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■東雲(3)

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「そろそろ空港に行かないといけないけど」
「もう大丈夫ですよ」
「じゃ撤収」
 
それで後片付けも現地スタッフに任せて、大急ぎで空港に戻り成田行きに飛び乗ったのであった。搭乗手続きなども現地の協力会社の人が代行してくれているし、手荷物などは無いので、短時間で乗ることができた(撮影したデータは現地スタッフの手でネットワークドライブにアップロードされるので、それを帰国後ダウンロードする)。
 

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グアムに行って来た翌日1月30日はまた『夜はネルネル』の撮影がある。カタツムリの殻をしょって出て来た“デンデン・クラウド”は、初っぱなから揚浜フラフラのライダーキック?と健康バッドのかかと落とし?で、その殻を破壊されて
 
「ああ、俺の大事な家が壊れちゃった」
と叫んだ。健康バッドからは
「家だけで良かったな。本体は無事みたいだし」
と言われていた。
 
「大事なチンチンも壊れたり、もげたりしてないか?」
と有斗興梠が言うので、クラウドは触ってみて
「チンチンは大丈夫みたい」
と言った。
 
するとここでチャンネルが
「よし。家が壊れたのなら、チンチン・クラウドのために新しい家を探してやろう」
と言って
「チンチンじゃなくてデンデンです」
とクラウドに言われる。
 
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「ごめん、今のはマジで間違った」
「大丈夫だよ。さすがにピーで消されるよ」
などと言っていたが、これはそのまま放送されてしまった!つまり“チンチン”という言葉が4回も全国に流れた。
 
(こんなノリなのでこの番組は「子供に見せたくない番組WORST3」にノミネートされるものの、実際には中高生男子とかに大人気となる。しかしローザ+リリンやめろでえずのおかげで、実は9時台移行後、女子にもこの番組のファンは増えた)
 
ともかくもそれで「おうち」が壊れてしまったので、この日の番組最後の20分ほどは、デンデン・クラウドの“家探し”になってしまった。
 

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この先の撮影は翌週2月6日に行われた。
 
スタッフや出演者一同で、埼玉県**町のクラウドが住んでいるアパートに行く。この日はクラウドは“潰れたカタツムリの殻”を背負っている。
 
「取り敢えずデンデン・クラウドの家は壊れたという話だったからここも壊そう」
などと言って、ケンネルが貝割横浜・貝割川崎の2人にボタンを2つ渡す。
 
「ふたりでジャンケンして、どちらがボタン押すか決めて」
と言うので、横浜と川崎はジャンケンした。
 
川崎が勝った。
 
「じゃ自分のボタン押して」
と言うので、貝割川崎が自分に渡されたボタンを押す、物凄い爆発音がして、デンデン・クラウドが住んでいた家賃6000円のアパートが爆発して崩れ落ちる。
 
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「うっそー!?」
とデンデン・クラウドが驚いてる。マリナたちもこの展開は想像の範囲外だったので驚いた。
 
「当りだったな」
とケンネルが冷静な顔で言う。
 
「ハズレのボタンで爆発しなかったら、RPG-7を撃ち込む予定だったのだが」
とチャンネル。
 
ケイナは呆然としているクラウドの耳元で囁いた。
 
「なんか面白いこと言え」
「はい」
 
それで内野音子から「感想どうぞ」とマイクを向けられたデンデン・クラウドは言った。
 
「中学の時に彼女からもらった白いハンカチも吹き飛んじゃったよぉ」
 
「白いハンカチって、それサヨナラの意味では?」
とマリナがフォローしてあげた。
 
揚浜フラフラも更に
「白いハンカチを投げ捨てたら決闘するって意味だっけ?」
などと更にフォローして、何となくまとまってしまった。
 
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「さて、本格的にデンデン虫・クラウドが今日仕事が終わってから帰る所が無くなったから、住む所を探そう」
とケンネルが言って、一同は、都内某市に移動する。
 
ここから先の参加者は、ネルネルの2人、デンデンクラウド、ローザ+リリン、揚浜フラフラ、内野音子の7人と左蔵プロデューサーに撮影スタッフである。つまり貝割川崎・横浜、めろでぇずなどは離脱した。
 
そしてやって来たのは、不動産屋さんではなく中古車屋さんである!
 
