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■竹取物語2022(1)

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かぐや姫の生い立ち。
 
語り手(元原マミ)「今となっては昔のことですが(*18)、竹取翁(たけとりのおきな)という者が居ました。野山に入り竹を採り、籠(かご)などを作って売って暮らしていました(*1)。名前を“さぬきの造(みやつこ)”(*2) と言いました」
 
画面には、竹取翁(藤原中臣 (*3) )が野山で竹を鉈(なた)で(*4) 切る様子、家の中で、その竹を鑿(のみ)で縦に割る様子、彼と竹取媼(たけとりのおうな:入江光江)が籠(かご)を作っている様子が映ります。
 
場面はまた竹取翁が山の中を歩いている様子が映ります。そこに天女のような銀色のふわふわとした服を身につけた女性(アクア)が現れます。
 
翁は女性を心配して声を掛けます。
 
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「女人(にょにん)、こんな山の中で道にでも迷われたか?」
 
女性は何も答えずにっこり微笑むと、翁を導くように山の中に入っていきます。
 
「これ、適当に歩いていると、山から脱出できなくなりますよ」
と翁(藤原中臣)は声を掛けて女性の後を追います。女性は5分ほど歩いたところで立ち止まり、翁に向かって微笑むと突然姿を消しました。
 

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「これは何としたことか。夢でも見たか、あるいは変化(へんげ)の者か?」
と思ったのですが、女性が消えた所にある竹の切り株が明るく光っているのに気が付きました。何だろう?と思って近づいて見ると、竹の筒の中に9cm (*5) ほどの可愛い女の子がスヤスヤと眠っていました。
 
★音楽:常滑舞音『竹の中に見ぃ付けた!』
 
「なんと不思議な。これはきっと私の子となるべき人だろう(*6)」
 
と言って、翁はその人を家に連れ帰りました。翁と媼はその赤ちゃんに竹子という名前を付けました。そして村の女性で最近出産したばかりの垂女(たらめ:原野妃登美)という人に頼んで少しお乳をわけてもらい、それを細い竹筒で(ピペットのようにして)吸い上げて少しずつその子にあげる方法で飲ませて育てました(*7)。赤ちゃんは小さいので、翁と媼が作った籠(かご)の中に寝せていました(*6).
 
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乳母の人も時々見に来ましたが
「こんな小さな赤ちゃん見たことない」
と驚いていました。
 
「無事育つといいね」
「はい、私祈ってます」
 
「でも可愛い服着せてるね。女の子?」
「ちんちん見当たらないからたぶん女の子」
「小さいからどこかに隠れてたりして」
 
媼はこんな小さな子供が果たして生き延びられるかとても不安でしたが、その子はもらった乳を苦労して飲ませている内に3ヶ月もすると普通の赤ちゃんのサイズまで育ち、媼もホッとしました。そこまで育つと、乳母に頼んだ人の乳房から直接飲むこともできるようになりました(*8).
 
このサイズになってもちんちんは見当たらないので、やはりこの子は女の子であるようでした。
 
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(やはりアクアは女の子だよね、と視聴者の声)
 

(*1) 竹取物語の一般的なテキストでは「竹を採って色々なものに使っていた」とあるが、竹取物語の原形を伝えると言われる今昔物語の『竹取翁見付女児養語』では籠(かご)を作って売っていたとあるので、この物語ではそちらに従った。
 
(*2) 竹取翁の名前について、現存各種本では「さぬきの造」「さかきの造」、「さるきの造」という3種類がある。恐らくどれかが元々で残り2つは誤写と思われるが、どれが本来かは不明(全部誤写で元は“さえき”だったりして)。
 
“造(みやつこ)”というのは、元々は“国造”(くにのみやつこ)のように地域の長官を意味したが、この当時はただの名前として使用されていたものと思われる。
 
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大和国広瀬郡散吉(さぬき)郷(現・奈良県北葛城郡広陵町三吉)に讃岐神社が建っており、ここが竹取翁の故地であるとの説がある。ここは平城京から南に15kmほど行った所で、藤原京からは北に9kmほどの所である。この讃岐神社のすぐ傍には長さ300mほどもある巨大な巣山(すやま)古墳がある。
 
(かぐや姫のお墓だったりして)
 

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(*3) 今回のドラマで竹取翁・媼を誰に演じてもらうかは制作部内でかなりの議論があった。当初考えられたのは、マリナ&ケイナだが、竹取翁・媼はお笑いではないとして退けられた(*9).
 
