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■夏の日の想い出・龍たちの讃歌(17)

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(C)Eriko Kawaguchi 2020-10-02
 
その日アクアは打ち合わせがあったので信濃町の§§ミュージックの事務所に来ていた。小浜ミューズパークでの夏のイベントが中止になったので、その代わりに8月23日(日)に、あけぼのテレビと★★チャンネルで同時放送する、アクア・ライブについて打合せるという話だったのである。
 
昨年は“夏休み最終日前日”の8月31日に実施した(9月1日が日曜だったので)のだが、今年はコロナによる4-5月の休校による授業日数不足を補うため、多くの学校が8月24日(月)から授業を始める。それでその前日の8月23日(日)アクアのライブを放送しようということになっている。
 
(リアル・イベントなら“帰宅”のため夏休み最終日“前日”にする必要があるが、ネット・イベントは自宅で見られるので、休み最終日でよい)
 
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期日:8/23(Sun) 14:00 撮影場所:深川アリーナ・無観客(震災イベントと同じ方式で大量の観客モニターと書き割りを並べる)
 
第1部(8:00-11:00)§§スターズ 8:00 ラピスラズリ 8:20 リセエンヌ・ドオ 8:40 大崎志乃舞 9:00 信濃町ミューズ 9:20 桜野レイア 9:40 原町カペラ 10:00 石川ポルカ 10:20 桜木ワルツ 10:40 花咲ロンド
 
第2部(11:30-13:30)§§エクセレント
11:30 白鳥リズム 12:00 姫路スピカ 12:30 今井葉月 13:00 山下ルンバ
 
第3部(14:00-16:00)アクア
 
↑上記の3つの時間帯区分は課金の区切り。
 
なお、高崎ひろか・品川ありさ・西宮ネオンは、充分独立しているアーティストということで、アクアの前座には出場しない。実はアクアの番組がうまく行ったら、来月以降、月1回くらいのペースで、彼女たちの特例番組も制作する案も出ている。
 
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11:00-11:30 にはブンブンの演奏(歌無し)、13:30-14:00には発足したばかりのColdFly5のバンド演奏(歌無し)、が放送される。いづれも無料放送である(スポット広告が入るし、またアクアのライブは特例番組であることの案内も流す)。
 
アクアのライブでは、前半に信濃町ガールズの関西北陸メンバー(前日にG650とホンダジェットで伊丹・小松から連れてくる)、 後半に信濃町ガールズの本部メンバーがバックで踊る。アクアは14:50-15:00に休憩をもらい、その10分間は山下ルンバと大崎志乃舞のトークで繋ぐ。今回は終了時間を厳守する必要があるので、15:50からアンコールに代えて“サービス・パフォーマンス”で2曲(龍と子供・旅人の休息の予定)歌って終了とする。
 
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現時点で、あけぼのテレビの同時接続能力はだいたい300万回線なのだが、通信会社との話し合いでこのイベントに関しては臨時に500万回線まで使えるようにしてもらえる。更にこの放送に関しては特例処置として全ての会員にタイムシフト視聴を許可して翌日以降1ヶ月以内なら視聴できることにしている。また、ライブは14:00-16:00 なのだが、17:00-19:00, 20:00-22:00 23:00-25:00 にも再放送する。それによって負荷分散をしようという魂胆である。
 
一方の★★チャンネルの配信能力は現在70万回線くらいだが、当日までに100万回線程度まで増強するという話だった。こちらも1ヶ月以内はタイムシフト視聴できる。
 
★★チャンネルとは、この機会にあけぼのテレビの有料番組の再配信の契約を結ぶことになった。
 
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ちなみに7月時点でのあけぼのテレビの加入者数は約500万人で、つまり今の会員数なら確実に全員がリアルタイム視聴できるのだが、アクアのライブ目当てで加入者数が急増する可能性があり、§§ミュージックでは、トリブルスター側に、場合によっては更に多くの回線数を貸してほしいという要請を出していた(費用も莫大にかかるがやむを得ない)。
 

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それでこの日は、朝からアクア、葉月、花ちゃんの3人が来ていて、川崎ゆりこ副社長と簡単な打ち合わせをしていた。
 
§§ミュージックの営業時間は朝9時から夜22時までなので、だいたい、ゆりこ副社長が9:00-17:00, コスモス社長が14:00-22:00に勤務してどちらかがオフィスにいられるようにしている。もっとも2人とも営業での外出や出張も多いし、制作現場に入っていることもあり、桜野レイアやエレメントガードのユイがお留守番している日もわりと多い。もっともユイはわりとよくガードマンと間違われる!彼女は柔道五段で元プロレスラーでもある。性別もわりと間違われる!
 
