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■夏の日の想い出・つながり(17)

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(C)Eriko Kawaguchi 2018-03-23
 
信次さんの遺体は7月6日に検屍の末引き渡され、桃香は信次さんの母・兄と話し合った上で、信次の愛車ムラーノに乗せて千葉まで運び、その日に通夜、翌日7日の夕方に葬儀を行った。
 
私と政子ほか、和実・淳・あきら・小夜子などクロスロードのメンバーも葬儀に出たが、確かに千里は何か声を掛けても反応が無く、まるでお人形さんのようであった。千里は当然喪主なのだが、実際の葬儀の運用は桃香・青葉と、お兄さんの太一さんの3人で進めていた。
 
葬儀には千里のお母さんと妹さん、叔母さん夫婦も来ていたが、お父さんは来ていなかった。
 
「全くあの意地っ張りが」
とお母さんは文句を言っていた。
 
(お母さんたちの旅費は妹さんが全員分出したとお母さんは言っていたものの、実際には千里2が妹さんに緊急送金したようである)
 
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「え?腫瘍?」
 
「うん。春に手術した病院から速達で来ていた。爆発のあったアパートの郵便受けからこれを回収した」
 
と言って、桃香は「至急・親展」と書かれた信次宛の封書(の外側)を見せる。
 
「本来ならそのまま千里に渡すべきだが、千里はあの状態ではどうにもならんから、私と太一さんとで開封した」
と桃香は言っている。
 
「手術で摘出した組織を念のため精密に検査した所、悪性腫瘍が混じっていたということなんだよ。だから至急再健診を受けて欲しいというお手紙」
 
「うーん・・・・」
 
「それで実は昨日の内に、こちらの医者に遺体を診てもらったんだよ。そしたら、信次さんは身体のあちこちに酷い腫瘍ができていて、どう考えても余命1〜2ヶ月以内。むしろ生きていたのが奇跡だということだった」
 
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「嘘!?」
 
「診断書も書いてもらった。念のため今日の午前中に別の医者にも診せた。そちらも同様の診断だった。だから2枚の診断書がある。患部の写真も残してある」
と桃香。
 
「お母さんがこの件ではかなり怒っている。見落とししたのは医療ミスではないのかと言って。場合によっては医師を訴えたいと言っている」
 
「それ現在の診断書2枚あっても立証がむずかしいと思う。春の段階ではまだそれほどではなかった可能性が高い。春の段階で転移していたら、いくら何でも見落としたりしないよ。しかも国立**センターでしょ。あそこは日本で最高の水準だよ」
と蓮菜が言う。
 
「私もそう思うけど、しばらくはこの件は放置したいと思う。怒りのエネルギーがお母さんの精神を支えるから」
と桃香。
 
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「確かにそうかも知れない」
と私も言った。
 

クロスロードのメンツで別室に集まって話し合った。
 
「千里ちゃんだけど、あれ精神科のお医者さんに見せた方がよくない?」
と心配してあきらが言った。
 
「千里は元々が異常だからなあ。精神科のお医者さんには理解不能と思うよ」
と和実は言う。
 
「私もそう思う。あの子は抗鬱剤とか投与されてもうまく行かないと思う。あの子の精神的なバランスってのは、ふつうの人からするとかなり非常識なポイントでバランスしている。だから抗鬱剤はそのバランスを更に崩すだけという気がする」
と蓮菜が言った。
 
今回の件では蓮菜もかなり参っているようである。
 
「お医者さんがそう言うなら、そうかも知れん」
とあきらも妥協する。
 
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「取り敢えず数ヶ月は様子を見た方がいいと思います」
と青葉は言った。
 
桃香が言う。
 
「私のアパートに置いて面倒を見たいのだけど、夫を亡くしたばかりの女が愛人の所にずっと居るのはまずいだろうと思うんだよ。それに千里以上に実はショックを受けているふうのお母さんも、あの状態の千里のお世話をすることで精神的に回復していけると思う。だから取り敢えず四十九日までは信次さんの実家に置いた方がいいと思うんだ」
 
