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■春三(21)
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松崎元紀は夜中目が覚めてトイレに行くと、おしっこの出方が変だった。それでお股を覗き込むと、立派な男性器セットがあるのでギョッとする。
「きっとこれは夢だ」
と思うと布団に戻ってぐっすり寝る。でも4ヶ月ぶりの男の子オナニーをした。気持ち良かった。これもいいけど、やはりぼく女の子になりたいなあと思いながら、眠りに落ちて行った。
朝起きてからまたトイレに行くと、おしっこはいつもの位置から出た。ペニスはあるけどとても小さい。やはり夜中のは夢だったんだなと思った。でも男に戻ってる夢を見るなんて、ぼく心のどこかでまだ女になることに迷いがあるのかなあと少し悩んだ。
坂上透は“女子寮A803”の部屋で夜中目が覚めてトイレに行くと、おしっこの出方が変だった。それでお股を覗き込むと、男性器が消失して女の子のような形になっており、おしっこは凄い後ろのほうから出ているようだった。
「きっとこれは夢だ」
と思うと布団に戻ってぐっすり寝た。でも女の子オナニーをしてみた。物凄く気持ち良かった。これもいいなあ。ぼくよく女の子に間違われるけど、いっそ本当に女の子になってもいい気がする。などと思いながら、眠りに落ちて行った。
朝起きてからまたトイレに行くと、おしっこはいつものように出た。やはり夜中のは夢だったんだなと思った。でも女の子になる夢を見るなんて、ぼく心のどこかで実は女の子になりたいと思ってるのかなあと少し悩んだ。
『ミュージシャンアルバム』の取材で11月27日(日)は、鈴鹿美里と大内小猫ちゃんをお迎えした。昨日が弘田ルキアとキャロル前田の“男の娘組”だったが今日は“女の子組”?である。
鈴鹿美里と大内小猫は各々のマネージャーと一緒に5人でHonda-Jet
Goldに乗せて26日夕方富山空港に飛んできており、高岡市内で1泊してから、まずは午前中に大内小猫ちゃんが来てくれた。
小猫ちゃんを先にインタビューするのは、中学3年生の彼女を夕方には東京に帰したいからである。2013年4月に中学3年でデビューした鈴鹿美里ももう24歳である(彼女たちは8月生)。ただし放送順は逆になる。4月9日鈴鹿美里、4月23日大内小猫である。これはひとつはゴールデンウィーク直前に小猫ちゃんをプッシュしたいから。もうひとつの理由は後述する。
来る時の機内では
「ちょうど今の小猫ちゃんの年に私たちデビューしたんだよ」
などと話をしてきた。
青葉邸のサンルームでインタビューは行われる。この番組ではおなじみになったアラビアンなシールが貼られたアルハンブラ(千里が運転)から小猫ちゃんが降りる。ラビスラズリが案内して玄関からサンルームに移動するが、その経路には弘田ルキア、キャロル前田とアドベンチャーズ、鈴鹿美里、および小猫のポスターが貼られている。鈴鹿美里と放送順が逆になることを意識したものである。弘田ルキアの時はスカイロード、東青山少女合唱団、ハラマドラーとルキア自身のポスターだった。
「という訳で、“いつも元気な幸福の白猫”大内小猫ちゃんでーす」
と朱美が紹介すると、両手にVサインをし、猫耳カチューシャを付けた大内小猫がカメラに向かって手を振る。
「なんか元々猫に縁があるんだよね」
「はい。生まれが“ひこにゃん”の里・彦根市なんですよね。それにうちでも猫飼ってたんですよ。ミケちゃんっていう三毛猫とシロちゃんっていう白猫で」
「まんまやね」
「えぇ。シロちゃん亡くなった後はクロちゃっていう黒猫が来てくれたんですが」
「それもまんまやけど亡くなった時は悲しかったでしょ?」
「一週間くらい泣いてました」
「辛いよね。劇団にも入ってたんでしょ?」
「はい。現地の児童劇団に入っていたんですけど、発表会で最初にやったのが『11ぴきのねこマラソン大会』の“猫21”という役で」
