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■夏の日の想い出・つながり(15)

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6月4日(月).
 
政子は三度病院を訪れた。
 
診察を受けて卵子の状態をチェックの上、採卵をすることになる。膣から卵子の採取針を入れて卵子を取ってもらった。これが結構痛いのだが、政子が平然としていたので看護婦さんが
 
「痛くないですか?」
と訊く。
 
「痛いけど、愛の結晶を作るためなら我慢します」
「偉いですね〜」
 
卵子は3個採取した。その内1個が受精できそうだということであった。それで、事前の話し合い通り、第3優先の精子を解凍する。
 
医師が顕微鏡で見ている。
 
「ほとんど活動してませんね。取り敢えず活性化を試みましょう」
と医師は言い、培養液を加えてよく混ぜた上で遠心分離機に掛けた。
 
これで精子の活性度を落としている物質を取り除くことができる。更に培養液を加えてしばらく待つ。これで元気な精子が上の方に泳いで上がってくるはずなのである。政子は待合室で待っていた。
 
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30分ほど後に呼ばれる。
 
「全然元気な精子が無いですね。浮かんできている精子もみんな動きが鈍いです。どうします?」
「顕微鏡受精にしてください」
 
「じゃできるだけ元気な精子が無いか探してみますね」
と言って、医師はしばらく探していた。
 
「おっ、ここに凄く元気なのがいましたよ。他の子は弱々しい感じなのに、この子だけ異様に元気です」
 
「ではその子で」
 
「じゃこの精子にトライさせてみますね・・・・よし、卵子に進入した。ピペットで注入しなくても、この子勝手に入っていきましたよ」
 
「元気そうでいいですね」
 
「ではこの受精卵を培養して3日後に胚移植ということで」
「7日ですね」
「はい。また来院して下さい」
「参ります。よろしくお願いします」
 
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私が4日の日にマンションで相変わらずひたすら作曲をしていたら、思わぬ来訪者がある。
 
千里と丸山アイである。丸山アイは今日も女装だ。
 
しかしこの組合せというのは何とも不思議だ。
 
「実はアクアの打合せに出てたんだけど、その時、和泉ちゃんから相談された」
と千里は言っている。
 
それでこういう組合せになったのか。しかし丸山アイがアクアに関わっているのだろうか。
 
「冬が書いた曲がさぁ、全然水沢歌月レベルじゃないから、何とかならないかと相談されて」
 
「うーん。。。それは申し訳無い。和泉からも、再考して欲しいとは言われたんだけど」
 
「私たちに預けてよ」
と千里。
 
「へ?」
「それで本来の水沢歌月のレベルにクォリティアップするから」
 
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「今、ケイさんは忙しすぎるんです。今の精神状態では、量産品の曲しか書けないですよ」
とアイ。
 
「幸いにも私は“影武者”さんが量産品の曲を書いてくれているから、私はわりとのんびりしたペースで曲を書くことができている」
と千里。
 
「私も実は今回は量産品については、複数の友人に委託しているんですよ。だからわりと精神的な余裕があるんです」
とアイも言う。
 
私は腕を組んで考えたのだが言った。
 
「頼んじゃおうかな」
 
「じゃ楽譜見せて」
「うん」
 

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それで私は先日別府に行った時に書いた3曲『青い海の思い』『金色の昇竜』、『黒い激情』の楽譜を2人に見せた。
 
「ああ、これはひどい。普段のケイのレベルにも到達してない」
と千里は遠慮無く言う。さすがにちょっとムッとする。
 
「最近かなり曲が粗製濫造になっていることは認める」
 
「どう分担しましょうか?」
「『青い海の思い』は雰囲気的にアイちゃんの方ができそう。私が『金色の昇竜』をやろうかな」
「その方がいい気がします。この手のノリノリの曲は千里さんの方が得意ですよね」
「うん。この手のバラード調の曲はアイちゃんがうまい」
 
「『黒い激情』はどうしましょう?」
「こういう歌謡曲系の曲はふたりとも行けると思う。じゃんけんしょうか?」
「はい」
 
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それでジャンケンすると千里が勝ったが、千里は『え?』という顔をした。
 
