広告:ここはグリーン・ウッド (第2巻) (白泉社文庫)
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■女子中学生の生理整頓(4)

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女子の第一試合は9:55からの予定だったが、男子の第一試合が早めに終わったので9:50に始まった。双方礼をしてコートに散る。ジャンプボールだが、留実子の身長を見て相手M中のセンターさんは諦め顔である。当然留実子が勝って、ボールは千里の所に飛んできた。
 
そのままドリブルで攻めて行く。ゴール近くまで来てパスする相手を探したが誰も居ない!?仕方ないので、千里はそのままランニングシュートでボールをゴールに放り込んだ。まずは2点。
 
こちらの助っ人2人は素人に近い(立ってるだけでいいと言われたらしい)ものの、久子と千里がよく相手のガードをかわして攻め込むし、リバウンドは全部留実子が取るので、こちらが優勢に進む。後半では留実子を何とか止めようと、相手はダブルチームを掛けて来たが、留実子も夏の大会の時からするとかなり進化していて、ダブルチーム掛けられても、それを突破するし、あるいは久子・千里にボールをパスしてそこから攻撃が進むので、どんどん点差は離れていった。
 
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結局43-62でこちらの勝利であった。この内、30点が留実子の得点。千里も18点取っていて、このふたりで得点の8割を稼いだ。助っ人さんたちも6点ずつ取った。久子はサポート役に徹したので得点は2点しか取っていない。
 

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「勝てた勝てた」
と友美鹿。
「でも交代要員が居ないと疲れるね」
と博実。
 
「この試合では千里全然スリー撃たなかったね」
と久子が言うと
「スリーって何だっけ?」
などと千里は言っている!
 
久子が頭を抱えている。親切な博実が教えてあげた(博実は千里がバスケ部員とは知らない。千里も千里がバスケ部員とは知らない!)。
 
「ゴールを中心に大きな半円が描かれてるでしょ?あれ半径が6.25m (*3) あるんだけど、あそこより外側からシュートして入ったら3点」
 
「それお得だね!だったら全部外からシュートすればいいじゃん」
 
「いや遠くから撃てばそれだけゴールする確率が低くなる。私なんか全く入らない。フリースローも入らないけど」
 
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「そんなもんだっけ?」
「じゃ千里、次の試合は全部あの半円の外からシュートしてみてごらんよ」
と久子が言う。
 
「分かった」
 
(*3) スリーの距離は2011年4月に6.75mに改められたがそれ以前(日本では)6.25mだった。シューターの技術が上がって高確率でスリーが入るようになってしまったので、確率を落とすための改訂。
 

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次の試合は11:45からの予定だったが、実際には11:38から始まった。相手はC中である。9月の大会で3位決定戦を戦った相手である。C中は最初から留実子にダブルチームを掛けて来た。しかし先の試合でも見せたように、留実子はダブルチームを掛けられても、それを振り切って進行したり、あるいはパスを出すので、ダブルチームはあまり効かない。それを見て向こうも第2ピリオドからは普通のマンツーマンに切り替えてきた。ただし4番を付けた向こうのキャプテンさんが留実子をマークする。
 
チームの得点は大半が留実子のシュートから生まれているのだが、第1ピリオドで2回、千里はスリーポイントエリアの外側からシュートし、2本とも決めて6点をゲットした。その間に留実子はランニングシュートやミドルシュートを5本決めて10点取っている。
 
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第2ピリオドで、久子は留実子がさすがにキャプテンとの対決では分が悪いようだったので積極的に千里にボールを回す。するとこのピリオドでは4本のシュートを撃って12点ゲットした。このピリオドでは留実子の得点は2本4点に留まった。
 
第3ピリオド。留実子をずっとマークしていたキャプテンさんが下がり5番を付けた選手が留実子をマークする。留実子はずっと出ているので疲れてきている所に、厳しいマークをくらうのでこのピリオドでは全く得点できなかった。普通なら誰かと交替させて少し休ませるのだが、5人ギリギリなので休むことができない。しかし千里は元気で留実子が封じられている間に6本のシュートを撃って18点を奪う。ここに至って、相手は
「千里もやばい」
ということをやっと認識する。
 
