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■春変(17)

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(C)Eriko Kawaguchi 2020-06-13
 
10月9日、星良は八幡浜市の旅館で、爽快に目が覚めた。またトイレで女の子式のおしっこをするが「本当にこのタックよくできてるなあ。女の子のお股にしか見えないよ」と感心していた。(バストが大きくなっていることについては、よく分からないので取り敢えず放置している!)
 
朝御飯も食べてから一休みし、10時頃精算して宿を出る。そして帰りは内陸のR56の方を通って伊予市に出た。その後はR11をひたすら走り、夕方鳴門市に到着する。途中2度ほど、コンビニに寄ってトイレ休憩し、軽食を取っている。鳴門市ではこの日もわざわざ旅館を予約して泊まった。この夜も星良は大浴場の女湯に入ったが、バストがあるし、お股はタックしているので、ノートラブルで入浴することができた。
 
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女湯っていいなあ、落ち着くんだもん。男湯は凄く緊張していたけど、女湯は入っていて全然ストレが無い、と星良は思った。本当にタックは素晴らしい(なぜバストがあるのかについては何も考えていない)。
 
渚さんからは、
「88番札所まで打ったから、明日朝1番に1番札所の霊山寺を打って終了」
というメールが入っている。
 
「2番札所から始めたの?」
「1番からだよ」
「なんでそこにもう一度来る訳?」
「だって88で終えたら、88番と1番の間の道を通らないことになって、円が完成しないじゃん」
「あ、植木算か!」
「ああ、確かに植木算かもね」
 

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10月6日(日)、ローズクォーツの全国ツアーが初日札幌公演から始まった。
 
出演者は、ローズクォーツ(B.マキ G.タカ Dr.サト KB.ヤス)と“代理ボーカル”のローザ+リリン(マリナとケイナ)、それからサポートミージシャンとして、Tb.金沢満(かなざわみちる), Tp,佐藤天美(さとうあまみ)、Horn.佐々木芳恵(ささきよしえ)という3人の管楽器奏者が入っている。この管楽器の音がサウンドに厚みを持たせてくれて、これまでのローズクォーツには無かった世界を創り出していた。今回は『Brass Quarts』というアルバム企画であった。音源制作の時は別の管楽器奏者が参加しており、この3人は今回のツアーでインペグ屋さんを通してお願いした人たちである。3人とも女子大生らしい。
 
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「女性のトランペット奏者とかホルン奏者って格好いいですね。憧れちゃう」
などとマリナが言うと
 
「ああ。私、結構女性ファンが多いんです。女の子からデート申し込まれたことも何度もありますよ」
とトランペットの佐藤さんは言っていた。彼女は本名は佐藤真美(まみ)らしいが、誰かが「あ」を入れちゃって“あまみ”になりましたと言っていた。普段は自分のバンドでライブハウスなどに出ているらしい。
 
しかし佐藤さんの言葉を聞いて、この子たち、ひょっとして自分とケイナも女だと思ってない?とマリナは思った。
 

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ライブは17:00開場・18:00開演で、20:20頃にアンコールまで終了した。内地の公演より1時間早いのだが、内地との“時差”を考慮したものである。青森県出身の大宮副社長がこの時間を設定した。
 
公演が終わってから、後片付けをイベンターの人たちに任せて、下記の12人がマイクロバスで宿泊地の定山渓(じょうざんけい)温泉に移動した。
 
ローズクォーツ 男4
ローザ+リリン ?2
管楽器奏者 女3
スタッフ(甲斐窓香・大宮副社長・★★レコードの坂口平太) 男2女1
 
合計男6 女4 ?2の12人である。マイクロバスの運転はレンタルしたバス会社のドライバーさんがしている。
 
バスの中では公演で疲れているので、ローザ+リリンも、管楽器奏者も寝ていて起きていたのは、ひたすら飲んでいたタカとマキ・ヤス、坂口さんである。サトは寝ていた。甲斐窓香は責任上起きていたが、むろんアルコールは口にしていない。大宮さんも「疲れたからごめん」と言って寝ていた。
 
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21時すぎに到着してから、打ち上げをするが、乾杯した後は、30分ほど御飯を食べた所で女子大生3人、ローザ+リリンは「すみません。眠いので寝ます」といって退出した。実を言うと、女子大生たちが退出のタイミングが分からずにいるようだったので、一緒に退出してあげたのである。
 
