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■女子中学生の生理整頓(18)

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そういう訳で、生徒手帳写真はこのようになった。比較のため昨年の状況も書く。
 
写真撮影
昨年は、Rがセーラー服、Yが学生服写真(B不撮影)
今年は、Yがセーラー服、Bが学生服写真(R不撮影)
 
もらった生徒手帳
昨年は、RとYはセーラー服、Bが学生服
今年は、RとYはセーラー服、Bが学生服
 
昨年は偶然の産物で、Yが学生服姿で写真を撮ったのに、その写真の生徒手帳はBが受け取り、Yはセーラー服写真の生徒手帳をもらったが、今年はその“ねじれ”が解消された。
 
しかし、久しぶりに出現した“学生服姿の千里”は誰にも目撃されなかった!
 
小春とカノ子も驚いていて
 
「もう千里Wは出現しなくなったと思ってたのに!」
「なかなかしぶといね」
などと言い合った。
 
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ふたりが千里Wを目撃したのは、約3ヶ月ぶりだった。
 
「でもWも少し胸が膨らんでたね」
「あれだけ女性ホルモンにさらされてたらねぇ」
「来年は出現したとしても、もう学生服着るのは無理だな」
 

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5日の夕方、父は帰宅すると、セナに保険証を渡した。
 
「お前の保険証、性別が間違ってたと言って訂正してもらってきた」
と言う。
 
見ると、新しい保険証では「高山世那 平成3年3月21日生・性別女」と記載されている。セナは自分は本当に女の子になったんだなあという気持ちでじわっとくるとともに、もう自分は完全に後戻りできない所に来たというのを再自覚した。
 
「間違ってたのは返却するから出して」
「うん」
 
それでセナは自分の部屋に行き、生徒手帳にはさんでいた、性別男になっている保険証を取り出し、代わりに新しい保険証を挟む。そして古いのは父に渡した。
 

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4月6日(火)は始業式であった。
 
千里たちは新2年生となる。クラス替えが行われており、全員玄関に張り出されているクラス名簿で自分の名前を見付けて、そのクラスに入る。各クラスでは先生が指名したクラス委員が作成した座席表が貼られているので、それに従って着席する。
 
「クラス委員って誰?」
「私と上原君」
と恵香が言うと
 
「大沢さんがクラス委員なの?」
と不安の声が多数あがった。恵香はみんなに全く信用が無い。
 
やがてセナが落ち着かない顔で入ってきた。もちろんセーラー服を着ている。彼女がセーラー服を着てきたのを見て、沙苗が微笑んだ。
 
「私、女子の並びになってるぅ」
とセナは座席表を見て言って、涙を浮かべている。
 
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「セナは女の子なんだから当然女子の並びだよ」
と沙苗が言う。
 
「出席番号も女子の番号になってた」
と本人。やはりセーラー服で写真を撮ったから女子として扱われたのかなあ、などと考えている。
 
↓座席表

 
(原田)沙苗の前後は、(新田)優美絵と(広川)佐奈恵で気心しれた仲である。(高山)セナの前の席が(沢田)玖美子で、最も頼りになる子である。後ろの席の(戸口)萌花も昨年同じクラスだった女子なので気安い。
 

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「性別変更届け出したの?」
と佐奈恵が尋ねる。
 
「出してない。お母さんに書いてはもらったけど、出す必要ないかも」
「性別変更届けってどんなの?」
「ネットで検索してもヒットしないから、お母さんが適当に書いた」
と言って彼女が見せる届けにはこう書かれてあった。
 
性別変更届
平成16年4月6日
 
学年 2年
氏名 高山世那
 
性別が変わりましたので右届出ます。
 
旧性別:男
新性別:女
 
生徒名:高山世那
保護者:高山右京
 
「氏名変更届に似てる」
「そうそう。それを参考にしてた」
 
「でも既に女子になっているのに性別変更届けを出したら男子にされてしまうね」
「それは嫌だ」
 

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「あれ?今気付いたけど、セナちゃん、声が凄く女の子っぽくなってる」
「うん。春休みに唐突にこういう声が出るようになったんだよ」
「へー。ますます女の子らしくなったね」
と女子の友人たちは言っていた。
 