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第4ピリオドでは、キャプテンが千里をマークし、5番の人が留実子をマークした。どうも相性の問題があったようで、留実子は5番の人にかなり抑えられ、このピリオではシュート2本ゴール1本で2点取っただけだったが、千里はキャプテンにマークされていても、4本のシュートで12点ゲットした。
 
そういう訳で、この試合では千里が16本のシュートを全部決めて48点、留実子は14シュート8ゴールで16点を取り、52-64で勝って準優勝以上を決めた。
 

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試合終了後、千里は
「スリーポットライン(本人の発音ママ)の外側からシュートしてみたけど全然変わらなかったよ」
と言った。
 
「まあ君の場合は変わらないかもね」
と久子も呆れたように言った。
 
試合が終わったのは12:27である。
 
「あ、ごめん。剣道部の方に行っていい?」
「ああ、いいよ。じゃまたよろしくねー」
 
ということで千里は赤いスポーツバッグを持つと、市民体育館を出て隣の勤労体育センターに向かった。
 

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勤労体育センターでは、もう少ししたら個人戦が始まるので、玖美子が千里・沙苗と一緒に本部前まで行き、対戦表を確認していた。沙苗は“女子には初めて”参加するので、1回戦からであるが、千里も玖美子も1回戦は不戦勝で2回戦からである。
 
「私たちはしばらく待機だね」
と玖美子が“千里に”言ったのだが、千里が居ない!
 
「あれ?千里どこ行った?」
と玖美子が沙苗に訊く。
 
「今ここに居たよね。トイレにでも行ったのかな」
と沙苗も首をひねる。
 
ふたりが周囲を見回していたら、そこに“赤いスポーツバッグ”を持った千里が小走りにやってきた。
 
「くみちゃん、沙苗、ごめんねー。遅刻しちゃって」
などと言っている。
 
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「トイレにでも行ってたんだっけ?」
「え?トイレ?個人戦の時間を確認してから行こうかな」
「君の第1試合は15:05だよ」
と言って、対戦表を指さした。
 
「あ、やはり1回戦は不戦勝なのね」
「そそ」
「そうだ。S中の控え場所はどこ?」
などと千里が訊くので、沙苗は「はあ!?」という感じである。
 
玖美子は千里が“赤いバッグ”を持っているのを見て納得したように頷いた。
 
「ま、一緒に行こうか」
と玖美子。
「うん」
 

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それで3人で一緒にS中の控え場所に戻った。最初に武智部長に謝る。
 
「午前中は遅刻して大変申し訳ありませんでした」
 
しかし部長は千里の言う意味が分からない!
「君は何を言っている?午前中大活躍で優勝を決めたじゃん」
「へ?私がですか?」
「君がR中の前田さん、木里さんを連破してうちの優勝」
「私が!?」
と言って玖美子を見る。
 
「うん。千里が前田さんと木里さんに勝った」
「あ〜〜〜れ〜〜〜!?」
 
ともかくも千里は座ると、赤いスポーツバッグからお弁当を出して食べ始める。武智部長が驚いて
 
「お弁当2つ持って来たの?」
と言う。
「え?ひとつだけですよ」
「だってさっきもお弁当食べてたじゃん」
「うっそー!?」
 
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玖美子がおかしそうにしていた。
 

そういう訳で午後からは個人戦になる。女子の参加者は52人である。時間の予定は下記のようになっているが進行次第で早くなったり遅くなったりすることもあるので、対戦表に注意しておくこと、という指示がなされていた。呼び出しをしても3分以内に来ない場合は不戦敗となる。
 
13:00-14:20 1回戦 20試合
14:20-15:24 2回戦 16試合
15:24-16:04 3回戦 8試合
16:04-16:28 準々決勝 4試合
休憩10分程度
16:38-16:50 準決勝 2試合
休憩10分程度
17:00-17:06 三決
17:06-17:12 決勝
 
個人戦は男子が第1試合場、女子が第2試合場で固定。但し男子の1回戦のみは、2つの試合場を使用し、12:20-12:46に行われる予定。男子のエンドは17:26の予定である。
 