「『11ぴきのねこ』って11ぴきじゃないんだっけ?」
「本来そうなんですけど、『マラソン大会』はマラソンに参加してる猫だけで20匹くらい、沿道の観衆とかまで入れると100匹くらいの猫が登場するんです」
「おお凄い」
「実際にはその時の劇でマラソンに参加したのが21匹で私はその21番目だったんですよね。でもマラソンコースの中の迷路で迷ってしまう猫の役で」
「それは割と美味しい気がする」
「でしょ?あの迷子になった小猫、可愛かったとか言われて」
「うんうん」
「それもほんとうは応援してる猫の1匹の予定だったんですが、21番目の猫の役の子が当日風邪で出られなくなって、急遽代わったんです。途中で迷子になって泣くだけの役だからと言われて」
「この世界、代役をした人が結構伸びるんだよ」
「東京の事務所の課長さんにも言われました」
「キー局でのデビュー作も『11ぴきのねこ』だったね」
「はい。2年前2021年の4-6月放送、実際には3月から撮影開始したんですけど。これも実は代役だったんです」
「凄いね」
「猫11をする予定の人が初回撮影当日の朝、階段から落ちて3針縫う怪我で出られなくなっちゃったんですよ。私は“Kitten Eight”というグループアイドルで5月にデビューする予定で、その日事務所に打合せのため朝から出て来てたんですよね。その時私が一番乗りで私だけが居たんです。そこに緊急の電話が入って。そしたら社長が『君ちょっと行ってきて』と言って」
「ああ、この世界ではよくある話。たまたまそこに居た人が使われる。ある映画とか主演女優が降板して、たまたまそこに居たウェイトレスさんが起用された」
「そんなのあったんですか!?」
「まあ色々なことがある」
「すごーい!それで私は5月にアイドルデビューだから1回だけの代役かと思ったんですよ。ところがブロデューサーさんに気に入られちゃって。セリフも台本修正してかなり増えて。“大内小猫”の芸名も頂きましたし。主題歌まで歌うことになって」
「結局1クール、12回最後まで務めたねー」
「そうなんですよ。あれ途中で辞めちゃって出てこなくなった人もあって最後は7匹しかいなかったんですが」
「うんうん。数が減ってる。タヌキにでも食われた?なんて言ってた」
「それで結局 "Kitten Eight" のほうは退団扱いになって、オーディション次点の久田抄花ちゃんが加入しました」
「そして続けて猫役『ブーツを履いた猫』の大熱演」
「びっくりしました。4月に端役でデビューしたばかりなのに大抜擢されて。他の猫仲間に嫉妬されるのではと思ったんですけど、みんな『おめでとう』と言ってくれて、いい友だちを持ったなあと思いました」
「この業界、妬む人もいるけど、性格のいい人も多いから」
と朱美は言う。
「でもあれも主題歌を歌わせていただきましたし」
「やはり君が歌がうまいから歌わせるんだと思うよ」
「当時プロデューさんに言われたのでは主演の新里耕児さんが歌は歌わない主義なので(*48)、歌の歌える女の子に猫をやってもらおうということになったということでした」
「あのシリーズは予算があるだけあって、歌にもかなりのレベルを要求するもんね。それで私たちもカメオ出演してほぼ歌だけ歌うってのあったし」
「ラピスラズリさん、それで結構歌ってますよね」
「なかなか演技もできて歌もうまいという人は少ない」
「でしょうね。でも後から聞いたのでは『11ぴきのねこ』の誰かを使おうということになったものの、最後まで残った7人の猫の内、女子が3人だったんですけど、その内2人は次のドラマが決まっていて、私だけスケジュールが空いてたから『この子にやらせよう』ということになったらしくて」
「あはは」
(*48) つまり下手ということ!友人の証言でも音楽はいつも1だった。もっともこの世界には音楽1で歌手をやっている人もたくさん居る。これはだいたい3つの類型に分類できる。
(1) その後努力してうまくなった。マリちゃんみたいなタイプ。それでも正確性には欠ける人が多い。女優さんやお笑いの人で歌も歌うという人には時々居る。
