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■夏の日の想い出・つながり(19)

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やがて中村監督、アクア本人も到着し、18時から記者会見を始める。例によってファッション雑誌や漫画雑誌!?の記者まで詰めかけて物凄い盛況であった。
 
会見はいつものようにエレメントガードをバックにアクアが生歌で2つの曲をショートバージョンで歌った後で会見に入る。
 
記者の質問はひとつは初めてバラード調の曲を出したことについてと、もうひとつは、やはり映画に関するものであった。
 
「映画の撮影は現在主要4人だけで多少の試し撮りを兼ねた撮影をしています。夏休みに入ってから海外ロケを行います」
と中村監督が答える。
 
「海外ロケはどこどこで行いますか?」
 
「イギリス、フランス、イタリア、エジプト、インド、香港、横浜、アメリカのサンフランシスコおよびニューヨーク、そしてイギリス、と原作の行程通りに行います。まあ横浜は日本ですね。また80日間もアクア君の夏休みがないので実際には20日ほどで世界一周する予定です」
 
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「ロケで世界一周するメンバーは誰々ですか?」
「主役のアクア君、ボディダブルの今井葉月(はづき)さん、スキ也さんと大林亮平さん、それと撮影スタッフが10名ほどになると思います。プロデューサー、私、助監督、脚本、撮影、音響、照明、衣裳、助手など。なお通訳は地域ごとに交代します」
 
それ以外にアクアのマネージャー山村さん、Wooden Fourの事務所スタッフのたぶん雪原さんあたりが、各々の事務所側の経費で同行するはずである(宿泊や食事は映画制作側で一緒に用意し費用だけ負担する)。
 
「各地での撮影は現地の俳優さんたちを使いますか?」
「はい。その方向で調整中です」
 

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1時間ほどの記者会見が終わるとアクアはサブマネージャーの高村友香と一緒にすぐに放送局に移動していった。会見場からは記者たちが三々五々帰っていく。それで私も一度マンションに帰ろうと思ったのだが、廊下の隅でアクアのメインマネージャーの山村さんと、千里(多分千里2)が何やら深刻そうな顔で話しているのを見た。何の話だろうと思ったものの、近寄りがたい雰囲気だったので、私はそのまま引き上げた。
 

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深夜2時。私は若葉の家に赴いた。
 
既に丸山アイは来ていたが、千里2は私が着いた少し後に到着した。若葉は夜食を予め充分な量作っておいてくれていて、それを暖めて出してくれた。
 
「若葉、妊娠中なのに、こんな遅い時間大丈夫?」
 
彼女は現在妊娠7ヶ月である。
 
「平気平気。私だいたい普通の人と6時間くらい生活時間がずれてるから」
「マリみたいなこと言ってる」
「うん。マリちゃんとは生活時間帯が近いかも知れない」
 
丸山アイが説明する。
 
「去年の秋頃に、これはちょっとやばいんじゃないか?と思ったんです。その時点でこれに気付いていたのは、多分私と千里さんくらいじゃないかと思うんですよね」
 
「私は、いつもお願いしている私の下請け作家さんたちに、少し多めに曲を発注していた。だから春までに実は50曲くらいのストックができていた」
と千里2は言う。
 
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「私はスーパーコンピュータに作曲をやらせてみようと思って、そういう研究をしていた**大学の山鳩助手をヘッドハンティングしたんです。それで山鳩さんから、数年前に運用終了したスーパーコンピューターが眠っていることを聞き、彼の人脈から交渉した所、1000万円で売ってもいいということだったので買い取ることにしたんですよね」
 
「なるほどー」
 
「まあそれで細かい経緯は省略するのですが、結局、鹿児島県S市の廃工場を買い取りまして、製造機械などは撤去して床工事と防音・空調工事までして、4月下旬から、その買い取ったスーパーコンピューターの運用を始めました。それと同時に同じアーキテクチャで、最新のCPUを使用したスーパーコンピューターを山鳩さんの指揮下で制作中です。これが年内にも稼働すると思います」
 
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「かなり投資してるね」
「はい。廃工場は土地込み1億円で買い取りました。スパコンを置けるようにするための改修工事で5000万円掛かっています。新しいスパコンの制作予算は8000万円です」
 
「あ、そのあたりを聞き間違っていた」
と千里が言った。
 
「ディープラーニングさせる素材と、既存曲との類似チェック用のデータベースを兼ねて、山鳩さん個人で1000曲ほどの過去の楽曲を入力していたのですが、これについては、音源図書館の松前社長と交渉しまして、そちらのCDをお借りして、どんどんデータベース化することにしました。現在専任のスタッフを雇っています。この作業は実は2月から始めまして、年内には1945年以降の全ての国内外の主なヒット曲と、過去10年分の主要アーティストの全楽曲が登録されるはずです。このデータベースについては、音源図書館とAI-Museの共同財産ということにしています」
 
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「AI-Museって、アイちゃんのアイと人工知能のAIの掛詞か」
「はい。そしてMuseum博物館とMusic音楽の掛詞です」
「なるほどなるほど」
 

