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■夏の日の想い出・龍たちの讃歌(13)

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(C)Eriko Kawaguchi 2020-09-26
 
大崎志乃舞(本名門脇真悠)は、2016年のロックギャル・コンテストで3位に入り、§§ミュージックの研修生になった。男の子(男の娘?)であることを除けばとても優秀な子で、ドラマの端役などをやらせて度胸をつけさせていた。2018年12月で桜野みちるが引退した後は“信濃町シスターズ”のみちるの後任に選任。『3×3大作戦』に出演するようになり、2019年秋には別の局でもレギュラー番組を持つことになる。彼はあまりにも完璧に女の子なので、テレビ局でも“オカマ枠”ではなく、普通に女性タレント扱いだった。彼は2020年春に突然身体の変調が起きて、女の子の身体に変わってしまったので、裁判所に申請して性別を女に訂正し、通っていた高校でも男子生徒から女子生徒に身分を変更されて、“女装男子高校生”(女子制服での通学を認められていた)から本当の“女子高生”になった。
 
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彼女の“性変”については、テレビ局の人たちも「ああ、本当は元々女の子だったから、あんなに女らしかったんですね」と“理解して”くれて、以降、全く普通の女性タレントと同じ扱いになった。
 
「ところでアクアちゃんも半陰陽で実は遺伝子的には女の子だったってのはいつ発表するんですか?」
などと随分訊かれたが!
 
彼(現在は彼女)はロックギャル・コンテストに上位入賞はしたものの、肉体的には男子だったので(最初から「ボクは男の子だけどもし優勝したら女の子歌手になります」と言っていたので、選考除外せず普通に審査した)、足立区の女子寮に入れるわけにはいかなかった(入れると女子たち“から”セクハラされるのが確実)。それで西宮ネオンが住んでいたマンションの別の部屋を借りて、そこに住まわせていたが、2019年春に高校に進学した時、通学の便のため、その高校の近くのマンションに引っ越した。
 
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さて彼女(元は彼)は徳島の出身なのだが、彼女のお父さんが今年7月、東京に転勤になってしまった。実はお父さんが勤めていた徳島地場の会社の経営が行き詰まり、全国規模の同業会社に救済合併された。それで結構な整理が行われ、どうも転勤を拒否するなら辞めなさいという感じだったようである。お父さんは転勤を選択したら、東京支店に異動になった(本社は大阪)。
 
異動辞令があまりにも急だった(月曜日から東京で勤務するようにと金曜日に言われた)ので、一家は取り敢えず、東京の真悠のマンションに一時的に同居することにした。それで少し落ち着いてから、あらためて住む所を探そうということになった。真悠には弟(?)がいて中学生なのだが、住むことになる場所が不明確なので、それを決めてから転校先は決めようということにした。
 
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「瀬那も立派な女子中学生になったみたいだなぁ」
と真悠は弟(妹?)に言った。
 
「5月まで休校だったし、6月に入ってからも週に3回の登校だから、性別問題は気付かれなかった。だからこれ私の転出校の書類」
 
と言って、瀬那が見せた向こうの中学の書類では、瀬那の性別は“女”になってる。
 
「だったら、お前、女子中学にも転入できるな」
と真悠は言う。
 
「ちょっとそこまでやるのは恐い」
と瀬那。
 
「何なら夏休み中に性転換手術しちゃってもいいし。そしたら夏休み明けには堂々と女子中学に入れる。手術代くらい出してやるよ」
 
「手術?」
 
「どっちみち、その内手術したいんだろ?」
「まだちょっと心の準備が」
「ちょっと女の子には余計なものを切り取って、お嫁さんになるのに必要なものを作るだけだよ。3時間もあれば手術は終わるよ」
 
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『2020ビデオガールコンテスト』の二次審査は、一次審査通過者98名を12-13人ずつ8個のグループに分け、4つの審査員チームが午前と午後に1グループずつを審査した。それで各グループの上位2名、特に惜しい人がいる場合は3位までが本選進出である。
 
ちなみにこのグループは一次審査で優秀と思われた人を分散して、レベルが揃うように分割している。例年は地域による差が出るのだが(昨年の石川県予選は異様にレベルが高かった)、今回は実力のある人が本選に進出しやすいようになっている。各グループの審査委員長・副委員長はこのようになっている。
 
