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■東雲(11)

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東雲はるこが悩んでいるようなので、町田朱美は「どうしたの?」と尋ねた。
 
「私、芸能人とか向いてないのかなあと思って」
「何を今更言っている」
 
「だって、私うまくしゃべれないし。こないだからの作曲家の先生の御自宅訪問でも、ほとんどあっちゃんにしゃべってもらつて、私あまり話せなくて」
 
「でも昨日は結構会話に参加したじゃん」
「しまうららさんが、うまく私に話を振ってくれたから。少しは話せたけど、それ以前の訪問ではほとんど話せなかった」
 
「まあ、しまうららさんは気配りが凄かったね」
と言ってから朱美は言う。
 
「みっちゃんはね、歌が上手いということに存在価値があるんだよ。だから別にトークはできなくてもいいんだよ」
 
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(町田朱美は本名:落合茜で「あっちゃん」、東雲はるこは本名:月乃岬でみっちゃんである)
 
「トークはできなくてもいいの?」
 
「だって歌の上手さは私がどんなに頑張っても追いつけない点だよ。だから、みっちゃんはとにかく歌の練習をたくさんして、歌では誰にも負けないという境地を目指しなよ。トークは全部私に任せて。そのためにコスモス社長は私たちを組ませたんだから」
 
「じゃ私は歌の練習頑張ればいいのかな」
「そうそう。まあ後は私のトーク聞いてて、会話の感覚も少し感じで取っていけばいいね」
「そうだね。じゃ私、歌で頑張る」
 
「うん」
 

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さて、龍虎は高校を卒業したら芸能活動に専念して大学には進学しないのだが、龍虎の小学校以来の親友、彩佳と桐絵は大学に進学することにしていた。親との話し合いで、国公立か、あるいは私立に特待生になれる成績で合格するというのを課されていた。
 
取り敢えず1月18-19日のセンター試験を受けたが(自己採点では)かなり良好な結果であった。
 
「それであんたたちどこ行くの?」
と、大学の下見も兼ねて東京に出て来た中学までの同級生・宏恵が尋ねる。
 
「私は国立ならお茶の水、私立なら早稲田。一応早稲田の願書は出した」
と桐絵。
「私は国立なら東大、私立なら上智かなと思ってたけどセンターの成績がいいから青山に行くかも。青山の願書は出した。早稲田の願書も書いてはいるけど投函するかどうかまだ迷っている」
と彩佳。
 
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「取り敢えず投函するというのに1票。締め切り今日だから郵便局行ってきなよ。受験料くらいあるんでしょ?」
 
と桐絵は言う。
 
「東大!?マジ?」
と宏恵が言った。
 
「一応C判定なんだよ。だから狙ってみる価値はある」
「凄いじゃん」
「東大文3はそんなに辞退者出ないと思うから厳しいかもよ」
と桐絵は言っている。
 
「文3なんだ?」
「文1はさすがに無理。弁護士とかになる柄でもないし」
「確かにアヤが弁護したらふつうなら懲役10年で済む被告が死刑になりそう」
などと宏恵は言ってる。
 

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「ヒロはどこ受けるの?」
「私は東大はD判定なんだよね。さすがに可能性無さそうだから、一橋かお茶の水受けるかも」
 
「私立の選択は無いんだ?」
「うち貧乏だし」
「奨学金受けたらたぶん何とかなるよ」
「卒業までに莫大な借金抱えることになるし」
 
「それはあるけどねー」
「先のことは考えずに奨学金は受ける」
「どうしても払いきれなくなったら、龍に春を売って払ってもらおう」
 
「龍はちんちん取ったんじゃないの?」
「少なくとも10月の時点では存在することを確認した」
「ちゃんと立つことも確認した」
「あんたら何やってんのさ?」
 

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むろん彩佳たちに裸に剥かれて、バストが膨らんでいないことと、男性器が存在し男性機能もあることを確認をされたのはMである。(彩佳は龍虎のマンションの合鍵を持っている。代々木に引越後も新しいマンションの鍵をもらった)
 
