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■娘たちの面談(14)

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2011年12月10日。ローズクォーツのマキが長年の恋人・葵さんと結婚式を挙げたが、この披露宴でケイとマリは一緒に『ふたりの愛ランド』を歌った。
 
一部のファンの間でのみ知られた《ゴース+ロリー》の活動(2011年8-9月。しかも本物なのか、そっくりさんなのかは議論があった)や「名もなき歌手」として歌った伊豆のイベント(2009.8.14)、長岡のライブハウスでの突発的な歌唱(2010.6.24)などを除けば、ローズ+リリーが公の場で歌うのは2008年12月13日以来1092日ぶりのことで、たくさんの記者が写真を撮り、翌日のスポーツ新聞のトップには《ローズ+リリーが歌った!》というタイトルが踊っていた。
 
このエピソードは『夏の日の想い出』第1期のエピローグなのだが、実際にはこの日を境に、ローズ+リリーは実質、活動再開したのであった。
 
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実際この日はマキの結婚式が終わった後、YS大賞の会場に移動してローズ+リリーの『Spell on You』が優秀賞を受賞したのでその賞状をふたりで一緒に受け取っている。この時ふたりはお揃いのミニスカの衣裳を着ていた。
 
そしてマリとケイは「ローズクォーツの新譜キャンペーン」と称して、実際にはクォーツのメンバーは連れずにこの後2人だけで2週間にわたり、全国を駆け巡るのである。
 

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ケイがマキの結婚式に出た12月10日の早朝、千里はZZR-1400を満タンにして、東北道の蓮田SA下り(埼玉県蓮田市)まで走り、多数の大型バイクが集まっている付近に近づいて行った。
 
「おっ、参加者?」
と50歳くらいの体格の良い男性が言う。
 
「すげーマシンだな」
と隣に居た40代のサラリーマンっぽい男性。
 
千里はバイクを駐めるとヘルメットを取って挨拶した。髪は走行の邪魔にならないようにアップにまとめている。
 
「こんにちは。室田さんから紹介してもらったのですが、よかったら参加させてください」
と笑顔で挨拶する。
 
実は雨宮先生からの指示でこのツーリングに参加してこいと言われたのである。室田さんというのは、雨宮先生の学生時代の友人でバイク好きらしい。本人はハーレーダビッドソンに乗っている。
 
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しかし彼らの反応は芳しくない。
 
「女かい?」
と40代のサラリーマンっぽい男性が少し不快な顔になって言う。
 
「あ、私、男ですから、大丈夫ですよ」
と千里。
 
「男なの!?」
と2人が驚いたように言う。
 
「少なくとも戸籍上は男ですよ〜」
「ホントに?身体は?」
「それは謎ということで」
「チンコあるの?」
「それも秘密で」
 
2人は顔を見合わせている。秘密とわざわざ言うのなら、付いてないのだろうと彼らは考えたようである。近くにいた別の2人の男性も寄ってきた。
 
「どのくらい体力ある?」
「私、毎朝10km走ってますよ」
「それは凄い。スポーツか何かやってんの?」
「ええ。バスケットしてます」
「だったら何とかなるかな?」
とリーダーっぽい50歳くらいの男性。
 
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「ちょっと俺と腕相撲してみない?」
と40代のサラリーマン風の男性が言う。
 
「いいですよ」
 
それで千里のバイクの上に両者肘を置いて右手を組む。
 
「女の手の感触だ」
「小学校の頃から女性ホルモン飲んでましたから」
「それなら、ほぼ女の身体なのでは?」
「そのあたりは適当に想像してもらって」
 
「じゃ行くぞ」
「はい」
 
勝負は一瞬で付いた。
 
「待った待った。今のは油断してた。もう一回」
「いいですよ」
 
それで再度やる。千里はワンテンポ置いてから力を入れた。簡単に倒れてしまう。
 
「負けたぁ!さすがスポーツやってるだけあるな」
 
それで千里は今回のツーリングに参加を認めてもらったようであった。
 
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千里の後で更に2人男性が到着して今日の参加者は7名である。
 
