広告:ここはグリーン・ウッド (第5巻) (白泉社文庫)
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■女子中学生の生理整頓(21)

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(C) Eriko Kawaguchi 2022-06-27
 
4月8日は部活の開始日でもあった。
 
剣道部には男子6人、女子5人の新入部員があった。男子には未経験者も2人含まれていて、勧誘パフォーマンスの効果があったようである。女子の5人というのは下記である。
 
羽内如月(はない・きさらぎ)N小・1級
月野聖乃(つきの・きよの)N小・2級
御厨真南(みくり・まな)N小・2級
清水好花(きよみず・このむ)P小・4級
高山世那(たかやま・せな)2年生・−−
 
新1年生の4人は全員、小学校でも剣道部に入っていて、スポーツ少年団の登録もあるので、すぐにS中女子剣道部所属として登録した。清水さんは身長が170cmあり、小学校時代はバレー部と兼部で、中学ではどちらにするか迷っていたらしい。でもオリエンテーションでのパフォーマンスを見て、ここの女子剣道部は強そうと思い、入る事にしたらしい。
 
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セナについて千里(千里R)・玖美子・沙苗は話し合い、敢えて
 
「小学校では部活はしてませんでした」
と申告させた。
 
すると岩永先生は、新規登録者として、高山世那・女子を、スポーツ少年団のS中女子剣道部に登録してくれた。
 
剣道歴については、小さい頃町の道場に通ってただけで、級位も持っていないと申告したのだが、岩永先生に見てもらうと
 
「君は4級くらいの力があるよ」
と言っていた。
 
ということで、清水さんのちょうどいい練習パートナーになりそうである。セナは身長も167cmで清水さんに近いので体格的にも、やりやすいだろう。
 
(セナは小学校の時、顧問の先生から5級程度と言われていたのだが、男子基準で5級だったので、女子基準では4級程度に見えたのだと思う。1年間のブランクが無かったら3級程度に見えたかもしれない)
 
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女子バスケット部には、4人の新1年生が入ってきた。
 
森田雪子(もりたゆきこ)
平井雅代(ひらいまさよ)
道城泰子(みちしろたいこ)
坂田伸代(さかたのぶよ)
 
「やった!部員が8人になった。試合中の交替ができる!」
と部長の久子が喜びの声をあげると、新入生たちは顔を見合わせて、不安そうな顔をしていた!
 
4人ともミニバスの経験者でスポーツ少年団の登録もあるので、顧問の伊藤先生はすぐに4人をS中女子バスケットボール部に登録した。
 
なおバスケット部は3年1組、剣道部は2年1組で会合をしていたのだが、この日バスケット部の会合に千里(千里B)は出席していなかった。
 
↓S中校舎略図

 
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3年1組と2年1組は上下の関係で、距離は3m程度しか離れていないので、RとBは両立できない。なお1年1組の教室は職員室から43mほど離れている。生徒更衣室はメイン体育館の方に近い。
 

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バスケ部顧問の伊藤先生が職員室に戻ると、千里と玖美子が剣道部顧問の岩永先生と何か話しているのに気付いた。
 
そういえば村山さんは剣道の方でもたくさん賞状取っていたなと思い至る。今日は剣道部の会合の方に出てたから、こちらには来なかったのかなと思った。それでそちらの話が終わって、千里と玖美子が退出しようとした所で声を掛けた。
 
「村山さん、ちょっと」
「はい」
と言って、千里が寄ってくる。玖美子は出て行く。
 
「言い忘れてたけど、新人戦には出てくれて大活躍だったんだね」
「あれ、私うっかり遅刻してしまって。剣道の午前中の試合に出られなかったんですよ。それで午前中だけこちらの助っ人をさせて頂きました」
 
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「念のため確認するけど、村山さんって女子だよね」
「女子ですよ〜」
「生徒手帳見せてもらえる?」
「これですか?」
と言って、今朝もらったばかりの生徒手帳を見せる。
 
セーラー服の写真がプリントされており、性別は女と記載されている。
 
「念のため保険証確認させて」
「はい」
と言って、千里は自分の健康保険証を提示した。
 
ちゃんと、村山千里・女、と記載されている。
 

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伊藤先生は頷いていた。
 
「村山さん、またお願いすることもあるかもしれないからさ、良かったらバスケット連盟に登録させてくれない?登録費用は部費から出すから」
 
「登録するだけならいいですよ」
 
それで伊藤先生は、千里の生年月日を確認した上で、バスケット協会に“新規登録”した。つまり、S中女子バスケット部に、“村山千里・男”という登録と“村山千里・女”という登録が一時的に同居する結果となった。
 
