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■娘たちの面談(11)

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「ここの所、ローズ+リリーの伴奏をローズクォーツがしていて、一方ローズクォーツにマリがボーカルとして参加しているので、両者の活動がごっちゃになってしまっているんですよね」
 
「でもローズ+リリーとローズクォーツは音楽の方向性が全く違う」
と和泉は指摘する。
 
「うん。ローズ+リリーはフォーク系ポップス、ローズクォーツは本来ハードロック」
と冬子も言う。
 
「より正確には本来のクォーツがハードロックだった所に私がボーカルとして入ったことで、ポップロックぎみになってしまっているんだよね。多分現状にマキやサトは不満を持っていると思う。だいたいマキは元々女の子ボーカルを入れること自体に反対していた」
 
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「タカさんはどちらも行けるでしょ?」
と和泉。
「あの人はメタルでも演歌でもアイドルでもヒップホップでも、何でもこなしちゃう人です」
と冬子。
 
「彼は苦手なものが存在しない感じだね」
と加藤課長も言っていた。
 

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「それで、両者の活動が混乱しているということで、須藤にこういう提案をしようと思っているんです」
と冬子は言った。
 
「管轄を分けてくれと。ローズクォーツは商業的な活動なので、社長の須藤さんが直接管轄して、ローズ+リリーはあくまで私とマリの個人的な活動なので、UTP専務の私に管轄させてくれ、と」
 
「それはうまい言い訳だね」
と加藤さんが感心したように言った。
 
「その上で適当なタイミングを見て、マリはローズクォーツから離脱させます。ローズ+リリーの活動との兼任でマリに負荷が掛かっているからとか言って」
 
「ケイちゃんの方がよほど負荷が大きいと思うけど」
「でもマリは精密機械ですから」
「確かにあの子はデリケートすぎるのが欠点なんだよね」
と町添さんも言う。
 
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「マリちゃんの分離はいつ頃考えている?」
「多分半年くらい後です」
 
と、この時冬子は言ったのだが、実際にマリの離脱が宣言されるのは1年後の2012年12月になる。
 

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11月1日、冬子は裁判所からの手紙を受け取った。
 
性別の変更と名前の変更を認めるというものであった。これで冬子の戸籍や住民票は女性に変更されることとなる。
 
冬子は新しい幕開けの予感を感じていた。
 

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さて“★★レコードの太荷次長”が絶賛し、須藤美智子がプロデュースしたワランダーズのデビューCDは夏から秋にかけて制作がおこなわれ、年末に発売が予定されていた。太荷は
 
「何人かテレビ局のディレクターに聞かせたけど、いいねって褒めてましたよ」
と言っていた。
 
「私もこれは10年に1度のアーティストではという気がしてきました」
と須藤も言っていた。
 
そんな中、須藤は11月3日の夕方、マリが男の子と歩いていたという話を○○プロの人から聞き、マリが男の子と交際しているなどという話は聞いていなかったので仰天し、本人に事情を聞きにいった。マリは別にセックスもしてないし、ただのボーイフレンドですよと言った。それでもそういう話は事務所にも一言言っておいて欲しいと須藤は注意した。
 
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ところが11月4日の早朝。須藤は再度政子の自宅を訪れた(この時期まだ政子の両親はタイに赴任しており、政子はひとり暮らしである。両親が帰国するのは2013年3月)。
 
「あんたたち、これ偽装工作ではないよね?」
と美智子は政子に尋ねた。
 
「偽装というと?」
 
「本当は政子ちゃんと冬子ちゃんが愛し合っていて、それを偽装するために各々男の子の恋人とも付き合っているように見せただけとか。だってあんたと冬子ちゃんが続けざまに男の子との交際が発覚するって、できすぎてる」
 
政子は図星だなあと思いつつも否定する。
 
「そんなの偶然ですよ〜。そもそも私はレスビアンでもないし。実際問題として高校時代は若干ケイに興味を持っていたのは事実ですけど、性転換して女の子になってしまったあの子には恋愛的な興味は無いですよ」
 
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「だったらいいけど」
と美智子は言ったものの、必ずしも納得していない感じであった。
 

2011年11月5-6日、千里たち千葉ローキューツのメンバーは富山県の砺波市に向かった。この日と翌日の2日間を使って全日本社会人バスケットボール選手権大会が開かれる。
 
