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■春曙(12)

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なお、参列者の中に、どう見てもヤクザの大親分っぽい人が映っていたので、視聴者の間では
「あれどこの組の人?」
「ローザ+リリンの事務所ってヤクザと関係あるの?」
 
などという声も囁かれていたが、気づいたUTPの大宮副社長が
 
「あれはザマーミロ鉄板の板付社長。まるでヤクザみたいなビジュアルだけど、その世界とは全く無縁の人だから」
 
とコメントしたので
 
「うっそー!?」
と驚かれていた。
 
「海上自衛隊出身で、自衛隊時代はペルシャ湾派遣部隊にも参加したらしい。ペルシャ湾から戻ってから除隊して、その後警備員を10年やっててその間に眼光が鍛えられたらしいね。イベンターで警備の仕事をしていたけど、そのイベンターが外タレのドタキャンで倒産した後、受け皿的な会社を作ったのが出発点。その内、イベントを引き受けるだけでなくて自前の芸人も育てるようになった」
 
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「演歌歌手とかロックバンドとかも育てたけど、いちばん受けたのが、そっくりさんの部門だったんだよね。モーニング娘。のそっくりさんのモーミング娘。とかやってたけど、本家の頻繁なメンバーチェンジに付いていけなくて解散して、久住小春のそっくりさんの久住小呑、嗣永桃子のそっくりさんの嗣永桃十ってので一時期売ってた」
 
「久住小呑は女の子だったけど、嗣永桃十は実は男だったんだよね。そいつがちょっと女性とトラブル起こして、何とか示談で済ませたけど、それにこりたから、ローザ+リリンに24時間365日女装して、女性らしい生活を送れと厳命したみたいだよ」
 
と大宮副社長は、あまり経歴の知れていなかった板付社長と彼の事務所の歴史を語った。
 
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あけぼのテレビだが、志村けんさんの追悼番組で少年少女合唱隊をしたメンバーには毎週1枠30分(平日17:00-18:00, 土日13:00-15:00)ずつ枠が与えられたので、各自その枠を使って、歌を歌ってもいいし、トーク番組をしてもいいと言われた。
 
月 石川ポルカ 今井葉月 火 原町カペラ 西宮ネオン 水 ラピスラズリ 川崎ゆりこ
木 大崎志乃舞 桜木ワルツ 金 リセエンヌ・ドオ 花咲ロンド 土 山下ルンバ 斎藤恵梨香 姫路スピカ 品川ありさ 日 桜野レイア 太田芳絵 白鳥リズム 高崎ひろか
 
アクアはそもそも仕事の負荷が大きいので免除ということであった。18-19時の『信濃町ストリート』(18:00-19:00)のサブキャスターを務める子は30分おいての連続出演になるが、こちらは録画方式なので、実際には時間の取れる時に録画しておけばよい。
 
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大崎志乃舞は信濃町ミューズの子たちを並べてクイズ大会をしていたが、質問の文章はあらかじめ録音したものを再生し、解答は全てタッチペンでタブレットに書く(または打ち込む)という方式で進めた。別室に陣取った読み上げ係の今川容子(信濃町ガールズ)が各々の解答を「中村昭恵ちゃんの解答“ウィーン”」などと読み上げていく方式を採った。
 
花咲ロンドなどは、お菓子作りの番組を構成したが、女子中高生たちに人気の番組となり、半年後にはレシピ本が出版されるに至る。
 
白鳥リズムは、ひたすら鉄道ネタ・時刻表ネタのトークをして、鉄道マニアのファンが物凄く増えた。
 

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「なぜそんな古いネタを知ってるんだ?」
「年齢詐称しているのでは?」
「リズムは性別詐称の疑いもある」
などという声もネットにはあがっていたが、リズム自身が
 
「15歳の女子高生ではなく30代のおっさんだったりして」
などとボケをカマして
 
「信じられたらどうするのさ?」
と姫路スピカに突っ込まれていた。
 
「リズムちゃん、中学に進学する時に、おちんちん切って女の子になったって噂ありますけど本当ですか?」
 
「ちんちん邪魔だから切っちゃおうかなあと思ってお股を見たら、ちんちん最初から無かったよ」
とリズム。
 
「実態は、この子、あまりに格好良いから、男の子と誤解されていただけだよ」
と同期の西宮ネオンがフォローしてあげていた。
 
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「でも少年サッカーで活躍してたんでしょ?」
「サッカーは男子のチームに女子選手がいてもいいんだよね」
とネオンは解説する。
 
