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■夏の日の想い出・龍たちの讃歌(18)

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「まあそれでだね。レスビアンってみんな松葉崩しで結合してるように思っている人もあるけど、そんなのあまりしないから。あれはそもそも結合が不安定で、すぐズレるし、お互いの顔が見られないから、とても寂しい」
 
「すみません。マツバクズシというのが分かりません」
と葉月。
 
「あとでネットで調べなさい。ゆりこちゃんが睨んでるし」
と、ゆま。
 
「あるいは**ドーを使って男女のセックスと同じようなことしてると思っている人もあるけど、それも遊びとしてはするけどメインコースではない。処女を誘う場合には入れるわけにはいかないし、そもそも男が嫌いでビアンになった子は男みたいなのを嫌う。**使うなら男とした方がマシと言う子もいる。だから、入れるのはあくまで長く付き合っているカップルの場合だとボクは認識している」
 
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「へー」
とアクアは感心している。葉月は**ドーというのが分からなかったようだ。
 

「ただ**ドーのいい所はポルチオ(Portio)を刺激できることなんだよ」
と、ゆまが言うと
「ポルチオって何ですか?」
と花ちゃんが訊く。
 
「ポルチオを知らないの〜?」
「知りません」
「ヴァギナの一番奥、子宮の先端がヴァギナに飛び出している所だよ」
「そういう部分があることは知ってますが、それをポルチオというんですか?」
「そうそう。イタリア語(**)で、Portio vaginalis uteriといって。直訳すると“膣の子宮部分”ということ。だからPortioだけでは本当は“部分”としか言ってないけど、まあその部分のことだよ」
 
(**)イタリア語ではなくラテン語。
 
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「そこが気持ちいいんですか?」
「最高に気持ちいい」
「へー!」
と花ちゃんもゆりこも感心している。
 
「AVとか見てたら、女の子が“子宮に当たる〜!”とか叫んでるじゃん。そこだよ」
「AVとか見ないし」
 
「君たちセックスの経験無いとか」
「ありません」
「それはいかん。ボクの恋人何人か貸してあげようか?」
「ゆまさんの恋人って女の子ばかりなのでは?」
 
「そうだなぁ。去勢済みの男の娘もいるけど。(相手が)妊娠しないから安心だよ」
「(こちらは)妊娠はしないかも知れないけど、体験の役に立たない気が」
 
(話が通じていないことに双方気付いていない *1)
 
「ポルチオは物凄く気持ちいいんだけど、指では届かないんだよ」
「ヴァギナの深さを考えると、そうでしょうね」
 
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「性転換手術で男を女に変える場合、陰茎亀頭は一部を陰核亀頭に転用して大半は捨てる医師が多いが、一部の医師はポルチオを重視して亀頭の残りを新設する膣の最奥部に埋め込んだりする(*2)」
 
「へー!」
 
(*1)ゆまは自分が妊娠する気は毛頭無い。それどころか恋人の女の子から「あなたの子供よ」と言われて、出産の費用を出してあげて養育費を払っているケースまである。認知しようとしたが役場の窓口の人から拒否された!でもゆまはその子に自分を「パパ」と呼ばせている。彼女とは恋愛関係自体は既に解消しているのでパートナーシップ宣言するつもりは無い。子供の顔を見るためしばしば会いに行くがセックスもしない。
 
(*2)1990年代に見た婦人科の医学書に掲載された性転換手術のやり方(アメリカ国内で実施された手術のレポート)では陰茎亀頭をまるごとポルチオに転用していた。この医学書の手法では陰核は形成していなかった。
 
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当時の技術でポルチオの神経をつなぐことができたかは疑問だが、おそらく性交時に男性側がポルチオに当たっている感覚があることを重視してそのような手法をとっていたものと思われる。陰茎亀頭を陰核亀頭に転用する方法は2000年頃以降に、タイの医師がそういう手法をとっていると聞くようになった。日本の医師も多くはそういう手法をとっているようである。顕微鏡で確認しながら神経を繋ぐので、この陰核は実際に性感がある(もっとも2本しかつながない医師も多い)。ただこのタイ系統の手法ではどうもポルチオの形成はしていない医師が多いもよう。
 