会場は富山県西部体育センター(砺波市:となみ)と福野体育館(南砺市:なんと)である。この付近の富山県の地理は、西部の中心・高岡市と中央部の富山市の間に北から射水(いみずし)市・砺波市・南砺市と並んでいる。南砺市の南部は「こきりこ節」「麦や節(*1)」で有名な五箇山(ごかやま)地区である。五箇山地区の道路は冬季はしばしば交通規制が掛かり、それをハイウェイラジオできくと一瞬「おかやま」に聞こえるので「ごかやま」という地名を知らないと「は!?」と思う。
 
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(*1)しばしば「麦屋節」とも書かれるが、「麦や菜種は2年で刈るが」という歌詞から来ているので「麦や節」という書き方が本来の書き方のはず。
 

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さて、この大会への出場資格は本来は3月19-21日に行われる予定だった全日本クラブバスケットボール選手権大会の3位以上なのだが、この大会が震災のために中止になってしまった。それで今年はクラブバスケット連盟の推薦という形で昨年の上位3チームが推薦された。それで2010年3月の同大会で3位だったローキューツも出場できることになったのである(1位は女形ズ、2位が江戸娘)。
 
そういう訳で今年の組合せはこのようになった。
 
実1山形D┓
C3Rocute┻○┓
教2東女会┓ ┣○┓
実3秋田U┻○┛ ┃
教1千女会┓   ┣○
C1女形ズ┻○┓ ┃
C2江戸娘┓ ┣○┛
実2Joyful┻○┛
 
千里たちは朝1番の新幹線で富山県に入った。
 
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東京7:00-8:11越後湯沢8:20-10:27高岡
 
高岡駅から会場の富山県西部体育センター(砺波市)へは、臨時バスが出ていたので、それに乗って入った。
 
(砺波駅まで行くとそこから路線バスで5km 20分ほどだが、高岡から砺波に向かう城端線があまり便利ではないしキャパも少ないので選手がとても乗り切れない。また砺波駅からの路線バスの本数も少ない。高岡駅から直接行けば12km 25分程度である。)
 
今日の試合は13:20からである。女子の4つの試合が2つの会場の2つずつのコートで一気に行われた。
 
千里たちの相手は山形D銀行である。知っている選手も多く、お互いにしばしば交換留学もしており、おなじみの相手ではあるのだが、向こうは何だか嫌そうな顔をしていた。そして20点差で千葉ローキューツが勝利した。
 
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代表チームではチームメイトになっていた鶴田早苗が試合後
「全然かなわなーい!」
と声をあげていた。
 
「千里と麻依子と翠花と森下君がいなければ勝つ自信があるのだが」
などと鹿野さん。
 
「それほぼうちのスターターじゃないですか!」
 
「やはり真美にさっさと性転換手術を受けてもらおう」
と鹿野さんが言うと、山形D銀行のマネージャーとしてベンチに座っていた真美がはにかむようにしていた。
 

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この日の結果。
 
山形D×−○Rocutes
東女会×−○秋田U
女形ズ×−○千女会
江戸娘×−○Joyful Gold
 
この日は女形ズと千女会の試合が接戦になったほかは、全部点差の大きくついた試合となった。
 

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この日はまた臨時バスで高岡市内まで戻り、高岡市内の旅館に泊まった。
 
ちなみに臨時バスは高岡駅−西部体育センター−福野体育館の往復運行なのだが、千里たちは、早めに引き上げたはずの山形D銀行のチームと結局一緒になった。うっかり福野体育館方面に行くバスに乗ってしまったらしい!(運賃はまけてもらったと言っていた)
 
翌日は準決勝と決勝が行われる。また昨日負けた4チームは南砺市の福野体育館で交流戦に出る。準決勝は9:30から昨日と同じ富山県西部体育センター(砺波市)で行われたが、今日もどちらも点差の大きな試合となった。
 
秋田U×−○Rocutes
千女会×−○Joyful Gold
 
この大会は2位以上がオールジャパンに出場できるので、これでローキューツの初のオールジャパン出場が決定した。
 
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千里がオールジャパンに出場するのは2008年の大会以来4年ぶりということになる。麻依子や国香にとっては初めてのオールジャパンである。
 

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男子の準決勝を経て、12:50から富山県西部体育センターのAコートで決勝戦、Bコートで3位決定戦が同時進行でおこなわれる。Aコートでは両軍のスターティング5がコート中央に整列した。
 