AB 秋風コスモス・桜野レイア
CD 川崎ゆりこ・桜木ワルツ
EF ケイ・醍醐春海
GH 日野ソナタ・山下ルンバ
 
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昨年のロックギャルコンテストで2位になり、デビューを勧めたものの「(優勝の)月乃さんがあまりに凄かったから鍛え直してきます」と言っていた、雪渡知香は一次審査をトップの成績で通過。Aグループのラストに入れられている。優勝候補のトップである。彼女はこの1年で随分進化したようで、歌もパフォーマンスもかなり進化していた。
 

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初めて副委員長を拝命した、桜木レイア・山下ルンバ・桜木ワルツの3人は、「うっそー!?」などと言って焦っていた。
 
結局この二次審査で20名が本選に進出した。今回ダークホースとなったのは、Gグループの先頭(つまりグループ内で一次審査が最低点)て出てきた須舞恵夢であった。彼女は伸びのある声と明瞭な受け答えでGグループの1位合格となった。あらためて一次審査の彼女のビデオを確認してみると、スマホで録画したものであるが、アングルが悪い上に遠すぎて声がきちんと拾えてなかったようだ。自分で録画録音してもらっているのでこういうことが起きる場合もある。
 
(後にそれがわざとだったことが判明する)
 
二次審査は条件を揃えるために、Webカメラはこちらから送付したものを使用してもらっているし、自由に使えるパソコンが無いという子には適当なものを貸し出している。
 
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しかしどうも雪渡さんと須舞さんの戦いになりそうな感じであった。ほかにB組1位の横山さん、E組1位の植野さんも有望である。植野さんは昨年は県予選を1位通過したものの、ブロック予選で小学生であることが判明し失格。「来年また来てね」と言っておいたのだが、今年は中学1年になり、堂々と一次審査・二次審査を通過した有望株である。歌も昨年より更にうまくなっていた。
 
通過した20人は、7月19日に東京に集めて本選をする予定である。そのため前日7月18日に、近くの子は車で、遠くの子は§§ミュージック専用機のホンダジェット、江藤さん所有のG650, 千里所有のG450(「貸して」と言ったら何かぶつぶつ言っていた) で手分けして東京に運ぶことにした。関東方面の進出者も前日に東京に呼んで一泊してもらう。これも全員の条件を揃えるためである。
 
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ちなみに川崎ゆりこは
「この20人の中に男の娘は何人いるかなぁ」
などと楽しそうに言っていた。
 

ところで、5月上旬にFireFly20のアルバム、下旬にはColdFly20のアルバム、6月上旬にはWaterFly20のアルバムが相次いで発売されたが、どのアルバムにも月村山斗の名前は無かった。FireFly20は望坂拓美の曲、ColdFly20は桧山羽麗の曲、WaterFly20は近藤早智子の曲で全編が構成されていた。
 
この件に付いてFlyグループのCDを制作しているレコード会社の制作部長は記者団の質問に答えて、月村山斗さんがまだ入院中なので、横居剣一さんからの要請で、たまたま余力のあった実力派の作曲家に協力要請をして楽曲を作成 してもらったことを説明した。
 
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「月村さんは何のご病気で入院しているんですか?」
と記者から質問がある。
 
「巷では新型コロナなのではという噂も聞くのですが」
 
この質問について制作部長はひじょうに厳しい顔をしてから
 
「COVID-19です」
と、この噂を初めて認めたので、記者会見は騒然となった。
 
「制作スタッフやFlyグループのメンバーなどには濃厚接触者はいなかったのでしょうか?」
 
「入院して以降は面会謝絶状態が続いているので家族さえも接触していません。入院直前に接触していたメンバーが数人いましたが、全員PCR検査の結果陰性でした。奥さんと2人のお子さん、月村さんのお母さんもPCR検査の結果陰性でした」
 

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「月村さんの退院の見込みは?」
「まだ分からないそうです」
「意識はあるんでしょうか?」
「個人情報に属すので、お答えを留保させてください」
 
意識があるのなら、そう言えばいいわけで、答えないということは、つまり意識不明の状態なのだろうと多くの記者は判断した。
 
これが6月上旬のことだったが、下旬に入っても月村さんの容態は変わらないようだった。入院は既に3ヶ月以上に及んでいる。
 
しかし今回、望坂拓美の曲、桧山羽麗の曲、近藤早智子の曲で構成されたアルバムの品質が、過去のFly20グループの作品に比べて物凄くできがよい!と評判だった。
 
(もっとも制作費は過去のアルバムの10倍くらい掛かっている)
 
またFly20グループのCDは100万枚以上売れているにもかかわらず、ラジオなどで掛けられることは希れだったのが、今回は3月に発売されたWindFly20のアルバムもそうだが、結構ラジオや有線で掛けられ、ファン以外の人にも知られる曲が出ていた。
 
