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■春曙(15)

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あけぼのテレビでは、連休明けから、再放送中心の深夜時間帯に、新たに番組が加わった。題して『アクア改造マル秘計画』である。
 
主宰はローズ+リリーのマリ!で、そのマリからの強い要望で実現したものである。ケイが猛反対したものの、アルト社長が「まあジョークですよ」と言うので、ケイも容認した。番組の企画書は松浦紗雪が書いた(マリは頭の中がポエムなので企画書のようなものは書けない)。マリ・紗雪以外の出演者はこのようであった。
 
富士宮ノエル、XANFUSの光帆、KARIONの小風、ゴールデンシックスのリノン。
 
要するにこれまで不定期に開かれていた“アクア・ファンクラブ幹部会議”のメンツである。但し同会議の常連である、佐々木川南・白浜夏恋・若生暢子は「自分たちは芸能人ではないから」と辞退、また、春風アルトも常連だったのだが、「社長はあまり発言できないから」と言って辞退した。
 
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それで番組の内容だが
「いかにしてアクアを拉致して去勢あるいは性転換するか」
という計画を楽しく話し合う番組である。
 

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むろん会議はリモートで行われる。
 
「ところでアクアってまだちんちんあるの?」
という根本的な疑問から番組は始まった。
 
「1月に、映画の撮影時に多くの男湯の一般人に目撃されています」
「なんだ。あるのか。残念」
「しかしアクアが男湯に入るなんてめったにないことだな」
 
(ネットでは「同感!」という意見が多かった)
 
「それってどのくらいのサイズだったのでしょう?」
「小学6年生か中学1年生くらいのサイズだったという意見が多いですね」
「そこまで大きくなっているなら、声変わりも近いのでは」
 
「それは大変だ。一刻も早く拉致して声変わりを引き起こすような毒物を体内に放出する睾丸を取り除いて、声変わりを防止しなければ」
 
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「やはり一気に性転換して女の子に改造するのがいいよね」
「きっと、あの子は女の子になった方が人気上昇するよ」
 
などと言った会話から始まった。
 
そしてこれが毎回物凄い視聴率になって、コスモスもケイも呆れた。
 

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だいたい無茶な計画が練られる。ほとんどアオベエ・キスケ・アカネの作戦かワルモ団の作戦かという感じである(基本的に一般の人が実行可能かも知れないような作戦は出さないでくれと松浦紗雪には頼んだ)。
 
・アクアのマンションの入口の所に落とし穴を掘ってアクアが落ちるようにしよう。
 
・アクアの楽屋に大きな網(あみ)を仕掛けておいて、アクアが入ってきたら網が落ちてきてアクアを捕獲する。
 
・アクアが行く所に、大きなネズミ取りみたいなのを仕掛けておいて、中にある可愛いお洋服につられてアクアが中に入ったら、機械的な仕掛けにより入口のドアが落ちる。
 
・アクアが可愛いドレスを買うのに試着しようとフィッティングルームに入ったら床が抜けてそのまま拉致される。
 
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・アクアが電車に乗ったら、それが実は“アクア・ホイホイ”でアクアは外に出られなくなり、電車は手術室に直行。
 
・アクアの寝室に忍び込み、睾丸に結束バンドを取り付け、血液が行かないようにして睾丸を壊死させる。
 
・コスモス社長に変装し「君は女の子歌手になってもらうことになったから」と言って、手術室に連れて行く。
 
・ちんちんは切らなくていいけど、声変わり防止のために睾丸は取ろうよと何とか説得して手術室へ。もちろん全部取り除いて、立派な女の子にしてあげる。
 
・ギロチン・マジックに参加させ「切れたりしないから大丈夫」と言って、おちんちんを穴に入れさせ「あ、間違った」と言って切り落としてしまう。
 
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・アクアに健康診断を受けてといって病院に連れて行き、そのまま手術室へ。
 
・君のちんちんは小さすぎるから大きくなるように男性ホルモン注射してあげるねと言って、実際には女性ホルモンを睾丸に直接注射する。
 
・アクアに「君が男性であることを確認したい」と言ってお医者さんに診せ、診察するふりをして男性器を切り落とす。
 

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番組の企画を見たアクアが嫌そうな顔をしていた!
 
