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■春変(19)
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さて・・・・観光タクシーを降りて施設の中に入り、受付で入場料を払い、宿泊の申し込みもする(宿泊は2人で8798円と、とっても安い)。
ロッカーの鍵は、真倫が女性用の赤い鍵、佐理が男性用の青い鍵をもらう。しかし、真倫は女湯には入れない身体だし、佐理は男湯には入れない身体なのでふたりは鍵を交換して、真倫が男湯へ、佐理が女湯へ、入ることにする。
これは以前にもやったことのある方式である。
「じゃまた後で」
と言って手を振って別れるが、佐理はお風呂に入る前に、ちょっと腹ごしらえしてから行くと言っていた。
真倫が男性用の脱衣室に入っていくと、変な視線は感じるものの、騒がれることはない。女性が男性用脱衣室に進入してきた場合、そこにいる男性の家族などに用事があるのだろうと思われる。これが逆なら即悲鳴をあげられ、通報されかねない。
ところが真倫が服を脱ごうとしたら、たちまち従業員の男性が寄ってきた。
「お客様、ここは男性用脱衣室です。女性のお客様は向こう側にある、女性用脱衣室をご利用ください」
「私、男ですけど」
「冗談はやめてください」
「ちゃんと付いてますから、触ってみてください」
「ちょっと待って」
と言ってその男性従業員は、50代の女性の従業員を連れてきた。
「このお客様が自分は男性だとおっしゃって、その証拠に自分には付いているから、お股を触ってみてくれとおっしゃるのですが、万が一にも女性だった場合、僕が触るのはまずいから、代わりに触ってみてほしいのだけど」
と説明した。
「分かりました。では触ってみていいですか?」
「どうぞ」
それでその女性従業員が真倫のお股を触る。
「お客様、私にはお股には何も付いてないように思われるのですが」
「嘘!?」
実は真倫も今触られた時の感触が変だったのである。
「すみません。トイレに行って、自分の性別、確認してきます」
「はい、それがよろしいかと」
そこで、真倫はいったん男性用脱衣室を出て、ロビーの女性用トイレに入った。(男性用脱衣室には女性用トイレは存在しない)
それでパンティを脱いでみて驚愕する。
「なんでこういうことになっちゃってるの??」
真倫は2〜3分考えていたが、急に不安になった。それで佐理に電話した。
「どうしたの?」
「もうお風呂入った?」
「まだ。今讃岐うどん食べた所で、お腹が落ち着いたから、今から入ろうかと思っていたところ」
「ねえ、お風呂入る前にトイレ行ってみなよ」
「なぜそんなことまで気にする?でも確かにお風呂入ってからトイレより、トイレ行ってからお風呂がいいよね」
それで電話を切った。
真倫はロビーで自販機のミルクティーを飲みながら待っていたが、5分後に佐理から焦ったような電話が掛かってきた。
「俺、ちんちんが生えてる」
「バストも無くなってない?」
「待って・・・あ、ほんどだ!胸が無くなってる」
「それで女湯に入ろうとしたら、すけちゃん、痴漢で捕まるね」
「ほんとだ。どうしよう?」
「私とロッカーの鍵を交換しない?それですけちゃんが男湯に入って、私が女湯に入れば問題無い」
「まりりん、女湯に入れるの?」
「私はちんちん無くなっちゃったんだよね〜」
「嘘。なんで?」
「理由は分からないけど、好都合じゃん。安産の神様にお参りしたから、私が赤ちゃん産めるように、性別交換してくれたのかもね」
「そんなんあり?」
「でもすけちゃん、男湯に入りたいでしょ?」
「・・・は、入りたい」
「ロビーに居るから来て。鍵交換しよう」
「分かった」
それで男子トイレを出た佐理はロビーで真倫と鍵を交換した。真倫は女湯に何の問題も無く入り、佐理は男湯に何の問題もなく入った。
「男湯に入ったのは小学1年生の時以来だよ。嬉しかった」
「よかったね」
「まりりんは問題なく女湯に入れた?」
「全然問題無いよ。私は男湯に入るのすごく恐かったから、女湯に入れてホッとした」
「俺たち、ずっとこのままなのかな?」
「元に戻ったら戻った時だけど、今の状態の方がお互い好都合だし、取り敢えずいいことにしない?」
「ね、ね、ね、今夜だけどさ」
「生でしてもいいよ」
「ほんと?やった!」
佐理がまるで子供のように喜んでいるので、真倫は微笑ましく思った。もっとも子供はセックスしないけど!?