これはさすがに後日、バスケット連盟から問合せがあった。
 
伊藤先生はこう答えた。
 
「昨年は本人が男子の試合に出たいというので、やや強引に男子として登録させてもらったのですが、本人も妥協して、普通に女子の試合に出ると言うので、女子としてそのまま登録させて頂きました」
 
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「性転換したとかではないんですね?」
「違いますよ。普通の女子生徒ですし、法的にも女性ですよ」
 
「だったら男子としての登録は削除してもいいですか」
「そうですね。性別が違っていると結局出場できませんし」
 
ということで、バスケット協会の「S中女子バスケット部選手・村山千里・男」という登録は削除されてしまった。でも伊藤先生は千里に古いidカードの返却は求めなかったので、その男子選手としてのidカードは2006年11月にN高校で宇田先生が回収するまで、千里は所持していたのである。
 
なお千里はスポーツ少年団の登録は小学校時代から女子である。
 

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伊藤先生が呼び止める前、千里と玖美子が岩永先生と話し合っていたのは、実は沙苗の性別問題である。沙苗は昨年の春・夏の大会では男子として出たものの、新人戦では女子としての出場が認められた。この新人戦での出場を“前例”として、正式に女子として登録させてもらえないかと、剣道連盟に打診してみようということになったのである。
 
この打診は、結果的に新人戦での沙苗の出場許可が取り消され、S中の団体優勝も取り消されるリスクもある。
 
「その時はそれでもいいと思います」
と玖美子も千里も言った。
 
武智部長も同意したので、岩永先生は連盟に打診してみた。すると取り敢えず北海道連盟に上げて検討するということだった。
 
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4月15日(木)、岩永先生に、
 
「原田さんの医学的検査をさせて欲しい」
という連絡があったので、本人・保護者の同意のもと、翌日16日(金)、岩永先生、母親の智恵、そして友人として千里が付き添って、指定されたA医大病院に向かった(沙苗と千里は公休になる)。
 
(千里Gは4/14に、きーちゃんに呼び出され、4/15に東京に移動している)
 

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A医大で北海道剣道連盟の医学委員・阪口循子さんという方と会い、名刺を頂く。
 
「取り敢えず検査を受けて頂いて、その後少しお話しましょう」
と言われた。
 
「検査の中には少し不快なものもあるかもしれませんが」
「それは構いません」
 
岩永先生と阪口さんが、病院内のカフェで話している間に、沙苗は母・千里に付き添ってもらって、渡されたカルテの順番に病院内を回った。
 
なお、今日は沙苗も千里もセーラー服である。
 
最初に身長・体重・バスト(トップ・アンダー)・ウェスト・ヒップ・足のサイズ・肩の幅を測り、個室内で腕の数ヶ所の外周、足の数ヶ所の外周を測定。更に両手の指の長さも測られるのでびっくりした。その後、脈拍・酸素量・血圧を測定して採血された。
 
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「指の長さまで測られるとは思わなかった」
と沙苗が言うと、千里は言った。
「男女で指の長さが違うからだよ」
 
「そんなもの?」
「後で岩永先生の指とか見てみなよ。女性の指は、人差指が薬指より長いか、せいぜい同じくらいの長さなんだけど、男性の指は、人差指より薬指のほうが長い」
 
「そうなんだ!?」
 
「ほら、私の指は人差指のほうが、薬指より長い。お母さん見せて下さい」
「うん」
「お母さんの手も人差指が長いね。これは女性の指。沙苗の手は人差指と薬指がほとんど同じ長さ。これは少なくとも男性の指ではない」
 
「そんな所に性差があったなんて知らなかった!」
と言いながら、沙苗は、私、薬指が長くなくてよかった!と思った。
 
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それと同時に、千里って、やはり体質的に女の子なんだなあとも思った。
 

何か測定具のある部屋に案内され、ベッドに寝て腕や足に電極を付けられ、何か測定された。(電気抵抗から筋肉の量を測定したもの)
 
運動能力テスト!?を受ける。
 
左右の握力、背筋力を測り、シャトルランをやらされた!
 
