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■娘たちの面談(15)

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それで12時半頃、全員無事に遠刈田温泉の日帰り入浴できる旅館に到着した。
 
ともかくも旅館に入り、受付で入浴と昼食のセットを7人分予約していたことを言うと、入浴券・食事券に休憩室利用券を渡してくれた。最初はお昼を食べてから温泉に入るつもりだったのだが、少し落ち着くまで食べ物が胃に入らないと言っているメンバーもいるので先にお風呂に入ることにした。
 
男女で別れる所まで来て、千里が他の人と一緒に男湯の方に来ようとするので、柳沢さんがギョッとした表情で
 
「君は女湯の方に行きなさい」
と言って、押し返した。
 
「その方が平和かなあ」
などと言って、千里もそちらに入った。女湯の入口には年配の女性が座っているがむろん千里は問題無くそこを通過した。
 
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温泉で汗を流すとけっこうスッキリした。その後旅館の大広間で食事を頂く。
 
「あまりバラけずに到着できたね」
「俺は結構疲れた」
「でも温泉に入ったら結構疲れが取れた」
 
「村山さん大丈夫だった?」
「はい。もっと凄い道を想像していたんですが」
「うん。もっと凄い道はたいてい冬季通行止めなんだよ」
「いろは坂とか碓氷(うすい)峠はいつでも通れるけどね」
 
「あ、私こないだ9月に碓氷峠をインプレッサで走りましたよ」
「新道?旧道?」
「18号の旧道です。旧中山道ではなくて」
 
「さすがに旧中山道は辛すぎる」
「てかバイクや車では無理でしょ?登山の装備が必要な道だよ」
「高橋さんが若い頃1000ccバイクで走破したことあるらしい」
「ひぇー!」
「ほんとはバイク走行禁止らしいけどね」
「いや禁止しなくても普通は走行不能だと思う」
 
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「でも碓氷峠の旧道を体験していたら、このくらいの道は平気だろうな」
「あ、俺まだ碓氷峠走ったことないんだよね〜」
「あそこはなかなか楽しいよ」
「俺はバイパスの方を走ったんだけど、それでも結構きつかった」
 

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「でも旧中山道(きゅうなかせんどう)というと、俺は有賀さつきを連想してしまう」
「ああ『いちにちじゅう・やまみち』と読んでしまったという伝説ね」
「実際は他のアナウンサーがそう読み間違ったのを紹介しようとして自分も『きゅう・ちゅうさんどう』と読んじゃったんだけどね」
 
「山林火災(さんりんかさい)を『やまばやしかさい』と読んじゃった新人アナウンサーがいた。しかも1回だけじゃなくて1つのニュースの中で5回くらい間違った。恥ずかしくなってそのまま辞職したのではと心配している」
 
「ああ、それをバネに成長してくれていたらいいけど」
 
「《ポール・マッカートニー》を一発で読めずに噛んでしまった年配のNHKアナウンサーがいたな」
「『ツァラトゥストラはかく語りき』でひっかかってしまった司会者がいた」
「まあ読み慣れていない言葉を発音するのは難しい」
「黙読していても実際には発音できないこと多いんだよなあ」
「東京特許許可局は目では追えていても実際にはなかなか発音できない」
「お前、今スムーズに発音したな」
 
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昼食の後は、休憩室で仮眠させてもらう。千里は仲居さんに案内されて女性用休憩室で休ませてもらった。
 
15時くらいに出発する予定だったが、結構深く眠ってしまった人もあったようで15時半の出発になった。
 
午前中と同じ順番で隊列を組み、まずは県道12/25号で村田ICまで行き、再び東北道に乗る。30kmほど走って国見SAでいったん休憩。ここで日没となる。
 
再度ガソリンを満タンにしてから出発。27kmほど走って福島西ICで降り、国道115号(これは割と良い道)で土湯温泉に至る。今日はここで泊である。
 
到着したのは17時半である。天文薄明が終わる(17:53)前に到着することができた。
 
この日のトリップメーターは蓮田SAから385kmを示していた。この内一般道は45kmほどで、それ以外は全て高速走行であった。
 
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「お疲れ様。ちょっと距離が長いからどうかなと思ったけど何とかなったね」
「まあ今日はR457以外は良い道だったし」
「明日が楽しみだな」
 

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土湯温泉の旅館では男性たちは4人部屋1つと2人部屋1つ、それに千里が2人部屋のシングルユースとした。部屋代は割り勘だが、千里は自分の分が割高になるので少し余分に出しますよと言った。しかし北村さんは気にするなと言った。
 
「人数の関係で多少の料金差が出るのは仕方ないし」
「じゃおやつか何かでも差し入れましょうか?」
「おやつよりビールがいいかな」
「ではそれで」
 
それでヱビスビールの500cc缶を8本差し入れた。このくらいの量であれば数時間で充分アルコールが抜ける。千里がビールを買ってきたので、北村さんがおつまみを用意してくれた。4人部屋の方に集まってみんなで飲む。
 
