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■竹取物語2022(3)

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語り手「竹取の翁と媼は、竹子が崖から落ちそうになったことから、村の集落の中に引っ越すことを決めました。集落内に土地を買い、こぢんまりした家を建てました」
 
「また村長が“竹子ちゃんには字とか楽とかを学ばせたほうがいい”と勧めたので、村長のツテで式部という引退した女房に村まで来てもらい、竹子にまずはカナ(当時は平仮名・片仮名が生まれる前で万葉仮名の時代)、足し算、そして箏(そう)と舞を指導しました」
 
映像では式部(今井葉月)(*23) が幼い竹子(白雪大和)に箏を指導している所が映る。
 
語り手「竹子は教えられたことをどんどん習得し、万葉仮名は全部読み書きできるようになりましたし、足し算だけでなく引き算もできるようになります。また箏も舞もとても上手になりました」
 
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竹子に指導を始めてから2年ほど経った時、式部は言いました。
 
「この子はとても優秀です。都に行って、もっとしっかりした先生に習った方がいいですよ。この子はきっと漢字とか、掛け算とかも覚えられますし、箏だけでなく和琴(わごん)も覚えそうです。舞ももっとうまくなりますし、和歌とかも学ばせるとよいです」
 
「うーん。確かに頭が良さそうな顔をしているなあ」
 
(*23) 今井葉月は今では伝える人の居ない古い流派・八橋流の弾き手で、ここでも八橋流の伝授をした。もっとも八橋検校は江戸時代初期の人で、その弾き方は奈良時代の弾き方とは異なるはず。
 

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語り手「それで、竹取の翁・媼は、都近くに土地を求め、そこに小さな家を建てました。そして竹子が9歳の年にそこに引っ越しました。村の竹細工製作所は、乳母の垂女の夫・竹内(大林亮平)に委ねることにしました」
 
「そして都の近くまで出たので、竹細工を売るお店にも時々顔を出しますが、お店自体は番頭に任せ、翁はまるで雑用係の爺さんのような顔をして店頭で働き、お客様の生の声を聞いては、製品を改良したり、新しい製品を開発したりしていました。それで翁は毎週、都と村を往復していました」
 
映像では、お店の番頭(海沼夬時)が上の段に座っている中、翁(藤原中臣)が荷物をお客様の牛車まで運んでいく様子などが映っている。(*25)
 
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語り手「そしてここで竹子は漢字、仏典、掛け算、箏(そう)と和琴(わごん)、舞、歌唱、和歌なども学びました。ほかに嗜みとして、囲碁と双六(*24) も学びました、竹子は物凄く強くなり、指導した先生でさえも竹子に囲碁や双六で勝てなくなりました」
 
映像は竹子が囲碁や双六をしているところ。
 
語り手「翁が村に帰っている時、しばしば銀色の服を着た人が訪ねてきました」
 
映像で、翁の家の戸がノックされ、翁が出てみると銀色の天女の衣のような服を着た女性(月城たみよ)が立っている。誘われるように翁が天女の後を付いて行くと、山の中に入り、竹林の中に黄金の竹があった。
 
語り手「このようにして翁はまだまだ、黄金を得ていました」
 
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(*24) この時代に“双六(すごろく)”と呼ばれたのは現代のバックギャモンである。この遊びは日本では中世に途絶えてしまい、明治以降に再輸入された。昔は囲碁とともに貴族の男女の基本的な嗜みのひとつとされた。
 
ただ金銭や物などを賭けて行われることが多かったので禁令も何度も出ている。
 
(*25) 藤原中臣はひたすら端役・チョイ役を50年続けて来た人なので、こういう手代(てだい)役が異様に似合っている。
 
「ぼくが番頭や主人の役をしても、手代が番頭さんの留守番してるようにしか見えない」
などと本人は言う。
 

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都に出て3年ほどした頃(竹子12歳の年)、以前よく竹紙などを買ってくれていた中辺の姫君(秋風コスモス)の女房(川崎ゆりこ)が竹取翁の自宅まで訪ねてきて言いました。
 
「実は姫君の夫であった少納言殿が亡くなりまして」
「ありゃ、それは大変でしたね」
「それで姫君は後ろ盾が無くなって今までのような生活が出来なくなりまして、資産を色々整理しているのですよ」
 