彩佳が直接触るのでMが「直接はやめろ!」と叫んでいたが、触られただけで彩佳が手を動かしたりしない内にMのちんちんは大きく硬くなった。
 
桐絵が「私帰ろうか?」と言ったが、龍虎は桐絵に「居てほしい」と言った。彩佳とふたりきりになったら自分の抑えがきかないかもと不安になったからである。
 
最近Mは、タックもしなくなっていたので、ちんちんは順調に成長していた(中学生並み!のサイズになっていた)。一方Nのちんちんはもう立たなくなっていた。常時タックしている影響もあるだろうが、多分精神的なものが大きい。
 
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3人の龍虎は体液が共通なので、Fの女性ホルモンとMの男性ホルモンが釣り合い、結果的に3人とも体型は女子体型であつた。Mの骨盤も完全に女子型だと千里さんは言っていた(3人のボディラインは、バストと股間を除けば完全に一致する)
 
ただそれでMのバストが膨らんだり、Fが男っぽくなったりすることはないのは、理由が分からないと《こうちゃん》は言っていた。Fは自分は普通の女の子よりオナニーしてる回数が多い気がするから男性ホルモンの影響かも、などと言ったが《きーちゃん》は「個人差の範囲」と言っていた。
 

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龍虎は2月3日まで映画の撮影をしていたのだが、翌日2月4日の早朝、C学園の女子寮にやってきて、彩佳たちに
「これ映画の出演者に配られた無病息災の節分の豆」
と言って、パックに入った炒り豆を1個ずつくれた。
 
「疫病退散に御利益(ごりやく)のある八坂神社のご祈祷をした豆だから」
「それは強そうだ」
 
「無病息災でいたいね」
「ちょっと恐いよね、あれ」
 
ちなみに女子寮は、当然女子しか入れないのだが、龍虎の生徒カードではなぜか女子寮の出入口を通過できる。これが、龍虎の同級生の“男子生徒”武野昭徳や田中成美の生徒カードでは通過できない。田中成美など、見た目も女子にしか見えないし(実際性転換手術も終わっている)、いつも女子制服を着ているが、ここはNGである。要するに龍虎は学校のデータベースに女子として登録されているっぽい(田中成美と間違えて登録されたのでは?と天羽飛鳥(松梨詩恩)などは言っていた)。
 
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2月9日、早稲田の合格発表があり、桐絵も彩佳も合格していた。翌日には青山の合格発表もあり、彩佳はこちらも合格していた。
 
「どっちに行くの?」
と桐絵は尋ねた。
 
「親に聞いたら絶対早稲田に行けと言われる気がするんだよね〜」
「まあネームバリューはあるよね」
「でも青山の方が英語鍛えられそうだし」
 
「アヤ、東京外大なぜ受けなかったのよ?アヤの実力なら合格の可能性あったと思うのに」
「龍を置いて府中までも行けん」
 
「そうか!青山に行きたいのは、龍のマンションに近いからか?國立を東大で受けるのも落ちた時に言い訳ができるからだ。同棲するの?」
 
龍虎のマンションは代々木にあり、青山学院は渋谷駅の近くである。歩いても30分ほどで到達できる。
 
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「そんなことしたら、アクアのファンに殺される」
「ああ。そうだろうね。お葬式には奮発して1万円くらい包んであげるね」
「うむむ」
 

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「でもアヤ、龍とは過去にセックスしてるんでしょ?」
「した内に入るのかどうか微妙なんだよね。気持ちとしては龍にバージンあげたつもりだし、龍ももらったつもりと言ったけど」
 
「ああ、だから平気で龍のちんちんに触ってたのか」
 
「ちなみにコスモス社長にはセックスしましたと言っておいた」
「あはは」
「だからこれもらったのよ」
 
と言って彩佳は桐絵に“会員番号3番”のアクア・ファンクラブ会員証を見せた。表面が(ICカード部分を除き)金メッキになっている豪華なものである。顔写真も金の表面にプリントされている。この仕様の会員証を持つのは6人しか居ない。
 
(1:松浦紗雪、2:マリ、3:彩佳、4:春風アルト、5:荻田美佐子、6:某・内親王)
 
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これは通常行使しない。アクア・ライブのチケットを取る時は、もうひとつ持っている31番の会員証を使用する。ちなみに桐絵は32番、宏恵は33番である。
 