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「すると固定資産投資が2億4千万と、あとは人件費が・・・月200万円くらいかな?」
「そんなものです。あと電気代が1日5-6万円掛かるんですよ」
「1日で!?」
 
「昼間はとても動かせないので電気料金の安い夜間、22時から朝8時まで動かしています。それで今の所だいたい1日に1曲作ってくれています」
 
「それは凄いと思う」
 
「但し人間のチェックでだいたい半数がアウトになるので実質2日で1曲ですね。それを長崎の**女子大の音楽科の生徒に1曲2万円で調整してもらっています。ですから、電気代と音楽科の生徒の手間賃で合計13万円。これにこちらのスタッフの人件費とスパコンの保守費用を加えると1曲の原価が28万円ほどになります。これを作曲料20万円で提供しているのでとっても赤字です。それに20万円も取れるのは今年だけで上島先生がたぶん来年の春くらいに復帰したら相場が下がると思うんですよね」
 
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「それ、スパコンの減価償却費が入ってない」
「1000万円の減価償却費は耐用年数5年として年間180万ですから1日5000円ですね」
「意外に少ない気もする」
「電気代が凄まじいからね」
 
「電気代はスパコン本体が1日当たり約55000円、エアコンが1500円、照明が500円です。これはデータ入力用端末の分を含んでいません」
「なるほどねー」
「エアコンの電気代が可愛く感じられる」
 
「人間も脳味噌がいちばんカロリー消費するからね」
 

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「まあそういう訳でこの事業は現時点ではひたすら赤字を垂れ流す事業なんですけど、将来的に使える事業だと思うんですよ」
 
「うん、その意見には賛成」
「でも今は原理的に赤字なので、月間120万円、年間1500万円程度の補填が必要です。それより新しいスパコンの制作費用の方が大きいですけどね」
 
「そのあたりをこの4人で負担しないか?という話かな?」
「そういうことなんですよ。お願いできたらと思うのですが」
 
「新しいスパコンの制作費8000万も含めてここまでの投資が2.4億なら、取り敢えず3億くらいの資本金で会社設立すればいいのかな?」
 
「AI-Museの改組でいいんじゃない?」
「AI-Museって登記してるの?」
「私ひとりの株式会社として登記しています。取り敢えず資本金2000万円で設立しました。スパコンの買い取りも九電との契約も法人格が必要だったので。土地の買い取り資金は若葉さんからの借入金として取り敢えず処理しています」
 
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「じゃその会社の増資と定款変更で」
「みなさんがそれでよければそれで」
「じゃアイちゃんが社長、若葉ちゃんが副社長、冬が専務、私が常務といったあたりで」
と千里。
「まあそんなものかもね。出資は1人8000万くらいで」
「切りのいいところで1億にして3台目のスパコンも作ろう」
「あ、それいいね」
「そしたら若葉ちっゃんの出資分は借入金を株式にまるごと転換して」
「うん。それでいいよ」
 
「じゃそういうことで」
 

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「それから今回はスパコンの立ち上げを最優先で進めたのですが、工場の屋根に太陽光パネルを並べようかと思っているんですよ」
 
「あ、それはいいことだと思う」
「計算してみたのですが、工場の屋根に全面パネルを並べると23000枚敷くことができて、これが生み出す電力は1日平均19474Kwhになって、これは現在使用している1日の電力6252kwhの3.1倍になるんですよ」
 
「凄い!」
「それはぜひ敷き詰めよう」
「でも23000枚の太陽光パネルは定価ベースで40億円になるんです。屋根自体も重みに耐えられるよう強化しないといけないし」
 
「ひゃー!」
「いや、それだけの枚数買うなら、絶対ディスカウントしてくれる」
「たぶん半額以下にはなる」
「もしかしたら4分の1くらいになるかも」
「そのあたりは交渉次第」
「でも屋根の強化工事に20億円掛かったりして」
「もっと掛かるかも」
 
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「でもそれ将来的には考えたいね」
「取り敢えず1億円くらい掛けて1000枚程度敷いたら?」
「それも考えています」
 

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「だけど資金が必要なら出すからさ、2台目のスパコンの制作と楽曲データベースの入力は人数投入して急いだ方がいいと思う」
 
「賛成。夏休みに入るから学生さんを動員できない?」
 
「そうですね。ではそれは山鳩さんと話してみます。確かに夏休みはチャンスです」
 
「収益化だけど、ひとつは編曲を請け負ったらどうだろう?作曲はクリエイティブな部分が大きいけど、編曲は比較的機械的な処理になるから」
 
「それ適当な受注ルートがあったら、やらせてみたいです。現在の作曲プログラムの中にも編曲ロジックはある程度入っているんですよ。スコアの形で提供しないといけないので」
 
「あと仕上がった曲にランク付けしてさ、駄作はバイトの女子大生に調整してもらうとして、ごく稀にできるかも知れない良い作品はプロのミュージシャンが編曲して、作曲料方式ではなく、印税方式で売ろうよ。そしたら1曲だけで凄まじい利益が出る可能性がある」
 