(2) 元々うまかったが音楽の先生と合わず良い成績がもらえなかった。このタイプは小学校では音楽の成績は悪くても中学や高校でコーラス部や吹奏楽部のリーダー格だったりする。バンドやってる人たちに結構居る。
(3) 今でも下手。アイドル歌手に多い。
「でもあのドラマでそちらの事務所の常滑舞音ちゃんと“にゃんこ同盟”を結んだんですよ」
「うんうん。舞音が楽しそうに言ってた。舞音が黒猫で小猫ちゃんが白猫とか」
「なんかそういう感じになったんですよねー。『ブーツを履いた猫』が白猫のコスチュームでしたし」
「あれ見てうちの部長(花ちゃん)が舞音に『八犬伝』の“八房”の役をさせること思いついたんだよね」
「あれも凄い熱演でしたね。さすがです」
「それで小猫ちゃんも『注文の多い料理店』の猟犬の役をしたし」
「あれはUFOの皆さんと楽しく演技できました」
「あと『クイズ七味唐辛子』のレギュラー解答者になって」
「あれも代役だったんですけどね。解答者に入る予定の方がコロナで隔離されて」
「代役が多いね〜」
「『七味唐辛子』は私みたいな新人がこんな大役いいのかなと思いました」
「他にも『青空高校の午後』に出てる」
「あれで芸能界に随分知り合いが増えました」
「歌の方もだいぶ出したねー」
「はい。『11ぴきのねこ』の主題歌を歌って、『ブーツを履いた猫』の主題歌を歌って、11匹の猫のOB会みたいになった『猫たちの大冒険』ではThree Cat Girls のクレジットで歌いましたし、『パパイヤ家族』でまたソロで主題歌を歌って。なんかドラマとかの主題歌が多いんですよ。あとはCM関連ですね」
「歌える女優さんという感じになってるよね。将来的には歌とお芝居とどちらを主軸にしたい?」
「どちらも好きですけどね。やはり女優がメインになっていくかも」
「10代であれだけ演技力がある人って貴重だから、頑張っていくといいね」
「はい」
「そして来月はとうとう初主演」
「ええ。今まで準主役みたいなのはいくつかあったんですが、主役って初めてだったんですよね。ほんとに緊張しました」
「凄く可愛いお嫁さんだったねー」
「ウェディングドレスなんて着るのも初めてだったからドキドキしました」
「でも昔は女の子は12-13歳で結婚してたからねー」
「もう初潮が来たら結婚可能ということになってたみたいですね」
「きっとあの物語の主人公もそのくらいの年頃なんでしょうね」
(この部分は台本でトークしている。実は小猫本人も何の役をするのか、そもそも何のドラマか全く聞いていない!ただ「お嫁さんの役」とだけ聞いている。朱美も結婚する娘の役らしいと聞いているだけである。だいたい脚本とかもできてないので、今回収録したセリフと合わなくなったらこの部分だけ撮り直す予定である!)
「いきなりヴァイオリン弾いてるところから始まったけどヴァイオリン上手いね」
「ヴァイオリン教室途中で辞めちゃったからお恥ずかしいです。簡単な曲しか弾けないから」
「それは難しい曲を弾かなければいいんだよ」
「そうですけどね!」
歌のコーナーでは最初に“先日のドラマでも演奏した”通称“バッハのメヌエット”(本当の作者はクリスティアン・ペツォールト)をはるこがピアノ伴奏して小猫ちゃんのヴァイオリンで演奏する。そのあとでデビュー作となった『11ぴきのねこ』の主題歌を朱美のエレクトーン伴奏で歌唱した。この歌唱音源は追って彼女のアルバムに収録されることになる。
小猫ちゃんはインタビューのあと、居間でラビスラズリ・千里と一緒に会食して午後からは追加の取材に行った。猫つながりで高岡駅のドラえもんポスト、ウィング・ウィング高岡広場にある“ドラえもんの散歩道”などで記念撮影。藤子・F・不二雄ふるさとギャラリーも見学してから夕方、富山空港から、来た時と同じHonda-Jet
Goldにマネージャーさんと2人で乗って熊谷に戻った。
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