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■春三(5)

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2022年10月22日(土).
 
ウィンターカップの富山県予選が始まったが、女子では春貴のH南高校や矢作先生の高岡C高校などはシードされているので22日も23日も試合は無かった。ただし、22日の開会式にキャプテンの谷口愛佳と春貴だけが参加した。今回の参加高校は32校だが、22-23日の試合で16校が消えて残り16校となった。
 
10/22 1回戦 4試合
10/23 2回戦12試合
10/29 3回戦 8試合
10/30 準々決勝4試合
11/05 準決勝2試合
11/06 決勝
 
1,2回戦不戦勝だったのはインターハイ予選のBest4になった、高岡C高校、高岡S高校、H南高校、富山B高校である。
 
なお、男子の方は40校の参加であった。H南高校は22日は不戦勝だったが、23日は試合があり、勝ち上がってベスト16に進出した。
 
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10月27日(木).
 
高田晃は予定より1日遅れ、10月27日に3度目の生理が来た。ただし最初の生理は黒衣魔女の卵巣が引き起こしたものであり、晃本人の卵巣が起こした生理としては2度目である。
 
「だいたい予定通りに来たね。この生理が終わってから10日くらいまでは卵胞期だから調子のいい状態でウィンターカップ決勝戦を迎えられるよ」
と姉の舞花は言った。
 
「ぼく試合に出るの〜?」
「何を今更」
「やっぱり出るのはずいよ〜」
「いや、出てもらう。22日に提出したメンバー表ではちゃんと選手登録してるから」
「え〜!?」
 

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ΘΘプロのシアター春吉社長は年末か年明けに発売予定の羽田小牧のアルバムの仕上がり具合を見にスタジオに来た。
 
「どう?」
「90%くらいの出来と思うんですけどね」
とプロデューサーは言って現在の仮ミックスを社長に聴かせる。
 
「あと1週間くらいで完成するかな」
と春吉社長は言った。
 
「まあ小牧ちゃんのスケジュール次第ですかね」
とプロデューサー。
 
要するに小牧の歌が微妙!ということだが、彼のスケジュールが忙しすぎてなかなか時間が取れないという問題がある。
 
「あ、そうそう。小牧ちゃん。次の土曜からΛΛテレビの昔話シリーズに入って」
「あ、はい。何の物語ですか?」
「『オズの魔法使い』の続編で『オズの素敵な国』 "The Marvelous Land of Oz" という物語なんだよ」
 
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「またオズの国のガイド役ですか」
「いや今度は君が主人公」
 
ピクッとする。
 
「ぼくドロシーとかやりませんよ」
 
春吉社長にこういう文句が言えるのは小牧以外ではナラシノ・エキスプレス・サービスの海野博晃くらい。(*6)
 
「ドロシーを主人公にした物語は1年前にビンコ・アキちゃん主演でやったよ。君もガイド役でカメオ出演したね。でも今度の物語にはドロシーは出てこないんだよ」
 
「そうなんですか(警戒している)」
「前回女の子が主人公だったから今度はティップという男の子が主人公なんだよ」
「へー」(*5)
 

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「オズの国では前回の物語の結果、かかしが王様になっている。そこに女の子の軍団が攻めて来る」
「女の子なんですか!」
「過去の映像化では不良少女の軍団とかにしたみたいだね」
「へー、面白そう!」
「君のファンクラブの子たちに出てもらう?」
「それ凄く怖いです!」
「ああ。レディースの子たちに出てもらうより怖いかもね」
「それもちょっと怖い」
「で成り行きでティップも王様を守って女の子たちと戦う。ブリキの木こりなども協力する」
「ああ」
 
「第3作にはまたドロシーが復帰するんだけど、ティップは第2作の主人公だね」
「ああ、じゃ第3作ではビンコ・アキちゃんが復帰するんですね」
「まあこのシリーズが来年も続いたらね」
「今の視聴率なら続きそうですね」
 
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ということで、羽田小牧は『オズの素敵な国』に主演することに曖昧な内に同意したのてある。
 

(*5) この反応で彼が原作を読んでないことが確実である。春吉社長は小牧の周囲の人物に、絶対に彼に物語のネタバレをしないようにと厳命している。ビンゴアキやアクアにまで要請があった。アクアFは要請されて『どんな話だっけ?』と思い、読んでみて爆笑した!
 
