再認識する。
 
バスを降りてから10分ほど歩き、アパートに辿り着く。階段を登って自分の部屋の前まで行く。
 
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ドアの鍵を開けようとしたら、鍵が開いてる!?
 
あれ〜!?ぼく出がけに戸締まり忘れたかなあ?などと思いながら、ドアを開けて、習慣的に「ただいまあ」と言った。
 
そこに居る2人の姿を見て、真広はギョッとして立ちすくんだ。
 
母が
「お帰り、真広。連絡もせずに急に来てごめんね。でも可愛い服着てるね」
と笑顔で言ったのに対して、
 
父は呆然として、言葉を失っていた。
 
蜂郎はこの瞬間、人生の希望を全て喪失して、絶望の底に沈んだ。
 

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9月4日(土・友引・みつ).
 
“みつ”は“満つ”で吉日である。
 
古広は母・町子のところに来て言った。
「お父ちゃん、調子悪いみたいだけど、風邪でも引いたの?」
「そうだねぇ。治るような病気ならいいけど」
「え?そんなに悪い病気なの?」
「すぐ死ぬようなものではないから、あまり気にしなくていいよ。それより何?」
 
「いや、実はね。叱られると思うんだけど」
「何やったのよ?」
 
この子、無免許運転でもして捕まったのかしらと母は思った。しかし古広の言葉は思いもよらないものだった。
 
「実はユミちゃんを妊娠させてしまって。中絶の費用、貸してくんない?」
「はぁ!?」
 
町子は、これで蜂郎の“不治の病”が治るかも、と思った。
 
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ところで・・・・・
 
現在千里Bが休眠中なので、千里Yと千里Rの日常はこのようになっている。
 
朝:YがC町バス停に出現し、バスでS町まで行き登校して朝の会に出る。
授業:YとRが各々の好きな科目に出る
 
午後:6時間目が終わった次の瞬間YがS町バス停に出現し、C町まで乗ってP神社に入り、20時頃まで居る。Rは終わりの会に出て掃除をし、剣道部の部活をする。その後、買物をしてバスでC町まで戻り、御飯を作って母や妹に食べさせる。Rが自宅に居るので、神社が終わったYは自宅に戻れず途中で消える。
 
(たまにRが部活で疲れて消えてしまい、結果的にYが帰宅する日もある。Yの帰宅はどうしても20時半くらいになるので、そういう日は、小春かコリンが千里のふりをして村山家で御飯を作る)
 
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さて。
 
9月10日(金)は、校外学習だったので、朝登校したYがずっとこれに参加していて、Rは消えたままだった(某所で丸一日眠っていた)。この日は千里が遅かったので(小春はYに付いているので)、コリンが千里の振りをしてカレーを作った。
 

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そして9月11日(土)のことである。
 
この日は苫前町のスポーツセンター(及び隣接する社会体育館)で、バスケットの留萌支庁・秋季大会が行われる。数子は前もって“千里Yellow”に声を掛けてこの日、助っ人をお願いと頼んでいた。
 
千里と留実子が出れば、きっとR中に勝って地区優勝し、わが女子バスケット部創設以来初めて?北北海道大会に進出できる、と数子は考えていた。
 
ところがである。
 
「足を痛めた〜!?」
「ごめーん。ほんとにごめん」
と留実子が電話の向こうで謝っている。
 
何でも毎日の朝の運動で、ダンベルを持ってスクワットしていた時にうっかり手が滑ってダンベルを足の上に落としてしまったらしい。
 
「湿布してれば1日で治ると思うんだけど」
「そう?お大事にね」
 
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数子の頭の中で“優勝→北北海道大会”という構図が崩れかける。
 

「でも千里が出てくれれば」
と思い、数子は母の車で待ち合わせ場所のC町バス停に行き、千里を待つのだが、約束の時間になっても千里は来ない!
 
「なんで千里は来ないの〜〜!?」
 
数子の頭の中でとうとう「優勝」という文字がガラガラと音を立てて崩れていく。
 
数子は蓮菜に電話した。
「今、蓮菜ちゃんどこに居る?」
「P神社に出て来た所」
「千里ちゃん居る?」
「居ないけど、今日はバスケの大会に出るのに、そちらに行ったんじゃないの?」
「それが待ち合わせ場所で15分くらい待ってるんだけど、まだ来てくれないんだよ」
「うーん。ちょっと待って。何とかする」
「うん」
 
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「そちらはもう出発して。場合によってはうちのお母ちゃんに連れてってもらうから。受付時刻に遅刻したらやばいでしょ」
「分かった。じゃお願い」
 

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