「もう寝るといいよ」
とマリナは3人に言う。
 
「ありがとうございます。あ、でもお風呂入ってからにしようかな」
「ケイナさんたちも一緒に温泉行きません?」
「そうだな。行こうかな」
とマリナは言った。ケイナは困ったような顔をしている。
 
「大丈夫だよ。もう22時だから、ピークはすぎてるし」
とマリナは小声でケイナに言った。
 

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それで一度部屋に戻ってから温泉に行く。ちなみに部屋は女子大生は3人一緒の部屋、マリナとケイナがひとつの部屋である。
 
「ケイナさんとマリナさんって、ビアンのカップルなんですって?」
と女子大生が言う。
 
「いやただの友だちだよ」
「ええ。そういうことにしておきますね」
 
どこでどう間違うと、そういう情報になってしまうのだろう?とマリナは思った。随分ゲイの夫婦には間違われたけど。そもそもこの子たち、自分たちが男とは知らない感じでもあった。
 
矢印に沿って進んでいくと、やがて通路の突き当たりに赤い暖簾(女と書いてある)と青い暖簾(男と書いてある)が並んでいる。
 
5人はおしゃべりしながらここまで来たのだが、突き当たりでマリナは
「じゃまた後で」
と言って、青い暖簾のほうに入ろうとした。
 
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ところがそこに佐藤さんが、首に抱きつくようにして停める。
 
「マリナさん、酔ってるんですか?そちら、男湯ですよ」
「女が男湯に入ったら痴漢で捕まりますよ」
と佐々木さんも言う。
 
それでマリナとケイナは強引に女湯の暖簾の中に連れ込まれてしまったのである。
 

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「どうする?」
とケイナが小声で訊く。
 
「入れないことないと思うけどな。過去にも何度か入ってるし」
とマリナは平気で言う。
 
実はどちらにも入れるように、マリナはあそこをタックしておいた。ふたりともバストは無いものの、それは何とか誤魔化せることを過去の経験で知っている。
 
その時であった。
 
「あれ?ケイナちゃんとマリナちゃんじゃん」
と声を掛ける人物がいる。
 
「丸山アイさん?」
「おはようございます」
「おはようございます」
 
女子大生たちも丸山アイを認識して笑顔で「おはようございます」と言った。
 
“おはよう”の挨拶が飛び交っているので、周囲の他の客が怪訝な顔をしている。
 

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「こちらは営業か何か?」
「ローズクォーツの公演だったんですよ」
「ああ、例の“代理ボーカル”という建前の年替わりボーカルか」
「今年度は私たちが選ばれたので」
「ローズクォーツの代理ボーカルしたデュオはたいていその後売れてるよね」
「私たちもそうなればいいのですが」
 
「ところで君たち結婚式をあげたと噂で聞いたけど」
「ガセネタでよぉ。私たちそもそも同性だし」
 
「そうなの?マリナちゃんが性転換手術をしたとかいう噂は?」
「まさか」
 
「ふーん」
と言うと、丸山アイは、何か悪戯でも思いついた小学生のような顔をした。何だろう?と思ったら、アイはいきなりマリナの服の中に手を入れてきた。
 
「何です?」
とマリナはびっくりして言う。
 
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「マリナちゃん、おっぱい小さい」
「すみませーん。育ちが悪いみたい」
 
「ケイナちゃんはどうかな?」
と言って、アイはケイナの服の中にも手を入れてくる。
 
「わっ」
とケイナも声をあげた。
 
「ケイナちゃんもおっぱい小さい」
 

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「丸山さんはおっぱい大きそう」
と佐藤さんが言う。
 
「じゃご披露」
と言ってもアイは服を脱いで裸になる。Cカップサイズのバストを曝す。
 
「私、Cカップしかないよ」
とアイは言うが
「私はBです」
「私もBです」
「私、まだAなんです」
と女子大生3人の声。
 
「まあ君たちはまだ成長期だからね」
とアイは彼女たちに答える。
 
「マリナちゃんも脱ぎなよ」
とアイが言ったが、マリナはこの時、脱いでいい気がした。
 
それで服を脱いだ。お股にはもちろん何もないので、ケイナが驚いている。そして上も脱いだら、ブラジャーを外した内側に、Bカップサイズのバストが出てくる。
 
「女子大生たちと大差無い。マリナちゃん、幾つ?」
「35歳になっちゃいました」
とマリナは答える。
 
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「でもまあ個人差の範囲だよね」
とアイ。
「これが何も無い真っ平らな胸だとやばいけどね」
とマリナは内心どうなってんだ?と思いながらも平然とした顔で言った。
 