「ああ、それで最近あまりお顔を拝見しなかったのですね」
「それでかなりの家財を売り払ったものの、もう売るべきものが無くなって」
「あらあ」
 
「ところで新しい都ができて、一応姫君も新しい都に土地を頂き今住んでいる場所を離れて、新しい都に家を建てて移り住むように言われております」
「ええ」
「それでご相談なのですが、その土地の権利を、さぬきの造(みやつこ)殿に買って頂けませんでしょぅか?」
 
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「はい?」
「そして代わりに造(みやつこ)殿が住んでおられるこの家を買い取らせて頂けないでしょうか?このくらい小さな邸宅なら何とか維持できると思うのです」
 
「新しい都の近くでなくていいのですか?」
「むしろ都から離れた場所で静かに亡き夫の菩提を弔いたいのです」
「なるほど」
 
「それとついでに姫君の女房の若い子と女童(めのわらわ)も引き取ってもらえたらと」
「へ!?」
 

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語り手「中辺姫の女房の話では、ある程度年を経た女房たちは、転職のしようも無いので、充分な退職金を払って里に帰したり。帰るあての無い者は尼になったりすると言います。でも若い子はまだ尼にするのは可哀想だし、こちらで使ってもらえないかという話でした」
 
「翁は姫君に同情し、平城京の土地の権利を買い取り、そこに家を建てさせることにしました。そしてその家が完成したら、翁たち一家はそこに引っ越し、姫君とごく少数の女房がこちらに引っ越してきました。翁は差額として充分な黄金を差し上げました。そして6人の若い女房・女童も引き取ったのです」
 
映像は6人の娘が並ぶ様である。
 
藤(花園裕紀)
桐(箱崎マイコ)
紫(広瀬みづほ)
桃(川泉パフェ)
桜(入瀬ホルン)
橘(入瀬コルネ)
 
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(男の娘が多い気がするのはきっと気のせい)
 
竹取翁はこの他に、村の若い男性2人(佐藤光史・中村繁彦)を雑用係にお願いして雇い入れました。
 

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藤と桐は
「お前は尼になりなさいと言われるかと思っていたのでホッとしました」
と言っていました。
 
語り手「翁は藤に家のこと全般を任せ、桐に媼(おうな)の身の回りの世話をさせました。そして残りの4人は曖昧に竹子のそばに付けておきました。桃が結構囲碁と箏をたしなんでいたので、竹子と対局したり、合奏したりして楽しんでいたようでした。また竹子“が”若い桜・橘に和琴を教えてあげたりしました」
 
画面では竹子(白雪ひかり)と桃が囲碁をしている所(*26)、箏を合奏している所(*27)、また竹子が桜と橘に和琴を教えている所(*28)、などが映る。
 

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(*26) この盤面は、アクアと葉月が途中まで打った盤面で、囲碁の分かる人には凄くハイレベルな戦いが行われていることが分かるようになっている。
 
碁盤は日本棋院所有の古い碁盤をお借りした。双六盤は正倉院に残っている双六盤の写真を参考に制作した(このドラマは本当に予算を掛けている)。
 
(*27) 白雪ひかりは箏が弾ける。川泉パフェも母が弾いていたので結構自分でも触っていた。今回のドラマ撮影では2人とも一週間桜木ワルツから指導を受けた。
 
ワルツも葉月に八橋流を指導してくれた“女性”から直接習ったので八橋流の弾き手で、その弾き方が白雪ひかり・川泉パフェにも伝えられることになった。
 

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(*28) 和琴は一昨年『とりかへばや物語』のために制作した2個(*29)を今回桜と橘が使用し、竹子の和琴は新たに制作した。蒔絵を施した豪華なものである。アクアは『とりかへばや物語』でも和琴を弾いたので結構上手い。入瀬ホルンはギターを弾くので、その応用でわりと弾けた。入瀬コルネは撥弦楽器の経験が無く、かなり苦戦したが、そのたどたどしいところがうまく絵になっている。
 