次いで候補に挙がったのが、今井葉月の両親である黒部(くろぶ)座の高牧寛晴・柳原恋子夫妻である。舞台俳優で、演技力は全く問題無いし、夫婦が夫婦を演じるのは息のあった演技を期待できる。しかし、竹取翁・媼はゲストキャラではなく、準主役級であるとして、舞台俳優ではなく、テレビ俳優または映画俳優として評価の確立している人が良いという意見が大勢となった。
 
そこでアクア映画に多数出演していて、アクア・今井葉月の後見人に近い存在となっている藤原中臣さん(72)にお願いすることになった(当初は王卿役を想定していた)。相手役は円熟した演技を見せる名女優として入江光江さん(62)にお願いした。
 
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竹取翁・媼は、かぐや姫を20年余り育てたということになっているので、この初期のシーンでは、ふたりともかなりの若作りをしている。藤原さんは若い頃身体を鍛えているので、元々今でも60歳前後に見え、50歳を装うのも何とかなった。黒髪の美豆良(みづら)髪のかつらを着けての演技である。顔も手も美容液パックをして、より若い感じの顔・手にしている。
 

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(*4) この当時は鋸(のこぎり)がまだ無いので、斧か鉈で切っていたものと思われる。当時は家を建てる時も斧・鉈の類いや、鑿(のみ)・槌だけで製材していた。そのため、建材としては、きれいに割ることのできる針葉樹のみが使用された。
 
(*5) 原文「三寸ばかりなる人」。当時の“寸”は現代の寸(3.03cm)より少し短い 2.963cm である。どっちみち9cm くらいということになる。
 
(*6) 竹取翁は竹を採って籠(こ)を成していた。だから竹の中にいた人も自分の子(こ)になす、というダジャレである。更に子(こ)を籠(こ)に入れて育てたとある。この物語の書き手はこの手の文章的な技巧が高く、とても教養があり(仏教説話などにも詳しい)、文章を書き慣れた人と思われる。多分小説を書いたのもこれが初めてではない。
 
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作者として紀貫之説・菅原道真説などもあるが、カタブツの紀貫之や菅原道真にこのような柔軟な文章が書けたとは思えないので、紀貫之でも菅原道真でもないと思う。この小説を書いたのはシャレの分かる人物である。
 
(*7) 原作では9cmほどの人をどうやって育てたかの記述が一切無い。竹取物語の作者は男性とする説が有力だが、実際女性であったなら、育て方について何らかの言及があってもよいと思う。きっと作者はお乳の飲ませ方とか、なーんにも考えてない。
 
そのあたりからも作者は都に住んでいて、地方に赴任したりしたこともない男性の中級貴族と思われるのである。ただし当時安くはなかった紙を大量に使えたということは、経済的余裕はあったはずである。
 
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(*8) 小さな人が9cmサイズから小さめの新生児サイズ(40cm)まで育つ過程の撮影は9cmと40cmがベビーロボットで、途中経過は中間をモーフィング補間したCGである。
 

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(*9) ローザ+リリンはお笑い芸人扱いになっている。もっとも元々はローズ+リリーのそっくりさんなので、女の服を着て登場して女かと思わせておいて、裸になってちんちん見せておぱちゃんたちに「きゃー」と言われていた芸人である←こういう書き方をすると、コート男・セーラー服男の親戚の痴漢みたいだ。
 

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語り手「竹取翁が女の子を保護した後、竹を採っていると竹の中に黄金が入っていることがよくありました」
 
映像では翁が竹を切ってみるとその中に黄金が詰まっていて驚く様子が映る。
 
語り手「竹取翁は正直者なので、竹の中に黄金が入っていたといって、その竹ごと、村長(むらおさ)に届け出ました」(*13)
 
村長(中平弦太)が言います。
「これは何とも不思議な」
 
「村長(むらおさ)殿、これはどうすればよいでしょうか」
「これは竹の中に入っているのだから、木の実と同じだ。だから採ったそなたの物ということで良いと思う」
「分かりました。ではありがたくいただきます」
 
語り手「それでこの黄金を村長に頼んで米俵、また絹や麻の布と交換してもらい(*15), それで翁は乳母をしてくれる人へのお礼も払うことができました。また得た黄金の半分は税金として村に納めていました」
 
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映像では、翁が黄金と交換に多数の米俵を積んだ荷車、また絹・麻の反物などを受け取るシーンが流れる。
 