「ケイナも脱ぎなよ」
とマリナが言うと、ケイナもなんかどうにかなる気がした。それでスカートを脱ぎ、パンティを脱ぐと、何も無いお股が出てくる。これは先日からずっとこういう状態である。
 
そして上も脱いだら、ブラジャーの中からCカップサイズのバストが出て来たのでケイナ自身が仰天している。
 
「何変な顔してるのさ?」
と丸山アイ。
 
「ケイナは昨日まではAカップしか無かったのに。今Cカップになってるから驚いているのよ」
とマリナが言う。
 
「ああ。北海道は重力が小さいからバストも重力から解放されて大きくなったのね(*4)」
とアイが言うと
「そういうこともあるんですね」
と女子大生たちが感心していた。
 
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(*4)アイは(多分わざと)間違っている。北海道は本州や沖縄より重力が大きい。北海道で本州と同じ体重計で測ると体重が重く表示されるので、同じ体重になるように北海道で売られている体重計は調整されているという説もある(この噂?を否定する説もある)。実際には宮古島と択捉島で差は50g程度(体重60kgの人で)である。体重計はまだいいとして、科学技術や医療・薬品関係などで使用する正確な電子スケールは必ず使用する緯度に合わせた調整が必要である。
 
地球の表面における重力は、赤道が最も小さく、南極・北極がいちばん大きい。赤道に近づくほど重力が小さくなるから、種子島にしてもフロリダにしてもバイコヌールにしてもロケット打ち上げ基地は南方に作る。少しでも打ち上げに必要な燃料を節約するためである。
 
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ともかくも、そういう訳で、マリナとケイナは無事(?)女子大生たちや丸山アイと一緒に、定山渓温泉の女湯に入ったのである。
 
部屋に帰ってからケイナは悩んでいたものの、マリナは
「悩むこと無いよ。まあその内何とかなるって」
と言って、スヤスヤと熟睡したのであった。
 
ちんちんが無くなっちゃったことについては個人的には「どうせ自分のではなかったし」とも思っていた。
 

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翌日、マリナは自分の事務所の社長に電話した。
 
「すみません。ちょっと体調を崩したのか、男声が出にくいんです。今回のローズクォーツのツアーでは女声で歌ってもいいですか?」
 
実は女の身体になってしまったので、男の声が出ないのである。
 
「ああ。そういえばマリナちゃん、性転換手術したんだったね?それで男声が出にくくなったのかな。まあ今回のツアーは構わないよ」
 
なんか誤解されてるなあとマリナは思った。マリナはまたローズクォーツの実質的なまとめ役であるタカにも電話した(本当のリーダーはマキだが、マキについては「君臨すれども統治せず」でよい、とケイは言っている)。
 
「なんか喉の調子がよくなくて、男声がうまく出ないんですよ。うちの事務所の許可は取ったんですが、次の公演から女声で歌っていいですか?」
「ああ、いいよ。そうだ。マリナちゃん、性転換手術して女の子になったんでしょ?やはり性転換すると男声が出にくくなるのかな?」
「ええ。タカさんが手術したのと同じ病院で手術したんですよ」
「俺は性転換してないよ!」
 
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ちなみに“ローズクォーツのタカ 性転換手術”でネット検索をすると、“ヤンヒー病院”と表示されることは、タカ本人以外の多くの人が知っている(タカの奥さんさえも知っている!)。
 
それでこの後、マリナとケイナはこのツアーでは女声で歌ったので、男声で歌うマリナとケイナは、札幌の観客だけが見たのであった。女子大生3人は、
「札幌では声の調子が悪かったみたいですが、金沢以降はちゃんと普通の声が出ていましたね」
などと言っていた。
 
ちなみに、元々のマリナとケイナの“男声”は、若い頃の財津和夫・さだまさし・南こうせつ、などに似たハイトーンボイスで、そもそも男声であることに気づいていない人もわりとある。
 
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