「これを演じられるのは小牧ちゃんの他には居ない!」
と言って大笑いしていた。
 
Fがその部分がMに流れて行かないようにブロックしているので詳細が分からないものの、Fの態度でだいたい察したMは「小牧ちゃんも可哀想に」と思った。
 
小牧は、なぜ春吉社長自身がわざわざ“小牧の居る所に来て”出演要請したか、よく考えるべきであった。普通ならマネージャー(フィッシャー長浜)から伝えるか、社長が伝えるにしても小牧を事務所に呼び付けて伝えるはずである。
 
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なお "The Marvelous Land of Oz" は訳本によっては『オズの虹の国』になっているものもある(どこから虹が?)。
 
(*6) 事務所の売上の多分3割を稼いでいるステラジオは事務所に恩義があるので社長の指示には絶対服従。もっとも春吉もステラジオにはあまり無理は言わない。
 
ステラジオ、三つ葉、羽田小牧がΘΘプロの現在の三本柱。小牧も三つ葉もだいたい無茶な仕事をやらされている。
 

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ウィンターカップ富山県予選。
 
10月29-30日は3回戦と準々決勝が行われる。さてH南高校はこのようなオーダーシートを(先週)提出している。
 
4 谷口愛佳(3) 153 PG
5 高田舞花(3) 159 C
6 山口夏生(2) 154 SF
7 竹田松夜(2) 155 PF
8 原田河世(1) 165 C
9 鶴野五月(1) 152 PG
10 綾野美奈子(1) 158 SG
11 高田晃(1) 165 PF
12 砂井梨央(2) 163 PF
13 菓子弥生(2) 161 F
14 山口一恵(2) 158 PG
15 藤永弘絵(1) 154 F
16 津田秋奈(1) 162 F
-- 吉川日和(1) 148 Manager
 
つまり晃は選手登録しており、出場可能である。
 
日和はマネージャー登録で、彼(彼女?)の体力ではモップ掛けもできないので制服での参加にした、春貴は単に「制服で」と言ったのだが、日和は女子制服を着て来た(ボトムはスカート)。でもこの子まだ性別意識が揺れてるっぽいなと春貴は思った。
 
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なお日和は東京のプロダクションから誘われているようだが、まだ返事はしてないと言っていた。とにかくウィンターカップまではバスケ部をやっていたいということである。
 
なお晃も日和も毎月血中の男性ホルモン・女性ホルモンの濃度を測定してもらい病院で記録を保管してもらっている。数値はプライバシーに関わるので春貴は見ないことにしている。でも舞花は「晃はホルモン的には完全に女性です。出場には全然問題無いですよ」などと言っていた。
 

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H南高校女子は29日に3回戦でJ北高校と対戦した。こことはほんの2ヶ月前に地区リーグで66-84の試合をした。県内では中堅校であり、そこそこ強いチームである。しかし今回はダブルスコアで勝った。春貴はH南高校がかなり力を付けていることを実感した。
 
春貴はこの日は晃を出さなかった。春貴の隣に座らせ、タブレットでスコアを付けさせるとともに各選手の出場時間を春貴に教えて選手交替の目安にしていた。日和だとスコアを付けきれない。ただし連絡事項やマネージャー会議などは日和にさせていた。
 
30日の準々決勝は、インターハイ予選の3回戦で当たった“怖いコーチ”のいた学校である。ゴーセイジャー(呉西地区=富山県西部の女性教師のバスケットチーム)の集まりで聞いた噂では、あのコーチは暴力指導していたことを多数の生徒・OGから訴えられ、退職に追いこまれたらしい。
 
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それで今回は優しそうな女性の先生が指揮していた。しかし新しい指導者に代わってベスト8まで上がってきたのは大したものである。前回は85-86と1点差の激戦だったのだが、今回は58-82と結構大きな差が出た。前回は向こうの選手にほぼ自由に進入されていたのが半分くらい阻止できるようになり、それで向こうの得点が減ったようであった。
 
