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■夏の日の想い出・龍たちの讃歌(10)

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北九州空港に降りた後、レンタカーのエスティマに5人で乗る。醍醐春海自身が運転して1時間弱走る。車内で朝食をとったが豪華な朝食だった!
 
田舎道を随分走り、更に小さな道に入っていった所に工事用フェンス?に囲まれた場所がある。
 
「改装工事は既に完了しているのですが、ヌード撮影をするためにフェンスを残してあるんですよ」
 
「なるほどー」
 
それで中に入ってみると、フェンスの内側は空色のペイントが塗られており、本物の空の色とよく調和している。このペイントの色を選んだ人は、絵描きさんか写真家だろうと、室田は思った。普通の建築屋さんなら、ここまで調和する色を選んでいない。
 
建っている邸宅は立派なものである。
 
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「元は伯爵家の邸宅だったのですが、長いこと空き家になっていてかなり傷んでいたのを特に内装についてかなりこだわって改装しました。骨格は傷んだままなので、歩くとギシギシ言うと思いますが、すぐに崩れたりはしませんから」
などと言っている。
 
土足で上がってよいということだったので、そのまま上がる。玄関から奥へ続く廊下を歩くが、確かにきしんだ音がする。やはり間に合わせの内装改装だったのだろうが、もしここに住むなら本格的な改築が必要だろうなと室田も思った。
 
奥にあるドアを開ける。古風な明治時代の応接室が再現されている。そこのソファに座っていた少女が立ち上がり、こちらを向いて
 
「おはようございます、室田先生、よろしくお願いします」
と挨拶した。
 
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室田は仰天した。
 

「アクアちゃん!?」
と声を挙げる。
 
確かにこの子のヌードなら2億でもおかしくない。しかし・・・。
 
醍醐春海を見る。
 
「女の子と聞いたのですが」
と言う(実は男の子を撮る自信が無い)と、醍醐春海は
 
「脱いでごらんよ」
とアクアに向かって言った。
 
「はい」
と言って、アクアは少し恥ずかしそうな顔をしながら服を脱いだ。
 
やや未熟っぽい女体が露わになる。ちゃんと胸はあるし、お股には変な物はぶらぶらしていない。18歳と聞いたが、まだ14-15歳の裸体に見える。これ、児童ポルノにならないよな?と一瞬不安がよぎった。しかし問題はそこではない。
 
「嘘!?アクアちゃんって女の子だったの?」
「何も詮索しないという約束ですよ」
「すみません。そうでしたね。でも彼女のことはアクアちゃんと呼んでいい?」
「もちろん」
 
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室田は少しロケハンしたいと言い、フルヌードのアクアと一緒に邸内を歩き廻り、また庭にも出てみた。いくつかの箇所で彼女(と言っていいのだろう)にポーズを取ってもらう。
 
「済みません。30分くらい構想を練りたいのですが」
「どうぞ」
 
それでアクアには服を着て待機するように言う。アクアは今日はブラジャーをつけていない。ブラ線をできるだけ消すため、昨日の朝以降つけないように言っていた。休憩中も裸にワンピースを着るだけである。
 
10時すぎから撮影を開始する。室田の頭の中にグアムで鹿島信子(当時19歳)を撮った時の記憶が蘇る。そうか、この子も実は半陰陽だったのかも知れないと室田は思った。きっと戸籍上は男の子なのかも知れないが、おそらく遺伝子的には女の子だったのだろう。それで普通の女の子にしては発達が遅く、まだ14-15歳くらいに見えるのかも。女の子なら声変わりがしないのも当然。でもこの子、既に初潮は来てるよね?などと考えながら、無心に写真を撮り続けた。
 
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醍醐春海が用意した3人の助手は写真撮影の経験が豊富なようで、撮影用語なども全部理解してくれてストレスの無い撮影ができた。レフ板の使い方がうまい。むしろ露出などのことで「この明るさで大丈夫ですか?」などと注意してくれたりもしたので、助かった。
 
昼食を取る。室田と助手たち、醍醐春海、それに途中からやってきた、ケイと秋風コスモスはウナギのセイロ蒸しであるが、被写体のアクアは身体の線が崩れないようにサンドイッチとコーヒーだけである。
 