「太一さんの奥さん、お腹大きかったね」
「いちばんの親族だから顔を出させたみたいだけど、実は奥さん、来週が予定日なんだよ」
「それは大変な時に大変なことが起きたもんだ」
 
「でもこのタイミングで良かったと思う。太一さんの奥さんが出産したら、康子さんの気分もかなり変わるよ」
 
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「だろうね!」
 
「それと私はあちこち飛び回らなければいかん」
「ん?」
 
「いくつか問題がある。信次さんの会社はこれは労災では無いと言ってる。しかし会社の勤務中に会社の敷地内で事故死して、労災ではないというのはおかしいと私は主張している。この問題で再度向こうと交渉してくる」
 
「なぜ会社は労災ではないと主張できる?」
とあきらが少し怒ったような顔で言う。
 
「それと実は今代理母さんのお腹の中にいる子供のことで仙台の病院に行ってこなければならん」
「あそこの病院か!」
と和実が言う。
 
「代理母のプロジェクトは、特別養子縁組で産んだ代理母さんとの縁は切れて、養親側の完全な子供になることが絶対条件。だからその条件が成り立たない場合はプロジェクトは終了するという契約書にサインしている」
と桃香。
 
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「あ!特別養子縁組にできない!」
と和実が声をあげた。
 
「そうなんだよ。特別養子縁組は夫婦でないと養親になれない。だから医者はプロジェクトを中止して子供は中絶すると主張すると思う。それを中絶されないように、何とか医者を説得してくる」
と桃香は言っている。
 
「桃香なら口説き落とせるかも知れない。私には自信無い」
と淳が言っている。
 
「でも赤ちゃんの命を助けて欲しい」
と小夜子。
 
「それと名古屋で、アパート爆発の補償問題についても大家さんと話してくる」
 
「桃香大変だ!」
 
「そういう訳でしばらく私もとても千里の面倒まで見てられないんだよ。だから康子さんの所にいるのは私としても助かる」
 
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「なるほど」
 
「桃香、早月ちゃんは?」
「朱音に預かってもらっている」
「なるほどー」
 
(実際には朱音の家に「頼む」と言って、放り込んできただけである!)
 

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青葉が考えるようにしてから言った。
「しばらくちー姉には、私の眷属を守りにつけておくから」
 
「千里にはそもそも眷属さんが付いているのでは?」
と和実が言う。
 
「それが昨年の夏の事故以来、そのコネクションが壊れているみたいなんだよ」
 
「昨年の夏の事故?」
「昨年の夏に、ちー姉は一度死んだけど蘇生したんだよ」
「そんな事故があったの!?」
 
「それ以来ずっと不調が続いているんだ。その前に昨年の春には落雷にも遭っているし」
「うっそー!?」
 
「千里は厄年だっけ?」
「千里姉は1991年生まれだから、厄年は2009,2023,2027年」
「男命で見ても引っかかってない?」
「男命で見た場合は 2015,2032,2051年」
「どちらも関係無いな」
 
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「千里、2009年には何かあったっけ?」
「2009年は一時的にバスケを辞めていたんだよ。彼氏とも一時的に別れている。それが今日の葬儀にも来ている親友の玲央美さんに励まされて練習再開して、結果的に大きな大会にも出場している」
 
と青葉は言葉を選びながら話す。大きな大会というのはU19世界選手権だが、千里はバスケ活動のことをあまり桃香に話していないようなので具体的なことは話さなかったようである。
 
「充分厄年っぽい」
「2015年は何かあった?」
「色々細かいことは省くけど絶好調だったと思う」
と青葉は言った。
 
実際にはこの年、京平が生まれて千里は貴司の本当の妻としての自信を取り戻したし、アジア選手権で優勝してオリンピック切符を掴んでいる。公私にわたり充実した年である。
 
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「やはり千里は女命で生きてるな」
 
「サターンリターンは?」
「ちー姉のサターンリターンは確認したけど2021年1月9日20時くらい」
「どうも何も関係無いようだ」
 
「まあ占いなんて当たらないし」
と言っているのはむろん桃香である。
 
私たちはけっこうな時間話し合った末、それぞれ気をつけてできるだけ千里に会いに来ようと言ってこの日の話し合いを終えた。
 

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葬儀には玲央美や浩子さんなどのバスケ関係者、ゴールデンシックスのメンバーなど、千里の古い友人たちが何人も出ていた。
 