「アイちゃん、ジャンケン強すぎる」
と千里は言った。
 
「私が負けたのに?」
とアイ。
 
「私より強い人、初めて見た」
と千里。
 
しかしアイはそれには答えず言った。
「まあ、この曲はたぶん千里さんの方が合ってますよ」
「じゃこれも私が修正するね」
 
「ケイさん、大宮万葉さんが送って来た曲見せてください」
「うん」
 
それで私は青葉が送って来た『オレンジ色の炎』を見せる。
 
「これの手直しを私にさせてください」
とアイは言った。
 
「やはり、水準が足りない?」
「青葉ちゃんも、今たくさん曲を書いているから、ひとつひとつの曲のレベルが低下しているんですよ。それにこれは歌詞の言葉が洗練されていません。この作詞者さん、まだまだ修行が足りない」
 
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「うん。色々勉強中ではあるみたい。同人誌とかに書いていたみたいだけどね」
 
「今ある程度の水準が書ける人は、上島代替作戦に関わってない作曲家だけですね。千里さんや私みたいに」
「まあ私やアイちゃんの名前で書いてくれる人がいるからね」
 
「これ修正していい?」
と千里。
「待って。青葉に確認する」
と私。
 
「ああ、だったら私が電話するよ」
と千里。
 
それで千里が愛用のフィーチャホン・赤いT-008を開いて直接青葉に電話し、制作上の都合で曲と歌詞を少し変更させて欲しいと伝えた。青葉はその連絡が千里からあったことで驚いたようだが、自由に修正していいと言った。ただ後学のため、修正した後のものをこちらに送ってもらえないかと言い、それは千里が私に確認した上でOKと伝えた。
 
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それで私が2人にCubaseのプロジェクトデータをUSBメモリにコピーして渡したので、2人はそれを持ち、「半月くらい待ってね」と言って帰っていった。
 

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6月6日(水).
 
政子は原野妃登美から電話で呼び出されて郊外のレストランで会った。
 
「これ返すね」
と言って妃登美は政子に鍵を渡した。
 
「もういいの?」
「うん。明日郷里に帰るから」
「亮平とは?」
 
「今朝まで一緒に居た。実はあの後ずっとあそこに居たけど、母ちゃんからいつ帰ってくるの?とか言われたから帰ることにした。土曜日にお見合いすることになってるから、その人と結婚するかも。それで引っ越し代も亮平からもらっちゃった。事務所からもらった退職金だけでは引っ越し代を払うとそれだけで無くなってしまって、厳しいと思ってたのよね」
 
田舎への引越で無くなってしまうといったら100万円くらいだろうか。一時はテレビに頻繁に出ていた歌手にしては随分少ない額だと思ったが、退職金をもらえるだけマシなのかも知れない。芸能界は「来期の契約は更新しないから」というメール1本で何の補償も無しに突然失業する世界である。上島先生がらみの整理だから特別に退職金が出たのかもと政子は思った。
 
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「そのくらい亮平に出させていいと思うよ。遠距離の引越って料金高いもん」
 
「マリちゃんには住所渡しておくね。携帯の番号・アドレスも、今ここに来る直前に変えてきたから」
と言って彼女は住所と新しい携帯番号・メールアドレスを書いた紙を渡す。念のため妃登美は自分のスマホから政子に一度電話を掛けメールもした。これで政子の携帯に直接彼女の番号とアドレスが記録される。
 
「亮平には渡してないんだけどね」
「まあ連絡取りたい時は取れるでしょ」
「その気になればね。でも私はこれで亮平とは切れたから、マリちゃんもう一度亮平をゲットするなら今がチャンスだよ」
「ううん。私は亮平とは結婚できないということで、亮平本人とも同意しているから」
「そうなの?亮平は料理もできるし、いい主夫になれると思うけど」
「それもいいかもねー」
 
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「女装させて主婦でもいいけど」
「そちらが好みかも」
 
「マリちゃんってビアンが基本みたいね」
「そうそう。でも女装の似合う男の娘が好みなのよ」
「純粋女性と恋愛したことないの?」
「それは無いんだよね〜。ケイとは日常的にセックスしてるけど、ケイはほとんど女の子なのに、微妙に男の子がまじっているのがいい」
「ああ。何となく分かる」
 
「だから、私はちんちんの無い男の娘が理想なのかもね」
「タチなのね」
「そうかも。男の子とのセックスは寝てるだけだから、微妙につまらないのよね〜。それなりに気持ちいいけど。亮平が性転換してくれたら結婚してもいいけど」
 
「さすがに亮平は、ちんちん取る気は無いと思うよ」
「ああ、だから私、亮平と破綻したのかもしれない」
 
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妃登美は微笑んでそんな政子を見ていた。
 
政子は「これ餞別」と言って、妃登美に祝儀袋を押しつけ、妃登美も
「ありがたくもらっておくね」と言って別れた。
 

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6月7日(木).
 