「やはりヱビスビールは美味い!」
と上の年齢層に好評である。一方、若い元川さんなどは
「普通のビールと何か違うんですかね〜」
などと言って
「分からない奴はイオンのバーリアルを飲んでいればいい」
などと言われていた。
 
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「いやさすがに新ジャンルとビールの違いは分かりますけどね」
「というか、ほぼ全然違う飲み物だよね〜」
 

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「男だと主張している村山君はふだんはどんなお酒飲むの?」
「ひとりではあまり飲まないんですけどね〜。あのZZR-1400を私の所に置いて逃亡中のミュージシャンさんに誘われて、ワインとか結構飲みました」
 
「ああ、上品だ」
 
「でもワインって甘いから油断するけど、けっこうアルコール度が高い」
「そうなんですよね〜。だからグラス4〜5杯までにしてるんです。ウィスキー水割りなら20杯くらいは行けるんですけど」
 
「無茶苦茶強いじゃん!」
 
「さすがにそのくらい飲むとアルコール抜けるのに20時間くらい掛かるんですよ」
「そもそも20杯も飲めば普通はぶっ倒れる」
「あ、そういうもんですか?」
「俺は12-13杯が限界だ」
「俺は一度倒れたことがあるんで10杯以上は飲まないようにしている」
 
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ワインのグラス1杯は125mlで4杯飲むと500ml. 14%とするとアルコールの量は70ml(56g)になる。ウィスキー水割りシングルのアルコールは30ml×40%=12ml程度なので20杯飲むと240ml(192g)である(ウィスキーの度数は40-43%程度だが、雨宮三森が好きなカティサークは40%)。なおビールの中瓶1本は500ml×5%で25ml(20g)である。
 
アルコールの分解速度は肝臓のサイズと筋肉の量でだいたい決まる。そのため肝臓が大きく筋肉が多い男性は1時間に9g程度、肝臓が小さく筋肉の少ない女性は6.5g程度と言われる。しかし千里はバスケをしていて筋肉が発達しているので普通の女性よりかなり分解速度が速い。そしてそもそもお酒に強いタイプである。それでだいたい10g/h程度とすると、192g÷10=19.2hという計算になる。
 
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なお、女性ホルモン剤を摂取している人はそれだけで肝臓に負荷が掛かっているのでアルコールを飲む予定の時はホルモン剤は控えたほうが良い。
 

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「あとは彼氏がビール好きで、やはりヱビスビールが最高だとか言うんですよ」
と千里は言った。
 
「彼氏がいるのかぁ!」
「いや、こんな可愛ければ彼氏がいてもおかしくない」
「来年くらいに戸籍の性別を変更しようかなと思っているんで、その後結婚するかも知れないです」
「なるほどね〜」
 
「でも浮気性なのが問題なんですよねぇ。だから浮気したらバーリアルになります」
「いや浮気した奴には水でも飲ませておけばいい」
「あ、今度からそうしようかな」
 
「後は同居してる女友だちが日本酒好きで、よく付き合わされますけど、日本酒の銘柄はよく分かりません」
 
「女の子と同居してるんだ?」
「はい」
「その子とは何も関係とかないわけ?」
「女同士で変なことも起きないですよぉ」
「なるほどぉ!」
 
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「でもその村山君の知り合いのミュージシャンさんって、割と有名な人」
「ああ、比較的有名な部類かな。敢えて名前は出しませんけど」
「バイクが好きなんだね。1400ccに乗ってるとか」
 
「四輪も好きですよ。フェラーリに乗っているし。エンツォフェラーリとか飾ってるし」
「おお」
「でも飾っているだけか」
 
「何度か私が運転しましたけど。自分で運転するのは恐いと言うから」
「へー。信頼されてるんだね」
「いえ。自分で運転していてぶつけたら、怒りの持って行きようがないけど、他人がぶつけたら損害賠償請求できるからとかいって」
 
「なんて論理だ」
「まあぶつけたりしませんけど」
「エンツォフェラーリの損害賠償ってちょっと恐い」
 
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「それは結局信頼されているような気がするよ」
「普段はフェラーリ612スカリエッティ(Ferrari 612 Scaglietti)に乗っておられるんですよ」
「フェラーリを2台持っているのか!」
「他にRX-8も持っていますが、これは奥さんとのデート専用らしいです」
「へー!」
「それはロマンティックかも」
 

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「じゃかなり売れている先生なんだ?」
「まあ暗躍しているというか」
「ほほぉ」
 
「ねぇ、村山君、僕の会社の部下でロックバンドやってる奴がいてさ。何とかレコードとかの制作次長さんだかに見初められて音源製作とかしたのに結局発売デビューに至らなかった奴がいるんだよ」
と柳沢さんが言った。
 
