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■春拳(2)

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「よーし、狐拳行くぞ」
と土師さんが言う。
 
「何ですか?それ」
「知らんのか?」
 
と言って土師さんは説明する。
 
「狐はこう」
と言って土師さんは両手を頭の上に開いて立てる。
 
「猟師はこう」
と言って猟銃を握って相手を狙うような手をする。
 
「庄屋はこう」
と言って両手を膝の上に置く。
 
「それで、狐は猟師に撃たれて負け、猟師は庄屋に叱られて負け、庄屋は狐に化かされて負け」
 
「どこかで聞いたことある」
「んじゃ、芳野とそちらのお姉さん行ってみよう」
 
「え?俺?」
と芳野さん。
 
「済みません。私はドライバーなので」
と青葉。
 
「じゃ俺が代わりに行きます」
と彪志。
 
「よしよし。ふたり並んで」
と言われて席を替わり芳野さんと彪志が隣り合う席に座る。
 
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「それでこれを置く」
と言って、土師さんは日本酒をタンブラーに半分くらいまで注いだ。
 
「負けたらこれを飲み干す」
「え〜〜〜!?」
 
それで芳野さんと彪志でやると、芳野さんは狐、彪志は猟師で彪志の勝ちであった。
 
「さあ、芳野一気に飲もうか」
「ひぇ〜」
 

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この狐拳がかなり効いて、青葉を除く5人は全員かなりお酒に酔った状態で焼肉屋さんを出た。
 
しかしそれで解放してはもらえず、土師さんが「俺がおごるから」と言って土師さんの馴染みらしいスナックに連れて行かれる。
 
ドライバーの青葉だけオレンジジュースで、他の5人は水割りである。桃香はその水割りを美味しそうに飲んでいるが、彪志はさっきの狐拳でかなり日本酒を飲んでいるのでもう入らない雰囲気だ。
 
「ああ、引っ越ししたんだ」
「ええ。今までの所が学生時代に借りていた千葉市内の1Kで、会社まで遠いし狭かったので、今回は大宮で2DKです。通勤にも便利になるし」
 
「そこがふたりの新居?」
「えっと、まあ、そんなことになるかも」
「結婚式はいつ?」
「まだこの子が大学生なので、卒業してからになるかな」
「ああ、まだ先なんだ?」
「大学・・・・4年生?」
「すみません。1年生です」
「ああ、修士の1年?」
「いえ、学部の1年です」
「嘘!?」
 
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会話を聞いて、桃香が吹き出している。もう!
 

「大学1年なら免許は最近取ったの?」
と少しマジメそうな感じの芳野さんが訊く。芳野さんもかなり酔っているようだが、それでも水割りをお代わりして飲んでいる。
 
「はい。高校3年の夏休みに取りました」
「ああ、そのタイミングがいいよね」
「友人で大学に入ってからゴールデンウィークにぶつけて合宿に行って取った子もいるんですよ」
「なるほどなるほど」
 
「あれ、いつ取るかって結構問題だもんね」
 
「仕事してるとなかなか取りに行けない。でも俺たちの仕事は車運転できないとまずいし」
 
「特に仕事に車を使わない部署に勤めている人は、男でも免許持ってない人最近けっこういるね」
 
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「うん。うちの課長くらいの世代だと男は20歳くらいまでには運転免許取るのが必須だったらしいけど、少し時代が変わってきているみたいだよな」
と土師さんは言う。
 
「うちの会長くらいの世代だと、今度は運転免許持っている人が稀だったらしい」
「車がお金持ちの贅沢品だった時代だよな」
「3Cと言ったらしい。Car, Cooler, Color TV」
「庶民は自転車、扇風機、モノクロTVだよな」
 
「いや、モノクロテレビがあるのが中の上くらいの人たちで、中の下より下はまだラジオしかない世代だよ。近所の子供たちがテレビのある家に集まってみんなで『おかあさんといっしょ』見てたとか言ってたよ」
 
「会長の時代はそんな時代かぁ」
「ネコジャラ市の12人とかの時代?」
「11人!」
「そうだったっけ!?」
「会長はその前の前くらいのチロリン村とくるみの木とかの時代らしい」
 
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(注.ネコジャラ市の前が「空中都市008」、その前が「ひょっこりひょうたん島」、チロリン村はその前なので、前の前の前である。ただ空中都市008は1年で打ち切られたので印象が薄い)
 
「だけどトラック野郎なんて映画やってた頃は、運転免許持っている人は割引なんてしていたらしいね」
「つまり免許持っている人に割引きができるほど、免許所有者が少なかったということか」
「ということは今の40-50代の層がいちばん免許所有率高いのかな」
「ああ、そうなるかも」
 

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「でも運転することが多いと事故にも気を付けないとな」
「左藤は結局半年くらい入院することになるらしい」
「いや、それだけで済んで良かったよ」
 
などと彼らが言っているので、青葉は
 
「どういう事故、起こされたんですか?」
と訊く。
 
「夜中に市民病院から呼び出しがあって行ってきて、帰りに事故起こしたんだよ。警察は居眠り運転じゃないかと疑ったみたいだけど、本人は寝てなかったと主張している」
 
「いや、あいつの言ってることがおかしい。あまり変なこというもんでクスリやってんじゃないかと薬物検査まで受けさせられたみたいだね」
 
「変なこと?」
 
「それがさあ。運転していて、右足がかゆくなったんで、ちょっとかこうとしたらしいんだよ」
「はい」
 
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「それで右手を下に伸ばしたらさ」
「ええ」
 
「誰かの手に触れて、その手が握手してきたというんだ」
 
「嘘!?」
と桃香が驚いているが、青葉は無言である。
 
「それで驚いてハンドル操作誤って街路樹に激突したというんだけどね」
 
青葉は腕を組んでじっと考えていた。
 

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その日先輩たちから解放されたのはもう夜中12時近くである。
 