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2020年7月14日、KGレコードの制作部長が「重大発表があります」と言ってネット記者会見を開いた。
 
制作部長は記者会見の冒頭、
「先日から入院中でありました月村山斗さんなのですが」
と言ったので、多くの人が亡くなったか?と思った。
 
しかし部長は
「何とか治癒して退院なさいました」
と言ったので、安堵の溜息が広がる。
 
「ただ困ったことに」
と部長は言った。
 
「ご病気は治ったものの、後遺症がとても酷い状況でおそらくかなりの期間、自宅療養が必要な状態です」
 
「ウィルスは消えているんですか?」
「はい。PCR検査を3回しておりますが、全て陰性です。しかし肺機能に深刻な後遺症が出ておりまして、自宅で酸素吸入が必要な状態です。当面作詞活動などはできません。そのため、月村さんはFly20グループの運営から引退なさることになりました」
 
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記者たちは騒然とする。
 
「退院なさったのはいつですか?」
「7月2日です」
 
「退院なさってから発表までに随分時間がありますが」
 
「実は月村さんが辞任なさった後、Flyグループの処遇をどうするかについて関係各方面と折衝をしていたものですから」
ということで、その調整に時間が掛かったと説明した。
 

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「それで、Flyグループですが、現在全部で15個のFlyグループがあるのですが、FireFly20, WaterFly20, WindFly20 の3グループのみを存続とし、残りは一応解散とさせていただきます」
 
騒然となる。
 
「但し下記にあげるグループは各々の地域を拠点に活動をしていたので、その地域で継承していただける所がないか打診しておりました所、11個のグループの内、8個で引き受け手が見つかりましたので、KGレコードのflyグループとは無関係にはなりますが活動を継続します」
 
と言って、制作部長は活動が“受け皿”の企業や団体により継続されるグループと、本当に解散されるグループをフリップボードで提示した。
 
企業または団体が継承するグループ
 
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北海道 NorthFly20 →北海航空
青森県 AppleFly20 →津軽新聞
埼玉県 MinumaFly20 →武蔵通運
富山県 HotaruFly20 →富山硝子
兵庫県 RokkoFly20 →西宮バイソンズ球団
岡山県 MuscatFly20 →岡山アイドル応援団
愛媛県 MikanFly20 →伊予交通
熊本県 AsoFly20 →肥後酒造
 
解散となるグループ
 
秋田県 KomachiFly20
長野県 DiamondFly20
佐賀県 BaroonFly20
 

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部長は一部のグループは名称が変更される可能性もあると述べた。
 
「ColdFly20も解散ですか?」
という質問かある。
 
「済みません。順序立ててご説明しますが」
と部長は言い、東京拠点の残り3グループの処遇について先に説明した。
 
「私たちはFlyグルーブに在籍している才能豊かな子たちのことを考え、何とかプロデュースを継承してくださる方が無いか、かなり探したのですが、さすがにこの数のグループを全部まとめて面倒を見てくださる方はありませんでした。そのため、各々のグループは別管理ということになります」
 

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「FireFly20については、月村さんの古くからの友人であった横居剣一さんが引き受けてくださいました。従ってFireFly20はホワイト▽キャッツの姉妹グループということになります。事務所もホワイト▽キャッツと同じ事務所シルバー・ヴァインに移籍になります。ホワイト▽キャッツは萌枝茜音先生がメインライターなのですが、FireFly20は先日のアルバムを制作した縁で、望坂拓美先生がメインライターになってくださることになりました」
 
恐らく望坂拓美プロジェクトの中心人物のひとりである里山美祢子が萌枝茜音と親しい(里山美祢子の娘・本坂愛菜がホワイト▽キャッツの中核メンバー)ことからの縁では思った記者も多かった。
 
「WaterFly20についても、先日のアルバムを担当してくださった縁で近藤早智子先生が引き受けてくださることになりました。事務所は近藤先生が以前運営していた集団アイドル“色鉛筆”が在籍していた$$アーツです。楽曲も近藤早智子先生が提供してくださいます」
 
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「WindFly20については、3月のアルバムはローズクォーツの皆さんを中心に楽曲を提供していただいたのですが、その縁でローズクォーツに楽曲を提供しておられる、上島雷太先生が引き受けてくださることになりました。事務所はローズクォーツの事務所である○○プロが引き受けてくださることになりました」
 
正確にはローズクォーツの事務所はUTPで、○○プロはUTPの親会社なのだが、まあいいだろうと多くの記者は思った。
 
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夏の日の想い出・龍たちの讃歌(13)

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