J 月絵/昭子/玲央美/サクラ/ローザ
R 凪子/千里/岬/麻依子/誠美
 
元プロが2人(ローザ・誠美)入っているし、日本代表経験者も5人(千里・誠美・月絵・玲央美・サクラ)居る豪華なラインナップである。
 
ティップオフはローザと誠美で争い、ローザが勝ってジョイフルゴールドが先に攻めて来る。
 
千里−玲央美、サクラ−誠美、が自然にマッチアップするので、結果的に他は月絵−凪子、昭子−岬、ローザ−麻依子という組合せになった。月絵と凪子は高校時代に北海道の大会で何度も対戦している。岬は昭子はスリーが恐いから絶対に離れて守らないように言われていた。それでピタリと付いているので、昭子もやりにくいようであった。
 
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玲央美も千里にピタリとマークされているしということで、結局サクラを使うが誠美がきれいにサクラのシュートをブロックしてしまう。ローザがリバウンドを取って再度シュートするも外れる。そのリバウンドを誠美が取って攻守反転。
 
最初は両軍ともなかなか点数が入らず、2分ほど経った所でやっと月絵が自ら得点を挙げて、試合は動き出した。
 

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どちらもよく守り、また相手の動きを読んでいるので、複雑な連携プレイやトリックプレイも全部バレている。物凄くハイレベルな読み合いになっているため、観客席から「え〜!?」とか「うっそー!!」といった声もあがる。
 
「なんでこんな複雑なトリックプレイに相手は引っかからない?」
「今のは引っかかったように見せて相手を引っかけようとしたのか!?」
 
「Wリーグでもこんな読み合い無いぞ」
「いやパワーやスピードもWリーグ並み」
 
男子の準決勝を見た後、決勝戦までの暇つぶしに居残って観客席に居た人たちが驚きの声をあげ「女子の試合が凄いぞ」といって呼ばれて集まってくる人もあり、客席は最初は半分くらいだったのが、後半に入る頃には座れずに立って見ている人も多数あった。
 
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「女子の試合でこんなにダンクが見られるとは」
「スリーポイントも外れないし」
 
「ローキューツの8番村山は世界大会でスリーポイント女王取ってるから」
「ジョイフルゴールドの28番湧見はその村山の後輩で弟子のようなものらしい」
 

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「あの湧見って、日本代表に出ていた湧見絵津子の弟らしいね」
「弟って女子だろ?」
「なんでも手術して女になったらしいよ」
 
(実際には昭子は絵津子の従姉(元従兄)である。昭子の方が1つ上だが、並んでいるとだいたい絵津子の方が上に見られる)
 
「へー。それにしては華奢な感じだね」
「うん。あの体格では女子でもインでは戦えないけど、スリーが物凄くうまい」
 
「元男でも女子の試合に出られるの?」
「性転換してから2年とか経ったら大丈夫らしいよ」
「まああの体格なら、元男子といってもアドバンテージは無いだろうな」
「お前も性転換して女子選手になったら?」
「お前が女子になったら日本代表になれるかも」
「日本代表はおいしいけど、そのためにチンコは捨てたくない」
 
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「でも、君は男子の代表には出来ないけど、女になる手術を受けてくれたら女子代表にする、とか言われたら悩まない?」
「悩まない、悩まない」
「それ昔のどうかした国ではそんなこと行われていたかも」
 
「でも女子の身体になるとホルモンの関係で筋肉も落ちるけど、胸が邪魔になって男子だった頃ほど動けないらしいよ」
「なんか経験があるみたいだな」
「いや、元男子のタイのバレーボール選手がそんなことテレビで言ってた」
「ああ、あそこはそういう選手も多そうだ」
 

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試合は第2ピリオドまで終わって28-26というロースコアである。まるで1ピリオドの点数のようだ。
 
「このままのペースで行きますかね?何か仕掛けてきますかね?」
「普通の監督なら我慢に我慢を重ねると思う。でも藍川さんはその我慢ができないタイプだと思う」
と千里は言った。
 
「うん。あの人は何か仕掛けてくる気がするよ」
と西原監督も言った。
 

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第3ピリオド、ジョイフルゴールドは案の定、長身の選手を揃えてきた。
 
玲央美(181cm)、初美(182cm)、サクラ(180cm)、ローザ(184cm)、ナミナタ(190)、
 
対するローキューツはこのピリオドではこういうメンツで行った。
 
国香(174)/岬(169)/薫(176)/翠花(177)/桃子(178)
 
平均身長がジョイフルゴールドは183cm、ローキューツは175cmで、8cmも違う!
 
そして実際にゲームが始まると、向こうの《天井パス》にこちらは対抗できない。向こうの思うようにかき回されてしまう。
 

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娘たちの面談(11)

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