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■竹取物語2022(20)

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かぐや姫の返歌を見て、帝はまた帰りがたい思いになりましたが、かといっていつまでも帰らない訳にもいきませんので、仕方なくお帰りになりました。
 
その後帝は、後宮に入っている他の女性のところにお渡りになることもなく、ずっとひとりでお休みになっていました。そして度々かぐや姫のところに文をやり、かぐや姫も帝にはちゃんとお返事を書きました。
 
帝はまた少数の供だけを連れて唐突にかぐや姫の家を訪ねることもありました。かぐや姫もにこやかに応対して、楽しくおしゃべりしたり、楽を合わせたりします。帝が笛や琵琶を弾き、かぐや姫は箏や和琴を弾きました。
 
また囲碁や双六で対戦することもありました。
 
「かぐや、この対局で僕が勝ったら契ってくれ」
「いいですよ。勝てたら」
 
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それで対局するのですが、かぐや姫は帝相手に全く手加減しません。ことごとくかぐや姫が勝つので、帝はどうしても、かぐや姫と契ることはできなかったのです。
 
「全くお前は本当に手加減せんな」
「臣下の方ですと、恐れ多いから自然に自分が負けるのでしょうね」
と言ってかぐや姫は笑っていました。
 
帝が度々おいでになるので、竹取翁は隣接する家を買い取り、そこに立派なお邸を建てました。規模は小さくても良い調度を揃えた家です。お付きの人たちが休みながら待てる部屋も用意されています。帝が行幸なさった時は、かぐや姫はそこで帝の応対をしました。
 
この別邸はいわば帝の離宮のようなものとなりました。ここでお休みすることもできるようにしていたのですが、帝がお泊まりになることはありませんでした。
 
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しかし帝がかぐや姫の家に行幸し、かぐや姫の私室に長時間籠もっていたこと、その間にお付きの者や群臣なども集まって華やかな宴がおこなわれたことから世間の人は、帝とかぐや姫は“成った”ものと思いました。
 
女性の私室に男性が来て長時間過ごしたのなら、当然セックスしたのだろうと思うのが普通です。
 
更に隣に事実上の離宮が建てられたことから、かぐや姫は帝の事実上の妻になったのであろうと思いました。
 

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人々は噂しました。
 
市井の女3(鹿野カリナ)「かぐや姫は帝を狙っていたのか。そんな大物を狙っていたのなら、皇子様とか右大臣・大納言に求婚されても応じなかった訳ね」
 
市井の女4(豊科リエナ)「それがさ、帝とかぐや姫は小さい頃に出会ったことがあって、その時結婚の約束をしていたらしいよ。だからかぐや姫は、その人に出会うことが無いかも知れないけど、その人に操(みさお)を立てて今まで誰からの求婚にも応じてなかったんだって。でも会ってみたらその時の人だったことが分かってそのまま逢った(セックスした)らしいよ」
 
市井の女3「そんな話があったんだ?だったら純愛じゃん」
 
市井の女4「だよねー。私もかぐや姫って冷酷女かと思ったけど、実は一途な女だったのね。かぐや姫を見直したよ」
 
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車持皇子が隠れ住んでいる小屋に、女房装束の旅村と平民の男物の服を着た坂口が荷物を持って入って来ました。
 
★音楽:常滑舞音『素敵な山の秘密基地』
 
「皇子(みこ)様、食料を持って来ましたよ」
「おお、すまんすまん。助かる」
 
それで旅村と坂口の2人で荷車から荷物を降ろします。
 
「皇子様もそろそろ山を降りられませんか?」
「世間の様子はどうだ?」
 
「かぐや姫様、帝(みかど)と結婚なさいましたよ」
 
「え〜〜!?あの女、帝を狙ってたのか。道理で私や石作に冷たくした訳だ」
「帝も凄いです。いくら参上しろと言っても出て来ないから、かぐや姫の家に押し掛けて行って、そのままやっちゃったそうです」
 