「これは龍と28歳になるまでは結婚しない代償」
「へー。でもセックスまでは禁止じゃないんでしょ?」
「まあ微妙なとこかな」
 
「じゃ、押し倒しちゃうに限るね」
と桐絵は煽っておいた。
 
彩佳はマジで考えているようだったが、やがて言った。
 
「それさあ、押し倒した時に、龍のちんちんが存在するか怪しい気がしない?」
「確かに龍のちんちんは無い時もあるみたいだよね。昔からだったけど」
「ね?」
 

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2月17日(月)、彩佳は青山学院大に入学金などを納め、入学手続きを取った。上位で合格しているので実際の学納金は国立大並みで済む。親には早稲田は落ちたことにしておいた(「油断したな」と、叱られた)。
 
2月18日、桐絵は早稲田に入学手続きを取った。彼女も上位での合格なので通常より20万円も安い金額で済んでいる。しかしこれで2人とも4月からは女子大生になることが確定した。
 

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2月18日(火)、大林亮平は、ケイと都内の料亭で会い、避妊に失敗してマリを妊娠させてしまったことを報告して謝罪した。マリの妊娠と、亮平との結婚については3月下旬に発表することにしたが、ケイは最低限報せておかなければならない人(そして秘密を守ってくれる人)に妊娠のことを伝達した。
 
氷川課長、和泉、カノン、コスモス、青葉と千里、そしてローザ+リリンである。
 
ケイがローザ+リリンにこのことを伝えたのは、震災イベントで2人にお手伝いをしてもらえないかと考えていたからである。この件についてはあらためて2月23日に正式に依頼があった。
 
2月19日にケイからの電話を受けてその話を聞いたのはマリナであった。マリナは震災イベントに“アゴアシマクラ自腹”でノーギャラで参加することについては快諾した。そして
 
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「それはお大事に」
と言ってマリナは電話を切る。
 
「どうしたの?」
とビールを飲みながらくつろいでいたケイナが尋ねる。
 
「3月7-8日の仙台での震災イベントに協力してくれないかって。ノーギャラな上に、アゴ・アシ・マクラ自腹だけと」
「俺、7日に仕事入っている」
「うん。だから7日は私だけでやる」
「じゃ俺は8日だけで。ノーギャラは構わないよ。借金の件でも本当にお世話になったし」
とケイナは言う。
 
「それとマリちゃんが妊娠したらしい」
「へー。2人目か。だったら、またマリナ、お腹に詰め物して妊娠しているふりしないと」
とケイナは言った。
 
マリがあやめちゃんを妊娠している最中は、マリナもお腹に風船を入れてお腹が大きいように見せていたのである。そしてマリが出産した後は、“あやめ人形”を用意して、マリナたちの寝室のそばに、お人形さんのベッドを用意し、そこに寝せている。西東京市のマンションではマリナの部屋にあやめベッドを置いていたが、先週の引越の後はふたりの共同寝室のそばに置いている。
 
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昨年春までは、ドサ廻りに“あやめ人形”を同伴し“あやめ”も絡めたコントを上演することもあったが、昨年春からローズクォーツの代理ボーカルを始めた後は、その手のショーをする機会も無く、“あやめ人形”もずっとお留守番ばかりである。
 

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マリナは考えた。そして言った。
 
「今回は風船を使う必要無いかも」
 
「ああ。3月まではドサ廻りとかする時間も無いだろうしな」
とケイナは言った。
 
「実はさ、妊娠を装わなくても、私、本当に妊娠しちゃったかも」
「は?」
「昨日、病院に行って来た。心音も確認できた。予定日は10月5日だって」
と言って、マリナはバッグの中に入れていた書類を出してケイナに見せる。
 
「へ?」
と言ってケイナは、妊娠診断書と書かれたその書類を見た。
 
「誰が妊娠したの?」
「だから私」
「お前なんで妊娠とかするのよ?」
「私女だし」
「嘘!?」
 

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「見る?」
と言ってマリナは服を全部脱いだ。ケイナが息を呑む。
 
「ちょっと待て」
と言って、マリナのバストに触る。そして揉む!
 
「これもしかして本物?」
「そうだよ」
 
ケイナはマリナのお股に触る。
「これタックじゃない」
「私、女の子だもん」
 
「マリナ、本当に女なの?」
「うん」
 
「だったら、やらせろ!」
「毎晩してたくせに」
 
ともかくも、それでケイナはマリナを“やっちゃった”のである。
 

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東雲(11)

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