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■娘たちの面談(3)

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「冬子さんたちは飛行機で東京に戻るんですか?」
と解散したところで青葉が訊く。
 
「少しどこかで休憩してから帰りたい気分。徹夜明けで飛行機の気圧変化に曝されるのは辛い」
と冬子が言っている。
 
「だったら私たちの車の後部座席に同乗して東京に戻る?」
と桃香が言った。
 
「東京にどこ通って帰るの?」
と政子が訊く。
 
「まず一般道を通るオプションと高速道路を通るオプションがあるのだけど」
と千里が言うと
「高速!」
と桃香・冬子がほぼ同時に言った。
 
「う〜ん。じゃ、長岡経由関越、直江津経由上信越道、東海北陸道・愛知経由、米原経由名神・東名、の中からひとつ選択」
と千里が言う。
 
富山−東京間のルートは(高速を使う場合)下記4ルートが代表的である。
 
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富山(北陸道下り)長岡(関越)東京 430km
富山(北陸道下り)上越(上信越道)藤岡(関越)東京 400km
富山(北陸道上り)小矢部砺波(東海北陸道/東海環状道)豊田(東名)東京 570km
富山(北陸道上り)米原(名神/東名)東京 640km
 
更に東海環状道の土岐JCTから中央道に行くルート、あるいは上信越道から長野道を通って中央道に行くルートもある。
 
なお高速料金はいったん下に降りたり名古屋高速や首都高など別料金の所を通らない限り、どういうルートを通っても最短距離で計算される。
 

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「うーん。関越かなあ」
と冬子は言ったのだが、政子が
 
「愛知って名古屋県だっけ?」
などと言い出す。
 
「名古屋が愛知県ね」
 
「名古屋ならひつまぶしを食べられるよね?」
「ああ」
 
「名古屋にちょっと寄ってひつまぶし食べて行こうよ。食事代と余分な高速代はケイが出してくれると思うし」
と政子。
 
「というより高速代は全部私が出すよ」
とケイ。
 
「じゃ名古屋経由で行こうか」
「OKOK」
 
「でも千里も寝てないでしょ?いったん家に戻って少し寝てから行く?」
と桃香は言ったが
 
「私眠りながら運転するの得意だから大丈夫だよ。すぐ出発しよう」
と千里は言う。
 
「眠りながら運転するの〜?」
と桃香は言うが
 
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「普通だよね、それ」
と冬子も言っている。
 
「脳を左右半分ずつ眠らせればいいんだよ」
「それそれ。片目だけ開けておく」
 
(千里はマジだが冬子はジョークと思っている)
 

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そういう訳で
「大丈夫〜?」
と心配そうな顔をする青葉をよそに、千里・桃香・政子・冬子は千里のインプに乗ると、すぐに出発した。
 
富山ICのランプを昇って北陸道上り線に乗る(北陸道は米原方面が上りで、新潟方面が下り)。そして実際、政子も冬子も桃香も、みんな風の盆を見て徹夜しているのですぐに眠ってしまった。千里自身も《こうちゃん》に『よろしく〜』と言って、眠ってしまう。それで《こうちゃん》が千里の身体の中に入って車を動かし、インプレッサは小矢部砺波JCTから東海北陸道を南下した。
 
富山を出たのが朝6時くらいだったが、8時頃に川島PAでトイレ休憩する。
 
「あれ?もうここまで来たんだ」
と冬子が驚いている。
 
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「名古屋はどこかお店知ってる?」
「そうだなあ。11時からなんだけど、昭和区の**ってお店」
「ちょっと待ってね」
と言って、千里はカーナビで確認している」
「40分で行くね。少し休んでいこうか」
「そうしよう。千里少し寝るといいよ」
「そう?じゃそうさせてもらおうかな」
 

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政子が
「お腹空いた。朝御飯食べよう」
などと言っている。
 
