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映像は、馬を降りた桃たちが、“休処”と書かれた建物に入って行く様子を映す。案内係(早幡そら)が「いらっしゃーい」と歓迎する。
(アクアのボディダブルとして7月頭から1ヶ月、目の回るような忙しさだったのにどこにも自分の顔は映っていなかった早幡そらがここだけ顔出しした)
語り手「その頃までは旅は基本的に野宿だったのですが、女子供にとって野宿は辛いので、かぐや姫からもらう黄金を使って、都から富士までの途中、だいたい20里から40里、つまり 10-20km (*213) おきに、休める場所を作り管理人を各々の土地で雇いました」
(*213) 当時の里(り)は現在の約500m.
「竹細工・紙・お菓子や果物を売るお店、更に飲食店も併設しています。筆記具貸出しサービスもします。字が読み書きできない人のために口述筆記もします。実は旅人には紙が結構売れ筆記具の貸出し・口述筆記も人気でした。手紙を運ぶサービスもしました。更にぼろ布の買い取りもしています。麻紙の材料になるのです。この買取りがまた繁盛しました」
「ここは一般の人でも代金さえ払えば、屋根の下で夜を過ごすことができて、寒い時期は藁くらいもらえて、御飯も食べられる場所です。泊まらずに食事だけすることもできます。これを最初“やすみどころ(休処)”と言っていたのを略して“やど”というようになったそうです」
(視聴者の声「今一瞬信じそうになった」(*214))
(*214) “やど”とは“屋の処(と)”が語源で、“家屋のある場所”という意味。自分の家も仮の宿泊場所も等しく“やど”と言った。そこから派生して“屋戸”と書いて家の戸を意味したり、“屋前”と書いて家の庭を意味したりした。一方“やどる”は“屋取る”であり、“やど”とは直接関係ない!
“やど”の“ど”は甲類(dwo)
“やどる”の“ど”は乙類(do)
現在ではどちらも“お”の母音だが、奈良時代頃は発音も異なっていた。
しかし後に日本語の発音から甲類・乙類の区別が消え、それに伴い両者は発音が似ていることから混用されるようになった。
“休み処”から“やど”というのは、前半は間違っているが後半は正解。
吉原の休処で1泊した後、5人が馬で富士に向かいますと、いつものように銀色の女性“雪兎”(ゆきえ)が現れて、桃たちを案内します。どうもあの小屋は雪兎が案内しない限り辿り着けない場所、恐らくはこの世と月世界の中間にあるものと思われました。
そして山小屋で、1年振りにかぐや姫と会いました。
かぐや姫も石上麻呂も雪子・月子を抱きしめます。そして桃もかぐや姫に抱きしめてもらいます。
「ごめんね。ずっとそばに居られなくて」
と言って、かぐや姫が泣いているので、桃も涙を誘われます。
「桃にもたくさん苦労を掛けてごめんね」
「大丈夫ですよ。この子たち病気ひとつしないで丈夫だし」
「それで今度はこの子をお願い」
と言って、かぐや姫が赤ちゃんを渡すので桃は受け取ります。
「可愛い子ですね」
「名前は花子で」
「分かりました」
語り手「かぐや姫の子供が上から雪子、月子、花子だったので、そこから“雪月花”ということばが生まれたのだそうです」(*215)
(*215) 本当は白居易の漢詩から生まれた言葉。
五歳優遊同過日
一朝消散似浮雲
琴詩酒伴皆抛我
“雪月花”時最憶君
幾度聽鶏歌白日
亦曾騎馬詠紅裙
呉娘暮雨蕭蕭曲
自別江南更不聞
- 白居易、寄殷協律
(白居易が協律の殷に寄す)
5年の間、君と過ごした日々は
あの朝、突然浮雲のように消散した。
琴を弾き詩を詠み酒を交わした友も皆去って行った。
雪・月・花を見る時、特に君のことを思っていた。
何度、黄鶏の歌を聴き、白日の曲を歌い、
