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■春水(22)

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もう20時なので夕食を取るが、まだ参拝旅行の途中なので、今日はアルコール無しということでお願いした。
 
「今日のメンツは大丈夫だな」
「9日のメンツも大丈夫」
「11日のメンツが危ない」
 
11日には雨宮三森・松浦紗雪というワガママな人が入っている。
 
「お参りの旅行の途中でお酒なんか飲んだら、次はあなたがテロリストに人質に取られるよと脅しておくように、と三田原さんに言っておきました」
などとコスモスが言っている。
 
雨宮の制御は本当なら同じ日に参加する千里ができたらいいのだが、今回参加する千里はパワーダウンしている千里1なので、とても制御できないだろうなと青葉は思った。三田原さん頼りである。
 

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夕食の席で
 
「ケイの元気が無い」
という声が、みんなからあがる。
 
「悩んでいる」
とケイは本当に困っているようである。
 
「やはりアルバムの進捗がよくないの?」
とコスモスが心配そうに訊く。
 
「私は作り直すべきだと言っている」
と和泉が言う。
 
「でもレコード会社を説得できないよ」
とケイは言う。
 
どうも和泉は「先月末で完成したはず」の音源を実際に聴いて、出来がよくないと認識しているようだ。
 
「その音源、今聴ける?」
と丸山アイが言った。
 
「このメンツならいいと思うよ」
 
と和泉が!言い、ケイの荷物から勝手にパソコンを取り出して、再生する。ケイはパスワードを設定しているのだが、和泉はそのパスワードを知っているようだ。ケイは力なく、和泉の動作を見ていた。
 
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演奏が始まってから、腕を組む人、頭を抱える人、難しい顔をする人がある。65分間の演奏時間の間、山村が追加オーダーをして全員の前に天麩羅が配られる。当然マリの前には3人分くらい積み上げたが、実際にはケイが食べないので、マリはケイの分まで食べていた。その後、マリがまだ食べ足りないと言うので、鰹茶漬けもオーダーして配った。
 
アクアは追加オーダー分もペロリと食べていたが、葉月と鱒渕が「とても入らない!」というので、葉月の分はアクアが、鱒渕の分は山村が食べていた。
 
「セイコちゃん、しっかり食べないと、おっぱいが大きくならないよ」
などと山村から言われて葉月は
 
「えぇ?困ったな」
 
などと悩んで(?)いた。おっぱい大きくしたいのか??
 
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再生が終わって全員が言った。
 
「これはローズ+リリーの音ではない」
 
「こんなもの発表したら、もうローズ+リリーは終わってしまうよ」
とコスモスが言った。
 
「全体的に未完成だと思います。もっと改良できるのにと思う箇所がたくさんありました。それとローズ+リリーの近年の音作りって多数の楽器を使うのが特徴なのですが、その楽器の音が完全に混じりきってないんです。お料理の材料を鍋に入れたまま、かき混ぜ不足、煮込み不足。だから素材のままの状態で、お料理になってないんです」
 
と鱒渕が言ったが、その意見に多くの人が頷いていた。
 
「レコード会社と喧嘩しても、違約金払ってもいいから延期して作り直すべきだと思う」
と丸山アイも言っている。
 
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「私もそれを考えた。でもどうやって交渉しよう?」
とケイは本当に悩んでいるようだ。
 
「ケイさん、俺に任せてくれない。俺、海千山千だから、絶対村上社長を説得するよ」
と山村さんが男声で言っている。
 
女性の姿にしか見えない山村が男声でしかも「俺」なんて言っているので、葉月とマリ、佐良さんがギョッとしたようだ。コスモスが
 
「男に戻ってる」
と小さい声で注意するので
 
「あわわわ」
と言って、山村は女声に戻してから再度言った。
 
「だいたい、ローズ+リリーって、マネージャーが居ないでしょ?秋乃さんはあくまで事務方だし。交渉事とかも全部ケイがひとりでやってる。それで雑用に煩わされてしまうのも、よくない。音楽だけに集中できるように、弁が立って交渉力のある専任のマネージャーを雇うべきだよ」
 
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と山村さんは言った。
 
しかし・・・今山村さんが男声を使っても、葉月・マリ・佐良さんの3人以外は驚かなかった。ケイは心ここにあらずなので別にしても、他のメンツは彼女が男だというのを知っていた、あるいは今日の旅行中に気付いていた、ということか?と青葉は思った。
 

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「山村さん、ケイはこの状態で、今物事が判断できないけど、ローズ+リリーのリーダーとして私がお願いします。そのレコード会社との交渉、やってもらえませんか?」
とマリが言った。
 
