広告:モーイモーイ-mooimooi-ロングブーツ-ダークブラウン-【返品・サイズ交換は無料】
[携帯Top] [文字サイズ]

■春曙(19)

[*前p 0目次 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 
前頁 次頁目次

↓ ↑ Bottom Top

2020年5月14日、政府は5月31日までとしていた全国の緊急事態宣言を北海道、千葉、埼玉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫の8都道府県以外の39県で解除することを発表した。
 
5月21日、政府は大阪、兵庫、京都の3府県の緊急事態宣言を解除した。
 
5月25日、北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川の5都道県も緊急事態が解除された。
 
多くの地域では6月以降、学校が再開されることになったものの、感染防止対策を充分した上での授業が求められた。
 

↓ ↑ Bottom Top

明恵や真珠が通う金沢市のG大学では、6月以降、出席番号が奇数の学生と偶数の学生に分けて、週交替で授業をおこなうことが決定した。
 
明恵と真珠は偶然2人とも奇数番号なので、一週間登校して授業を受けたら、翌週は4〜5月と同様のリモート授業を受けるということになった。リモートの時はこれまで同様、真珠がモーニングコールをしてあげる。
 
しかし6月からリアル授業を再開することができたのは、金沢市内ではG大学と国立のK大学(青葉が3月に卒業した大学)との2校だけで、他の大学は態勢が整わない(教室面積に対して在籍学生数が多すぎる??)として、当面リモート授業のみ(あるいは休校!!)という状態を継続することになった。
 
↓ ↑ Bottom Top


千葉市の小学校では6月1日から授業が開始されることになった。当面は学級を出席番号の偶数奇数で2分割して、各児童は1日に午前中または午後の3時間だけ授業を受けるという方式である。それでも
 
「学校に行ける!」
と言って、来紗はランドセルを家の中でしょって喜んでいた。
 
なお入学式は6月9日(火)の午前中に行われることになった。在校生無しで、新入生と担任・校長だけで行われる。式は30分ほどで終わる予定である。保護者は児童1人につき最大2名にしてくれと言われた。
 
「桃香、平日だけど時間取れる?」
と季里子は(同居している)桃香に尋ねた。
 
「うん。大丈夫だと思う」
「でも分散授業で忙しいんじゃないの?」
「うん、夕方以降は高校生も来るから厳しいけど、日中は浪人生だけだから何とかなるんだよ。私は来紗のパパだから出なくちゃ」
 
↓ ↑ Bottom Top

塾でも生徒の数を半分にするため、分散授業が行われており、教員は倍忙しい。そもそも桃香が臨時教員から正規の教員に引き上げられたのも、教員不足という背景がある。
 

↓ ↑ Bottom Top

千里は高岡に居座ったままの桃香に電話した。
 
「幼稚園が6月1日から再開されるんだよ。入園式は6月8日に行われるんだけど、桃香来る?一応、園児1人につき保護者2名までは出席できる」
 
「じゃ行くよ。私は京平のお父ちゃん(*7)だからな」
「早月たちは?」
「強行軍になると思うし、わざわざ感染リスクをおかさせることになるから高岡に置いて行く」
「分かった。じゃ車で迎えに行くから」
「いや、レンタカーでも借りていくよ」
「そのレンタカーの修理代を払いたくないからね」
「むむ」
 
しかしその後、桃香から、東京へは優子が自分のムラーノに乗せて往復してくれることになったという連絡があった。今のコロナの状況では三回忌に千葉に行けるかどうかも怪しいので、桃香が行くついでがあるなら、それを送迎するのとともに自分は信次の墓参りをしてきたいということだった。子供にはハードな日程になるので、奏音は高岡に置いて行くということである。
 
↓ ↑ Bottom Top

千里も優子が運転するのなら安心だと思った。しかし彼女がムラーノを運転してくるという話に千里(千里1)は少しドキッとした。
 
千里(実は千里2!)は優子の所に行き
「東京まで往復するのなら、念のためワクチン打っておきなよ」
と言って、ワクチンを接種してあげた。
 
「半月くらい空けて2度打たないといけないんだよ。2度目は東京に来た時に打つね」
「うん、ありがとう。これの料金は?」
「桃香からもらっておくから大丈夫」
「了解〜」
 