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「まあそのポルチオには届かないけど、フィンガーテクニックのうまい子は多い。ボクもかなり自信ある。これは出し入れされる感覚が気持ちいいし、Gスポットの刺激が凄くいい」
 
「ジースポットって何ですか?」
「ゆりこが睨んでるから、自分で調べて」
と言ってから、ゆまは続ける。
 
「指の出し入れをうまくやると、まるで男の子に入れられてるみたいに感じる。ストレート寄りのバイの子には好きな子が多い。達人になると、出し入れの感覚が絶妙で、女なのに、女性と結婚して、相手の女性がこちらを男と信じて疑わなかったというほどの人もあったらしいよ」
 
「それは凄いですね」
と花ちゃんが純粋に感心している。
 
アクアはフィンガーテクニックというのが何となく分かったが、葉月は意味が分からず困惑している。
 
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「だからビアンの子で爪をのばしている子は居ない」
「ああ、ちゃんと切ってないと痛いですよね」
「そうそう。アクアも爪は・・・ちゃんと切ってるね、感心感心。アクアはちんちん取っちゃったから、女の子とする時は指が大事だぞ」
 
「取ってませんけど」
「睾丸だけ取ってちんちんは、あらためて時間が取れた時に除去するんだっけ?」
「睾丸も取ってません」
 
「いや、睾丸があるのにあのボディラインはあり得ない。このメンツの前で嘘をつく必要はないよ。だいたいこんな近くにいるとアクアから女の体臭を感じる。睾丸が存在したらこんな体臭にはならない」
 
ああ。さすがに体臭はごまかせないよな、とアクアFは思った。
 
「葉月は取ってるよね?葉月も未熟ながら女の体臭だ」
「タマは取ってません」
「じゃまだ女性ホルモンだけか。それで未熟っぽいのかな。卒業までには取るよね?」
「取りません」
「ゆりこちゃん、この子に3ヶ月くらいお休みあげて性転換手術受けさせてあげなよ」
「検討します」
とゆりこが言うと、葉月は困ったような顔をしている。
 
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「でもレスビアンの基本はやはりトリバディズム(tribadism)なんだよ。男女で正常位で結合するのと同じような形で、あそことあそこを貝合せして、上にいる方が身体を動かして刺激しあう」
 
ゆまが具体的な双方の体勢まで詳しく説明すると、アクアが真剣に聞いている!葉月はよく分かっていない!
 
「このままの体勢から抱きしめると、お互いのバストも接触するし、同時にキスもしていれば、女同士って自然に三所(みところ)責めになる。これが物凄く気持ちいい。これをはさみながら体力の続く限り貝合せを続ける。くたくたになるけど、そのあとは熟睡できるよ」
 
「へー!」
とアクアは感心している。
 

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「あと男の子同士でも、よくやるみたいだけど、実はミューチャル・プレジャリング(mutual pleasuring)が、とても気持ち良い」
 
「ミューチャ?」
「つまりお互いに相手のクリちゃんやGスポットを指で刺激しあう」
「それをMutual Pleasuringというんですか?」
と訊くのは花ちゃんである。
 
「うん。ミューチャル・マスターベーションと言う人もあるけどね」
「なるほどー」
 
「概してある程度楽しんで、もう寝ようかという時にこれをしながら眠ってしまうんだよ」
 
「ああ、眠くなるかも」
と花ちゃんは言う。
 
「今度彼女と寝る時にしてごらんよ」
「私、彼女いません」
「そう?女の子が好きそうな顔してるのに」
とゆまは言ったが、
 
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「この子の場合は、むしろ女の子たちから好かれるタイプですね」
などと、ゆりこが言う。
 
「ああ。ルンバちゃん、女子校でバレンタインたくさんもらってたでしょ?」
「そうでもないですよ。毎年せいぜい20-30個だったし」
「ボクより多いじゃん!」
とゆまは言った。
 
そんな会話をしていた所に私が到着したので、ゆまの“ビアン講座”はそこで中断されたらしい。
 

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少し時間を戻す。
 
2020年8月7日(金・大安・ひらく)、AYA・ゆみは所属事務所$$アーツの前橋社長と一緒に記者会見を開き、AYAが本日付けで$$アーツから独立して、個人事務所“ヴァッセルヴァルト(Wasserwald)”を開設することを発表した。
 