「へー」
 
「女子チームに男子選手が入るのはNG」
「それはそうですよね!」
 
ちなみに毎年、リズムへの“バレンタイン・プレゼント”はアクアの次に多い(ネオンより多い!)。リズムのファンは女子が7−8割である。
 

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山下ルンバは、Havai'i 99 を呼んで一緒にタヒチアン・ミュージックを演奏する番組を構成した。タヒチの風景映像なども流す。ただし(コロナ感染予防の観点から)ヴィヴォ(笛)は使用しない。しかしおかげで、土曜の午後はタヒチアンから、というのが定着した。
 
ビデオ審査のみによるオーディションで選んだ“ルンバ・タヒチ”という女性8人のチームによるダンス付きである。最初に全員“ルンバの上に乗って”、記念写真を撮った。
 
「ルンバって中米音楽ではなかったのか」
「タヒチは南洋だよ」
 
ちなみにキューバのルンバはRumba、掃除機のルンバはRoombaである。
 
彼女たちも最初の内はややたどたどしい部分もあったが、番組が回を重ねる内にどんどん上手くなった。なお彼女たちには“チーム練習”を禁止しており、各自翌週までに個人練習しておくことを求めた。
 
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なお、あけぼのテレビの番組は生放送主体だが、時間の都合がつかない子はビデオ撮影でもよいことにしている。また基本的にリハーサルは行わずにぶっつけ本番である。失敗も愛嬌ということにしている。またハプニングに対応する力を各タレントさんにつけて欲しいというのもある。
 
また、リハーサルを省略するのは、在来局などで活動できるならそちらを優先したいので、こちらでは長時間の拘束を避けたいということと、もうひとつは感染リスクを減らすためもある。リハーサルをすると2倍時間の接触が生じるので、感染リスクも倍になることになる。
 

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映画『気球に乗って5日間』であるが、本当は4月下旬、ゴールデンウィーク直前に公開される予定だったのが、取り敢えず公開を延期することが4月10日発表された。
 
4月12日、ΛΛテレビは夜の報道番組のメインキャスターがコロナに感染したことを発表した。番組スタッフには他にも不調を訴えるものがあり、テレビ局では全スタッフを休養させ、他の番組のスタッフを寄せ集めて番組を構成した。
 
4月18日、##ラジオはワイド番組のメインパーソナリティを務める女性がコロナに感染したことを発表した。彼女の夫は上記ΛΛテレビ報道番組のチーフディレクターであった。放送は代役を立てて行われることになった。
 
4月20日、民放FMキー局のパーソナリティがコロナに感染。番組は代役を立てることになった。
 
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続々とあちこちの局でコロナ感染者が出たが、§§ミュージックのタレントが関わる番組は、3月時点での話し合いに基づく感染対策が実行されていたおかげで、感染者が発生した番組は無かった。
 
5月1日、政府は5月6日での緊急事態宣言の解除は困難であるとして、1ヶ月程度延長する方針を固めた。5月4日、緊急事態宣言は5月31日まで延長された。
 

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ところで津幡のプライベートプールとアクアゾーン地下プールは、元々お互いに水を融通しあって水の節約をする仕様だったが、感染予防の観点からこの融通は行われないことになった。しかし融通をするつもりで送水パイプを通す穴が掘られていた。これは保守点検のことも考えて直径2m近い大きなトンネルが地下14mの所を通っている(駐車場地下の遊水池を避けてL字型に曲がっている)。
 
さて、プライベートプールの感染対策工事は5月1日に完了したので、翌日からはまたプライベートプールの方も使えるようになった。アクアゾーンの50mプールはスイミングクラブ会員の上級者に開放するという話だった。それで火牛ホテルに泊まり込んでいるメンツは、4月17日以降5月1日まではエレベータでB2まで降りれば泳げたのが、5月2日以降は、いったん1階に降りて、駐車場を横切り、関係者駐車場の管理人室に入って地下への階段を降りてからエレベータでB2まで降りるという、やや面倒くさい移動になった。
 