↓ ↑ Bottom Top

(*7)京平は自分の親たちをこう呼ぶ
 
千里:お母ちゃん
桃香:お父ちゃん
阿倍子:ママ
貴司:パパ
 
ちなみに早月は、こう呼ぶ
 
桃香:おかあちゃん
千里:ちーかあちゃん
季里子:きーママ
 
季里子が「きーママ」になるのは、来紗と伊鈴が季里子を「ママ」と呼ぶのでそれにつられた感じである。ちなみに来紗と伊鈴は桃香を「パパ」と呼ぶ。夏樹のことは「お父ちゃん」のままである!
 
なお、由美はこう呼ぶ
 
千里:おかあちゃん
桃香:ももかあちゃん
 
(桃香は早月と由美の遺伝子上の母であり、来紗・伊鈴の育ての父!である)
 
この子たちの会話を聞いていると、そばにいる大人がかなり混乱する。本人たちも分かって会話しているのかは、結構微妙である。
 
↓ ↑ Bottom Top


上野美津穂は5月18日に会社に退職願いを提出し、会社を辞めたものの、まだとても起き上がれそうにない感じだった。
 
5月20日の夕方、青葉が寄ってくれた。
 
「ごめんね。すぐ来ようと思ってたんだけど、忙しくてなかなか来られなくて」
と青葉は言う。
 
「青葉、4人分くらい仕事してるもん。作曲してアナウンサーして、水泳選手やって、霊能者やって。青葉が4人、最低でも2人必要だよ」
 
自分が2人いたら便利な気もしたが、千里姉を見ていると分裂しているのも色々大変みたいだ、と青葉は思った。
 
「霊のほうのお仕事は基本的に断ってるんだけどね。身が持たないから」
「だよね」
「でもこれは私に任せて」
と言って、青葉は美津穂の手を握った。
 
↓ ↑ Bottom Top

「あ・・・」
「楽にしてて、そのまま寝てていいから。何も考えずに」
「うん」
 
青葉は何も言わずにずっと美津穂の手を握っていた。美津穂はぼろぼろ涙が出て来たが、青葉はたくさん涙を出したほうが早く回復すると言った。
 
「エグゼルシス・デ・ファイユ津幡まで来てもらった方がこちらは楽なんだけど、この状態ではとても動き回れないよね」
 
「エグ何とか津幡って何だっけ?」
「津幡に作ったスポーツ施設だよ」
「もしかして火牛スポーツセンターのこと?」
「まあ世間ではそう呼ぶ人もいる」
「なんだ。最初から火牛スポーツセンターと言ってもらえば分かりやすいのに。なんか難しい名前を言うから」
と美津穂が言う。
 
えーん、誰も正式名を言ってくれないよぉと青葉は思った。
 
↓ ↑ Bottom Top

「じゃ来週くらいからは私がそちらに行くよ」
と美津穂。
「うん。助かる」
と青葉。
 
この日、青葉は2時間近くそのまま美津穂に付いていた。おかげでこの日、青葉が帰った後、美津穂はひとりで歩いてトイレまで往復することができた。
 
青葉はこの後もこの週は1日おきに来てくれて、美津穂はかなり精神力も体力も回復した。そして翌週からは母の運転する車に乗って津幡まで行き、毎日青葉のヒーリングを受けることができた。そして月末までにはほぼ完全に回復して、普通の生活ができるようになったのである。
 
美津穂のお母さんはヒーリング料に10万くらい払えばいいですか?と訊いたが、青葉は「友だちだから不要ですよ」と言ったので、美津穂がケーキを焼いて日本代表候補の人たちに差し入れした。ホールケーキ2個があっという間に消えて、さすが日本代表!と美津穂は思った。
 
↓ ↑ Bottom Top


(2020年)5月22日(金・なる)、予定より少し遅れたが、千葉市内で再建中だった季里子の実家が竣工した。ヘーベルハウスで4LDKである。1階の和室を季里子の両親が使い、2階の洋間1(6畳)を季里子と桃香、洋間2(16畳)を来紗と伊鈴に使わせるが、季里子としては、ここに早月ちゃんと由美ちゃんも引き取り、女の子4人で共用しようと思っていたので、この部屋はパーティションで4畳ずつ4分割している。空いている2区画は取り敢えず物置的な使い方である。2階のもうひとつの洋間(6畳)は客間として予備に考えればいいかと思っている。
 