「それは惜しかったですね」
「制作費に数百万注ぎ込んで5万枚もCDプレスしたのに借金だけが残ったとか言ってて」
 
「それは気の毒な。それレコード会社はお金出してくれなかったんですか?」
「デビューできていたらレコード会社が払ってくれていたらしい」
「あぁ」
 
そんな無茶なことさせるレコード会社もあるのかなあ、と千里は少し疑問に思った。だいたいデビューが確定して契約してからプレスするものだ。
 
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「もしそういう偉い先生にコネがあるなら、誰かその人の弟子か何かでもいいから紹介してあげられないかなあ。僕が聴いたのでも結構いいと思ったんだよ」
 
「だったら、住所書きますから、制作したマスターのコピーをうちに郵送してもらえませんか?」
「うん!よろしく」
 

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この日は明日に備えて22時頃には各自の部屋に戻って寝た。千里は熟睡していた。
 
翌日は、朝御飯を食べてから7:30頃出発する。今日は少し順番を入れ替え、非力な400ccに乗っている元川さんを前に出した。
 
北村★−柳沢−元川−広田★−中原−村山−東山★
 
という順序で走る。
 
「本当の所を言うと、昨日のR457の様子次第では今日は村山さんにはそのまま福島に戻って東北道を帰ってもらおうかと思っていたんだけどね」
と北村さんは言っていた。
 
「いや実は俺が帰った方がよくないか?と言われたけど頑張る」
と元川さんが言っていた。
 
まずは桧原湖まで、かなり“素敵な”道が続くが、この道は「割とまともな道」で、夏なら「とっても素敵な」磐梯吾妻スカイライン(Sky Line)・磐梯吾妻レークライン(Lake Line)を走ることができ、そちらは絶景なポイントがいくつもあるらしい。
 
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今日の道でも、わりと曲がりくねっている上に勾配もきついので250ccとかでは辛かったなと千里も思った。この道は約半分まで来た猪苗代町吾妻の付近で谷間に出る。
 
「ここまでの行程で辛かったと思う人は悪いけど、ここからそのまま南下したら猪苗代磐梯高原ICだからそちらから帰って欲しい。この先の道はもっときつい」
と北村さんが言う。
 
「いや頑張ります」
と元川さんが言う。やはり急勾配の所では結構遅れる場面があった。
 
「万一途中で動けなくなったら置いていくからな」
「大丈夫です。ちゃんと完走します」
 
それでそのまま7人で行程を続ける。土湯からここまでの道は国道115号と国道459号の重複区間だったのだが、ここから先は国道459号の単独区間となる。国道115号はさっき北村さんが言っていた南下して猪苗代磐梯高原ICに至る道となる。
 
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そして国道459号というのは 459=ジゴク(地獄)とも揶揄されるシゴク(至極)きつい道である。
 
かなり急な勾配を昇った所に、桧原湖はあった。
 
「凍ってるね」
「冬の間はこの凍った湖面でワカサギ釣りとかするんだよ。まあ今くらいの氷では薄すぎてできないけど、もう少し氷が厚くなるとできるようになる」
 
「冬は冬なりの楽しみ方がある訳だ」
「観光地だから、この付近の旅館は値段の高い所が多いんだよね〜」
「ああ」
 
「でも夏くらいにまた来てみたいね」
「まあ道が楽なら言うこと無いのだけど」
「まあその道の悪い所をわざわざ走りに来ているんだけど」
 

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冬はあまり見る所もないので、少し休んだだけで行程を続ける。事前に言われてはいたが、この先の道がまた“とっても素敵”であった。
 
ちょっと行った所の道の駅で少し休む。ここからも桧原湖がきれいに展望できる。更に山道を走り1時間ほどで喜多方市街地を含む広い盆地まで降りてきた。喜多方の市街地まで来たのは12時くらいである。
 
「元川、頑張ったな」
「皆さん、ありがとうございます」
「よし。ラーメン食おう」
「ちょっと待って下さい!」
 
結局通りがかりのカフェに入って、とりあえずコーヒーを7杯頼み、実際には、北村さん・東山さん・千里の3人だけが飲んだ。他の4人は水だけ飲んで、水のお代わり!とかしていた。北村さん・東山さん・千里は2杯ずつ飲んだが、残り1杯は「少し胃袋落ち着いたから飲もうかな」と言って柳沢さんが飲んでいた。
 
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結局カフェで1時間ほど休んでから、評判のラーメン店・まこと食堂に行く。いつも列ができているらしいが、この日はピーク時間をずらしたおかげで10分ほどでお店に入ることができた。
 
「これは列に並んで待った甲斐があった」
「うん。疲れが取れていく感じだ」
「ちょっとワイルドな感じかな」
 
結構濃いめのスープで、確かに疲れた身体にはとても効く感じであった。
 

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娘たちの面談(15)

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