(AYAは元々、あすか・ゆみ・あおいの頭文字をとってAYAだったが、あすか・あおいが脱退してゆみのソロプロジェクトになっている。でもずっと1人なのでAYAがゆみの個人名と誤解している人も多い)
 
但し$$アーツとの業務委託契約を結び、仕事については$$アーツも窓口になる。またレコード会社(★★レコード)との契約はこれまで通りである。
 
Wasserwaldというのはドイツ語で“水の森”という意味で、ゆみの本名・水森優美香の苗字に由来する。
 
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ヴァッセルヴァルトは資本金2000万円で設立される。ゆみの初代マネージャー高崎充子、現マネージャーの井深圭子の2人も$$アーツを退職して、ヴァッセルヴァルトに移籍する。高崎は“専務”、井深は“総務部長”に就任する。株式はゆみが66%, 高崎が34% を所有する。基本的には高崎が企画・営業面、井深は日常の事務やスケジュール管理に付き添いなどを担当する。
 
(高崎さん、鮎川ゆま、それに私はドリームボーイズの元バックダンサー仲間である)
 
AYAは2008年以来12年間$$アーツに在籍してきた(活動開始は2007年だが、当時は所属事務所が決まっていなかった)が、このタイミングで独立するのは、今後はマイペースで仕事をしていきたいからと述べたが、ネットでは$$アーツは企業的な事務所だから制約が多かったので、それから自由になりたいのではという見方が多かった。
 
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「でも水森の苗字を使うんだね。お父さんとは確執があったみたいだし、旧姓を使いたくなかったのかな」
 
「遠上笑美子がいづれ合流するのだと思う。そのために2人の共通苗字である水森を使うんだよ」
 
などと、ゆみたち姉妹の家庭事情を知っている古くからのファンの間では意見交換があった。
 
しかしこれで08年組で大手・中堅事務所に在籍したまま活動しているのはKARIONだけになった!
 

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それに先立つ8月1日、龍虎はゆみから、彼女が所有するマンション(4LDK2S-WTC, 専有面積160m2)を2億円で買い取る契約をした。今月中には荷物を彼氏の家に移動して、クリーニングしてから引き渡すねと彼女は言っていた。
 
結果的にはこの2億円がゆみさんの開業資金(と多分移籍金の一部)になったんじゃないかなと龍虎は想像した。もっとも彼女の年収は恐らく3〜4億円はあるだろうから、元々資金力はあったのではという気もする。ただお世話になった事務所に義理立てして、今までは独立を控えていたのだろう。結婚は独立するのに良いタイミングだ。レコード会社としては、AYAのCDはドル箱なので、独立してもしっかり営業してくれるだろう。
 
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「ゆみさんの年齢になると、結婚したからといって人気が急落することは考えられませんよね」
とアクアはたまたま事務所に出て来た時、川崎ゆりこ副社長と話した。
 
「だと思うよ。ファンも多くはお祝いムードだしね」
「みたいですね。ツイッターは“おめでとう”で埋め尽くされていたし」
 
「アクアも今更性転換しても人気が急落したりすることはないだろうね」
とゆりこは言う。
 
「そうですかぁ?」
 

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「アクアの人気が急落するとしたら、声変わりした場合だよ」
「うーん。でもそれいつかは起きますからね、言っておきますけど」
「だから、人気急落を防ぐために去勢しよう」
「結局はそこですか」
「手術は30分もあれば終わるらしいよ」
「遠慮します」
 
「だってみんなアクアは既に去勢している、あるいは性転換していると思い込んでいるから今更去勢しても何も影響無い」
「ボクは困ります」
「精液は保管しているんだから、別に睾丸とかなくてもいいじゃん」
「ボク将来は女性と結婚したいですー」
「睾丸とか、更にはちんちんが無くてもアクアと結婚したいという女の子はたくさんいるよ」
「うーん・・・」
 
「どっちみち、いづれは女の子になるんでしょ?だったら去勢くらいいいじゃん」
「女の子になるつもりはありません」
「可愛いスカート姿でそんなこと言っても説得力無い」
 
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「出がけにズボンが無かったんですよぉ。昨日3本も買っておいたのに」
「アクアの家ってブラックホールでもあるの?」
 

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