「ユイさん、ズボンの中に特殊警棒を隠しているという噂もありますが」
「うん。両足の間に伸び縮みする警棒を隠してるよ」
 
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などと冗談だかマジだかよく分からないことを言っている。実は彼女はライブ中にアクアが襲われたような場合に、アクアを守る特命が与えられており、そのため、エレメントガードとしてのお給料に加えてボディガードとしてのお給料ももらっている。2016年12月にアクアが放送局で襲われる事件があったので、そのあとエレメントガードに加入した。
 
彼女はライブの時は服の内側に防刃ベストを着込んでいるという噂もあるが真偽不明。実は射撃もうまくて、クレー射撃で国体に出たことがあるという噂もあるが、本人は否定している。散弾銃の免許自体は持っているらしいが、さすがに国内では拳銃などを携行することはできない。彼女が使用しているドラムスティックは実は先端を外すと小型の銃になるという噂もあるが「そんなんでドラムス打ってたら暴発するよ」と笑っていた(確かにそうだろう)。
 
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なお今回のアクアのライブの放送は当然有料放送だが、月額定額料金(1000円)では見られない特例番組となっている。特例番組という存在はあけぼのテレビの立ち上げ段階で紅川相談役の提唱で会員規約上設定し、定額会員の入会申し込み画面でも「一部の特例的な番組は定額視聴の対象外になる場合もあります」と明記していたものだが、初めての適用となった。
 
視聴には特別視聴料金1500円(学生とプレミアム会員は1000円)が必要である。それでも通常のアクアのライブ(7200円)よりは随分安い。これは実は★★チャンネルが1500円で配信するのでそれと合わせたというのもひとつの言い訳にしているが、本音は有料にして接続を制限しないと、どんなにバックボーンを増強してもダウンする危険があるし、また回線費用を少しでも負担してもらわないと、下手すると莫大な赤字を出すからである。
 
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先頭の10分間は無料で見られるが10分以降は特別視聴料金が必要であるというテロップが流れるので、その間に料金を支払うか、あるいは会費を先払いしている人はそこから減算するかの操作が必要になる。
 

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「だけど7000円で7万人入れても売上は4億9千万にしかならない。1500円を600万人が見たら90億円だよ」
「まあ回線使用料で10億くらい吹き飛ぶけどね」
「いや、もう少し行くかも」
 
「昨日、前納金を振り込むのに沢村さんが『恐いから数字確認してください』と言って私も見たけど、私も不安になったから花ちゃんにも見てもらった」
「私もあんな金額数えたの初めて」
 
「でもリアルイベントでも会場代・設営費・運送費やバイトさんの報酬とかで2-3億飛んでますよね」
 
「まあそれは実はそうなんだけどね」
 
なお、アクアのライブに先立つ、§§ミュージックの他のタレントによるプロローグ・イベントは、第1部は無料番組、第2部は有料番組だが、月額定額料金で見ることができるし、定額会員でなくても、アクアのライブの特別視聴料金を払った人は無料で見ることができる。
 
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それでゆりこ、アクア、葉月、花ちゃんが話していたら、入ってくる人がある。
 
「おはようございまーす」
「おはようございます、鮎川さん」
とゆりこが笑顔で応対に出た。レッドブロッサムの鮎川ゆまである。
 
「ケイは来てる?」
「お昼から来るんですよ」
「ありゃぁ、早く来すぎたか」
と鮎川ゆまは言っているが、この人の場合、時間感覚がアバウトなので、どちらかというと遅刻のほうが多い。ゆまの感覚では2〜3時間は誤差の範囲である。
 