「ここはハイウエイオアシスがあるんだね。そちらで何か食べられるかな」
と冬子。
 
「私はまだ疲れが残っている。まだ寝ていたいし、この後、うなぎを食べるならお腹を空かしておきたい」
と桃香。
 
「だったら、冬子と政子ちゃんで行ってくる?」
と千里が言うので、2人で行こうとした。
 
ところが数歩歩いた所で冬子がふらっとして座り込む。
 
「どうしたの?」
「軽い貧血かな。大丈夫」
と冬子は言うが
 
「冬子、疲れが溜まっているんだよ。冬子も寝てるといいよ。私が政子ちゃんには付き合うよ」
などと千里が言う。
 
「でも千里も徹夜の上ここまで運転してきて疲れているでしょ?」
「私は運転しながら寝てたから平気。冬子、アルバムの制作とシングルの制作が同時進行して辛かったとか言ってたし、まだ休んでいるといいよ」
 
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「あれ?私そんなこと言ったっけ?」
と冬子は悩んでいる。
 

この時期は、冬子はローズ+リリーの『After 3 years, Long Vacation』の制作をする一方で、芹菜リセのアルバム制作、スリファーズの制作も進めていた。またKARIONのシングル『恋のブザービーター』が全く売れず、制作を主導した★★レコードの滝口さんの進退問題が浮上し、その問題でも連日各方面と打合せをしていたし、一方で冬子は木原正望と何度もデートに応じており、公私ともにかなり多忙であった。
 
「千里は眠くないの?」
と政子が訊く。
 
「私は寝ながら歩くし、寝ながら食べるから平気」
「だったら、ふたりで行こうか」
 
ということで、結局千里と政子がハイウェイオアシスの方に行き、冬子と桃香は車内で寝ていることにした。さすがの桃香も徹夜で八尾の街を歩いた後では女の子を襲う元気も無く!冬子も無事であった。
 
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「朝早いけど、開いてる店あるかな?」
などと言って見ていたのだが、フードコートがもう開いていたので
「良かった良かった」
と言って入り、取り敢えず高山ラーメンを食べる。
 
朝から平気でラーメンが入るのは、今日のメンツの中ではたぶん政子と千里の2人だけである。
 
ふたりで昨夜の風の盆のことや、ゴース+ロリーのライブのことなどを話す。その内ラーメンを食べてしまったので、丼屋さんで、千里は焼き鳥丼、政子はカツ丼を頼んで、また食べながら話す。ところがカツ丼を食べ終わった所で政子が突然何か考え込むようにした。
 
「どうした?何か辛(から)かった?」
「ううん。ちょっとケイのことでね・・・」
「ケイがどうかした?」
「最近、男の子とよくデートしてるみたいなんだよね」
「ふーん。別にいいんじゃないの?」
「なんか不愉快なのよね」
 
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「ああ、嫉妬ね」
と千里は遠慮無く言う。
 
「やはり、嫉妬なのかなあ」
「マリちゃんも男の子とデートしてみたら?」
 
すると政子は少し考えるようにしていた。
 
「実は、こないだから国文科の男の子から何度もデートしない?って誘われているのよね。けっこうフィーリングが合う感じだから、デートしてもいい気がするんだけど」
 
「別に今すぐ結婚してくれということでもなければデートくらいしてもいいんじゃないの?」
 
「でも私もケイも各々男の子とデートしてたら、ローズ+リリーは解散になっちゃうかなという気もして」
 
「ケイともデートすれば?セックスも日常的にしてるんでしょ?」
 
「・・・二股してもいいと思う?」
「全然問題ないと思うよ」
と千里は言った。
 
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「いいのかな」
「男の子との恋愛と、女の子との恋愛は両立すると思う」
「やはり?実はそんな気もしたんだけど、同時にふたりと付き合ってよいものだろうかとも思って」
 
「桃香なんて他に恋人がいるのに、夜中に私を求めて来るし」
「千里は桃香が好きじゃないんだっけ?」
 
「私は桃香に恋愛感情は無いよ。そもそも私はストレートだし。まあ仲は良いから、彼氏に振られたら桃香の奥さんになってもいいかなとは思うけど」
 
「千里、彼氏もいるの?」
「いるよ。8年くらいの付き合いかな」
「凄い長く付き合ってるね!」
「24歳くらいになった時、お互いに独身だったら結婚してもいいとお互いの親の許可は得ている」
「すごーい。じゃそれまでに性転換手術するのね?」
「もちろん」
「普段はどうやってセックスしてるの?A?F?X?O?M?」
「その記号の意味が分からない」
と千里が苦笑しながら言うと、政子はわざわざラテン語で言う。
 