向こうのキャプテンが
「H南高校さん凄く強くなってる」
と言っていた。
 
「そちらさんもプレイの精度が上がってる」
「ここ2ヶ月、ひたすらそういう練習してたから」
「またやりましょう」
「うん。今度は1−2年生のチームだけど」
「それはこちらもだなあ」
 
なおこの試合でも晃はコートインせず、春貴のアシスタントを勤めた。
 
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これでH南高校はベスト4である。同時に1月の新人戦のシード権を獲得した。
 
なお男子の方は今回3回戦で敗退しベスト16に留まった。これで坂下君たちのバスケット活動は終了した。
 

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なお、試合が終わった後、3回戦の後は、お好み焼き(テイクアウト)、準々決勝の後はモスバーガーをたくさん食べた。
 
なんか試合の後おごってあげるのが常態化しているが、これ自分の後任の先生が大変かも、とチラッと春貴は思った。
 

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彪志の研修2日目(11/2).
 
この日は午前中2枠、午後から2枠の研修があった。今日の講習ではAIの様々な利用例が紹介される、現在は法令上も資格を持った人間がチェックしなければならないようになっているものでも、その補助として先にAIに検査させる手はあるという話がある。様々なシステムの自動検査、薬局での調剤の妥当性チェック(間違って10倍処方したとか似た名前の薬剤との混同などをかなり指摘してくれる)、
 
人間の行動パターンによる本人確認、またChatGPTとかスマホのAIアシスタン(SiriやGoogle Assistantなど) 、それに自動翻訳・自動通訳、アシモ、原発の内部に入り込む自立型検査ロボット(放射線があり電波が使えないのでリモート制御が出来ない)、自動運転車、ロボット盲導犬などについても説明がある。
 
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また自動手術ロボット、特にナノマシンの開発で現在手術困難な部位の手術ができる可能性、人間の手で縫合不能なところの精密縫合ができるようになる可能性についても言及があった。
 
「脳腫瘍とか脊髄近くの腫瘍とかが安全に摘出手術できるようになる可能性がありますし、帝王切開なども画期的に回復が早くなる可能性があります」
という説明には多くの聴講者が頷いていた。
 
「性転換手術とかも現在は新しい膣を作った時、その膣の“皮膚下”の縫合が医師には原理的に不可能なので自然に傷が治るまで何ヶ月も痛みに耐える必要があるのですがナノマシンで縫合できると一週間で痛みが無くなる可能性もあります。また性感も現在とは桁違いに良くなる可能性かあります」
と講師さんは言っていた。
 
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また将来の可能性としてAI裁判官などという話も出る。その場合、裁判官AIの癖とかバグを突くAI弁護士が出てくるかも。またそれに対抗するAI検察官が出て来てAI同士の戦いになるかも知れない。民事はより優秀なAIを使った側の勝ち。それで「わが法律事務所のAI弁護士は勝率80%」などと宣伝する事務所が出てくるかも、などという話もあったが、それ全然笑い話じゃないぞと思った。
 
またAI配偶者などという話もある。相手を最高に気持ち良くしてくれるし、様々な家事もこなせば、楽しい会話もしてくれるAI配偶者が出てくると、結婚と生殖は別という話になるかも。更にはAI介護ロボット、AI子育てロボットという話もある。しかしAIに育てられた子供って怖い、と思った。
 
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4時間目の研修ではAIとの対話を体験した。彪志も1分くらいの対話をしたが、何だか普通に会話が成立するので「すごーい」と思った。
 
その日は昼食や夕食で青木・由梨に加えて、隣のテーブルに陣取った美原・高島・長居さんという人たちともおしゃべりをしていた。
 
部屋に戻って今日も24時過ぎにお風呂に行くことにしてそれまで仮眠していた。
 

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アラームを掛けて24時に目を覚ます。シャンプーセットなどを持ち、大浴場に行く。昨日と同じように白虎の湯に入ろうとしたら
 
「ストップ!」
と言って、後ろから抱きしめられる。(ついでに胸を揉まれた気がしたが、きっと気のせい)
 
由梨さん!?
 
「そちらは性転換でもしないと入れないよ」
 
え?俺やはり男だってのがばれた?
 
と思ったら彼女は
「今日はこっち」
と言って、彪志の腕を取ると“孔雀の湯”に連れ込んだ。脱衣場では数名の女性が服を着ているところだった。
 

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