「それはまた強引な。私もそうすれば良かった」
「普通は木刀で叩かれて、矢を射かけられて最後は太刀で斬られますね。帝だから警護の女房も手を出さなかったんですよ」
「うむむ。帝の特権か」
 
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「でも帝とかぐや姫って、6歳の時に出会っていたらしいですよ」
「6歳!?」
 
「かぐや姫が危ない所だったのをまだ東宮(はるのみや)にもなる前の帝が助けたらしいです。その時帝はかぐや姫に求婚していて、だからかぐや姫はその人に再会することがあるかないか分からないけど、ずっと操(みさお)を立てていたらしいです」
 
「そんな話があったのか。だったらいい女じゃないか」
「ですよね。それでかぐや姫はいまだに宮中には参内してないのですが、もう実質、帝の嬪(*155) になられたので、草笛皇女殿がかぐや姫の後ろ楯になられたんですよ」
「ほほぉ」
 
(*155) 嬪(ひん)とは。天皇の妻のランクで、皇后・妃・夫人に次ぐ最下級の妻。最下級ではあってもここまでは正式の妻である。定員があり、皇后1名、妃2名、夫人3名、嬪は4名。しかし後に妃・夫人は用いられなくなり、平安時代になると嬪の別名“女御”が用いられるようになる。結果的に天皇の妻は皇后(別名中宮)と女御という構成になる。
 
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更衣・御息所(みやすどころ)などは定員外の事実上の妻である。
 

「まあそんな状況だから、もう山を降りてもいいと思いますよ」
「どうすっかなあ」
と皇子は呟きながら旅村が持って来た竹細工の箱を引き寄せます。
 
「これは菓子か何かか?」
「あ、それ美味しいんですよ。皇子様もどうぞ」
 
それで皇子は蓋を開けたが、皇子は中を見て絶句する。
 
「これは何だ?」
 
「かぐや姫のお店、別店舗でお菓子屋さんを始めたんですよ。麦菓子とかも美味しいんですけどね。自分の家ではお菓子を作る職人を雇えない中級貴族に随分売れているみたいですよ。これ“玉の枝・煎餅”というんですよ。例の玉の枝の形をしたお煎餅で、白玉の所は柔らかい麦菓子が塗られていて今都で評判なんですよ」
 
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映像には“赫夜菓子舗”という看板が掲げられたお店、そしてお客様に様々な菓子を見せている店長の小夜(松梨詩恩:友情出演)(*156) と助手(筒木サリナ)が映る。
 
後で出てくるが実は小夜は、かぐや姫の乳母子(めのとご)である。つまりかぐや姫の乳母・垂女の子供で、かぐや姫と乳を分け合って飲んで育った子である。
 
お客さん:水森ビーナ、美崎ジョナ
 
(*156) 松梨詩恩はアクアの高校時代の同級生なので、その縁からの友情出演である。
 

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「これが都で人気なのか?」
「ええ。利益の半分は草笛皇女様が取ることになっています」
「だめだ、だめだ、とても降りられん」
「気にしなくていいのに」
 
「ところで旅村く〜ん、しちゃダメ〜?」
「ダメです!」
と旅村。
 
「だってもう5年くらいしてないんだよ。辛いよぉ」
と皇子。
「だから山を降りればいいのに」
と坂口。
「だって」
 
「でも毎回襲われてはたまらないし、いつまで私も貞操守れるか分からないから用意しましたから」
「用意って?」
 
(視聴者の声「さくらちゃん、無事だったんだ?良かったぁ!」)
 
「入ってきなさい」
と坂口が言うと、恥ずかしそうな顔をして入ってきたのは、美女とお付きの女房・女童である。
 
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玉姫:平田留美!(招き猫バンドのベーシスト"Lucy"。もちろん男の娘♥)
女房:(鱈)大崎忍・(鯛)木下宏紀
女童:(谷)甲斐絵代子・(滝)直江アキラ
 

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「山田少納言の子で玉にございます。皇子(みこ)様、身の回りのお世話をさせていただきます」
と姫が自分で挨拶しました。
 