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「ワン・オブ・サウザンドか・・・」
「そう、そう」
 
「工業的に大量生産されている製品の中に、ひじょうに稀に物凄い名品が生まれることがある。ベテランの職人が丹精込めて作ったものより凄いものが。でもそういうのは1000個に1個もできたら良いという意味でOne of Thousandと言う」
 
「そういう名品が生まれたらいいね」
「言っちゃ悪いけど、上島先生のヒット曲って凄く少ないけど、それがまさにOne of Thousandなのかも」
「ああ、確かにそうかも」
「でもこの話は聞かなかったことにしておいて」
「Your Ears Onlyだね」
 
「でもそのランク付けと良い作品はプロ編曲家行きにするというのも、山鳩さんとすぐ相談しますよ」
 

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「それと2曲に1曲はボツになっているというけど、恐らくそのボツ作品も編曲次第では使える場合もある気がする」
 
「あぁ。。。」
 
「ポップスとして使えなくてもフォークや演歌なら行ける可能性もあるよね?」
「そのあたりを見直すと、もしかしたら採算ラインに到達するかも知れないですね」
 
「編曲はたぶんスパコンでなくても行けると思うから、普通のマルチコアの高速Linuxマシンで、フォーク専門の編曲システム、演歌専門の編曲システムとか作ってさ、それに掛けてみない?」
 
「うん。最終的に演歌に編曲したらボツにならない気がする」
「うむむ」
 
アイが悩んでいるようなので、千里が笑いながら言う。
 
「アイちゃんは演歌に思い入れがあるから、そういう扱いをされると不快かもしれないけどね」
 
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「確かにアイちゃん以外はここには演歌嫌いが揃っている気もする」
 
「いや、演歌が好きなのは高倉竜なんですけどね。私自身は演歌がそう好きなわけじゃないんです」
「そのあたり、アイちゃんと竜君はけっこう性格も違う気がするね」
 

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「確かにちんちんをつないでる時と切り落としている時では恋愛やセックス以外のことでもけっこう意識が違いますよ」
 
「あれ切り落とす訳?」
「よく消毒した上でレーザーメスで切り落とします」
「それでくっつけるの?」
「糸で縫い合わせますよ」
「痛くないの?」
「ちんちんを切られる痛みくらい男なら我慢です」
「切ったら男ではなくなる気がする」
 
「アイちゃんの言うことはどこまで本当でどこからジョークか、さっばり分からない」
と若葉。
 
「ちなみに葉月ちゃんにちんちん切ってあげようか?切ったあとでも1ヶ月程度以内ならまたくっつけられるよ、と言ったら、かなり悩んでましたよ」
とアイ。
 
「ああ」
 
「取り敢えず睾丸は取っちゃおうよ。アクアはもう取っちゃったよと言ったら更に悩んでました」
 
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「あまり余計な親切はしないように」
と千里が笑いながら釘を刺す。
 
「アクアって実際問題として去勢してるんだっけ?」
「去勢済みというのに1票」
とアイ。
「性転換済みというのに1票」
と若葉。
 
千里が困ったような表情で頭を掻いていた。
 

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KARIONのアルバムの制作に関しては6月から7月中旬くらいにかけて作曲が行われ、10曲が揃ったので、6月中旬から8月中旬に掛けて音源製作を進めた。私は実際には曲が揃った時点で上島代替作戦に復帰し、その後は和泉の方で制作を進めてもらった。それで実は和泉がこちらとアクアの兼任になったので、7月発売のアクアのCDの制作は、丸山アイが中心になって進めてくれたのである。そこから千里とアイが、KARION楽曲のリファインにも協力してくれることになったという流れだったようである。
 
『青い海の思い』(泉月/アイがリファイン)
『金色の昇竜』(泉月/千里がリファイン)
『黒い激情』(泉月/千里がリファイン)
『銀色の遠い道』(泉月名義だが実はアイ)
『桃色メガネの少女』(照海名義)
『ミルク色の雨』(アイ名義)
『オレンジ色の炎』(大町ライト+大宮万葉/アイがリファイン)
『赤い橋のたもとで』(櫛紀香+黒木信司)
『黄色いガラケーの君』(広田純子+花畑恵三)
『ドドメ色の鉢かづき姫』(鮎川ゆま)
 
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ゆまがKARIONのアルバムを作ると聞いて「私のも入れて〜」と言って、昔話シリーズの曲を書いてくれたので、千里と話し合いの上、『藤の木の伝説』 (泉月名義だが実は醍醐作)を次のシングルに先送りすることにした。
 
小節数を合計1024にする調整は、小風と黒木さんがスコアの上でやってくれたが、最終的にミクシングの段階でまた再調整することにする。
 
花畑さんはセミプロ扱いなので、上島代替作戦には参加してない。おかげで高品質の作品を書いてくれた。もっとも彼は、今年は上島代替作戦で忙しいプロ作曲家たちに代わって、ふだんの年の1.5倍くらいのペースで曲を書いているらしい。今年はセミプロ作家クラスもみんな忙しいことになっているようだ。
 
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夏の日の想い出・つながり(19)

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