ともかくも2人は観音寺の温泉で、何度目かの“初夜”を過ごしたのであった。初めての射精を経験した佐理は「こんなに気持ちいいものだったなんて」と、物凄く喜んでいた。真倫も佐理の愛を体内に受け入れて“女の悦び”を感じた。
坂口理都は、わずか2日で終わってしまった合宿の後も毎日ジョギングを中心とした自主トレを続け、少しずつ“男性時代”の身体の記憶も蘇ってきた、それで10月から始まった新人戦では、毎回2〜3点あげる活躍を見せ、順調に地区大会を優勝で飾り、都大会に進出した。
その地区大会が終わった後、11月2-4(土日祝)に、先日中断した合宿の続きが行われたが、前回全敗だった1on1で、理都は今回は3割くらい勝つことができて
「まだ本調子ではないみたいだけど」
とソラに言われながらも、何とか合宿選抜組の面目を保った。
「じゃ都大会で」
「うん。頑張ろう」
8月20日に初めての生理が来たのだが、次は28日後の9月17日に2度目の生理、そのまた28日後の10月15日に3度目の生理が来た。次は11月12日に来ることが予測された。
「生理って大変だけど、来る度に女になれたって実感を感じていいなあ」
と理都は思っていた。
「女に戻れたのを実感できていいなあ」
と宮田雅希(城崎綾香)は、再開後3度目の生理の処理をしながら思った。
雅希は小学6年生の頃までは生理が来ていた。しかし中学になってから急に生理が停まったかと思うと、唐突におちんちんが生えて来て、それ以降、生理は来ていなかったのである。しかし8月2日に突然女の身体になってから、14日後の8/16に1回目、その28日後の9/13に2回目、その28日後の今日10/11に3度目の生理が来た。
実は生理再開した8/16には生理用品を持っていなくて、たまたま仕事で一緒だったハイライトセブンスターズのひろしにナプキンを恵んでもらった。ちなみに、ひろしは純粋な男の子のはずで、ナプキンが必要とは思えないのだが、常時持ち歩いているらしい。
そういえば、数年前に“グループセックス”を重ねていた、フェイ、ひろし、アイ、綾香の4人は、結局戸籍上男の子同士であったフェイとひろしが結婚(フェイは出産に先立ち戸籍を女性に訂正した)、そして戸籍上女性同士である綾香とアイが事実婚する形でまとまってしまった。もうこの4人はグループセックスはしていない。各々のパートナーとだけしている。フェイとひろしは法的にも婚姻したが、アイと綾香はどちらも戸籍の性別を変更または訂正するつもりはないので、女同士でパートナー宣言するつもりである。
ちなみにフェイが産んだ子供(歌那)の遺伝子上の父親は実は綾香なのだが、このことはひろし・アイは知っているが、綾香は知らない。産んだフェイ自身はそもそも愛情というものを理解できない人なので、全く関心が無い。子育てする気も全く無いので、歌那ちゃんを実際に育てているのは、自分では子供を産めないモニカ(MTF post-op)である!(歌那はモニカのことを“おかあちゃん”、フェイのことは“ママ”と呼ぶ)
なお、フェイが妊娠を発表した時は、父親候補であった、ひろし・綾香・アイの3人がフェイに指輪を贈ったのだが、フェイはひろしとの婚姻届けを出した時に、アイと綾香からもらった指輪は返却している。
そして、アイと綾香はその“返却されたエンゲージリング”を交換した!!