「もしかして生理が来たから声が女の子らしくなったとか」
「生理は・・・まだ来てないかな」
と言って、セナは恥ずかしそうに俯く。
 
「大丈夫だよ。その内きっと来るよ」
「身体の女性化が進めばちゃんと思春期来るよね」
と女子たちは言っていた。
 
セナは『千里ちゃんに卵巣や子宮を埋め込んでもらったら生理来るのかなあ』などと妄想していた。
 
「沙苗ちゃんこそ、性転換してから1年経ったし、そろそろ生理来るんじゃない?」
「そうね。来るといいなあ」
 
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と沙苗は微笑んで言ったが、先日の診察でヴァギナみたいなのができてると言われたことを想起していた。ほんとにあれヴァギナだといいなあ。ヴァギナができたら、その内、子宮や卵巣も出来て、生理が始まるかも、などと妄想が広がっていく。
 

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やがて担任の吉永夏生先生が入ってきて、みんなに着席するように言う。
 
「いやあ、間違って隣の教室で自己紹介してしまった」
などと言うので、爆笑になる。
 
さっき隣の2年2組で笑い声があったのは、それか!
 
先生は最初に自分の名前を黒板に書いた。
 
「そういう訳で、2年1組を担任することになりました吉永夏生(よしなが・なつき)です。大学院を出た後、教師になって3年目でここは2つめの赴任校です。昨年・一昨年は天売(てうり)中学に居ました。全校生徒6人というアットホームな中学だったので、こんなに多人数生徒の居る学校に来てカルチャーショックを覚えています」
 
などと先生は言う。
 
「ちなみに私の名前は、この漢字で“なつき”と読む人と“なつお”と読む人がいますが、私は“なつき”です。更に性別が男性の場合と女性の場合がありますが、私の性別は、母によると男性だそうです」
と先生が言うので、笑いが起きる。
 
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ちなみに先生は男性用スーツを着ているし、声も男の声である。でも優しい顔立ちで話し方もソフトであり、体型もスリムで身長も男性にしては低いほうなので
 
「女装が似合いそう」
と思った生徒が結構居た。
 
「今年の文化祭の女装カフェでは先生にも女装してもらおう」
「今年もやるの〜〜!?」
 

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セナが女子として出席番号を振られた経緯はこのようであった。
 
新2年生のクラス編成会議は、4月2日(金)に、2年生の担任となる3人の先生、1組吉永、2組緒方、3組友永で、実施した。基礎資料として
「この子とこの子は分けて」
「この子とこの子は同じクラスに」
という希望が、前年の担任3人(菅田・緒方・住吉)からあがってきている。分ける理由は主として2つ
・(主として女子で)相性の悪い同士
・恋愛関係にある男女(とは限らない)
 
それで、蓮菜と田代君は分離され、留実子と鞠古君も分離された。
 
この学年には該当者は無いが、一卵性双生児はクラスを分けられる。また過去にイジメなどがあった場合、加害者と被害者は分けられる。
 
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逆に一緒にして欲しい人というのは多くは(精神的また身体的に)サポートが必要な生徒とその仲良しさんである。沙苗が性別移行した生徒ということで、仲の良い沢田玖美子と一緒にして欲しいという要望があげられていた。
 
新2年生は、男子46人・女子35人の合計81人とされた。前年度2月の段階では1組男14女13 2組男16女12 3組男15女12 の合計男45女37の合計82人だった。
 
(ここでセナは男子としてカウントされ座敷童子の小春は含まれない。だからスキー大会の時「1組は男13女15」と言われていたのと、その分ずれている)
 
しかし年度末で女子が2人転出し、男子が1人転入して81人になった。実は3クラスになるギリギリである。80人なら2クラスになる所だった(*18).
 
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それで生徒の名前をカード(男子は青いカード・女子は赤いカード)にプリントしてから、職員室の広いテーブルで、編成作業を始める。基本的には1年生クラスの男子女子各々を概ね3等分して新しいクラスに振り分けた上で、上記の分離したい生徒、一緒にしたい生徒を考慮して調整を掛けた。
 

