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■夏の日の想い出・つながり(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2018-03-10
 
2017年のローズ+リリーのアルバムは当初無茶すぎる日程を押しつけられてしまったため、どうにも制作が間に合わず、品質的に悲惨な状態になりかけていた所を、アクアの新マネージャー山村勾美さんが、★★レコードの村上社長と交渉(?)してくれて、発売日を春以降に延ばすことになり、11月から作り直すことになった。
 
ただアルバム『郷愁』の発売が春になってしまった場合、ローズ+リリーは2017年は全く新譜が出ないことになってしまう。それでシングルでもいいから出してもらえないかと佐田副社長から要請され、私たちは『青い豚の伝説』というシングルを出すことにした。一方で、ローズ+リリーのベストアルバムもリリースすることにした。
 
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それで10月の下旬は、私とマリ、スターキッズは『青い豚の伝説』の制作を進めることにし、ベストアルバムはKARIONとトラベリングベルズにお願いして編集してもらうことにした。
 
実際には和泉もアクアの作業で多忙であったため、小風と美空、それに黒木さんが中心になって作業を進めてくれた。
 
彼女たちがしてくれたのは、まず選曲!そしてDVDに収録するPVの編集である。ローズ+リリーのPVは多くの場合、テレビや動画サイトに流すCFとして作成したバージョンと異なるバージョンを、ライブの背景に流していたので、今回のベストアルバムに収録したものは、そちらをベースに長さを調整したものとなったが、この調整も3人を中心にやってもらっている。
 
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このアルバムのデータの編集が10月29日に仕上がったので見て欲しいと言われ、私はシングルの制作現場から抜け出して見に行った。内容はとてもしっかりできていたので「これでお願いします」と言い、彼女らに感謝した。
 

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この日はアクアの作業で多忙な和泉、博士論文の作業で多忙な海香さんも来ており、KARIONの事務所社長・畠山さんも来ていた。それで1月に行う予定のKARIONデビュー10周年ツアーに関する打合せもした。
 
その打合せが一段落した所で、畠山社長が、KARIONの4人、トラベリングベルズの5人に“カリヨン”の模型を配った。
 
「KARIONの10周年記念でこれを制作した」
「わあ、きれーい」
 
樫の木製の土台に 冂 のような形の金属製の棒が立っていて、その上のバーに鐘が4個並び、実際に個別に鳴らすことができるように下から立ち上がった打棒も付いている。打棒はボタンを押すとテコの原理で鐘を打つ。
 
カリヨンというのは元々「4つの鐘」という意味である。
 
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(現在はcarillonと綴るが、元はquadrillonと書いていて、語源的にフランス語の4を表すquatreと同ルーツ。なおMacintosh QuadraのQuadraも4の意味。そちらはそれまでのCPU 68030に代えて新型の68040を搭載していたことに由来する)。
 

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「すごい。ちゃんとドミソドになってる」
と和泉は鐘を打ってみて言う。
 
「音が澄んでる」
と私。
 
「鐘はスターリング・シルバー、支柱と打棒はステンレス」
と畠山さん。
 
「高そー」
と小風が言っている。
 
「まあ値段は考えない方がいい」
と畠山さん。
 
「これの鐘を洋銀で作ったものをお世話になった人たちに配ろうと思う」
「ああ、いいですね」
 
「スターリング・シルバーと洋銀ってどう違うんだっけ?」
と美空が訊く。
 
「スターリング・シルバーは本当の銀。正確には純度92.5%の銀。純銀は柔らかすぎるから、普通銀のアクセサリーは92.5%で作るんだよ」
 
「へー」
 
「洋銀は銅とニッケルと亜鉛の合金。銀は含まれていない」
 
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「じゃかなり値段が違いますね」
「まあ、さすがに銀製のものを大量に配るほどのお金は無い」
と畠山さんは笑って言っていた。
 

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「そうそう、海香(みか)ちゃん、これ会う機会があった時でいいから、お兄さんにも1個渡しておいて」と言って畠山さんはもう1つ箱を海香に渡している。トラベリングベルズの前任ギタリストで海香の兄である孝郎(たかお)用である。
 
「分かりました。ありがとうございます」
 
「旅館はかなり改修が進んだみたいね」
と畠山さんは言う。
 
「はい。新館が2016年夏にオープンしましたが、今年(2017年)春にはコテージ型の《熊野の風》をオープンさせて、秋には更に新しい《弁天館》を建てたんですよ。それがオープンしたところで老朽化が酷かった旧館は解体しました。弁天館に対して2016年に建てた新館は《大黒館》と呼んでいます」
 