馬に乗って、赤い衣の美女を詠じたろうか。
でも呉娘の「暮雨蕭々」の曲は
江南で君と別れて以来一度も聞いていない。
西洋の詩人は異性との再会を歌い、中国の詩人は同性の友人との再会を歌う!協律というのは部署の名前で、友人の名前が殷である。この詩が読まれたのは825年で、かぐや姫より後の時代だったりして。
日本では雪月花に“風”を加えて、春=花、夏=風、秋=月、冬=雪、とする考えもある。宝塚の組は元々は雪月花にあわせて雪組・月組・花組の3つだった。
語り手「そういう訳で桃が昇天の時かぐや姫に言ったように、彼女はかぐや姫の子供の成長を見守っていくことになったのです」
(男子視聴者の声「要するにかぐや姫って産み捨ての育児放棄女では?」)
(女子視聴者の声「私がアクアちゃんが産んだ赤ちゃん育ててあげたい」)
看板係(麻生ルミナ)が黄金の服を着て「完」と書かれたプラカードを掲げる。そしてエンドロールになる。出演した人はクレジットした人だけでも200人を越えた。本当に映画並みの大作だった。実際普通の映画の倍の尺がある。
エンドロールのバックにアクアが歌う『竹取物語』が流れる(*216)。
視聴者の声
「かぐや姫は地上に残る結末かなと思ったがこのエンドもありと思う」
「かぐや姫の相手になり得たのは、阿倍右大臣か石上麻呂だけだった。この2人だけが最後までマジメにやった」
「松田理史君が演じた阿倍御主人(みうし)とくっつくかと思ったのに」
「こういう結末だから石上麻呂が宇菜ちゃんだったのか」
「アクアとラブシーンしてもファンから殺されそうにない数少ない人物」
「かぐや姫が桃に赤ちゃん渡すシーンでは泣いたけど、その後は蛇足だったな」
「蛇足に更に羽根描いて火炎放射までさせた感じだ」
鳥山プロデューサーのコメント
「昨年の『浦島太郎』が涙の感動シーンで終わったので今年は笑いで終えたかったんですよね。蛇足というご批判はその通りだと思います」
視聴者の声
「たぶん10月に制作する長編時代劇のテスト出演というのもあったんだろうけど、信濃町ガールズ総出演だったね」
「特に新人をどんどん重要な所に使ってた」
「桃を演じた川泉パフェちゃんって、可愛いし上手かったね。エピローグはパフェ主演って感じだった」(*217)
「今年のビデオガールコンテストの優勝者らしいよ」
「凄い。だったら1月にはCDデビューかな」
「歌も凄くうまいらしい。今年は舞音ちゃん効果で凄いレベル高かったのに圧倒的1位だったというし。今回歌は歌わせなかったけど」
「こんな強力な子が出て来たら、本当に§§ミュージック戦国時代だ」
(*216) アクアの日程が詰まっていてこの曲の音源制作は放送当日、放送1時間前に完了した!万一間に合わなかった場合に備えてラピスラズリ版も用意していた。
でも翌日の昼からオンライン・ストアで公開された!!
CDは1週間後(8/31)、サウンドトラックは半月後(9/7)にリリースされた。
そもそも放送のビデオが完成したのが(アクアの歌部分を除いて)放送前日だった。編集スタッフは尺に収めるのに物凄く苦労した。結果的にクレジットされているのに全く映ってない人が結構出た。
七尾ロマンなども顔が全く映ってなくて(清涼殿の庭でひれ伏しているだけ)、思わず「ひっどーい!」と叫んだ。再放送版で1秒だけ映った!再放送版ではアクアの歌が更新されているのも報告されていた。シングルとして発売したバージョンに差し替えられた。
その他、再放送版で変更されていた主な箇所:
・車持皇子が旅村をレイプしようとする所→カット
・玉姫が車持皇子に玉取りを勧めるシーン→カット
・Pumpkin Coachのメンバーが海の底から真珠を採ってくるシーン→復活
・車持皇子が鬼ヶ島を探検するシーン→復活
(犬・猿・雉を演じる常滑舞音と水谷姉妹の熱演が復活!)