名古屋で現在千里が参加していたクラブチームの人が、葬儀の日程が分からないので知りませんか?と交流のあった40 minutesのメンバーに尋ね、彼女がまた数人の知り合いに問い合わせたことから、バスケ関係者にこの情報が広まった。そこから旭川N高校関係者にも情報が流れてゴールデンシックスのメンバーも知ることとなった。
 
しかし、これらの人の大半が、そもそも千里が結婚して名古屋に行っていたこと自体知らなかった!と言っていた。
 
「結婚するなら式に呼んで欲しかったなあ」
とこの件を全く知らなかったという花野子が言う。
 
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「震災イベントで一緒に演奏したけど、あれ結婚式の直前でしょ?その時もあの子何にもそんな話はしてなかったのに」
 
「どうも千里はこっそり結婚したかったようだよ」
と私は言っておいた。
 
「ケイさんは出席したの?」
「恥ずかしいからと言っていたから、お花だけ贈った」
「だけど名古屋に行っていた割には、しばしば私は千里に会ってたけど」
と高校以来の親友・若生暢子。
 
たぶん暢子と会っていたのは実際には千里3だろうなと私は思った。千里2は昨年の夏以来、ほとんど海外生活である。
 

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「千里姉は名古屋からほぼ毎日東京に出てきていたようです。新幹線の定期券を買っていたみたいですよ」
と青葉が説明する。
 
「新幹線の定期券!?」
 
「東京への通勤の便のため、名古屋駅に近いアパートを借りたんですよ。毎朝信次さんを送り出したら自分は新幹線に乗って東京に出て、色々仕事をしたりバスケットをしたりして、深夜に信次さんが帰宅する前に新幹線で帰るんです」
 
「すげー生活だ」
「名古屋と東京の間は1時間半だから、都内の奥から出てくるより早いんですよ」
「それは確かにそうかも知れんが」
 
「定期券って、いくらするの?」
「東京−名古屋間は1ヶ月25万円らしいです」
「恐ろしい」
 

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「いや、年収10億の人には全然痛くない」
と花野子。
 
「千里ってそんなに収入があるんだっけ?」
「深川アリーナの建設費は実際問題として、ケイさんと千里が半々出したはず。ふたりともポンと現金で払ってる」
と花野子。
 
「すげー」
 
「千里はそれ以外に千城台体育館の土地代と建て直し費用もポンと払ったし」
と浩子。
 
「まあ深川アリーナに比べたら小さな投資額だけどね」
と玲央美。
 
千城台の体育館は元々は房総百貨店という所が同社のバレーボールチームの練習用に建てたものであったが、同チームの解散後、ローキューツが借りて簡単な改修の上で2011年以来、練習用に使用していた。
 
しかし元々バレーのコートはバスケよりずっと小さいのに無理矢理バスケのラインを引いたため、コートの外側が短すぎて、勢いよくコートから飛び出すと危険であった。それで可能なら建て直したいね、などとも言っていた2016年、房総百貨店自体が倒産してしまった。ちょうど深川アリーナが竣工した時期だったので、こちらで練習すればいいのではという意見もあったのだが、千葉県のチームの本拠地が東京都内という訳にはいかないし、やはり千葉県内の選手が多いので、千城台が使えると便利という意見もあった。
 
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そこで千里が管財人さんから土地・建物を2億円(実際には土地代のみ)で買い取り、体育館も古い体育館の隣に新しい体育館を建てた上で古い体育館は取り壊した。この建築費に約7億円(付属の宿舎を含む)掛かったので合計9億円の投資をしたことになる。
 
なお現在ローキューツの運営会社は千里の個人会社フェニックス・トラインから借りて体育館を使用している形を取っており、賃貸料として光熱費込みで毎月10万円!を払っている(普通なら光熱費別で30-40万の家賃を取ってよいところ)。
 

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■夏の日の想い出・つながり(17)

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