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2月29日(日).
蓮菜の家に、わりといつものメンツが集まった。
2月初旬から蓮菜の家に飾られている七段飾りの雛人形を前に、おひな祭りの会を開いたのである(蓮菜の家では例年立春前後に飾り、3月3日の夕方片付ける)。
集まったメンツはP神社での勉強会のメンツとほぼ同じである。
蓮菜・玖美子・千里・恵香・美那・穂花・沙苗・セナ・留実子
それに玲羅と小町。
なお、恵香はもう風邪が治ったので出て来ている。
留実子以外は女の子である!
田代君と鞠古君は遠慮した。
「スカート穿いてきたら参加していいよ」と言ったのだが、田代君は「スカート穿いてそちらまで歩いて行く勇気が無い」と言い、鞠古君は「スカート穿いてたら留実子に殴られるから」と言った。
「まあ女子更衣室を使えるメンツだね」
「女子トイレを使えるメンツでもある」
「るみちゃんと小学生2人以外はセーラー服を着てるメンツだ」
「結局千里はセーラー服着てる訳?」
と留実子が訊く。
「私が学生服とか着るわけない」
「でも学生服を着た千里を数回見てるんだけど」
「それはきっと何かの見間違い」
「そうなのかなあ」
「お姉ちゃんは毎朝確かにセーラー服で出掛けてるよ」
と妹の玲羅も証言する。
「るみちゃんもセーラー服姿を見たことない」
「特に注意されないから、ほとんど学生服着てる」
「それでいいと思うよー」
留実子は学校では自粛?してウィッグを着けているが、今日はこのメンツなので丸刈りの頭を曝している。
「うちの中学はそのあたりがわりと緩いと思う」
「やはり女の教頭先生だから、そのあたりが柔軟なのだと思うよ」
「それは多分あるよねー」
おやつは、ひなあられ・菱餅のほか、キットカット・ミニチョコパイ・たけのこの里、などの大袋、白酒代わりのカルピス、朝から主として千里・恵香・美那の3人で(恵香の家の台所を借りて)作った鶏の唐揚げ、それに前日に予約しておいて朝から千里の母が車で買いに行って来たショートケーキ26個(1人2個は食べられるように少し多めに買ってきた)。
3月3日のひな祭りは千里の誕生日でもあるのである。
「そういえば千里は少し早めだけど、誕生日おめでとう」
「ありがとう。私毎年みんなに誕生日を祝ってもらってる」
「その代わり、毎年ひな祭りと合同だけどね」
なおこの日は『女の子の節句だから』というので、和服を着ている子もある。
蓮菜、千里、玲羅、恵香、美那、沙苗の6人が和服である。
「沙苗は小さい頃から和服が多かった」
「たぶん私がスカート穿くのにお父ちゃんが抵抗して、妥協で和服着てたんだと思う」
「でも男物の和服を着てる所は見たことない」
「そのあたりが妥協の落とし所だったんだと思う」
「だけどセナとかはお姉ちゃん居るから、そのお下がりのスカートとかもらってたんだろうけど、沙苗はお姉ちゃんいないよね。女の子の服はどうやって調達してたの?」
(セナは自分のことを言われてドキドキしている)
「お母ちゃんが買ってくれてたよ。私が穿きたいって言ってたから」
と沙苗は答える。
「おお、理解がある」
「パンツもセーラームーンのがいい、とか言ったらそれ買ってくれてた。だから私、男の子用のパンツ穿いた記憶が無い」
「そのあたりは私より進んでるよね。私小さい頃、不本意ながら男の子の下着つけてたもん」
と千里が言うと
「嘘をついてはいけない。千里が男の下着をつけてる所なんて見たことない」
と全員から言われる。
(なぜか全員小学1年生頃から、千里の下着姿を見ている。パンティに盛り上がりが無いのも見ている!)