「呼び出しましょうか?」
「いやいいよ。あの子も忙しいし。ここで待たせて」
「はい。それでは第2会議室でお待ちください。今ケーキでもお持ちしますね」
とゆりこは言ったのだが、窓際の打ち合わせスペースに、アクアがいるのに気付く。
 
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「アクアちゃーん」
などと言って寄って行く。
 
「おはようございます、鮎川先生」
とアクアは挨拶する。葉月と花ちゃんも立ち上がって挨拶した。
 
「アクアちゃーん。大好き」
と言って、ゆまはアクアをハグする。
 
「濃厚接触はおやめください」
とゆりこ。
 
「ごめん、ごめん」
と言ってゆまはアクアを離す。
 
「アクアちゃんの写真集買ったよ」
「ありがとうございます」
「7冊買ってきて、部屋に並べてスリネタにしてる」
 
「スリネタ?」
「男の子はセンズリだからズリネタでしょ?女はアテコスリだからスリネタだよ」
「ゆまさん、中高生も見てるかも知れないところにあまり書けないようなこと、発言しないでください」
と花ちゃんが注意している。
 
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「でもどうして7冊なんですか?」
と葉月が訊く。
 
「それは曜日ごとに別のアクアを楽しむためだよ」
「よく分からない」
 
うん。分からない!
 
「だけどアクアちゃん、いつの間に女の子になったのさ?やはり高3になってからちゃんと女性ホルモン飲むようにしたの?」
 
「別に女の子にはなってませんし、女性ホルモンも飲んでません。巻末に写真を載せたように女体偽装しているだけですから」
 
「うそうそ。ブレストフォームは単にくっつけているだけだから身体の軸から流れる。君のおっぱいはちゃんと身体と一緒に動いている。あれは本物のおっぱいでないとあり得ない動きなんだよ。女の子のおっぱいを20年観察し続けているボクには違いが分かるよ」
 
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などとゆまは言っている。
 
この人鋭いなとアクアは思った。そういう観点の意見はネットでは見たことがない。
 

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「話がよく見えなかったんですが、鮎川さんって男性なんですか?」
などと葉月が訊いている。
 
「ボクは女だよ」
「でも水着のアクアさんで・・・そのぉ、マスターベーションするんですか?」
「だからアテコスリって言ったじゃん」
「アテコスリ・・・・・あっ」
と言って葉月はようやく意味が分かったようで、真っ赤になっている。
 
「ゆまさんはビアンで有名だよ」
と花ちゃんは言ったが、
「ビアンって?」
と葉月はその言葉の意味が分からない。
 
「レスビアンの略だよ。世間ではレズと略す人が多いけど、その言葉は差別的に使われることが多いから当事者の間では避けられる傾向にある。代わりにビアンと略す」
と花ちゃんが解説する。
 
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「へー!知らなかった!」
と葉月。
 
「bienne est bienne」
などとゆまは言ったが、意味が分かったのはフランス語のできる花ちゃんだけである。先頭のbienneは lesbienne レスビアン(の人)の省略形で、後のbienneは「良い」という意味の形容詞bienの女性形。つまり「ビアンは素晴らしい」という意味。ちなみに女性同性愛そのものは lesbianisme で、この名詞は男性名詞なのでそちらを使うと、lesbianisme est bien となって、あまり面白くない。
 

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「そうだ!君たちにレスビアンのテクニックを伝授しよう」
と、ゆまは言い出した。
 
「はぁ!?」
とゆりこは呆れ顔である。
 
「いいじゃん、男には内緒の、女同士の会話たよ」
 
「誰かボクのパートナー務めてくれる人いない。実演してみよう。気持ちよく逝かせてあげるから」
 
「こんな所でやめてください」
「ゆりこちゃんって、ゆりだから、ゆりこちゃんじゃ無かったんだっけ?」
「紅川相談役が、名前何にしようかと考えていた時、ユリの花が咲いているのを見たからだそうです」
 
「なんだ、つまらん。アクアちゃん、ボクの相手しない?」
「遠慮します」
「葉月ちゃんは?」
「女子高生に変なことしないでください」
「ルンバちゃんは・・・・やめとこう」
と、ゆまは花ちゃんの目を見て素直に諦めたようだ。
 
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「ルンバちゃんはバイだと思ったのに」
などとまだ言っている。
 

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