リーダー格の50歳くらいに見える男性は北村、サブリーダーの40代くらいのサラリーマン風の男性は東山と名乗った。参加者は千里も含めて7人で、千里以外は全員男性。いちばん若いメンバーは19歳の元川さんでCBR400に乗っている。彼も初参加らしい。リーダーの北村さんはゴールドウィングGL-1800 (1832cc). サブリーダーの東山さんは Suzuki Bandit650 (656cc)である。
 
「君、バイクだけ?四輪も乗るの?」
と40代くらいの落ち着いた感じの男性が訊く。この人は柳沢さんといって、Honda GSX1300R "Hayabusa" 1340ccに乗っていた。
 
「ええ。普通車なら乗りますよ。大型四輪の免許はまだ取ってないですけど」
「四輪は何に乗ってるの?」
 
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「インプレッサ・スポーツワゴン20S 1994ccです」
「おっ凄い」
「インプは年間何kmくらい乗ってる?」
「年間4万kmくらいかなあ」
「さっすが」
 
「MT?」
「もちろん。ATなんて女のおもちゃですよ。男はMTに乗らなきゃ」
「君、真剣に男なんだっけ?」
「そうですけど」
 
「ちなみに、男湯に入れる?」
「入りたいんですけどねぇ。入ろうとすると従業員さんに追い出されるんですよ」
「あはは、そりゃそうだろうな」
 
「まあ、性別問題はいいよ」
とリーダーの北村さんが笑いながら言っている。
 
「男だと主張している君には悪いけど、世間的な基準で女性として宿泊を取るから」
と言って、東山さんが電話して旅館の予約をしていた。
 
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出発前に目的地とルートが地図を開いて説明される。
 
ルートは東北道をこのまま北上し、宮城県の白石ICで降りて遠刈田温泉に行く。ここでご飯を食べ、温泉に入って一休み。軽く仮眠した上で今度は村田ICに出て、東北道を南下。福島西ICで降りて土湯温泉に行く。今日はここで泊である。
 
今日は遠刈田温泉に行く国道457号が結構狭くて“楽しい道”である。
 
明日は土湯温泉を出てから国道459号で、まず桧原湖(ひばらこ)湖南に到達する。これが“結構楽しい道”である。
 
「夏ならレークラインの方を走ると、秋元湖・小野川湖も見られるんだけど、今の時期は通行止めなんだよ」
と北村さんは惜しそうに説明する。
 
桧原湖・秋元湖・小野川湖、それに五色沼と呼ばれる小さな湖沼群は明治21年の磐梯山の噴火で出来た湖沼である。この時の爆発は極めて大きなもので、磐梯四峰のひとつ小磐梯山(推定標高1750m)が山体崩壊を起こして消滅。北側の5村11集落がこの土砂で埋まり477人(500人以上という資料もある)もの犠牲者を出した。この山の土砂が積もってできたのが標高800mの「磐梯高原」であり、「裏磐梯」とも呼ばれて紅葉のシーズンにはかなり混む。
 
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「今の季節スカイラインもレークラインも通れないから、“本気で楽しい”道を通れないんだけど、まあ“ほどほどに楽しい”道だから」
 
と北村さんは本当に楽しそうに言っているが、参加者の中には嫌そうな顔をしている人もいる。
 
「桧原湖湖南から喜多方市に抜ける道は、桧原湖までの道よりは“少し楽しい”。まあその道を楽しんでから、喜多方で喜多方ラーメンを食おう」
 
「食えるか食えないか、それが問題だ」
と言っているのはサブリーダーの東山さんである。
 
「胃袋が重力に従ってくれるかどうかの問題だな」
と言っているのは柳沢さんである。
 

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出発前にトイレに行っておくことにする。千里以外はむろん男子トイレに行く。千里も一緒にそちらに入ろうとしたのだが
 