午後からも精力的に撮影する。室内は、レトロな応接間、ヴィクトリア朝っぽい装飾の洋間、囲炉裏もある古風な和室、どこで調達してきたのか、昭和40年代頃の大型電算機が納められたコンピュータールーム(多数の磁気テープ装置が並ぶ)、太陽がいっぱいあふれるサンルーム、美しいロートアイアンの螺旋階段、アールヌーヴォー調の黄金色の柵(実際金メッキ加工されている)があるテラス、などを使用し、また屋外では、2000坪もある外庭の花壇や生け垣、美しい石畳、梨の木のそば、またミニ山水が造られている中庭でも撮影をする。アクアは物凄く魅力的な被写体だ。「こういう表情をして」というのをよく理解してくれて、こちらの思う通りの表情が撮れる。
 
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おやつを挟んで撮影を続け、夕方の光の中での庭の古ぼけた石燈籠と、鹿威し(ししおどし)のある池のそばで撮影を終えた。
 
(庭は虫に刺されたりしないように忌避剤も撒き、外庭は扇風機で強制的に風を起こし、中庭はベープノーマットをたくさん焚いている)
 

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「お疲れ様でした」
「それでは明日は同じ被写体・同じポーズで水着写真を」
 
「あのぉ、この子、和服が似合う気がするので、水着写真だけでなく振袖とかの写真も撮れませんか?」
と室田は言った。
 
「では明日は振袖から始めましょう。どんなイメージの振袖がいいですか?」
 
「豪華な加賀友禅とか用意できます?」
「じゃ調達して今夜中に室田先生のスマホにメールしますから、どれがいいか選んで下さい。それを明日朝着付けしておきます」
 
「お願いします!」
 
その日は町内の民宿のような所に泊まった。助手さんたち、ケイ、コスモスも一緒だが、醍醐さんとアクアは別の所に泊まったようである。
 
夜23時頃に青系、赤系、白系の3種類の加賀友禅の写真が送られてきた。アクアには青が似合いそうな気がしたので「青でお願いします」と返信しておいた。
 
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翌日、昨日より1時間早く始める。青い加賀友禅を着たアクアは物凄く魅力的だった。むしろヌードより魅力的だ!すごくいい顔をしている。きっと振袖が好きでたぶんよく着ているのだろう。彼女を応接室、洋間、サンルームなどで撮影、庭でも撮影してから水着に着替えてもらう。
 
そして様々な水着に着替えながら、昨日ヌードを撮ったのと同じ場所で同じポーズをさせて撮影した。こちらも覚えているし、アクアも覚えているので撮影はスムーズに進む。ただ、タイムキーパーを務めてくれたケイが「あと5分待機してから」などと声を掛ける。
 
昨日と太陽が同じ角度になるのを待ってから撮影をするということにしているようである。実際室田も「うん。この日射角度」と思いながら撮影を続けた。
 
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そして夕方、昨日のヌード写真の撮影と同じ、燈籠のそばで撮影を終える。
 
「ありがとうございました。室田先生。ところで、お口汚しで申し訳ないのですが、追加料金で1000万円払いますから、あと1時間ほど、“別の衣装”のアクアを撮ってもらえないでしょうか?」
 
「いや、2億ももらったから追加料金とか要らないですよ。どういう衣装ですか?」
 
「別の水着衣装なんですよ。アクア、出ておいで」
とコスモスが言うので、出て来たアクアに仰天する。
 
「男の子!??」
 
彼はショートパンツ型の男子水着を着けている。上半身は裸である。
 
バストが無い!!
 
双子の兄弟!?とも思ったが、室田はすぐ頭の中で否定した。身体のラインが完全に女の子アクアと同じなのである。男女の双子なら、どんなに似ていても、男女の差で身体のラインは変わる。しかし彼のボディラインは女の子アクアと完全に一致する。それは長年ヌードを撮り続けた自分の目が確信する。更にお腹の所にある傷跡が、さっきまで撮っていた子と完全に同じである。
 
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「えっと・・・」
「何も詮索はしないということで」
「分かりました!」
 