この番組は8月28日の再放送が、8月20日の本放送以上の視聴率となった。
なお再放送でカットされた場面は映画版・DVD完全版では復活した。クレジットされていた人全員の出演シーンが含まれている。
(*217) 川泉パフェがエピローグの主役のようになったのは偶然の産物である。
最初に書かれたシナリオでは、竹取翁が富士まで行って、かぐや姫から赤ちゃんを託される展開だった。しかし台本を読んだ一部の出演者からこんな感想が出た。
「月の世界に帰ったって実質死んだのと同じですもんね。結婚目前の娘が死んだら精神的な回復に1年掛かるでしょうね」
それをたまたま耳にした美高助監督が河村監督(美高さんの夫)に相談する。
「そもそも当時、ホテルも車も無かったのに70歳って今なら80か90くらいに相当する高齢でしょ?しかも翁はかぐや姫の昇天で酷くやつれている。その状態で遙か静岡まで野宿の旅をして、更に富士登山できる?」
監督も疑問を感じたので監督・助監督・プロデューサー・脚本家で話し合った。それで確かにこの展開は無理があるということになった。そして誰か代理で受け取ってきて翁・媼に見せる案が浮上した。
代理ができるのは結局かぐや姫に仕えていた女房の誰かだろうということになった。この時点でもう制作は始まっていて、時間的にも出演者の気持ちを考えても、今更女房役の変更はできない。スタッフが最初に考えたのは、夕波もえこ演じる松である。彼女は§§ミュージックの"New Wave" のひとりで演技力も期待できる。しかし彼女は警護役の女房であり、サポート役にはなるが中心にはなれない。女童2人も除外される。すると下記の4人の中の誰かがこの役をすることになる。
藤:花園裕紀
桐:箱崎マイコ
紫:広瀬みづほ
桃:川泉パフェ
演技力の問題でまず箱崎マイコが除外される。 残り3人でスタッフの意見は割れた。経験の長い花園裕紀、『陽気なフィドル』『黄金の流星』『お気に召すまま』と3本のドラマ・映画で端役と看板係を務めた広瀬みづほ、未知数の大器・川泉パフェ。藤はこの家の女房頭で翁の代理者として適格である。紫はかぐや姫の取り次ぎ。そして桃はかぐや姫に最も身近で仕えていた女房であり、かぐや姫に最も精神的に近距離であった者である。
なかなか結論が出ない中鳥山プロデューサーは言った。
「ここは経験云々より演技力で選ぶべきと思うんです。みなさん、ここまでの撮影を見てきた中で最も演技力のあるのは誰だと思いますか?」
「だったら結論は明らか」
ということで、未知数の新人・川泉パフェに賭けてみることにした。
そしてパフェは鳥山さんの期待に応え、物凄い熱演をしてくれた。彼女の演技はほんの半月前に事務所と契約したばかりで、テレビドラマ初出演とは思えない実に堂々としたものであった。このドラマのクライマックスである昇天場面と、付け加えられた新章“朝霞”がとても美しく撮れたのは彼女の熱演に依る部分が大きい。
桃が石川麻呂の“弟”と結婚することになったのは、リズムが“妹”役ではなく性転換して?“弟”役になったためであるが、それできれいにまとまってしまった。これも偶然の産物であるが、脚本家は放送前日まで必死にシナリオを書き直していた。
最後のお笑いはキャロル前田の存在感でうまく行った。彼は完璧に良きトリックスターになった。あの役もキャロル以外の人物には演じられなかった。かえってお笑い芸人などにはできない役である。
(あれ?“彼”でいいんだっけ?まだちんちん付いてるみたいだし)
サウンドトラック(34曲・2枚組)
常滑舞音『竹の中に見ぃ付けた!』
ラピスラズリ『プロポーズ・ラプソディ』
キャロル前田とアドベンチャー『愛しいかぐやちゃん』
松田理史『愛の振動』(龍笛。歌無し)
アクア『菅原の市(いち)(スカーバラ・フェア)』(未来居住超訳版)
坂出モナ『八個目の鉢に蜂が来た』
坂出モナ『ぼくお嫁さんになっちゃった』
キャロル前田とアドベンチャー『山の鍛冶屋』(『村の鍛冶屋』の替え歌)
薬王みなみ『西海の真珠』
キャロル前田とアドベンチャー『金銀パールをプレゼント』
WADO『荒波を越えて』
WADO『ぼくたち女の子』
パシフィック『蓬莱』
常滑舞音『素敵な山の秘密基地』(『山のワルツ』の替え歌)
常滑舞音『ねずみの火遊び火事の元』
サウザンズ『航海して行こうかい』
サウザンズ『航海して後悔した!』(↑の歌詞違い版)
常滑舞音『つばめのお宿』(『すずめのお宿』の替え歌)
XETIMA『あなたの心が見付からない』
アクア『ごめんね』
薬王みなみ『姫狩り』
橋本風榮『五節舞大哥』
白浜イズミ『平城京恋歌』
品川ありさ『Two thousand warriors』
UFO『千人乗っても大丈V(ヴイ)』
ラピスラズリ『月よりの使者』
高崎ひろか『昇天』
姫路スピカ『君去りし後』
アクア『朝霞』
坂出モナ『再会』
常滑舞音『唱歌・ふじの山』
ビンゴアキ『邂逅』
常滑舞音『しろがねも、くがねも、たまも、*んたまも』
アクア『竹取物語』