「和服ひとつ持って来てるけど、セナ着てみない?」
「え?え?」
「セナも女の子らしく和服を着てみよう」
ということで、セナの着ている服を脱がせ、普通の下着(スリップとパンティ)の上に千里が持参した化繊の街着を着付けしてあげた。帯も締めてあげると、すごく女らしくなる。
(なおセナは髪の長さが“女子の標準長”になるよう、12月以降は髪を切らずに伸ばしている最中である)
「記念写真、記念写真」
と言って、みんな並んでいる所を蓮菜の母が写真に撮ってくれた。
「化繊だから、汚したりしても問題無いから、今日はずっとそれ着てなよ」
「うん。そうしようかな」
3月初め、きーちゃんは、T大神から呼ばれて、伊勢まで行き、大神と面会した。大神はおそらく1500歳くらいと思われる。まだ若い神様だが、この神社がこの地に鎮座した時からずっとここの主宰者である。神様になる以前の天女時代は若狭のほうに居たという噂がある。詳細は知らないが、当時はかなり苦労したらしく、そのためか、とても優しい神様である。きーちゃんはまだ“神様未満”だし、いつか神様になれるかどうかも分からないが、天女出身の神様としてT大神には親近感を抱いている。
「帰蝶さん、黒木徹夫さんが亡くなってからもうすぐ2年だね」
「はい、あと2ヶ月で三周忌になります」
「正確な日程はまだ決まってないけど、7月か8月くらいに新たな主(あるじ)に仕えて欲しい」
「了解です」
「今度は少し長い仕事になりそうだけど」
「・・・そうですか」
「詳細については、出羽のH大神に委ねる。そちらから連絡があると思う」
「分かりました」
と返事してから、きーちゃんは出羽のH大神に委ねるということは、藤島月華(鶴岡在住:“スピード狂”瀬高美奈子の祖母)に付くということかな?と思った。じゃ、千里との“セッション”も6月くらいまでかな、と考える。でも、出羽に引っ越すことになるなら、旭川の家自体を千里に貸してもいいかもしれない。あの子、L女子高への進学も考えているみたいだし(←千里の性別のことはもう完全に忘れている)。
しかし月華は今75歳くらいだし、あまり長くない気がするけど!?まさかあの人このあと30年くらい生きたりして!?(←正解!でも、きーちゃんは“長い”の意味を1桁くらい勘違いしている)
千里の誕生日3月3日は水曜日で平日である。平日なので“千里たち”は授業が終わったあと“いつもの行動”をしていた。
Y:バスでC町まで帰り、P神社で巫女さんをしながら恵香たちが来たら勉強会。
B:サブ体育館に行き、女子バスケット部の練習に出る。
R:メイン体育館に行き、女子剣道部の練習に出る。
(Yは学校が終わる前にバスに乗っているのではという疑惑がある)
貴司はその日、メイン体育館に道着姿で来た千里(千里R)に声を掛けた。
「これ誕生日のプレゼント兼ホワイトデーということにしていい?」
と言ってわりと豪華なホワイトチョコのセットを渡す。
「わあ。ありがとう!こないだはごめんね。後から考えたら私の勘違いかも」
(実は後で小春から“別の千里”がチョコを渡していたと教えられたのである)
「いや、気にしないよ。またデートしようよ」
「うん」
と言って2人は握手した。
「握手じゃなくてそこはキスを」
という声が周囲からあり、ふたりは照れていた。
さすがに周囲の目のある所ではキスはしない。
その日、サブ体育館で千里(千里B)がバスケのゴールを引き出していたら“貴司”がやってきた。千里に声を掛ける。
「これ誕生日のプレゼント兼ホワイトデーということにしていい?」
と言ってメイン体育館で(本物の)貴司が千里Rに渡したのと同じホワイトチョコのセットを渡した。
「ありがとう!嬉しい」
「いつかデートしようよ」
「そうだね。ごめんね。デートの約束してるとなんか用事ができて」
「うん。用事ができるのは仕方ない。またな」
「うん」
それで2人は握手した。それで“貴司”はサブ体育館を出て行った。
貴司を装って、本物の貴司がRに渡したのと同じ物をBに渡したのは、小春の友人だったキタキツネの子孫(孫の孫くらい)で源次という2歳の男の子キツネである。エキノコックスに感染していない!(これがとても重要)(*15)
源次は現在思春期に到達したばかりで、まだ生殖したことはないので、小春は彼を小町のお婿さんにできないかなと考えている。彼には
「あと2年くらいセックス我慢するなら、小町と結婚させてあげてもいい」
と言っている。
「2年も我慢するの〜?俺早くやりたいよー」
「オナニーで我慢してなさい」
「オナニーって?」
と訊くので教えてあげたら
「こんな画期的な方法があったとは」
と言って、毎日しているようである。
オナニーがあまりにも楽しくなりすぎて、メスのキツネに興味無くなってしまったらどうしよう?と、小春は一抹の不安を覚えている。
「まあ、その時は人工授精という手もあるか」
(*15) 源次には食事を提供するので野性の動物を食べないことを誓わせた。
そもそも小春は自分たちの系統(キタキツネと精霊のハーフのような一族)のエキノコックス感染防止のため、P大神との話し合いで、10年くらい前から、一族の生息地域に駆虫薬入り餌を撒いたり、一族の長老と話して、エキノコックスの中間宿主になるネズミやリスを“生では”食べないように指導している。それで一族を含めてこの地域のキタキツネの感染率は元々低い。(一族ではネズミ・リスは焼いて!食べている)
小春の所属がP大神配下からA大神配下に移動したことから、駆虫薬入り餌の散布は昨年春からA大神の拠点地域でも始めた。そちらにも元々同類の一族が何グループか住んでいた。オスは3歳になったら他のグループに行き結婚する。但しそのグループのメスに受け入れてもらえたらである!性格が悪いと結婚してもらえず、“一匹狐”として生きていかなければならない(大抵はすぐにヒグマの餌食になる)ので、この一族のオスは優しい性格の子が多い。
この一族は通常のキタキツネより成長速度が遅く、2歳くらいで性的に成熟する。寿命も10年くらいで、長生きの個体はメスなら17-18歳(オスでも14-15歳)くらいまで生きる(普通のキタキツネの寿命は6-7歳くらいで長生きの個体でも12-13歳くらいと言われる)。実際問題として、エキノコックスを駆除しただけでも寿命は確実に延びたと思う。
それで源次は今思春期まっただ中なのである。
(小町は2000年6月頃の生れで現在3歳。小春は1989年7-10月頃の生れで現在14歳だが、肉体が実質消滅しているので病気に罹ることはなく、生命エネルギーが残っている範囲で生き続ける予定:実際には2017年7月まで生きたので28歳くらいで死んだことになり、物凄い長生き)
なお源次は小町との子供ができたら、去勢される運命にあることをまだ知らない!
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女子中学生の生理整頓(12)