それで室田は訳が分からなかったものの、男子水着姿のアクアを、応接間、洋間、サンルームで15分ずつ撮った上で、庭でも人工照明の下で撮影した。
 
ちなみに室田は応接室で「朝一番に撮ったのと同じポーズで」と試しに言ってみたら、アクアはちゃんとそのポーズを取ったので、もしかして本当に同一人物なのだろうか?と疑問が膨らんだ。
 

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19時半頃に全ての撮影が終わった。
 
「本当にありがとうございました」
 
「疑問はたくさんありますが、約束通り、何も詮索しないし忘れることにします。データは取り敢えずrawdataは今日のもこれからお渡ししますが、一応の編集をした上で、ヌードのデータは責任持って消去しますね」
 
「お願いします。二度手間ですが、お手数おかけします」
 
それで室田は醍醐春海の Gulfstream G450 で東京に帰還した。
 
東京に戻ったら、基本的にヌード写真で写真集を構成した上で、各々の写真を翌日撮影した水着写真に差し替えたものを作る。それらのデータのオリジナル!をハードディスクごとコスモスに渡した上で室田側には何も残さないことにした。
 
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ヌードだけを消すのは、うっかり消し忘れが発生する可能性があるのでハードディスク丸ごと全部渡してしまった方が安心である。もし後日再編集の必要が出た場合は、あらためてデータをコピーさせてもらうことにする。
 
なお“男子水着写真”は室田としてもあまり楽しくないので、最後の方に3枚だけ入れることにしてコスモスの了解を得た。
 
この部分には、室田の悪戯心で
「でもボク男の子だよ〜ん」
 
というコメントを入れたが、発売後
 
「誰が信じるか!」
 
と多くの人に言われた。多くの人はやはりアクアは女の子で、男の子写真はPhotoshop上でバストを消去加工したのだろうと思ったようである。
 
ちなみに振袖写真は写真集の冒頭に入れることにした。
 
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なお、この撮影場所への往復だが、アクアは東京のマンションからの転送!である。実はこの両日、アクアMは東京でふつうに仕事をしており、普通ならそういう場合マンションで休んでいるFを九州に転送して撮影している。私とコスモスは§§ミュージック専用のホンダジェットで羽田から北九州空港まで飛び、レンタカーで現地に入っている(佐良さんに、一緒にホンダジェットで飛んでもらい、レンタカーは彼女が運転した)。むろんこの撮影はマリには内緒である!
 
しかし千里が Gulfstream G450 を所有しているとは知らなかった。何でも中古の機体を4億円で買ったもので、普段は“空き地”(??)に駐めているなどと言っていたが、空き地に駐めておいて飛ばす時はどうするのか、大いに疑問である。
 
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ところでこの旧宮田伯爵邸の場所は福智町であるが、平成の大合併の前は“金田町”だったので、この写真集の名前は“アクア:カナダの休日”となった。
 
実は“金田町”は“かなだまち”と読むのである!
 
海外に出られないという状況の中、鳥取県の羽合(はわい)、大分県の宇佐(USA!)、和歌山県のソビエト!(という名前の小島−むしろ岩!“そびえとる”からの転化?実は本州最南端!)などを候補に挙げた上で、この福岡県のカナダに旧伯爵邸があることが分かり、下見したところ改修可能と判断。地権者の旅館から5000万円(ほぼ土地だけの値段)で購入した。
 
(旅館はコロナで経営が物凄く悪化していたが、この売却で生き延びられた)。
 
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3000万円掛けて建物の改修と花壇などの整備をし、撮影に間に合わせたが、この改修をわずか10日間でやり遂げたのは、播磨工務店の“白組”と“赤組”の合同チームである(白組が建物改修、赤組がお庭整備)。撮影終了後の改築は名目上ムーラン建設で建築許可を取ったが、実際に施行したのは、同じ播磨工務店のチームである。
 
ちなみに写真集の英語のタイトルは Aqua Holiday in Kanada となっており、Canada とは書いていないので、一切嘘はついてない! また写真集の帯にも「撮影場所:福岡県旧金田(かなだ)町」と明記している。
 

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※ 実は筆者の友人ミュージシャンが以前この金田町に住んでいた。公演の打合せなどで電話する時に「金田(かなだ)の**と申しますが」などと言うと、向こうは国際電話かと思い、大急ぎで担当者につないでくれていたらしい。
 

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夏の日の想い出・龍たちの讃歌(10)

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