広告:ここはグリーン・ウッド (第4巻) (白泉社文庫)
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■夏の日の想い出・つながり(14)

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そして最後のひとりは元歌手で本山たつこさんという人と、娘の扇歌(のりか)ちゃん(中学2年)であった。私はこの人を知らなかったのだが、2000年頃に何枚かCDを出しているらしい。
 
しかし・・・この子が扇歌で、花村さんの所が律子なら、ふたりあわせて「せんりつ(旋律)」じゃんと私は思った。たぶん旋の字を使う適当な名前を思いつかなかったので同音の扇の字に変えたのだろう。
 
結局、上島先生の子供は2004年から2007年まで毎年1人ずつ別の女性から生まれたことになる。恐らく当時上島先生はその女性たちと実際に結婚するつもりだったのだろうと私は思った。実際に先生が結婚したのは2008年に春風アルトさんとである。しかしアルトさんとの間に子供は生まれていない。
 
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本山さんに私が連絡すると、彼女はしばらく無言であった。
 
「大丈夫ですか?」
と私が声を掛けると
「ほんとに、お金貸してくれるの?」
と涙声で言う。
 
「はい。私は上島先生に大きな恩があるので、そのせめてもの恩返しです」
「嬉しい。。。実は3日くらい何も食べてないの。娘は学校で給食食べているけど」
 
「即少しお金振り込みます。それであらためて明日くらいにまた話しましょう」
「うん」
 
それで私は指定の口座に30万円振り込んだ。翌日彼女の方から連絡があった。
 
「凄く助かった。電気と携帯とガスと水道が停められていて」
「大変ですね!」
「この家電もケイちゃんが助けてくれなかったら今日停まる予定だった」
「間に合って良かった!」
 
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電力会社は送電停止をしても、人道上?の配慮で、電灯が灯せる程度の弱い電気を流してくれる。その電気でこの電話機も動いているのだろうと私は思った。
 
「昨日は娘と一緒に華丸うどんに行って、ふたりでうどん食べて涙流した」
「良かったです」
 
華丸うどんというのが何とも慎ましい。
 
彼女は3月までサンクスのバイトをしていたものの、ファミマに切り替わる際に解雇されてしまって、そのあと仕事を探すものの、なかなか仕事が見つからなくて本当に困っていたらしい。
 
彼女には当面毎月20万円送ってあげることにした。
 
「助かる。本当にありがとう。何か仕事見つかったら連絡するね」
「焦らずに探して下さいね。変な所に勤めたら後悔しますよ」
「もうオカマバーにでも勤めようかと思っていた」
 
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「・・・・あのぉ、MTFさんですか?」
 
千里や和実のおかげでもう男の娘が子供を産んでも全然驚かない!
 
「ううん。でも私中学生の頃から、仕草が男っぽいし声も低いからオカマみたいだと言われてたから。歌手になった時もデビュー直前まで事務所の社長は私をてっきりニューハーフ歌手と思っていたみたいで。ところで君、性転換手術は何歳の時に受けたんだっけ?と言われて、へ?と」
 
「あららら」
「上島も私のことオカマと思っていたらしくて、妊娠したと言ったら冗談やめて。男の子が妊娠するわけないじゃん、と言われた」
「えーっと・・・」
 

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5月31日(木).
 
政子は珍しく朝9時に起きると、いそいそと出かけて行った。私はデートでもするのかな?と思っていたのだが、政子が行ったのは都内の○○産婦人科である。
 
「確かにあと4〜5日で排卵が起きそうですね」
と医師は診察して言った。
 
精液について確認する。
 
「私も他の病院から引き継いだものなので、経緯がよく分からないのですが、小さな保存容器2個と、大きな保存容器1個があるんですよ。そして大きな保存容器に第1優先、小さな保存容器のものはどうも1回の採精分を分割したようで第2優先、第3優先と書かれていました。ですから、第1優先を使いたいと思うのですが、いいですか」
と医師は言う。
 
「私も冷凍保存したのが随分前なので、そのあたりよく覚えてないんですけど、優先順序が付いていたということは、たぶん第1優先がいちばん濃いんですよね?」
 
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「おそらく精子の運動率が良かったんだと思います」
「でしたら第3優先を使って下さい」
「え!?」
 
「夫は去勢してしまったので、もう精子が取れないんですよ。ですから第1優先で失敗してしまったら、後は絶望的になります。第3優先で失敗してもまだ第2優先があると思えます。第1優先の精子は最後の砦ということで」
 
