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■春銅(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2020-11-08
 
(2020年)6月7日。朝、常総ラボの宿泊室で目覚めた須佐ミナミは、お湯を沸かしてカップスープを作り、食パンにハムとチーズを載せて朝御飯にした。
 
シャワーを浴びてから運動できる服装になり、2階の体育館に登って行く。
 
「これはもしかして」
と思わず声をあげて寄って行く。
 
「これいいな。あれ?もしかしてあれは」
と言って、そちらにも行ってみる。
 
「すごーい!」
とミナミは感嘆する。
 
体育館に多数の薄い板で作られた人形が置かれている。これは敵選手に見立ててコート上に適当に置き、その妨害をかいくぐってドリブルで侵攻していく練習をするためのものだ。そして2個、真ん中に横向きの穴と網がついた人形がある。これは味方にパスを出す練習をするためのものだ。
 
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「これ色々練習できそう」
とミナミは嬉しくなった。
 
体育館はバスケットのコートが1つだけ取られている小さなものではあるが、結構な練習できそうと思い、ミナミは取り敢えずウォーミングアップのためコートの周囲をジョギング始めた。
 

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あけぼのテレビでは5月上旬から、夕方にキャロル前田主宰でeスポーツの番組、深夜時間帯に丸井ほのか主宰の料理番組を放送始めたのだが、この2つの番組は時間帯が逆のほうがいいのではという意見が結構出て来た。
 
eスポーツの番組を見るのは圧倒的に若い人が多い。料理番組を見るのは主婦が多い。その活動時間帯を考えたら逆だろう、
 
ということで6月からこの2つの番組は時間帯が移動することになった。eスポーツは木曜19時から金曜の深夜時間帯に移動し、料理番組は日曜日の午前11時に移動した。木曜日19時からの時間帯には、姫路スピカ主演でドラマ『オズの魔法使い』が放送されることになった。信濃町ミューズ、信濃町ガールズのメンバーが多数出演する。スピカは在来局で端役はたくさん演じているのだが、主演は初めてで物凄く張り切っていた。
 
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『オズの魔法使い』の主な配役はこのようであった。
 
ドロシー 姫路スピカ
かかし 木下宏紀
木こり 篠原倉光
ライオン 白鳥リズム
西の魔女 ケイナ(特別出演)
北の魔女 マリナ(特別出演)
 
ローザ+リリンが特別出演で西の悪い魔女、北の良い魔女を演じるが、妊娠中のマリナは出番の少ない北の魔女を演じてもらうことになった。
 
ライオン役について、企画書を書いた川崎ゆりこは最初上田信貴を予定していたのだが、コスモスはスピカが初主演なのに、その周囲を固める3人が全員経験の浅い子たちばかりでは辛いと言い、忙しいのに申し訳なかったのだが、演技力のあるリズムを据えることにした。事実上の副主演である。
 
リズムの男装は・・・むしろ女装より人気がある!
 
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なお、ノンクレジットだが、スピカの従姉で顔立ちのよく似た竹中花絵をスピカのボディダブルに使うことにしている(これまでもしばしばスピカあるいはアクアのボディダブルやリハーサル役を務めている)。
 

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4月にオープンしたクレールの青葉通り店であるが、和実はコロナでテイクアウト・デリバリーの需要が高まっているのを背景に、デリバリー専用のメニューを設定。これをデリバリー専門のスタッフで配達しようと考えた。基本的にはお店から2km程度以内の指定町名区域であるが、前日までに予約されていた場合は、多少遠い所でも受け付ける。
 
このデリバリー部隊は基本的にスクーターで移動するが、スクーターの走行技術を見るために独自の試験をおこなって合格した人だけを採用している。
 
そして・・・
 
基本的には“女声が出せる”男の娘、あるいはスポーツ能力の高い女性というのを採用条件にした。
 
基本的にクレールはメイド喫茶で、メイドさんは基本的には女性なのだが、女性をデリバリーに使った場合、
 
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(1)町中では上の階との往復で体力を使う。
(2)個人宅への配達は性犯罪に遭う危険を伴う。
 
という問題があった。そこで男の娘か、スポーツをしている女性という方針でこの部隊を編成したのである。取り敢えず10人のチームを作ったが、この内、6人が男の娘で、4人がバスケット女子(実は若林公園の“織姫”体育館を拠点とする“仙台グリーンリーブズ”のメンバー)である。
 
彼女たちは、エレベータの無いビルでも平気で階段を駆け上って配達をしてくれたし、数回発生した客にセクハラされそうになった事件でもしっかり撃退して「次やったら警察に通報しますからね」と通告した。
 

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さて、青葉が浦和を出発した6月7日の夕方、優子と桃香はそれと入れ替わるように高岡を出た。
 