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女子の1-2回戦は平均4分、3回戦は平均5分、準々決勝以降は平均6分で計算されている。3回戦までは延長無しで本割で決着が付かなかったら判定となる(引き分けはジャンケン)。
 

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千里は2回戦からで15:05の予定になっていたので更衣室で下着から交換して、道着・袴を着た。
 
沙苗は男子では春の大会で3位になっているが、女子に参加するのは初めてなので1回戦からである。1回戦に出る子たちは沙苗の敵ではないので、軽く2本取って勝った。しかし2回戦では木里さんと当り、あっけなく2本取られて負けた。恐らく運営側がわざと最強の人に当てたのだろう。
 
木里さんは2回戦からいきなり強敵と当たって気持ちを集中するのに大変だったようである。普通は2〜3回戦は軽く流して準々決勝あたりから少しずつ気合が入ってくる。一方の沙苗は運営側の“操作”は認識するものの、女子の試合に出られただけで満足だった。彼女は団体戦では座り大将だったので、この2試合だけがこの日の対戦だった。
 
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千里は2回戦・3回戦を軽く勝ってBEST8に進出した。ここに残っていたのは下記8人である。
 
村山(S中1級1年)
沢田(S中1級1年)
前田(R中1級1年)
木里(R中初段1年)
麻宮(R中1級2年)
吉田(M中1級1年)
井上(C中1級1年)
阿部(H中1級2年)
 
“2強”のS中・R中から合計5人入っているのが凄い。また8人中6人が1年生である。
 
準々決勝の組合せはこのようになった。
 
村山┓
前田┻村山
麻宮┓ 
井上┻麻宮
沢田┓ 
阿部┻沢田
吉田┓ 
木里┻木里
 
村山−前田、木里−吉田は圧倒的な差だった。でも前田さんは千里に負けた後で首を傾げていた。
 
麻宮−井上は接戦を麻宮が制して2年生で唯一BEST4に進出した。沢田−阿部もかなりいい勝負だったが、延長戦で沢田(玖美子)が勝った。
 
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準決勝では千里は麻宮さんに鮮やかに2本取って勝った。木里さんも圧倒的な差で、玖美子に勝った。ただ、千里と麻宮の対戦を見た木里さんは首を傾げていた、
 

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そういう訳で決勝戦は千里と木里さんの対戦になった。“新人戦では決勝で闘ろう”と春に木里さんが言った通りの決勝戦である。
 
決勝戦に先立ち、玖美子と麻宮さんによる3位決定戦が行われた。延長戦にもつれる、いい勝負になったが、延長戦終了間際に玖美子が瞬間的な攻撃で面を取り勝った。それで玖美子は初めてのメダル獲得である。
 

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そして決勝戦となる。千里も木里さんも気合充分である。最初から激しい攻防となる。
「これは初段と1級の戦いじゃない。2段か3段同士の戦いだ」
と見学していた人たちから声があがっていた。どちらも瞬間的に攻めて来るが相手も瞬間的にそれを交わして1本が決まらない。
 
結局どちらも1本取れないまま延長戦に突入する。
 
延長戦に入ってもどちらも厳しい攻防を見せる。終了間際お互いやられるの覚悟で面を取りに行く。2人はほぼ同時に相手の面を打った。
 
声が掛からない!
 
つまり相打ちと見なされたのだろう。両者残心を残したまま引いて体勢を整え直す。そして再度面を取りに行く。
 

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僅かに自分の面の方が遅かった気がしたが、その双方の竹刀が相手の面に当たる前に時間終了のブザーが鳴ってしまった。
 
つまり面が打たれたのはブザーの後だから無効である!
 
結局判定になる。
 
千里の勝利!
 
木里さんは「やはり」という感じの表情だが、千里は「えぇ〜?」と思った。全然勝ってた気がしなかったのに。
 
そういう訳で新人戦の個人戦では千里が優勝(夏の大会準優勝)、R中木里さんが準優勝(夏の大会3位)となったのであった。
 
でも木里さんは試合場から退出した後千里に
「村山さん、午前中より強くなってた。本気で春までに鍛えるから、また決勝戦でやろう」
と言っていた。
 
 
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女子中学生の生理整頓(4)

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