政子は○○産婦人科に行き、あらためて診察を受けた後で胚移植に臨んだ。
 
受精させた卵子は1個だけなので、投入する胚も1個だけである。これが着床しなかったら、次の生理周期でリトライすることになる。しかし政子はこの子は育つような気がすると思っていた。
 
子宮に投入された後30分ほど休むと、もう帰っていいですよ、と言われたので病院を出た。
 
そのままマンションに帰って寝ていようと思ったのだが、電車に乗ってから、ふと気付くとあまり馴染みの無い場所を電車が走っていることに気付く。電車が停まる。牛田駅である。
 
なんで私こんな所にいるの〜!?と思い、慌てて降りる。
 
おかしいなあ。渋谷でJRに乗り換えて恵比寿に帰るつもりだったのに、などと思う(かなりの乗り過ごしである)。取り敢えず、精算して駅を出ると目の前にもうひとつ駅がある。京成関屋である。そうだ。こちらに乗って帰ろうと政子は考えた(むしろ何にも考えていないというべきか)。
 
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それで適当に!切符を買って改札を通ると、やってきた電車に乗る。すると近くで女子大生っぽいグループが居る。
 
「まだ咲いてるの?」
「昨日今が見頃ですとか言ってたよ」
「5月頃に咲くものかと思ってた」
「色々品種があるんじゃない?」
 
どうも何かの花を見に行くようである。政子はそれを見たくなった。女子大生たちが次の駅で降りたので、政子もそこで降りる。
 
10分ほど歩いた所に堀切菖蒲園と書かれたゲートがある。女子大生たちに続いて中に入る。
 
「わあ、きれーい」
 
たくさんの花菖蒲(はなしょうぶ)が咲き乱れている。
 
「きれいな、あやめだなぁ」
と政子は声をあげた(*1).
 
そして園内をのんびりと自由に歩き回った。
 
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(*1)堀切菖蒲園は《江戸花菖蒲》発祥の地といわれている。戦国時代に東北地方で発見された変種がここに持ち込まれ、江戸時代中期頃までに品種として固定された。その後、全国に広まった。花菖蒲には他に肥後系・伊勢系などもある。また原種の流れを汲むものに山形県長井市で栽培されている長井古種がある。
 
つまり堀切菖蒲園にあるのは「花菖蒲(はなしょうぶ)」であり「あやめ(漢字で書くと菖蒲だが「しょうぶ」と読み菖蒲湯に使う菖蒲とはまた別の植物)」ではない。あやめは5月が旬、花菖蒲は6月上旬が旬である。「いづれがアヤメかカキツバタ」と言われるカキツバタ(漢字では杜若)は、アヤメより少し早い5月上旬が旬。花菖蒲・アヤメ・カキツバタはいづれもアヤメ科アヤメ属の植物で、とてもよく似ているので区別するのが難しい。
 
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結局政子は花菖蒲園内を1時間ほど掛けて歩き回り、静観亭に入って4000円の御膳を頼み、それをのんびりと食べながら更に花菖蒲を眺めていた。
 
そして唐突に言った。
 
「この子の名前は、あやめにしよう。男の娘がいいけど、女の子だったとしてもあやめでいいかな」
 
政子は最後までここに咲いているのがあやめではなく花菖蒲であることに気付かなかった。
 
なお、帰りはひとりでマンションに帰り着く自信が無かったので佐良さんに電話して迎えに来てもらった。再度電車に乗ったら次は仙台あたりに着きそうな気がした(この手の前科は多数ある)。
 

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6月15日(金).
 
私たちの大学時代の友人・礼美が3人目の子供を出産した。私と政子は一緒にお祝いに行った。礼美は2014年春に大学を卒業して即妊娠。彼氏と慌てて結婚して、その年の12月に1人目、2016年9月に2人目、そして今年2018年6月に3人目を産んだ。
 
産まれたばかりの赤ちゃんを抱いて彼女はとても幸せそうな顔をしていた。私たちも彼女と話して
 
「赤ちゃんもいいね〜。私たちも欲しい」
などと言っていた。
 

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■夏の日の想い出・つながり(15)

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