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■東雲(9)

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(C)Eriko Kawaguchi 2020-08-08
 
アクアは1月上旬1/01-1/11にドームツアーをこなしたが、その途中の1月5日にこれまで3人に分裂していたのが唐突に2人になってしまった。NがMとFにほぼ半分ずつ吸収されたのである。千里2・山村マネージャー・コスモス社長にこのことはすぐ報せたのだが、コスモス社長は2人になったアクアが過負荷にならないよう、山村さんのレベルで気をつけてあげてと言っていた。
 
1月8日深夜には、父ゆかりのポルシェを初めて運転して中央道→新東名を往復して来た。これは千里さん(2番さんだと思った)に同乗してもらっている。3人で交替で運転するつもりで計画を錬っていたのに2人になってしまったので、FはNに見立てた“アクア人形”を自分の膝において運転した。
 
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1月16日(木)、この日はFが午前中に学校に行き、Mが午後から仕事に行ったのだが、Mが仕事に行っている間、Fは冷凍ピザをチンしてそれをのんびりと食べながら、ベッドに寝転がってネット漫画を読んでいた。そこにピンポンが鳴るので焦る。
 
誰が来たのかにより、対応すべき内容が変わってくる。
 
それでモニターを見てみると、千里さん(3番さんと見た)である!だったら問題無いのでエントランスをアンロックし、しばらく待って玄関ドアがノックされた所でドアを開けた。
 
「お疲れ〜。今日はどちらかがいるはずと思って寄らせてもらった」
と千里さんは言ったが、千里さんの後にいる人物を見て、龍虎Fは仰天した。
 
「西湖ちゃん!?」
 
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西湖がここに来るのは別に問題ないのだが、その西湖が2人いるのである!
 

「え〜!?西湖ちゃんも2人に分裂したの?」
と龍虎Fは驚いて言った。
 
「多分、龍ちゃんにしても西湖ちゃんにしてもあまりにも忙しすぎるから分裂してしまったんだと思うよ。特に3月で龍ちゃんが高校を卒業した後は、西湖ちゃんは1人しかいなかったら学校に行けなくなる」
 
「それボクも不安なんだけどね。自分の体力がもつか」
と龍虎Fは言う。
 
「こうちゃん(山村マネージャー)は適当だからなぁ」
「ですよね〜?」
 
取り敢えず、こういうことに関しては《こうちゃん》は全く信用が無い。
 
「2人の西湖を交替させながら仕事させるのに、私の“お友だち”のワシリーサ(和城理紗)を§§ミュージックに付き人として入れたけど、あの子では発言力無いから、桜木ワルツにも負荷については言っておこう」
 
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「ワルツさんなら信頼できます」
と龍虎も言う。
 
それであらためてワルツにもそういう話をしておくことにした。
 

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4人は今週末から始まる『気球に乗って5日間』のロケ中の分担についても話しあった。
 
「基本的にカオル役はアクアM・葉月M、カオリ役はアクアF・葉月Fで」
「それがスッキリしていいですよね」
「まあたまに違う子が相手してても気にしないで」
「気にしません」
 
「お風呂入るシーンも男湯に入るのは龍虎M、女湯に入るのは葉月F」
「葉月ちゃんは密かに性転換手術しているとスピカちゃんとかには思われているからそれで問題無い」
 
「それ困るんだけどなあ」
などと葉月M。
 
「まあ女子校に男子が通うのは普通無理だから」
と葉月Fなどは言っている。
 
なお撮影には、葉月の影武者である《かぶちゃん》も同行させるつもりだが、龍虎や葉月には特に言う必要はないと千里は考えていた。彼なら状況次第ではアクアのボディダブルも務まるはずである。そのあたりの管理もワシリーサにさせる。
 
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1月20日から25日は、アクアや葉月を含む『気球に乗って5日間』の出演者一行がオーストラリアに渡り実際に気球を飛ばしたりしてのロケをおこなった。この撮影では“カオル”は主としてアクア(アクアM)、“カオリ”は主として葉月(葉月F)が演じている。
 
そして実はメインの撮影隊とは別の所で、サブカメラマンの美高鏡子により、“カオリ役”のアクアFと、カオル役の葉月M、それにドイツ人のミハエルのボディダブルさん、ブラジル人のリョーマのボディダブルさんと4人で同じシーンの撮影も進めており、両者を後に合成することにしていた。こちらは気球の操作はアクアFと葉月Mが共同でおこなっている。
 
アクアFがメインの撮影でカオリ役を演じたら合成の手間も要らないのだが、アクアF(マクラ)の存在は、美高さん(河村助監督の奥さん)以外には開示しないという約束なのである。
 
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マクラはアクアの従妹ということにしてるのだが、本当の龍虎の従妹というのは長野美奈代(後の美濃山淳奈)だけで、彼女はまだ幼稚園生である。龍虎は彼女からサインをねだられたので書いてあげたが、美奈代の宝物になったようで、彼女が後に女優を目指す原動力にもなったのだが、それはまた後の物語である。
 
映画の撮影一行は1/26には日本に移動。27日からは国内での撮影をおこなった。
 

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2020年2月8-9日に青葉はラピスラズリと一緒に山本大左先生、すずくりこ先生の御自宅を訪問し、撮影したビデオを翌日2月10日に金沢に持ち帰って〒〒テレビに提出した。
 