「分かった。任せて。どのくらい延期すればいい?」
と山村が言ったのに対して
 
「最低半年。だからこのアルバムは来年の3月か4月の発売」
と丸山アイが言う。
 
「よし。そのくらいの延期を呑ませてみせる」
と山村は力強く言った。
 
「ところでローズ+リリーのリーダーってマリちゃんだったんだ?」
とゆりこが言う。
 
「ああ、そういう話は昔聞いたことがあった」
と和泉が言っていた。
 
「どの曲を誰に渡すとかいうのは、だいたい私が決めてるよ」
などとマリは言っている。
 
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制作中のアルバムを丸ごと聞いたりしたので、食事会が終わったのは23時である。それから各自の部屋に入り、部屋に付いているおふろに入ったが、青葉は飲み物が欲しいと思い、自販機まで行った。
 
するとそこで高倉竜と遭遇する。
 
「今夜は竜さんなんだ!」
と青葉は驚いて言う。
 
「疲れて男性的欲望を感じたからこちらになった。でも朝までには丸山アイに戻るよ」
とバリトンボイスで語る竜は、何だか凄く男らしい。イケメンなので女子としては、ついふらふらとしてしまいそうなくらい格好いい。
 
「ついでに大浴場の男湯にも入って来た。バレなかったよ」
などと言っている。
 
うーん。。。バレなかったって、やはりバストをうまく隠して入浴したのか?下の方は無いものを付けるのはどうにでもなる。それとも実は付いているのだろうか??
 
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「そうだ、青葉ちゃんさ、こないだ言ってた**不動に、お札もらってきてと今度は映月から頼まれちゃって。あ、映月って分かる?」
 
「・・・・****さん?」
「そうそう。さすがさすが。で、お伊勢さんが終わって解散した後、そちらに回るつもりなんだけど、良かったら青葉ちゃんも来ない?襲ったりしないから。本音を言うと交代のドライバーが欲しいんだよ」
 
「じゃアイさんにだったら付き合いますよ」
と青葉は微笑んで言った。
 
「OKOK。じゃ、またね」
と言って、竜は手を振って去って行った。
 

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10月7日には、日本のWリーグも開幕した。千里(千里3)が所属するレッド・インパルスは10月7-8日の2日間はリーグ下位のバタフライズと対戦。2連勝して、今季のスタートを切った。
 
青葉は千里3のスマホに《まずは初戦勝利おめでとう》というメールを送っておいた。千里3からは《ありがとう。まあ負けてはいけない相手だったけど、ひとつひとつ頑張って行く》と返信があった。
 

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青葉たちのお参り旅行であるが、10月8日は、朝4:30にホテルの玄関前に集合した。遅刻常習犯のマリも今日はちゃんとケイと一緒に時刻前に来ている。どうもケイのHPが落ちているので、その分マリが頑張っているような雰囲気だ。なお、丸山アイはちゃんと女の子に戻っていた。
 
ホテルから歩いて15分ほどの所にある外宮(げくう)にまだ暗い中お参りした。
 
その後、いったんホテルまで戻り、チェックアウトして荷物を持ちマイクロバスで内宮(ないくう)に移動する。ここでバスを駐車場に駐めて、内宮に入るのに宇治橋を渡ろうとしたら、ちょうど日出になった。
 
「美しい」
という声があがる。
 
「やはりここは日本の心のふるさとだよ」
とアイが言っていたが、青葉も同感だった。
 
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みんなで一緒に内宮にお参りする。終わってまた宇治橋を出たのが6:30頃である。
 
「これで一応解散ということにします。マイクロバスはこのまま名古屋駅まで走り、そのあと最終的には大阪に戻ります。そのまま東京に戻られる方や、大阪方面に行かれる方は乗っていくといいですし、他に用事のある方は、都合の良い所で降りて下さい」
 
とコスモスは言った。
 
「じゃ僕と大宮万葉は別行動になるから、宇治山田駅前のトヨレンで降ろしてもらえない?」
 
と丸山アイが言う。《僕》なんて言っているのは微妙に高倉竜が混じっているなと青葉は思った。
 
「分かりました。他はおられませんか?」
 
他は全員名古屋駅から東京に戻るようである。それで青葉はアイと2人、トヨレンの前で降ろしてもらい、アイが予約していたアクアを借りだした。
 
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最初はアイの運転で伊勢自動車道を北上する。途中で先行していたコスモスたちのマイクロバスを追い越してしまう! 向こうでマリが手を振っていたので、助手席に座る青葉は手を振り返した。
 
アイの運転するアクアは伊勢湾岸道・東海環状道を走って、岐阜県内の某ICを降りる。その後、結構な山道を走って、大きなお寺の前に駐まった。お寺の前の空間が事実上の駐車場になっているようである。
 
「ここは・・・黄檗宗ですか?」
「そうそう。禅宗でお不動さんが本尊ってのは珍しいよね」
「ええ。あまり多くないと思います」
 
「千里ちゃんはお寺に入れない体質みたいだけど、青葉ちゃんは大丈夫だよね?」
「はい、私はむしろお寺系の体質なんですよ」
 
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「そんな感じがする。面白い姉妹だなあと思って見ている」
とアイは言っていた。
 

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