「なるほど。分かりました。しかし第3優先の場合、人工授精ではなく体外受精になるかも知れませんが、その場合、卵子採取とかになってもいいですか?」
 
「はい、いいです」
 
「では体外受精を前提にして、早く排卵が起きてしまわないように、それを抑制する注射をしたいのですが」
「お願いします」
「それと点鼻薬をお渡ししますので、今日、明日と使用して、明後日に再度来院して頂けますか」
「分かりました」
 
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それで政子は6月2日(土)に再度その病院を訪れた。
 
「確かにもうすぐ排卵が起きそうな状態ですね」
と医師は診察して言った。
 
「明後日卵子の採取をして、シャーレの中で受精させ、2日間培養してから子宮に投入ということにしたいのですが」
「はい、それでお願いします」
 
「場合によっては顕微鏡受精になるかも知れませんが」
「元気な子がいたら、それでいいです」
 
それでこの日も注射をしてもらって帰宅した。
 
「可愛い男の娘が生まれたらいいなあ。苦労しないように女の子として出生届を出して、女の子として育てたい」
などと政子は妄想していた。
 

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6月3日(日).
 
私は都内のホテルの和室で正望との結納の式をおこなった。
 
私は加賀友禅の振袖で、正望はダンヒルのブラックフォーマルで出席する。私の両親と萌依・和義夫妻、正望の母・美代、伯父の康政夫妻(康政は正望の父の兄)、合計9名が出席した。親族は女性は黒留袖、男性はブラックスーツである。
 
私たちが部屋に入る前に、ホテル・スタッフの介添役の人に教えられて、私の父と康政さんの手で結納品が床の間に飾られている。木原家側の結納が右側、唐本家側の結納が左側である。
 
いったん全員出てから、正望と母、伯父が入場し、私と両親が入場する。他の3人は取り敢えず部屋の外で待機する。介添役のホテルのスタッフも入場する。
 
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まず正望の伯父・康政が口上を述べる。
 
(美代は正望と血のつながりが無いが、康政は正望の実の伯父である)
 
「この度は、冬子様と、私共の正望に大変結構なご縁を頂戴致しまして、誠にありがとうございます。つきましては本日はお日柄もよろしいので、結納の儀、執り行わせていただきます。どうぞよろしくお願い致します」
 
それで美代さんが飾られている結納の品を持って私の前に置く。
 
「これは正望からの結納でございます。幾久しくお納めください」
と美代さん。
「ありがとうございます。幾久しくお受けいたします」
と私。
その結納の品は目録を確認した後、私の母の手で、あらためて飾られる。そして私の父が受書を持って正望の前に行く。
 
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「これは冬子からの受書でございます。幾久しくお納めください」
と父。
「恐れ入ります」
と正望が言って受け取る。
 
次いで私の母がこちら側の結納品を持って正望の前に行き
 
「これは冬子からの結納でございます。幾久しくお納めください」
とと述べる。
「ありがとうございます。幾久しくお受けいたします」
と正望は言って受け取る。
 
目録を確認した上で、美代さんの手で結納品があらためて飾られる。正望の伯父が受書を持って私の前に来る。
 
「これは正望からの受書でございます。幾久しくお納めください」
と康政さん。
「恐れ入ります」
と私は言って受け取る。
 

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正望が発言する。
「婚約の記念に冬子さんに指輪を贈りました」
私も
「これを頂きました」
と言ってプラチナの婚約指輪を取り出し、左手薬指に付けて披露する。
 
「そしてお返しにこれを贈ります」
と言って、私は腕時計の箱を取り出し、正望に渡す。
 
「ありがたく頂きます」
と言って、正望はその時計の箱を受け取ると、箱を開けて、時計を左腕に填めた。
 
これはセイコーのアストロン(8X)で15万円ほどの品である。GPS付きのアナログ時計だ。正望が私に贈ってくれた指輪が30万円ほどのものだったので、その半額程度ということで選んだ。なお結納金は結納品セットの中に一緒に入れてあり、正望からは200万円、私からは100万円を渡している。差し引き向こうが100万円負担したことになる。このために正望は昨年のボーナスを全部使わずに取っていたらしい。
 
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(+100万円は実は私が貸しておいた。つまり事前に私が100万円の札束を2つ用意し、1つを正望に預けた。正望は自分で用意した100万円の札束と一緒に札束2つを結納で私に渡し、私はもうひとつの札束を結納返しで正望に渡す。結納式の後で正望は受け取った札束を私に返した。結果的に私が用意した2つの札束はどちらも私の所に戻り、正望が用意した札束も私の所に来たことになる)
 