まず優子が自分のムラーノを出して桃香の家に行き、そこで一緒に夕ご飯を頂いた。一休みしてから、桃香を乗せて出発する。
 
最初にイオンモール高岡に行って食料品の買い出しをした(代金は桃香が払う)。一部の食品はクーラーボックスに入れる。それから東京方面に向かうが、高速代として桃香が優子に2万円渡した(小杉→川口西のETC深夜割引適用料金は片道6740円)。ガソリンを満タンに入れる。ガソリン代も桃香が払う。
 
今回は優子が全線運転する代わりに食事代を含めて費用は全部桃香が出すことにしている。小杉ICで北陸道に乗り、上り新潟方面に走る(北陸道は米原方面が下りで、新潟方面が上り)。
 
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蓮台寺PAでトイレ休憩した後、上越JCTから上信越道に入る。例によって霧が発生しているので慎重に走り、妙高SAで1時間ほど休憩する。上信越道を南下して、東部湯の丸SAで休憩し夜食を食べる。更に走って藤岡JCTで関越に入り、上里SAで仮眠した上で朝食を食べる。ちなみに桃香が優子とセックスしようとしたが、優子はしっかり撃退した。
 
「ああ、またちんちん切られた!」
「レイプ魔は去勢されて当然」
 
あまり混み出さない内に起き出し、ガソリンを補給してから関越を南下する。関越終点・練馬の直前の大泉JCTで外環道に入り、川口西ICを降りて、県道34号経由で県道35号(産業道路)を北上して浦和まで行く。
 
カーナビに従って桃香たちのアパート近くまで行くと、千里が立っていた。彼女に運転してもらって駐車場に入れた(昨日夕方まで青葉のマーチが駐まっていた枠)。
 
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京平は“お父ちゃん”と久しぶりに会ったので、桃香に抱きついている。桃香も
「悪いことしてなかったか?」
などと言って、京平の頭を撫でている。
 
彪志は既に出勤している。優子には仮眠してもらっておき、千里・桃香・京平の3人で出かけることにする。
 
京平はボーイズスーツを着せた。ドレスも可愛いなあなどと言っていたが、千里が今日はこちらにしなさいと言った。千里と桃香はレディススーツを着る。千里はマッシモドゥッティ、桃香はローラアシュレイである。マッシモドゥッティのスーツはスペインで買ったものだが、向こうは大柄な女性が多いので、千里の背丈でも、充分可愛い服を買うことができた。桃香はそもそもスカートタイプの服がほとんど無い!これは実は以前千里が着ていた服なのだが、千里がウェストを補正してあげて桃香でも着られるようにしたものである。
 
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アテンザに乗り込み、入園式の会場に向かう。
 

会場は市の体育館を使用している。幼稚園のお遊戯室では密になってしまうので広い会場を使うことにしたようである。
 
もちろん全員マスクをしている。入口の所で非接触式の体温計で体温を計られた後で、アルコールで手の消毒をしてから会場に入る。会場の体育館は全ての窓が開放されている。椅子も間隔を空け、スタッガード(市松模様式)に配置されている。スチームの発生装置が置かれている。匂いから次亜塩素酸水のミストだなと判断した。
 
入園式は30分ほどで終わるようになっていた。
 
「これよりDD幼稚園令和2年度入園式を始めます」
という宣言の後、君が代のCDが流されるが“歌わないで下さい”という指示がされていた。
 
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園長先生の挨拶がある。園長先生はドラえもんとのび太のペープサート(うちわ型人形:裏はジャイアンとしずかになっていた)を両手に持ち、ミニ劇を演じてみせて入園児たちの笑いをとっていた。
 
その後、PTA会長の(本当に)短い挨拶があり、幼稚園の先生の紹介がある。その後「これにて入園式を終わります」という宣言があり、式は終了した。
 
ほんとに短い入園式で、おかげで桃香は眠らずに済んだ!
 

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途中でミスドを買って帰る。帰宅して千里・桃香・京平・優子の4人でそのミスドを食べてお昼とする。その後、桃香と京平はお留守番をして、千里と優子でムラーノに乗り、千葉の川島家に向かった。
 
康子さんに挨拶し、仏檀にお参りをする。そして康子さんもムラーノに一緒に乗ってお墓に行き、そこでもお参りをした。その後、頼んでいた仕出しをお店に寄って受け取り、川島家まで戻って、3人で仕出しを食べながら、しみじみと信次を偲んだ。
 
「今回は信次の子供は全員欠席だけど」
と千里。
「信次さんの子供って、結局何人なんだっけ?私分からなくなって来た」
と優子。
 
「優子さんとこの奏音ちゃんが一番上。うちの由美が2番目で、3番目が波留さんとこの幸祐君」
「その3人だけ?」
「その内あと4〜5人出て来たりして」
 
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(千里はまだ緩菜の父が信次であることに気付いていない)
 