実際に放送が始まると、タイムシフト(現時点では§§ミュージックのタレントのみに実験的に許可している)で見たアクアFは大笑いしていた。
 
「Mちゃん、こんな感じで強制性転換されちゃったら、諦めも付くんじゃない?そろそろ男の子から卒業しようよ」
 
「絶対やだ」
「男の子の服も無くなったことだし」
「今通販で取り寄せ中。全くあいつらったら」
 
男物がないので、今日のMは(仕方なく?)スカートを穿いている。ちなみにスカートでアクアが仕事に出かけても誰も何も言わない。
 
「性転換しないのなら、ボクとセックスする?」
とFが言うと
 
「なんで、そういう話になるのか、お前の頭の中身が分からん」
とMに言われる。
 
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「だって多分ボクたち2人で居られるのってあと数ヶ月だと思うからさ。今のうちにセックスしてみない?」
 
「それさ、どちらが残っても恨みっこ無しということでいいよな?」
「それはいいけど、1人になったらセックスできないじゃん」
「自分とセックスして万が一にも妊娠したらどうすんだよ」
「避妊すれば大丈夫だよ」
 
「Fさ、誰か好きな男の人とかいないの?いるんなら、その人に抱いてもらえるように、僕も協力するよ。何なら僕が代わりに告白して、ベッドに入る直前にチェンジしてもいいし」
 
「ボクを抱いた人は、アクアが女の子だったということを確信しちゃうね」
 
「それ、今更だろ?」
「かもねー」
 

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でもFは別に好きな男性は居ないと言った。
 
「Mはボクより彩佳とセックスしたい?」
「あいつの目がおかしい。明らかに僕を狙ってる。隙あらば押し倒そうとしてる」
 
あの後彩佳は数回ここに来ているが、MはFの部屋に避難して鍵を掛けて夜を過ごしたりした。でもFにも襲われかけた!(何とか説得した)
 
(普通の男の子からしたら羨ましい話だが、生憎Mには女の子とセックスしたいという気持ちが存在しない)
 
「高校卒業記念か大学合格記念にセックスしてあげたら良かったのに」
「いやそれはそのだな」
「好きなんでしょ?」
 
「お前なら分かるだろ?僕は恋愛というのがよく分からない」
「恋愛とか抜きで、彩佳がセックスしたがったるんだから、してあげればいいのに。きっとMも気持ちいいよ」
 
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「それ契約違反だし」
「ボクたちのタレント契約では、男性との交際は禁止されてたけど、女性との交際は禁止されていない」
「そうだったっけ!?」
「その禁止条項も解除しようかなとコスモス社長言ってたよ」
「へー!」
 
「あとアクアについて30歳まで性転換禁止という契約になってたけど、それも解除しようかなって」
「それは別に必要無い」
 
「アクアは20歳までに睾丸を除去すること、という条項を入れちゃおうかなというのも」
「それ絶対反対」
「きっとお母ちゃんならハンコ押すよ」
「押しそう!!」
 

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さて『アクア改造マル秘計画』では、毎回、番組の後半で、このファンタジー?な計画を“妄想劇”として演じてみせるのだが、その“犠牲者役”として、以前からアクアのそっくりさんとして知られていた、尾崎鞠矢ちゃん(20)が出演する。
 