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だいたい2時間ほどで、クラス分けの原案が固まる。
 
この段階で、1組男15女12, 2組男15女12, 3組男16女11 であった。27人ずつ3クラスである。
 
「これで何か問題は無いかな」
と言って、名簿を眺めていた時、他校から転任してきて1組を担任することになった吉永先生か「あれ?」と言った。
 
「1組に入っている高山世那君って、この子の名前、男子でも女子でも通る名前ですけど、確かに男子ですかね?」
「ん?」
 
実は吉永先生が世那の性別を確認したのは、先生本人の名前が“夏生”で、自身がこれまで、しょっちゅう性別誤認されてきていたからである。大学生時代、バイトに行って女子制服を渡されたこともあった(ほんとにこれ着て仕事しようかと一瞬思った:身長が164cmだし、69cmのスカートが入る←バイト仲間の女子がふざけて穿かせて確認した)。
 
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「緒方先生?」
と友永先生が尋ねる。昨年度からの持ち上がりは緒方先生だけなのである。友永先生は前年は3年生の担任だった。
 
「あら?どうだったかしら?」
と緒方先生も不確かである。
 
職員室の中で尋ねる。
「すみません。どなたか1年1組だった高山世那さんの性別をご存じの方、おられませんか?」
 
すると音楽の藤井先生が反応する。
「世那ちゃんは女子ですよ」
「ありがとうございます!」
 
(藤井先生は合唱同好会でいつもセーラー服を着ているセナを見ている)
 
「性別を間違っていたのか」
「男女どちらもある名前だもんね」
 
「じゃ取り敢えず生徒原簿修正します」
 
と言って、吉永先生は職員室のパソコンを使い、生徒原簿でセナが男子と記載されていたのを女子に修正した。この時、吉永先生は学生服を着たセナの写真を見ているのだが「性別が間違ってた」という意識があるので、頭の中が混乱して『学生服を着てるのが間違い』と思ってしまった!
 
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ということで、セナは女子の方に入れられたのである。すると
 
1組男14女13, 2組男15女12, 3組男16女11
 
となってしまった。
「バランスが悪い」
「1組の女子を誰か3組に移動して、3組の男子を誰か1組に移動すればいいね」
 
ということで、最初1組に入れられていた横田尚子が3組に移動され、最初3組に入れられていた祐川雅海が1組に移動されたのである。
 
「この祐川雅海君って、この子も男女どちらでもある名前だけど、この子の性別は?」
「祐川君は男子ですよ」
と緒方先生も彼の性別は確かだった。
 
そういう訳で、各クラスの構成はこのようになった。
 
1組男15女12, 2組男15女12, 3組男15女12
 
「全クラス男女比が同じ構成だ」
「美しい」
 
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それでクラス編成会議は終了して、各々に出席番号が振られた。この結果、セナは女子の出席番号24が振られたのである。
 
クラス振り分け名簿も印刷されて作業は終了した。
 
だから実はセナは写真を撮りに行く前に、既に女子に分類されていた。
 
つまり性別変更届け(そんなのあるの?)を出すまでも無かった!
 

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吉永先生は、クラス委員に任命する予定の恵香!(この子で大丈夫か?)と上原君に連絡し、生徒名簿を見せて、座席表を作ってくれるよう依頼した。それで4月3日(土)、上原君が恵香の家を訪問して、2人で座席表を作った。恵香が関わったので、ちゃんと小春の席も確保した。
 
「おお、高山が女子に入れられている!」
と上原君が楽しそうに声をあげる。
 
「性別変更届け出したのかもね」
「そんなの通るもんなんだ!?」
「性転換手術したんじゃない?」
「大胆な」
などと勝手な噂をしている。
 
「上原君も性転換してみる?」
「やだ」
と言ってから
 
「でも高山は、チンコ切ったんじゃないかという噂はあったな」
「ちゃんと割れ目ちゃん作ったんだったりしてね」
「へー」
「修学旅行までには女の子の形になってないと、お風呂入れないよね」
 
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「でも男子が2人多いから、どこかは男子同士2人並ぶよね」
「そりゃ女子の並びに入れるのは祐川で決まりだ」
「同意同意」
 
と言って2人は楽しく座席表を作成したのであった!
 
「祐川君って女の子みたいな声出せるの知ってる?」
「マジ?だったらあいつ、ホントに女になりたいのかなあ」
「セーラー服を着せられた所見たことあるけど可愛かったし」
「じゃ2年生のうちに性転換するかな」
「彼が女の子になれば、うちのクラス男女同数になるね」
 

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女子中学生の生理整頓(18)

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