「男性同性愛で女性を愛せないと言っていた人が、そんなに女性との間に子供を作ったというのは驚異的だ」
と優子。
「まあ節操の無い子だったからね」
と康子。
 
「でも桃香だって女性同性愛で男には興味が無いと言いつつ、何人も子供を作っている」
 
「桃香の子供って何人いるの?そちらも分からなくなってきた」
と優子。
 
「私もよく分からない」
と千里も言うが
 
「私が把握している範囲では6人かな」
と付け加える。
 
「よく作ったね〜」
「母親はたぶん3人」
 
と千里が言うので、康子さんは
 
「桃香さんが母親じゃない訳?」
と訊く。
 
「桃香が子供を産む訳がない。あちこちの女の子を孕ませている」
と優子。
 
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「え〜〜!?桃香さんって男の人なの?」
 
「いや、女だけど、もっぱら孕ませる方ですよ」
と千里も言う。この点に関しては優子と千里の意見が一致した。
 
「全くあいつ節操がないから」
と優子。
 
「最近はどうもよく分からない」
と康子は思考停止ぎみである。
 

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「戸籍上は、早月ちゃんは母親が桃香さんで、父親は空欄よね?」
「そうです」
「由美は結局どうなってるんだっけ?」
「父親は信次さんで、母親が不明ですね、戸籍上は。ただし私の養子だから、法的な母親は私です。信次さんが父親だというのは裁判所の審判で認められました」
「幸祐は?」
「父親は信次さん、母親は波留さんですね。両親とも確定しているのはあの子だけ。もっとも信次さんか父親だというのは、こちらも裁判所で認められたものです」
 
康子さんはしばらく考えているようだった。
 
「ね。少し前から思ってたんだけど、早月ちゃんだけ法的なお父さんがいないのが可哀想な気がして」
 
「まあ本当は桃香は母親というより父親なんだけど、桃香は女なので認知できないので」
などと千里は言っている(どさくさに紛れて事実を歪曲!)。
 
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「それ、いっそ信次が父親だということにしちゃいけないかしら」
と康子は言った。
 
「え〜〜〜!?」
と千里も優子も驚きの声をあげる。
 

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「だって早月ちゃんが大きくなってから自分の戸籍見て、父親欄が空欄だったら寂しく思わないかと思って。信次が父親ということにすれば、由美ちゃんとお揃いで、姉妹で連帯感も出ると思うのよ」
と康子さんは言う。
 
「だけど、事実と違うから証明するものがないですよ」
と千里が言うと、康子は
 
「そんなもの捏造すればいいわよ」
などと言っている。
 
「うーん。それバレたらやばい気はしますが、一応桃香に伝えておきますね」
「うん、お願い」
 

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それで帰宅してから千里が桃香に相談すると、桃香はそれでも構わないと言った。
 
それで桃香と康子さんが直接電話で話し合った末、本当に早月の父親が信次であるということを認めて欲しいという審判を家庭裁判所に申し立てた。その結果、審判が通ってしまったのである。
 
それで結局、早月の父親欄には川島信次の名前が記入され、信次の法的な子供は4人(奏音・早月・由美・幸祐)になってしまうのである。
 
(遺伝子的に本当に信次の子供であるのは、奏音・由美・幸祐・緩菜の4人)
 

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この日(6/8)は千里・京平・彪志・桃香・優子の5人で晩御飯を食べた。むろん桃香が御飯を作って待っていたりする訳がないので、御飯(この日のメニューは豚汁)を作ったのは、帰宅した後の千里である。
 
この日、5人はこのように寝ている。
 
Room1. 優子
Room2. 京平と彪志
Room3. 桃香と千里(千里1)
 
桃香は久しぶりに千里とセックスができて大いに満足であった。
 
この夜、龍虎の代々木のマンションでは久しぶりにNが実体化したので、Fが物凄く喜び、3人でしゃぶしゃぶをして食べた。Nは朝には消えていた。
 
この夜、季里子がお風呂に入った後で自室に行くと桃香が居なかった。
「あれ?どこに行ったのかな?」
 
と思っていたら、桃香からメールがあり
 
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「朝までにまとめておかないといけなかった資料があったの忘れてた。ちょっと塾まで行ってくるけど、たぶん朝までには戻るから」
と書いてある。
 
大変だなぁ、と季里子は思った。
 
この夜、西湖のアパートでは食事を作っている最中に1人になってしまった。
 
「ボクどっちだっけ?」
と思って、お股の形を確認すると自分は女の子のようである。
「じゃボクはFか」
と思ったものの、料理(回鍋肉)が2人分あって多すぎるので、1人分はラップを掛けて冷蔵庫に入れた。明日食べればいいかなと思った。
 
でも翌朝にはまた2人に分離していたので、結局冷蔵庫に入れていた分をチンして西湖Mと西湖F(聖子)でシェアして朝御飯に食べた。
 
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