「かなりの投資をしてるね」
 
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「ええ。投資額は50億円ほどになっています」
「恐ろしい金額だ」
 
「まあこれで絶対に辞められなくなったね、と兄は笑ってましたけど」
「確かに辞められない」
 
「でも例の事件(*1)で名前が売れたから、一昨年の夏も昨年の夏もフル稼働だったんですよ。だからこの1年半で売上げが7億円ほどになっていて、健治兄がやっていた頃の3倍以上のペースなんですよ」
 
「孝郎君、頑張ってるね!」
「今はバブルかも知れないけど、これをできるだけ定着させたいと兄は言ってました」
 
(*1)2016年2月27日、大雪で道路が不通になり、KARIONや片原元祐さんが電気もなく、携帯電話も通じない中で3日間、閉じ込められた事件。偶然テレビ局の中継車が来ていて、その様子が全国に放送された。そのテレビ局スタッフが持っていた衛星通信設備だけが外部との連絡手段であった。ローズ+リリーの公演があった私と、試合があった千里の2人はスノーモービルで脱出した。
 
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「その《熊野の風》だっけ?写真で見たけど、雰囲気がいいね」
と和泉が言う。
 
「最近のホテルも旅館も大型のビルばかりですからね。土地がいくらでもある場所だから、敢えて平屋建てのコテージタイプにして、渡り廊下で結んでいるんですよね。雨の日や冬季でも濡れたり寒くならないように、渡り廊下は総ガラス張りにして、換気を兼ねた温風パイプも通しています」
 
「除雪が大変そうだ」
 
「そうなんです! 一応コテージと渡り廊下の屋根は滑雪加工しているので、屋根の雪下ろしは不要なんですけど、積雪が視界を遮るので、これは除雪車で人が作業しないといけません」
 
「滑雪加工なんてのがあるのか」
「超撥水シートとか言ってました」
 
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「外観も景観に溶け込んでいるよね」
「はい。今はエコの時代ですし。この景色を写真に撮ってネットにあげたい!と思うようなものにすべきだと兄は言ってました。少なくともホテルの外観が景色をそこなってはいけないと」
 
「そのあたりがやはり都会で感覚を鍛えられた人の発想だよ」
「うん。田舎にずっと居た人にはこの手の発想がなかなか無い」
 

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「こういう分散型は配膳が大変なんですが、自動で各コテージの前までワゴンごと運ばれていくシステムを導入しましたから」
「自動倉庫の原理だよね」
「そうなんです。だから仲居さんは部屋の前から部屋の中へ、お運びすればいいんです」
「労働負荷を下げるのは大事なことだよ。料理も冷めずに済むし」
 
「それも大きかったみたいです。このコテージを20個作ったんですが、予約がずっといっぱいなんですよ。だから今年の夏はあと20個、今度はメゾネットタイプのものを作ろうかと言っているんです。今工務店の人と設計打合せ中です」
 
「ああ、メゾネットだと、平屋の方に1度泊まったお客さんが今度はそちらに泊まりたいと思うかもね」
 
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「ええ。評価が高かったからといって、同じものを量産しても価値を落とすだけですから」
 
「そのあたりの感覚を持っている経営者というのは意外に少ないんだよ」
「普通、売れたら似たようなものをまた作ってしまいますね」
 
「温泉もかなり広いものを作ったみたいね」
「ええ。2階建てで、1階が岩風呂的な玄武、2階が木の香りのする朱雀なんですが、午前0時になる度に男女を入れ替えるんです。それで1泊で両方楽しめるんですよね」
 
「その方式、いいよね」
「両方に入るのに、性転換しなくても済むからね」
 

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「そうだ。今年の復興支援ライブどうすんの?」
と小風が訊いた。
 
「やりたいんだけど、今私の頭の中に余裕が無い」
と私は答える。
 
「だったら、私と美空で企画してもいい?」
と小風が言う。
 
私はローズ+リリーで忙しいし、和泉はアクアのディレクターとして多忙である。しかし、私はその組合せには、すごーく不安を感じた。
 
「だったら、信司さんと3人で」
「おっ」
突然指名された黒木さんがびっくりしていた。
 
しかしともかくも今年の復興イベントは、小風・美空・黒木の3人が中心になって企画を立てることになったのである。私はTKRの松前社長、§§プロの紅川会長あたりとも連絡を取りながら進めて欲しいと言っておいた。
 