彼(彼女?)は現在秋田県で大学生をしているのだが、現地ローカルの俳優さんなどと一緒にビデオ撮影をしてもらった。
 
サンシャイン映像制作の撮影スタッフと消毒担当スタッフが秋田県に行き、現地の撮影会社と清掃会社を指導して、徹底的に感染予防対策をした上での撮影をした。向こうの撮影会社も「そこまでするのか」と驚いていたが、この“新生活”時代の撮影について大きなノウハウを得られたようである。実際その後、この会社が担当した番組では、ひとりの感染者も出さずに済んでいる。
 
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これはあけぼのテレビ本体で制作するドラマなどでも同様の対応となったのだが、ドラマは基本的に口パクで演じる。そしてアフレコにより声を吹き込むが、アフレコの際は1人1人個室で作業をおこない、同じ部屋を別の人が使う場合は毎回徹底的な消毒作業をおこなう。
 

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アフレコということは、実は演技している人と声を出している人は別人でも構わない。それで実際に、演技しているのは尾崎鞠矢で、彼(彼女?)が落とし穴に落とされたり、上から落ちてきた網で捕獲されたり(体当たり芸人的な扱い)、眠り薬を飲まされたりして、手術台に乗せられ、手術が終わって麻酔から醒めたところで
 
「うっそー!おちんちん無くなってる!」
「何このおっぱい!?」
 
などと驚いたりするのだが、声は実は彼(彼女?)のお姉さんの尾崎珠里さんが吹き込んでいる。お姉さんは地元の劇団にも所属していてアフレコもうまい(劇団は公演も練習も休止中)。
 
むろん鞠矢演じるアクアは毎回手術されて、自分の“新しい身体”に毎回驚くことになる。
 
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手術されて女の子の身体になっていることに気づいた後、ベッドから起き上がって、鏡に全身ヌードを映すシーンがあるが、ここは唐突にアニメーションになり、漫画のようなキャラ(顔はアクアに酷似)が鏡に映った女の子ヌードを見て陶酔したような表情をするのが毎回の見せ場?になっていた。陶酔したような女の子アクアはその後、パンティを穿き(スッキリしたパンティのラインに女の子アクアが溜息をつく)、ブラジャーを着け(豊かなバストがブラジャーにきれいに納まり、アクアはちよっと嬉しそうな表情をする)、キャミソール、スカート、ブラウスと身につけていき、メイクパレットを開いて可愛くお化粧して表に出て行く。そこに
 
“女の子アクアは全国民のアイドルとなった”
 
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というテロップが表示されて、番組終了となる。この身につける下着や服が毎回違うタイプのものを使い、ビデオの完全使い回しはしていない所が
 
「金掛けてるなあ」
 
と言われた。ちなみにこの番組の制作費は全てマリが個人的に出している。(視聴料収入はマリとあけぼのテレビが半々の契約。なおこの番組にはスポンサーは入れない)
 
アニメーションでさえも、こういう映像は、最近では在来局では見られなくなった(『ふしぎなメルモ』のレベル)。しかしこのアニメーションの女の子アクアの映像が美しい、と女子高生や女子大生などから随分言われていた。そのあたりはさすがに女性のマリが監修しているだけのことはある。
 

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なお、手術ではなく、性転換薬を飲まされて女の子に変化したり、女の子に変化する魔法を掛けられたりという回もあった(魔女姿のマリが出演)。また去勢のみという回もあった。ライオンにちんちんを食べられちゃうというのは、ライオンは着ぐるみを使用!(中の人は鞠矢の姉)ピラニアにちんちんを食べさせるというのは、実際にはピラニアではなくただの小アジで撮影している(それでも本当に噛まれないよう、ちんちんには防護シートをつけて撮影している−防護シートには穴が空いていてギョッとしたらしい:ダジャレではない)。
 
鞠矢ちゃんは、20歳ではあっても、性的未分化っぽい身体付きなので、アクアの代役をさせるには、とても都合が良かった。もっともアクアは実際には性的未分化ではなく明らかな女性体型だが!
 
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しかし彼は今回の番組のギャラで性転換手術を受けられるかも知れない!
 

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