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この婚約記念品の披露・交換で結納式は終了となる。
 
康政さんが
「本日は誠にありがとうございました。無事結納を取り交わすことができました。今後ともよろしくお願いいたします」
と言い、私の父が
「こちらこそお世話になりました。今後ともよろしくお願いいたします」
と言った。
 

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介添役さんが部屋のドアを開け、外で待機していた3人を中に入れる。介添役さんが電話をすると、じきにホテルのスタッフがワゴンに乗せた料理を運びこんでくる。それでスタッフがテーブルを置いて食事を並べ、お食事会となった。
 
「この子たち、どちらも忙しいらしいから、いつ結婚できるものやらさっぱり分かりませんけど、これを機会にお互いに親戚ということで」
と私の母が言う。
 
「あのことは言ってあるんだっけ?」
と父が不安そうに母に言う。
 
母が答える前に、正望の伯父が言う。私と正望はこの伯父が経営する料理店で何度もデートしている。
 
「冬子さんの性別のことは正望から聞いております。それで子供が作れないというのも聞いていますが、そもそも正望の家系は代々養子で繋がっているんですよ。ですから、養子をもらえばいいということで理解しています。私は冬子さんを何度も見て感じの良い素敵なお嬢さんだと気に入ってますよ」
 
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正望も説明する。
 
「私の祖母の範子さんが養子だったんです。曾祖母夫婦には子供ができなかったので、曾祖父の親戚の娘を養子にもらったんですよ。ところが範子さんの夫、私の祖父になる人ですが、この人が早死にしてしまったので、うちの母・美代は範子さんの親友の子供なのですが、そちらから養子に入ったんです。でも母と父の間にも子供ができないまま、父が亡くなってしまいまして、その時、父が他の女性との間に隠し子を作っていたことが判明して。しかもその女性も間もなく亡くなったので、母に養子として引き取られたのが私なんです。だから範子さんと母には血縁関係が無いし、私も母と血縁関係が無いんですよ」
 
「そういう訳で、3代にわたって養子になっているから、正望の子供が養子でも全然問題ないです。結果的に私の祖母も、私の母も、私も子供を産んでないから、冬子さんが子供を産まなくても構いませんよ」
と美代さんは言っている。
 
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「アイリッシュ・ジョークに『彼の家系は遺伝的に子供のできない家系だ』というのがありますが、まさにそれがうちの家系ですね」
と正望は言っていた。
 

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私と正望の間の子供について、政子は自分が産んだ子供の半分を私の養子にしていいよと言っていた。政子は4人くらい産んで2人を私の養子にとも言っていたが、政子がいつ子供を産むのか、誰の子供を産むのかは分からない。また政子の夫となる人がそういうことに同意してくれるかも不明である。
 
私は唐突に先日丸山アイが連れていた光太郎君のことを思い出していた。
 
光太郎君は実際には長崎の方で、アイの姉の子供として育てられているらしい。東京に帰って来てからアイと一度会う機会があり少し話したのだが実は本当に出産したのもアイの姉だと言っていた。受精して1ヶ月後に、受精卵を自分の子宮からお姉さんの子宮に移植したらしい。(そんなことが本当に可能なのかもよく分からないし、またその話はアイが出産のために性転換手術を受けると称して学校を休んだという話とも矛盾している)
 
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そして本当に光太郎君は桃香の遺伝子を持っているので、早月と似ているのだと言っていたが、どういう経緯で桃香の遺伝子を持つ子供ができたのか、また光太郎君の遺伝子上の母親(桃香が遺伝子上の父である場合)はアイなのか、それとも別の誰かなのかについては、アイは微笑むだけで語ることはなかった。
 
「アイちゃんの子宮に胎児がいたのなら、やはり桃香がアイちゃんの中で出してそれで受精したんだっけ?」
「桃香さんとのセックスでは、ボクは女の子機能を使いましたよ。あの人、男役専門みたいだし」
 
「そうみたいだね。早月ちゃんも人工授精なんだよ。桃香は女役をしたことはないと言ってた」
「あの人、ボクのおちんちんに触って、自分は女役はできないからと言ったけど、ちゃんと女の子の部分あるしバージンじゃないからと言ったら入れてくれました。最初は女子高生とやる訳にはいかないとか言ってたんですけどね」
 
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「ということはやはり桃香の精子とアイちゃんの卵子で光太郎君が産まれたんだ?」
「そのあたりは内緒。実は光太郎の親というべき人物は4人いるんですよ」
「4人!?」
「全員戸籍上は女性ですけどね」
「そうなんだ!?」
「男女なら2人で作れるけど、女だけで子供を作るには4人必要なんですよ」
「どういう原理?」
 

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夏の日の想い出・つながり(14)

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