「こいつデンデン虫なんですけど、殻が無くなっちゃったらしいんですよ。何か代わりになるような適当な車がないですかね」
とケンネルが言う。
 
「ああ、カタツムリさんなら、最適な車がありますよ」
と言って、中古車屋さんのお姉さんが紹介してくれたのは、日産エスカルゴ!である。
 
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どうもピザの配達で使われていたようで***ピザという名前が入っている。
 
「おぉ!これは素晴らしいカタツムリのお家だ」
と揚浜フラフラ。
 
「じゃこれ買います」
とケンネル。
 
「お買い上げありがとうございます。ではこちらでお手続きを」
 

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ということで、事務所に行く。
 
「本体価格はは400ミリビットコインですが、諸経費込みで530ミリビットコインになります」
とお姉さんは言う。
 
「だってよ。ほら、デンデン・クラウド、自分のウォレットから払って」
とチャンネルが言うと
 
「俺が払うんですか〜?」
などと彼は言う。
 
「お前のお家だから、当然お前が払うに決まってる」
とフラフラ。
 
「俺、ビットコインとか持ってないですよー。ビックリマンチョコなら昨日買ったのがあるけど」
とクラウドが言うと、揚浜フラフラが笑顔で頷いている。
 
「ビックリマンチョコでは払えませんね。ビットコインが無ければ日本円でもいいいですが」
 
「日本円だといくらですか?」
 
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「円建ては少し割高になりまして、本体価格50万円、諸経費込みで65万円になります」
 
「俺、そんなにお金無いですよー」
「65万くらいポンと払えんの?」
「すっぽんぽんにならなってもいいですが」
「それはBPOから叱られるからやめろ」
 
フラフラは「いいぞ、いいぞ」という感じで、クラウドのお尻を叩いている。
 
「クレカをお持ちなら、リボ払いなどで払う手もありますが」
「おれ、クレカは無いです」
 
「でしたらローンを組まれますか?」
とお姉さん。
 
「じゃそれでお願いします」
 
それで取り敢えずクラウドは席に座る。
 

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「このローン契約書に記入して下さい」
というので彼が記入する。
 
昨年の収入という欄があったので、彼は60万円と書いた。
 
「あ、そこは月収ではなくて年収を書くんですが」
とお姉さん。
 
「いえ、俺の昨年の1年間の収入は60万円なんですけど」
とデンデン・クラウド。
 
これには(マジで?)ケンネルが驚いて言う。
 
「お前、年収60万でどうやって食ってたの?」
「ラーメン屋の皿洗いして、まかないでラーメン食ってました」
 
するとお姉さんが言う。
「たいへん申し訳ありませんが、年収60万円では、ローン契約は致しかねます」
 
「それは困る」
とケンネル。これは台本の予想外の事態なのだろうか。
 
「誰かが保証してもダメ?」
「充分な年収のある方でしたら」
 
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「だったら、ここはケイナが保証してやれ」
「え〜〜〜?俺なの!?」
 
「ケイナ、女忘れてる」
「あ、しまった。私が保証するの?」
「こいつ運転手かなんかでこき使ってもいいぞ」
 
と言っているのはフラフラだが、実はこの件は半月くらい前に、クラウドの低収入を心配したフラフラから打診されていたのである。つまりローザ+リリンの付き人扱いにして、安い金額でもいいから報酬を払ってやれないかということだったのである。彼の今の芸のレベルでは現在以上にギャラを上げるのは難しい。
 
「それって、私たちもエスカルゴに乗るってこと?」
とケイナが言っちゃった。『あ、ダメ』とマリナは思ったが、もう遅い。
 
「あるいはケイナはケイナで別の車を買うかだな」
とケンネルが言うので、ケイナも“やられた!”と思った。きっとここまで計画してたんだ!
 