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語り手「翁はその後、年に数回、竹の中に黄金を見付け、一応毎回村長に届け、村長は見付けたそなたの物であると認定してくれました。そして半分を税金として納めていました。でもその内村長も面倒になって!報告書だけ出すように言いました。ただ翁は字が書けないので、乳母・垂女(原野妃登美)の夫・竹内(大林亮平! (*10))に代筆を頼んでいました」
 
「竹子は大きな病気もせずに成長し、やがて3歳(年齢は数え。満年齢なら1歳半)になったので“髪置きの儀”(*11)をしました」
 
「竹子は人の心を明るくしてくれる子でした。人々が言い争いをしている時に媼が竹子を抱いてその場に行くと、不思議とみんなの心がやわらぎ、妥協する雰囲気になって争いはやみました」(*12)
 
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(*10) 大林亮平は、原野妃登美のリアルの夫である。このドラマでは夫婦が夫婦の役をしている例がとても多い。原野妃登美は現在所属事務所が無いが、大林亮平の縁で、§§ミュージック事務取扱とした。
 
(*11) “髪置きの儀”は現代なら3歳の七五三に相当する。昔の子供は幼い頃は男女とも坊主頭で、これを過ぎると髪を伸ばし始める。
 
(*12) この時代の人の心を温かくするというかぐや姫の描写と、成人しての後の美人だが冷酷で男を破滅させる(ファム・ファタール!)かぐや姫の描写があまりにも違いすぎる。元になる複数の話をつなぎあわせた結果生じた不整合か?
 

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語り手「それまで貧乏であった竹取翁が急に豊かになったこと、子供を産めるような年齢でなかった2人が子供を育てていることについて、村長は『都(みやこ)の貴人から託された訳ありの子供らしいよ。だから貴人から養育費を頂いているらしいね』と言っていました。人々も『確かにあの子は貴人のような顔をしている』と、その説明に納得していました。“訳ありの子”なんてよくある話です」
 
「しかし秘密は長くは隠し通すことができませんでした。竹取翁が竹の中に黄金を見付けているらしいという噂が広まると、自分も見付けようと野山に入って竹を切る者が多数いました。しかし誰も黄金を見付けることはできませんでした」(*14)
 
山に殺到して竹を切る者たちの映像が流れる(出演者は、朱雀林業の社員たち。この映像は、朱雀林業が所有する竹林で撮影した)。
 
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語り手「竹が無秩序に切られ放置されているのを悲しんだ翁は、切った竹を自分が買い取ると表明しました。それで竹を切ったものの何も出てこなかった人たちがその竹を翁のところに持っていき、買い取ってもらいました」
 
竹を多数抱えた男たちが列を作っている様子、そして翁が買い取った竹が大量に積み上げられている映像が映る。
 

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(*13) ちゃんと届けずに自分の物にしていたら確実に盗んだものとして捕まるであろう。その段階で竹の中に入っていたと言っても誰も信用せずに翁と媼は死罪になっている。だからきちんと届けることはとっても大事。原作はこの問題をスルーしている。
 
(*14) 竹取翁が度々竹の中に黄金を見付けていたら、当然ゴールドラッシュが起きるはずだが、原作はこの問題について何も触れていない。
 

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語り手「翁は竹があまりにもたくさんあって、自分たちではとても加工できないので、人を雇って籠(かご)その他の竹細工を作らせることにしました」
 
「人をたくさん使う必要があるので、村の集落の中にあった廃屋を買い取って修繕してもらいました。実際には権利者が不明なので村長に適当な額を供託しました。そしてそこに人を集めました」
 
12畳ほどの広さの板間で竹細工を作る多数の女性たちの映像が出る(出演者は朱雀林業の女性社員たち)。
 
語り手「竹細工が多数できるので、これを人に頼んで、あちこちに売り歩いてもらいました。都(藤原京)の市場にもお店を出しました。またあちこちで『こういうものがほしい』と言われたものを作って売るようにするとそれがまたよく売れました」
 
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竹細工を売り歩く行商人(海沼夬時:友情出捐)の映像、そして都の市場(いちば)で竹製品を売っている様子が映る。
 
また作業所では、籠(かご)だけでなく、皿や箸、櫛(くし)、箒(ほうき)、釣り竿、行李(こうり (*17))、などを作っている様子が映る。また別の部屋では若竹を大釜で煮て、それを漉(す)いて紙を作っているところ、その紙と竹で扇子(せんす)や団扇(うちわ)に傘(かさ)を作っているところ、また別の部屋では竹で笛を作っている所などまで映る。
 

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