北区の仮住まいからの引越は、父も季里子も動ける5月24日(日)におこなった。桃香が「トラック借りてくるよ」と言ったが、実際に4トントラックを持ってきてくれたのは千里さんである!千里さんはトラックを置くと「よろしく」と言って帰ってしまった。まあ桃香にトラックなんて危なくて運転させられない。
 
↓ ↑ Bottom Top

トラックは父・真栗が運転した。昔の普通免許なので中型8t限定に移行しており、4トン車まで運転できる。父は“バックしない限り”4トン車も大丈夫だと言っていた。新居に付ける所はバックが必要だったが、季里子の誘導で何とかどこにもぶつけずにバック駐車できた。
 

↓ ↑ Bottom Top

荷造りと搬入・搬出は、季里子の長姉(元長兄で法的性別変更済み)とその夫、次兄とその彼氏(元女性で法的には妻)も手伝ってくれて、無事その日の内に全ての荷物を新居に運ぶことができた。使ったトラックは近所のスーパーの駐車場に駐めておいてと言われていたので駐めてから千里さんにメールすると、1時間程度の内に回収されたようである。
 
来紗は次兄と彼のパートナーに首をひねっていた。
 
「ルオおじさんって男だよね?」
「僕は男だよ、来紗ちゃん」
「カズシさんは、ルオさんの・・・旦那さん?」
「そうだよ。僕とカズシは夫婦だから」
「男の人同士でも夫婦になるんだ!」
 
「来紗ちゃんのママとパパだって女同士じゃん」
「あ、そうか!男同士・女同士で結婚してもいいのね」
「もちろんだよ。来紗ちゃんも女の子と結婚する?」
「それもいいなあ。男の子って乱暴だし」
 
↓ ↑ Bottom Top

季里子の父・真栗(まぐり)が頭を抱えていた。
 

更に来紗には疑問があった。
 
「あれ?ルオおじさんって、次男なんでしょ?」
「そうだよ」
「長男は誰なの?」
 
「私が長男だよ」
と長姉(元長兄)のマルカが言う。
 
「だってマルカおばさんは女なのに」
「最初に生まれた子は女でも長男を名乗っていいんだよ」
「そうだったんだ!」
 
「だから来紗ちゃんは長女でもあり長男でもあるね」
「そうだったのか。長男というのもいいなあ」
 
「長男を名乗るならちんちん付けないといけないけどね」
「あ、ちんちん欲しいと思ってた!マルカおばさんは、ちんちんあるの?」
「昔あったけど、結婚する時に邪魔だから取っちゃった」
「そうか。男の人と結婚するなら、ちんちんは邪魔かもね」
「結婚する時に取ればいいんだよ」
 
↓ ↑ Bottom Top

「へー。私も結婚するまで、ちんちん付けてもらおうかな」
 
真栗(まぐり)が「もう勘弁してぇ」という顔をしていた。
 
そもそもレスビアンの自分が二児の母になっていること自体、何だか信じられない気持ちもしている。これも“精子を持っていた女の子”夏樹ちゃんのお陰だね! もっとも桃香も精子を持っている疑いが濃厚なんだけど。名前だけ聞き出した、小空ちゃん・小歌ちゃんは、桃香の種で長崎に住んでいる母親が産んだらしいし。
 
(季里子は小空・小歌の“母”が今東京に住んでいることを知らない)
 
やはり早月ちゃんって、本当は桃香が父親で千里さんが母親なんじゃないのかなあ。千里さんが授乳している所見たこともあるし。父の乳に乳は無いはずだよね??乳に乳があるのは母のはず。桃香が授乳してる所なんて見たことないもん。
 
↓ ↑ Bottom Top


↓ ↑ Bottom Top

前頁 次頁目次

[*前p 0目次 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 
春曙(19)

広告:ヌーブラ-ブリーズ-D-モカ