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(この番組には台本は存在するが、それを見ているのはネルネルの2人と内野音子だけで、他の出演者は閲覧禁止である)
 
「いいよ。じゃ私が車を買うよ」
とマリナが言った。ケイナだと、ケイナ自身、ローンが通るか怪しい気がした。
 
「マリナが買うの?だったらマリナにぴったりの車があるぞ」
とケンネルが言う。
 
やはり計画的だ!
 

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マリナはベントレー・マリナー(中古でも1000万円はする)でも買わされるかとヒヤヒヤしたのだが、ケンネルもそこまで無茶では無かった。
 
「ローズ+リリーのマリちゃんが乗ってるのと同じ“アクアのアクア”の中古が・・・あるよね?」
 
とケンネルは中古車屋のお姉さんに訊く。
 
「はい。まだ入荷していないのですが、発売日以降、新車をうちのチェーンで3台確保予定です。新車になりますが、それでもよろしければ」
 
「よし買った!」
と“揚浜フラフラ”が言った。
 
マリナは、やれやれと思った。
 
ローズ+リリーのマリはずっと日産リーフ(EV)に乗っていたのだが、3月に“アクアのアクア”(PHV)が発売されるので、アクアの熱烈なファンであるマリは、それに乗り換える予定である。これはアクア仕様のアクアで、アクアのロゴマーク(波模様)の入ったフロントパネルや座席シート、招き猫アクアのシールなど、可愛いアクアに満ちている。代金は確か300万円くらいと聞いた気がする。
 
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「で、いくらですか?」
「本来は本体価格300万に諸経費60万かかる所を先行予約特別価格で諸経費込み333万円で予約を承っております」
 
「お、ぞろ目で縁起がいいじゃん」
とチャンネル。
 
「分かりました。買います」
「お支払いは?」
「キャッシュで払います。振込先を教えてください」
と言ってマリナは口座番号を教えてもらい、そこに333万円振り込んだ。
 
「確かに頂きました。それでは発売日にお届けします」
「よろしく」
 
それでマリナは3月の発売日に“アクアのアクア”を受け取り、普段はそれをデンデン・クラウドに運転させることになる。
 

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「お前、お金あるんだな」
とケイナが言うので、マリナは
 
「ケイナも私とほとんど同じ額のギャラもらってるはずなのに」
と言う。
 
「俺は金が無ぇ」
「女忘れてる」
「しまった。私、お金無いよぉ」
「それ不思議なんだけど」
 
「ああ、それでデンデン・クラウドの車は?」
 
「333万円のアクアを現金で買って頂きましたし、こちらのエスカルゴは込み50万円にお値引きしますよ」
などとお姉さんは言っている。
 
「じゃそれも私が買って、デンデン・クラウドは毎月私に返済してくれるというのでは?」
 
「ああ、それでもいいんじゃない?」
とチャンネルが言うので、マリナは50万くらいならとクレカで払い、デンデン・クラウドは取り敢えず今夜の宿が確保された!デンデン・クラウドはマリナに毎月1万ずつ50ヶ月払いますという念書を書いて署名捺印し、マリナに渡した。
 
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この先の話は翌週の放送になるのだが、撮影は続行された。
 
デンデン・クラウドが
「俺、毎日車で寝泊まりしないといけないんですか?」
などと言うので、ケンネルは
 
「だったら、運転手としてデンデンを雇うケイナの家に泊めてもらったら?」
などという。
 
ああ、そういうことかとマリナはこの先の展開を予測したので
 
「新婚家庭に同居したら眠れないと思うけど」
と言う。
 
「それはそうだな。だったら、ケイナとマリナは別の所にマンションを買えばいい」
などと言った。
 
そこまで買わせる気か!
 

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それで一同は、やっと不動産屋さんに行く。
 
「新婚カップルが暮らすような手頃な中古マンションとか無いですかね」
とケンネルが尋ねる。
 
「新婚さんでしたら、これから赤ちゃんが生まれますよね」
「ああ、そういうこともあるかもね」
と答えているのは揚浜フラフラである!
 
「ご予算はおいくらくらいで?」
と不動産屋さんのお姉さんが訊くと
「10億くらい?」
とケンネルが訊くので
「1000万円以内で」
と言っておく。
 

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