「いや、君は女子トイレを使いなさい」
と北村さんが言い、千里も素直に従った。
 
トイレから戻ってきたら全員エンジンを掛ける。
 
だいたい100kmくらいごとに休憩することにし、次は上河内SAで休むことにして、万一はぐれたら、同SAで落ち合うことにする。燃料タンクが充分あるか確認する。1人給油を忘れていたということだったので、その人の給油を待って出発することにする。今日参加しているメンバーのバイクの航続距離は全員350km程度以上あるが、念のため200km程度おきに給油しておこうと言われた。
 
隊列は先頭がリーダーの北村さん、最後がサブリーダーの東山さん。真ん中の4番目を広田さんが走り、千里は3番目を走ってと言われた。
 
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北村★−柳沢−村山−広田★−元川−中原−東山★
 
ここで★を付けた3人はインカム(Sena SMH10)でお互いいつでも会話することができる。SMH10は2010年に発売されたBluetoothインカムで、同じ機種であれば4人まで相互通信できるし(900m以内)、他社のインカムも1台なら接続できる優れものである。
 
信号などで隊列が分断されそうな場合はきちんと信号に従い、決して無理な信号通過はしないように注意された。
 

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高速道路上は千鳥走行である。北村さんが走行車線の中央寄りを走り、柳沢さんは路肩寄りを走る。そして千里は中央寄りで、広田さんは路肩寄りというように交互に走行軸をずらして走る。こうすることで隊列が短くなって先頭と末尾の人が全体を把握しやすくなるし、前のバイクが万一トラブった場合も回避しやすい。
 
千里は初心者だから無理に前の人にピタリと付いて行こうとせず、マイペースで走りなさいとは言われたのだが、何しろバイクのパワーがハンパ無いので、楽々前の柳沢さんと同じ距離で走っていた。
 
取り敢えず上河内SAで休憩して、再度全員トイレに行ってくる。千里は今回は最初から女子トイレを使用した。
 
「きつくなかった?」
と訊かれる。
 
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「全然大丈夫です。この子、凄いパワーあるから」
「だよね〜」
 
「Suzuki ST250に乗っていたんですけど、友人が勝手に借りていっちゃったんですよ。それで代わりにしばらくこれに乗っていてと言うもんだから」
 
「へー!なんでまた?」
「その人がこの翠星石のZZR-1400に乗っているという情報が知れ渡って、見つかるとやばいからだそうです」
 
「・・・・」
 
「その友人ってヤクザ屋さんか何か?」
「いえ。ミュージシャンなんですけどひどい女たらしなんですよ」
「へー!!」
「どうも女の子とトラブル起こして今逃げ回っているみたいで」
「なるほどね〜」
「ミュージシャンって、そちらの方面が乱れてる人けっこう居そう」
 
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「まあ私は女ではないから手を出されなくて済んでますけど」
「ああ、そういう時は便利ね」
 
「でも村山さん見てたら、俺は道を誤りそうだ」
「骨折したくなかったら襲わない方がいいですよ〜」
「それは恐い」
 

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その後、安積(あさか)PA、国見SAで休憩する。
 
「この先、少し楽しい道だよ〜」
と北村さんが言っている。
 
国見SAでは全員ガソリンを満タンにしてから出発する。
 
白石ICを降りてから国道457号を行く。白石ICから遠刈田温泉に行くには本来県道12号を走れば楽である。それをわざわざ遠回りかつ道の悪いR457を走るのである。
 
こういう狭い道では今度は千鳥にならず1列になって走る。道が狭いので千鳥になって広がるのは迷惑である。しかし高速道路に比べて車間距離も短いので結果的に隊列の長さは短くなっている。
 
北村さんが“楽しい道”と言っていたので、千里もある程度覚悟して走っていたのだが、確かにカーブは多かったものの、そんなに凄いとは思わなかった。
 
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娘たちの面談(14)

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