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5月3日、朝御飯を食べて南野里美がプライベートプールに行こうと1階まで降りてきてから外を見ると、雨が降っていた。ちょうどそこに、竹下リル、そしてジャネと筒石も降りてきた。
 
「ありゃ雨か」
「傘持ってこなくちゃ」
 
ジャネが言った。
 
「ね。地下2階まで降りちゃわない?」
「地下まで行ってどうするんですか?」
「アクアゾーンの地下2階と、プライベートプールの間には、送水管を通す予定だったトンネルが開いてるからさ、そこを通ってプライベートプールまで行く」
 
「そんなの通っていいんですか?」
「別に悪くはないだろ?部屋まで戻って傘取ってくるのは面倒くさいよ」
とジャネ。
 
「確かにプライベートプールまでたくさん歩くなと思っていたけど、そのルートは楽な気がする」
と竹下リル。
 
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「通れるなら、そこ経由で行きましょうか。雨に濡れずに行けるし」
と南野里美も同意する。
 
すると筒石が言う。
「何言ってんだ、君たち?どうせプールに入れば濡れるじゃん。それにたくさん歩いた方が運動になるぞ」
 
「あ、そう?だったら、“公子ちゃん”は、部屋に戻って傘を“4つ”持って、駐車場を横切ってプライベートプールまで歩いて来てね」
とジャネは言い、リルと里美を促して、エントランスそばのエレベータに乗り込む。すると筒石も慌てて
 
「君たちが行くなら僕も行くよ。何かあったらいけないから」
と言って付いてきた。
 

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それで4人で地下2階までエレベータで降りる。地下2階といっても14m以上の高低差があるから、普通のビルなら地下5階くらいまで降りる感じで結構時間はかかる。
 
それで送水管の所まで行くが、立入禁止という札が貼られ、工事用のバリケードが置かれている。
 
「立入禁止と書いてありますけど」
「構わないよ。後で通路として追認してもらおうよ」
と言ってジャネはバリケードを除けて中に入っちゃう。
 
「いいんですか〜?」
と言いながら里美も入り、リル、筒石と続く。
 
「暗いですね」
「懐中電灯があるから大丈夫」
と言ってジャネはいつも持っている小型のLEDライトを点けて、先頭を進む。里美、リル、筒石と続く。
 
結構な距離を歩いた所で右手に折れる。遊水池の端まで来たのだろう。
 
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「ここまで来たらあと少しだよ」
と言ってジャネは進んでいく。
 

壁があった。
 
「出られないみたいですが」
 
トンネルの端は何か木の板のようなもので覆われているのである。里美が少し押してみたものの、開かない。
 
「戻ります?」
とリルが訊いた時、筒石が言った。
 
「僕に任せなさい」
 
筒石は少し勢いをつけると、その板を体重を掛けて、思いっきり蹴った!
 
バキッという音がして、板のふたは外れた。
 
「ほら通れるよ」
と言って、筒石は残った木の板のカケラを手でバリバリっと破って、人が通れるようにした。
 
「こんなの壊しちゃって、若葉さんから叱られないかなあ」
とリルが心配そうに言うが
 
「大丈夫だよ。その程度のことで怒る人じゃないよ」
とジャネは言った。
 
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それでこの日の練習は始まった。
 

後で回ってきた、ムーラン津幡店の店長さんにこのことを言ったら
 
「ああ、このくらい社長は平気ですよ」
と言って、若葉に連絡していた。
 
すると翌朝には、ここに動く歩道!とライトが設置されていた(どちらもセンサーで作動するので普段は消えている)のでジャネたちもびっくりした。一応、アクアゾーン側に電子鍵付きの網戸を設置して、プライベートプールに入れる人は各自の鍵でここを開けられるようにしてあった。網戸にしたのはこれを換気口として使うことを考えてのようだった。風向きはプライベートプール→アクアゾーンである(プライベートプールは関係者駐車場の縦ピットから空気を取り込んでいる)。通路の途中数ヶ所にはファンも設置されていた。
 
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「若葉さんって本当に行動が速い」
と里美が言うと
 
「うん。それは本当に尊敬するよ」
とジャネも言っていた。
 
 
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