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「coitus in ano, coitus inter femora, coitus in axilla, coitus oralis, coitus intra mammas」
 
(anoは英語のanus, femora:大腿, axilla:脇の下, oral:口腔, mamma:乳房)
 
すると千里もラテン語で答える。
「coitus in vagina」
 
「千里Vあるの?」
「内緒」
 
「うーん・・・」と言って政子は腕を組んで考え込んでいた。
 

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「ねえ、千里。彼氏は居ても桃香とセックスしてるよね?」
「だいたい確率80%で撃退している」
「ん?」
「その内レイプで訴えるぞと言っているんだけど、疲れている時とかは気付くとやられているんだよね〜」
「うーん。。。。」
「目を覚ましたら、確実に殴ったり蹴ったりしてレイプ魔は撃退している」
 
「で、でも、だったら桃香は千里のおちんちんを無理矢理立てて、自分のに入れている訳?」
「まさか。桃香が私に入れるに決まっている」
「桃香ってちんちんあるんだっけ?」
 
「時々ね。きっと精子もある。だから確実に帽子を被せるよう要求している。セックス自体、私は同意してないけど、セックスするなら絶対付けてくれって。私今妊娠する訳にはいかないから。桃香もそれは守ってくれている。そもそも桃香は女役をしたことはないはず。私は男役できないしね」
 
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「桃香は千里のどこに入れる訳?」
「もちろんV。桃香はAと思ってるかも知れないけど、私は彼氏にもAは許してない」
「うーん・・・・」
 

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「政子ちゃんが元気になるような写真を見せてあげよう」
と言って、千里は自分の携帯の中から1枚の写真を表示させた。
 
「おぉぉぉ!!!これは!!!」
と叫んで嬉しそうな顔をしている。
 
冬子のセーラー服姿である。中学生の頃の写真だ。
 
「千里、なんでこんなの持ってるの?」
「たぶんこの写真を持っている人は全国に数十人居る」
「むむむ」
「冬子って、高校に入る前の活動に関してはけっこう黙ってるよね」
「うむむ。調べてみよう」
 
実際にはこの写真は雨宮先生が酔っ払っている時に見せてくれたものを《せいちゃん》に頼んでコピーしておいたものである。
 
「この写真、私のiPhoneに転送できない?」
「私機械音痴だから無理」
「私もその手の操作、さっぱり分からない」
「まあYour Eyes Onlyということで」
 
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「でもかなり元気になった」
「よかった、よかった」
 

車に戻った時、政子がとっても元気になっていたので冬子は
「どうかしたの?」
と訊いたが、政子は
「冬の秘密を知ってしまった」
などと言って楽しそうである。
 
千里はすぐ車を出すよと言ったが、冬子が最低30分は寝てと言ったので、そのくらい仮眠させてもらった。
 
それで車は東海北陸道を南下し、名古屋高速を通って、お店に行く。11:30でお昼が近いので駐車場が満杯だったが、どこか空いてないかと探してぐるりと回っていたら1台出て行く車があった。それで千里はそこにさっと入れた。
 
お店に入ると、けっこう人がいる。しかしちょうど4人座れる所が空いているのでそこに座る。
 
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(むろん、駐車場も席も眷属に確保させておいたもの。車を駐めておいたのは《いんちゃん》である。彼女は普段あまり運転したがらないが運転自体はうまい)
 
冬子が「私のおごりだから」と言って、肝入り上ひつまぶしを4つ頼む。店員さんが来てすぐに冬子が頼んだので、他の3人は御品書きを見ていないが、ここに以前来たことがあり値段を知っている千里が「わぁ」という感じで首を振っていた。
 
「千里ここに来たことあった?」
「先輩に連れてきてもらったことがある」
「なるほどね〜」
「何?ここ高いの?」
と桃香が訊くが
「冬子がおごってくれるから気にしないでいいよ」
と千里は言った。
 
おそらく桃香が「高い」という言葉から想像する値段の3〜4倍だろうなと千里は思った。
 
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娘たちの面談(3)

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