「3つのRのReuseだよ」
などとアイは言っていた。(Reuse, Reduce, Recycle)
「だって私たち女同士だから、どちらもエンゲージリングを受けとる側だよね」
と綾香も言っていた。
なお、アイと綾香の性生活は、綾香が完全な女性になってしまっても
「じゃんけんで勝ったほうが男役」
などということをしている。綾香は結構男役でセックスするのにハマっているが
「なんなら男の身体に変えてあげようか?」
とアイが言っても
「ちんちんなんて、あんな面倒なものは要らない」
と言っている。
「オナニー随分楽しんでいたみたいだけど」
「早紀(アイの本名)のちんちんで遊ぶからいい」
アイは、男役も女役もどちらも各々良いなどと言っている。男の時と女の時でけっこう性格も違う気もする。男の子の時は結構やさしいのに女の時はドライだ。その落差にまた雅希は惹かれてしまう。
綾香は長年の習慣で、女の子の裸を見て興奮するので、結構アイと2人て一緒にAVを鑑賞したりしている。
「あの子、おっぱいの形いいね。やっちゃいたい」
などと言っているのはだいたい綾香である。
アイはひとつだけ気になることがあった。
それは綾香が男性化する以前、小学生の頃は生理があったという話である。綾香のことは、5α還元酵素欠乏症(5ARD - 5α Reductase deficiency)なのだろうと思っていたのだが、この疾患は5α還元酵素が無いために、まだ胎内にいる時期に、体内で生成された男性ホルモン(テストステロン)を身体を雄性化させる作用のあるジヒドロ・テストステロンに変換することができず、身体が胎内では男性化できずに女児のような外見で生まれてくるだけで、実際には男の子のはずである。だから生理など起きるはずがないのである。
でも本人を不安にさせるだけだし、詮索する必要はないとアイは思っていた。
「歌那ちゃんが男の子だったら、間違いなく雅希はY染色体を持っていることになるんだけど、女の子だったから、どちらもあり得るんだよなあ」
などとアイは独り言を言っていた。
「これ本当に困るよう。千里、勘弁してよぉ」
貴司は3度目の生理の処理をしながら情けない声を挙げた。
8月4日の夜、ひさしぶりに千里とデートしたのだが、朝起きたら千里は居なくなっていて、貴司の身体は女の身体に変えられていた。これまでは2018.3.18に美映との結婚を聞いた千里が激怒して貴司の男性器を取り上げ、何も無い股間(陰唇はあるがクリトリスやヴァギナは無い)で過ごしていた(2018.8.18にいったん返してもらったが、浮気未遂で8.31にまた取り上げられた)。
ところが、8月5日の朝に気づいた時、お股は、ペニスが無いのはいいとして(?)割れ目があり、クリトリスもヴァギナもある完全な女性形になっていたし、胸もCカップサイズに膨らんでいて、どこからどう見ても女にしか見えない状態になっていたのである。
(貴司は中国・台湾・韓国への出張が多く、入出国の度にトラブるが、面倒なので自分は性転換者であると主張することにしている)
なお、美映との関係では、美映は貴司がEDだと思っており(本当はペニスが無いのを作り物で誤魔化していた)、特にセックスは求めないので何とかなったが、バストを隠すのに困った。結局、ナベシャツで誤魔化す羽目になった。
それはまだ良かった(?)のだが、8月19日、お股から大量の血液が出て来て、ショーツを真っ赤にしているのに気づいた時は、一体どこを怪我したんだ?と思った。
ちょうど市川ラボにいた時だったので、お腹が痛くなって少し休んでいた貴司を、市川ドラゴンズの七瀬さんが
「どうかしました?」
と心配してくれた。
「どこか怪我したみたいで」
「見せて」
と言って、そこを見てくれた七瀬さんは
「なんだ。生理じゃん。何、無知な小学生女子みたいなこと言ってるのよ?」
と言った。
ちなみに市川ラボでは、最初ここに紹介された時、(千里の眷属達の悪戯で)貴司は女性として紹介されているので、ここで練習する時、貴司はいつも疑似バストを取付けて女を装っていた。
むろん本当は全員貴司の性別は知っているが、悪戯の延長で、貴司は女子を装い続けている。だから女子に生理があるのは全く普通である。
「せ、せいり?」
「もしかしてナプキン持ってない?」
「持ってません」
「じゃ貸してあげるよ」
と言って、前橋さんは1枚貸してくれたのである。
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