「ごめーん。遅くなっちゃって」
と彪志が謝る。
 
「まあ私は美味しくお酒が飲めたから満足だけど」
と桃香。
 
「じゃ、桃姉を送ってから車返しに行くね」
と青葉。
 
「車を返したら、青葉がアパートに戻れないのでは?」
「タクシーででも戻るよ」
「それはもったいない。明日の朝返しに行けば?」
「いや、それがエルグランドは明日の朝から別の人が使うことになっているんだよ」
「だったら、彪志君と一緒に都内のホテルにでも泊まればいい」
 
「あ、それでもいいかな」
 

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それで取り敢えず桃香を経堂まで送り、結局1時頃に恵比寿の冬子のマンションに辿り着く。マンションに戻る直前にGSで満タンにしておいた。メールしてみると、政子が1人らしい。その政子が駐車場の出入り口を開けてくれた。
 
エルグランドを所定の位置に駐めると、隣に駐まっている政子のリーフは窓が開けっ放しである。青葉が電話をして注意すると、政子は慌てて降りてきた。
 
「危ない。危ない」
と言って窓を閉める。
 
「物が無くなっていたりはしませんか?」
 
「うーんと。ETCカードは入っているし、孫の手はあるし、非常食のカロリーメイトもポテチもコーヒー缶もあるし」
 
「そこの後部座席に置いてあるパーティーバーレルは?」
「あ!大事なの忘れてた!」
 
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政子が食べ物を忘れるというのも珍しい話である。
 

青葉はその場で政子に鍵を渡し
 
「それじゃ、政子さん、エルグランド、ありがとうございました。ガソリンは満タンにしておきましたので」
 
と言った。
 
「サンキュ、サンキュ」
「じゃ、失礼します」
 
「せっかくだから、チキン2〜3本食べていかない?」
「そうですね。じゃ、1本くらい」
 
ということになり、一緒に上にあがった。
 

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「でも今日はどこに泊まるの?」
「大宮の方にふとんを持って行っているので、そこに泊まるつもりです」
「こんな時間に電車あったっけ?」
「さすがに無いので、タクシーで行こうかと」
 
「それはもったいない! うちに泊まっていくといいよ」
と政子は言う。
 
青葉は彪志と顔を見合わせたが
「じゃ、泊めてもらおうかな」
「うん。そうしようか」
 
ということで泊めてもらうことにした。
 

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上にあがっていくと、今日は政子の監視役として★★レコードの奥村さんが来ている。彼女は「マリ監視チーム」には入っていないはずだが、誰かが都合つかずに代わりに来たのだろう。さっきのマリの言葉からすると、ケンタッキーにはひとりで行ったようだ。監視チームの人なら付いていくのだが、多分「このくらい大丈夫。ひとりで行ってくるよ」とか政子に言われてマンションに残ったのだろう。
 
しかし駅前までケンタッキーを買いに行ったはずが、そのまま札幌まで行っていたりしかねないのがマリちゃんの困った所である。
 
政子はパーティーバーレルを開け、
「皆さんどうぞどうぞ」
と言うので、青葉も彪志も奥村さんも1本ずつもらう。
 
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「奥村さん、マリさんに振り回されてません?」
と青葉が言うと
 
「夕方、外食に出た時、銀座の町で一瞬見失って焦りました」
と言っている。
 
「お疲れになったでしょ? この後私たちが寝るまで一緒してますから、もう寝ててください」
と青葉が言うと
 
「じゃ、そうさせてもらおうかな」
と言ってチキンを1本食べ終わった所で、奥の6畳の寝室に行って寝たようである。ちなみに奥村さんがチキンを食べ終わった時、政子は既に3本目に入っている。
 

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結局チキンは青葉と奥村さんが1本、彪志が2本食べたのだが、政子が残り6本をきれいに食べ終えてから更に
 
「お腹空いた」
 
などと言うので、青葉が冷蔵庫の中のストックを使って焼きビーフンを作ると「美味しい美味しい」と言ってたくさん食べていた。彪志は眠そうにしていたので「先に寝てて」と言って奥の7畳半の寝室に案内する。
 
その後、青葉はマリと1時間くらいおしゃべりしていた。
 

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もう2時を回った頃、政子が
 
「少し眠くなってきたかな」
と言う。
「じゃ、そろそろ寝ますか?」
と青葉は訊く。
 
正直いいかげん寝たい!
 
「よし、ドライブしてこよう」
「眠いのにドライブは危険ですよ!」
 
「大丈夫だよ。夜風に当たったほうが眠気も覚めるから」
 
いや、眠気を覚まさなくても、もう寝ればいいのにと思う。が、仕方無いので付き合うことにする。
 
「どこまで行くんですか?」
「そうだなあ。レインボーブリッジにでも行こうかな」
 
それなら10kmくらいである。その程度なら大丈夫かなということで行くことにする。下の駐車場に降りてリーフの運転席に政子、助手席に青葉が乗って出発する。眠気防止のため、窓は運転席も助手席も開けるが、この時期は夜風がけっこう冷たい。
 
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政子が「どうやってアクアを説得して女の子に改造するか」という作戦をあれこれ話すのを苦笑しながら聞いている。どうも政子にとっては「楽しいおもちゃ」という感じだ。
 
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