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そういう訳で、今年の震災復興支援イベントは決まったのである。
 

これまでのイベントは次のようにやっていた。
 
2013.03.11(月) 突発福島ライブ 福島奏楽堂(1000)
 
2014.03.11(火) 都内のホール(1800)。 KARION, XANFUSと相乗りで復興イベント(08年組)
 
2015.03.07(土) 宮城県みちのくスタジアム(50000)
(前座)アクア with Golden Six
篠崎マイ/遠上笑美子/南藤由梨奈/山村星歌/坂井真紅/富士宮ノエル/小野寺イルザ/貝瀬日南/桜野みちる/川崎ゆりこ/秋風コスモス/
ハイライトセブンスターズ/Rainbow Flute Bands/KARION /XANFUS /AYA /Rose+Lily
 
2016.02.28-3.06 福島市みどり総合体育館・球場
2.28(日) アクア/ローズ+リリー
3.05(土) 桜野みちる/高崎ひろか/品川ありさ/川崎ゆりこ/森風夕子/北野天子/松梨詩恩/春野キエ/七浜宇菜/上月宝/篠崎マイ/遠上笑美子/南藤由梨奈/鈴鹿美里/ 3.06(日)/Golden Six/Flower Four/チェリーツイン/坂井真紅/富士宮ノエル/槇原愛/ステラジオ/貝瀬日南/KARION/XANFUS/AYA
 
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2017.03.11-12(土日) 宮城ハイパーアリーナ(7000)
11日(AM) アクア
11日(PM) 白鳥リズム・姫路スピカ・高崎ひろか・西宮ネオン・品川ありさ・秋風コスモス・川崎ゆりこ・桜野みちる
12日(AM) アクア
12日(PM) Golden Six, XANFUS, KARION, Rose+Lily
 

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今年は3.10-11(土日)の日程でおこなう。
 
会場はこれまで2014年を除き、福島・宮城を交互で使ってきたのだが、今年はこれまで使っていなかった岩手で行うことになった。
 
会場については結局、紅川さんが探してくれて、岩手県滝沢市の岩手県文化センター“アポロ”を使おうということになった。定員8000人で、宮城ハイパーアリーナよりもキャパが大きい。
 
アクセスに関しては、滝沢駅から約2.5km離れており、滝沢駅との間に無料のシャトルバス、また盛岡駅・新花巻空港からも有料のバスを運行することにした。盛岡駅からは14km 25分、新花巻空港からは53km 40-50分である。
 
出演者は昨年同様、§§プロのタレントさんとローズ+リリーと特に親しい幾つかのアーティストである。
 
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3月10日(土) AM 10:00-11:30 アクア with 信濃町ガールズ
PM 13:00-19:00 石川ポルカ・桜木ワルツ・花咲ロンド・白鳥リズム・姫路スピカ・西宮ネオン・高崎ひろか・今井葉月・品川ありさ・川崎ゆりこ・秋風コスモス・桜野みちる
 
3月11日(日) AM 10:00-11:30 アクア with 信濃町ガールズ
PM 13 Golden Six 14 Olive Lemon 15 Flower Four 16 KARION 17 XANFUS 18 Rose+Lily
 

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今回出てくれることになった、Olive Lemon というのは、丸山アイ・フェイ・中村信子(リダン♂♀)・ヒロシ(ハイライトセブンスターズ)の仲良し4人組のユニットである。要するにCBF(女湯に入る会)のメンバーだ!
 
全員女装で演奏する!
 
担当楽器は、アイがギター、フェイがキーボード、信子がベース、ヒロシがドラムスだが、実はフェイとヒロシはどんな楽器でも演奏してしまう。
 
彼女たちは所属プロダクションもバラバラであまり表だった演奏活動はしにくいのだが、今回は無報酬のイベントということで、映像商品化はしないという条件で、出演が可能になった。
 
なお、今回は信子が出産後まだ3ヶ月なので欠席し、同年代でもあり、彼女たちと交流のある谷崎聡子が代理を務めることになった。谷崎聡子は普段はあまり披露していないが、実はギターとピアノが弾ける。それで聡子がキーボードを弾いてフェイがベースに回る構成となった。信子は出演はしないものの岩手まで来て、自分の赤ちゃんと一緒にフェイの子供(昨年3月3日生でちょうど1歳)も一緒に面倒を見るということであった。
 
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Olive Lemonが出演することになった経緯については後述する。
 

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夏の日の想い出・つながり(1)

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