「おお、そうかそうか。可愛いな」
と皇子はご機嫌です。
 
「しかしこれだけの人数が暮らすにはこの小屋は狭すぎるな」
「大丈夫です。すぐに邸を建てさせますから」
と言って旅村は外にいる大工たちに声を掛けます。
 
「始めてくれ」
「はい」
 
それで15人ほどの男たちが作業を始めました。彼らは実は姫君と女童たちの輿をここまで運んでくれました。女房たちは馬に乗って来ました。
 
「待て。あまり大きな館を建てると目立って、私がここにいることがバレる」
「大丈夫です。今更です」
「そんなぁ!」
「車持皇子は山の中に引き籠もっているらしいと都では既に噂されていますし」
「あはは」
 
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「まあ“最初は”女5人と皇子様だけ住む小さな邸(*158) ですから、そう目立たないと思いますよ」(*157)
「だったらいいかな」
 
(*157) “最初は”ということばに録画や再放送を見た人が大笑いした。
 
(*158) “やかた”というのは元々は仮設の住居のことを言ったが、後に貴族の住宅の一般的な呼び名となった。
 
この時代には“やしき”(屋敷)という言葉は住宅の意味では使われない。それは“やかた”を建てる敷地(宅地)のことだったが、室町時代頃から、住宅の婉曲表現として使われるようになった。また“亭”というのは、本来は広い住宅の中に建てられた小さな休憩所で、貴族の感覚からは住居として分類できない小型の建物である。
 
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“やかた”は漢字では“館”“邸”の2通りが使用されるか、館は比較的大きなもの、邸は比較的小型のものである。かぐや姫の家は邸。使用人まで含めて10人程度以下が住むような(貴族の感覚で)小規模のものである。
 

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「それで山田少納言殿は、来年には地方に赴任することになっているんですよ。でもいい年だし、出世につながらなくてもいいからできたらあまり辛くない所に行かせてもらえないかということなのですが、皇子様に良かったら一筆書いていただけないかと」
 
「ああ、そのくらいは構わん」
と言って、皇子は大伴大納言への手紙を一筆書き、旅村に渡しました。
 
「でも山田少納言にこんな可愛い娘さんがいたとは知らなかった。子供は男ばかりで帝に差し上げるような娘が居ないと嘆いておられたのに」
 
「私、男ですけど」
と玉姫。
「は?」
 
旅村が言います。
「皇子様、かぐや姫に振られてもう女を愛すのはやめられたんでしょう?私を何度も物にしようとなさったし」
 
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「私、男ではありますが皇子様をちゃんと気持ち良くして差し上げますから」
と玉姫。
 
(視聴者の声「ルーシーが出て来た時点で、このオチは見えていた」)
 
(一部の視聴者の声「女房や女童(めのわらわ)も性別が怪しい」「やはりそういう者ばかり揃えたんだな」「皇子の手が付いてもいいようにだな」「だいたい旅村も性別が怪しい」)
 
「ちょっと待て。お主、女にしか見えないのに」
「玉を取っていますから。皇子様も玉を取ります?調子いいですよ」
と玉姫(玉彦?)。
 
「皇子様、玉を取られるのでしたら、玉取翁(たまとりのおきな)を今度連れて参りましょぅか?」
と旅村。
 
「少し考えさせてくれ」
 
棒玉算です。ここに8人居て。棒が5本、玉が2個あります。この中に男の子、男の娘、女の子は各々何人いるでしょう?
 
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語り手「車持皇子が玉の枝を失って世間から消え、また自らの玉も失っておとなしくなったことから、人々はこれを“たまうす(玉失す)”と言い、これが訛って“だまる(黙る)”という言葉が生まれたそうです」
 
(男子視聴者の声「やはり玉取ったのか!」「そのほうが世のため」「でも玉取翁って何する人?」「野山にまじりて玉を取るんだろ?」「それで玉の中に金(きん)を見付けるんだな」「でもこんなのゴールデンでやっていいのか?」「深夜番組ネタだよな」)
 
 
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