「疲れたぁ」
「お疲れ、お疲れ」
 

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30分休んでから全身のレントゲン写真を撮られた上で、MRIに行く。ここで沙苗は1時間近く検査されていた。多分、体内のどこかに睾丸が温存されてないかをチェックしてるんだろうなと千里は思った。睾丸って丈夫だから、たとえ足の先にあっても、男性ホルモンを生産し続けるみたい(*20).
 
全身のレントゲンを撮ったのは骨格の発達具合を見るためだろう。あの子、どうやって入手してたのか知らないけど、どうも小4頃から女性ホルモン飲んでたみたいだから(だから声変わりが来てない)、骨格は多分女性的だろうと思う。
 
既に男性的に肉体が発達し、男子選手として身体を鍛え上げている人は、たとえその後性転換手術を受けたとしても、女子選手として認めるのは困難だろう。朝青龍みたいな体格の人が性転換手術を受けたから女子サッカー選手になりたいと言っても、さすがに拒否されるのでは、と千里は思った。沙苗は男性的な発達が全く無いから半陰陽に準じて扱ってもらえる可能性があると千里は考えていた。
 
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セナはいったん男性的に発達してしまっているから骨格を作り替えでもしない限り(換骨奪胎!?)厳しいけど、あの子は大会に出られるほどまで強くなる可能性は低い気がする。
 
(*20) ペニスと陰嚢は取って女性状の外陰部になりたいけど、睾丸は残したいという人が睾丸を大腿部に移動したりするケースがある。こういう人は男性ホルモン支配下にあるので、クリトリス刺激で射精が起きる。むろん精液に精子は含まれない。
 

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1時間くらい待合室で待つが、この時、沙苗は岩永先生に
「先生指見せてください」
と言い、その指を見て頷いていた。
 
先生は訳が分からないようだったが、医学委員さんは微笑んでいた。沙苗が検査を受けている間、岩永先生は沙苗の学校での生活について話をしていたようであった。
 
千里は言う。
「この子、私と御近所で、よく近くの神社の境内で遊んでいたんですよ。当時からみんな、彼女をほぼ女の子扱いしてましたね。彼女もスカート穿いてることが多かったですよ」
 
「なるほどですね」
 
正確には沙苗はスカート穿いていたり、女物の和服を着ている時だけ“さなえ”と呼ばれていたのである!が、そういう細かい問題までは言わずにおく。
 
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「腕力とかも普通の女の子並みだから、雪掻きとかの力仕事には参加してなかったですね」
とも千里は言ったが、どうもこちらのほうが重要だったようだ。
 
「小学校の頃も、男女に分かれて、男子はわりと重労働、女子は軽作業、なんて時には『沙苗ちゃん、こっちおいでよ』と言って呼んで女子の方に参加させてました。実際、男子の方に参加すると、足手まといになったり、時には危険な場合もあったみたい」
 
「ああ」
 

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「この子、6年生で1級、昨年は初段になりましたけど、元々腕力が無いから、それを補うためにテクニックとかを鍛えたみたいですね。だから太刀筋がきれいだから、1級・初段に認定してもらったんですよ」
 
「なるほどー」
 
「だから小学生の時、1級は取ったのに、普段の練習では、2級・3級の男子たちに簡単に負けてましたね。男子とはパワーが全然違うもん」
 
「男子と女子の対戦ではそうなるだろうね」
 
「昨年春の大会では3位になりましたけど、あれは対戦した男子の剣士たちが、女と思って甘く見たから勝てたんだと思いますよ。向こうが本気なら勝てる訳ないです」
 
「そういうことか!」
と医学委員さんは納得していた。
 
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「実際夏の大会ではBEST8までしか行ってませんしね〜」
「ああ、そうみたいね」
と医学委員さんは何かのファイルを見ながら言った。
 
「小学校の時はあんなに上まで行ったことないんですよ。小学校の時は普通に紺色の道着つけてたから、相手も普通に男と思って対戦してたんだと思います。中学に入ってから白の道着に変えて、見た目も女にしか見えないから、対戦する男子は本気になりにくいんですよ」
 
「まあ女子相手には自然と手加減してしまうだろうね」
と医学委員さんも言っていた。
 
「あまり強く打って怪我させたらとか思っちゃいますもん」
「確かに確かに」
 

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