(*29) 『とりかへばや物語』では花子(女の子として育てられている兄君/演:アクア)と和琴の先生(演:槇原愛)が弾いた。2人は、和琴が弾ける非常に少ない人(?) のひとりである、山村マネージャーに習った。
 
なおあの時、吉野の君の長女(高崎ひろか)が弾いたのは和琴と混同されやすいが“琴の琴(きんのこと)”と呼ばれる別の楽器である。どちらも長方形の楽器であるが、和琴(わごん)は六弦で、箏と同様に琴柱で音の高さを調律する。琴の琴(きんのこと)は七弦で三味線のように指で押さえて音の高さを定める。
 
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竹取翁はずっと田舎で暮らしてきたので都会の風習などにも疎かったのですが出入りしているお客様から
 
「あら、あなたの所の孫娘さん、まだ裳着(もぎ)をしてないの?」
 
と言われ、竹子15歳の年に、裳着(成人式)をさせることにしました。藤たちのツテで中辺の姫君が色々手配してくれました。
 
昔の家というのは固定された壁が無く、パーティションで区切れられています。それで男手を頼んでこのパーティションを移動し、広い部屋を創り出します。そしてその奥に帳台を作ります。
 
高さ2.5m(*30) ほどの柱を立て、横木を渡して、布(御簾)を垂らします。中には畳を2枚、正方形状に敷き(*31)、その上に敷物(カーペット)を敷いてその上に茵(しとね:座布団!)を置いて、ここに竹子を座らせます。
 
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この畳の縁の模様、御簾の模様などが身分によって細かく規定されているので中辺姫が直接職人に指示していましたが、翁は「こんなの一般人には分からん!」と思いました。
 
宴を開くのに必要な食べ物・お酒なども中辺姫に指示してもらい、たくさん用意しました。
 
また竹子に着せる服も姫様に指示してもらいました。
 

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(*30) 昔の仕様では7.1尺(2.13m)であるが、昔の人の身長に合わせたものなのでこのドラマでは2.5mで作った。
 
(*31) 昔の家は(良い部屋で)板張りである。畳は必要な時だけ、その部分だけに敷くものであった。
 

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そして裳着の儀式は行われました。
 
(ここからはアクアが竹子を演じる(*33))
 
髪上げをして笄(こうがい:ヘアクリップ)を刺し、女性の礼装である裳(スカート)を着けます(*32)。貴族であれば、裳を留める腰紐は、誰か偉い人にお願いするのですが、平民なので、竹取翁が自分で結んであげました。
 
このあと、本式では眉を剃って書き眉をし、お歯黒を塗るのですが、現代のドラマなので、これは省略されました。
 
語り手「竹子の成人名については三室戸斎部の秋田という人を呼んで付けさせました。秋田は“若竹(なよたけ)の赫夜(かぐや)姫”という名前を付けてくれました」
 
映像では秋田(鞍持健治:特別出演)が「若竹赫夜姫」と短冊に毛筆で書いて掲げる様子が映る。
 
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「若竹(なよたけ)とはまだ硬化していない柔らかい竹のことで、“赫(かく)”は明るく火が燃えている様を表します。この子がいることで夜も明るくなることを表しています」
 
語り手「竹製品の販売店関係者、村の主だった人たち、またお店のお得意様などを中心にたくさんの来客があり、宴は3日も続きました。かぐや姫の姿は帳台の御簾(みす)で隠れて見えませんが、姫が弾く箏や和琴の調べが美しく、人々はきっと美しい姫君なのだろうと想像しました」
 

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(*32) このシーンはアクアが参加できるのを待って撮影していては間に合わなかったので、わりと演技力があり、アクアと身長が近い早幡そらが撮影時の代役を演じた(後でアクアの映像に差し替える。今井葉月はアルバム制作で忙殺されていた)。
 
早幡そらは衣裳を見せられて
「え?ぼくもしかして女の子の衣裳を着るんですか」
と驚いた。
 
「アクアの代役だし」
「アクアさんなら男役かと思った」
「男役もするけどアクアは女役をしないと視聴者が見てくれない」
「あ、そうですよね」
「女物の服とか少し恥ずかしいかも知れないけどお願い」
「いえ、女物の服着られるなんて嬉しいです」
「やはり君を代役にして正解だったようだ」
 
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