ちなみに青葉は入社前である!何でも青葉はきっと4月上旬の日本選手権で上位入賞して、東京五輪代表に選出されるだろうから、その前に7月放送までの分を撮影しておきたいのだという話だった。しかしそもそも青葉は日本選手権に参加するつもりも無かったし、その前に3月で大学を卒業してしまえば、自分の所属そのものが無くなるので、日本選手権自体に参加できない、と青葉は思っていた。
 
それでも青葉は、成り行きと、気分転換のために毎日津幡のプライベートプールで泳いでいた。
 
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ところが2月13日、唐突に皆山幸花から電話が掛かってくる。
 
「青葉、日本選手権は申し込んでおいたから」
「は!?」
「今日から申し込みフォームがオープンになったのよ。参加料もこちらで払っておいたから、よろしくね。後でADカードが送られてきたら渡すね」
 
「あのぉ、私3月22日で大学を卒業するから、日本選手権のある4月時点ではK大水泳部には所属してないんですけど」
 
「むろんK大水泳部じゃないよ。〒〒テレビ・スイミングクラブだよ」
「そんなのできたんですか〜〜?」
 
「青葉が日本代表候補になっているのに4月以降所属団体が無くなるというのを石崎部長が聞いてさ、だったら〒〒テレビのスイミングクラブを作ろうといって。法人も立ち上げた。私が部長ね(*4)」
 
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(*4)実は運営会社の社長である。でも無給!会長が石崎部長(当然無給)。
 
「そんなのが進んでいたんだ?」
 
「他の所属メンバーは青葉でしょ、布恋でしょ、竹原杏梨ちゃん、ジャネさんの妹の月見里公子・夢子姉妹。他に福山希美・広島夏鈴・竹下リルも準メンバー。本拠地は津幡のプライベートプールだから、女子限定だけど、男子でも無理なく女子水着が着れる人は考慮する」
 
「あはは」
 
結局、日本選手権に出ることになるのか、と青葉は悟りのような境地になった。
 

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2月17日、バスケット女子のWリーグは、コロナ対策の第一弾として、選手の試合以外の活動(イベントの類い)を自粛するように通達した。
 
2月21日、Wリーグは、試合の際、スタッフはマスク着用すること、会場入口に消毒液を置くこと、また風邪症状のある人や基礎疾患のある人は来場自粛してもらうよう求めるととともに、観客にもマスク着用をお願いする方針を示した。
 
同日、東京のJISSで合宿をしていた水泳日本代表候補の筒石君康が検温でひっかかり、婚約者の幡山ジャネに連絡があったので、ジャネがすぐに彼を車で引き取りに行き、病院に連れて行く。新型コロナに感染していることが疑われたのでPCR検査をした所、陽性が判明する。しかし本人はピンピンしてるので、自宅隔離の対応となった。それで尾久のマンションでジャネが看病することになった。
 
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なおジャネ本人もPCR検査を受けたが陰性であった。またジャネも(生活必要物資の買い出し以外)外出禁止を言われた。
 
感染者が出たJISSでは、施設を徹底的に消毒し、食堂ロピーの使用を禁止するなど激震が走った。
 
実際には、筒石を引き取りに行って、病院に連れていき、その後2週間お世話をしたのはジャネ本人ではなく“マラ”である。そもそもジャネは車の運転ができないが、マラは“死ぬ前”は大型免許も持っていた。ただしPCR検査を受けたのはジャネ本人である。マラは幽霊!なので今更コロナに感染することはないが医学的検査を受けるのはふつうは無理である。
 
(もっとも千里の師?の藍川真璃子のように、もう20年以上幽霊をやっていて毎年健康診断を受けて異常なしという診断を受けているような人もあるが!?)
 
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マラはずっと東京尾久のマンションで筒石と暮らしているが、ジャネ本人はずっと金沢の実家に居る。しかし“外出禁止”と言われたので、2週間、津幡の火牛スポーツセンターに籠もってひたすら泳いでいた!
 

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2月中は、プライベートプールの傍では、体育館をいったん閉館し“感染症対策”のための緊急工事が行われていた。ムーランはこの時期は、改装工事の邪魔にならないよう駐車場の中央付近(テニスコート予定地)で営業していた。
 
(体育館の工事が終わったところで、テニスコートの基礎工事が始まることもありいったん体育館地下に戻るが、3月になると感染症対策で、アクアゾーン前の地上に再度移動する。この時期はムーランの営業場所はめまぐるしく変わっている)
 
ローズ+リリーの2/23のライブは1億円を掛けた体育館の改造、大量のビニールシートにより座席を区切る仕組みの導入などにより、実施する予定だったのだが、2/21に、ついに石川県でも感染者が発生したため、冬子は苦渋の決断で、津幡公演の中止を決定した。
 
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さて、ここで座席を区切るのに使用する予定だった大量のビニールシートの衝立(高さ2m×幅1m 約2万個:原価2000万円)が余ってしまった。
 
若葉が「ムーランの座席を区切るのにちょうだい」と言って、400枚・40万円分買っていった。和実もクレールの感染対策にといって200枚・20万円買っていった。更に千里も少し(?)欲しいと言って、1万枚・1000万円分も買っていった。残った分は一部を火牛アリーナの2階席の仕切りや会議室・更衣室などの仕切りなどに使用することにした。余った分は、取り敢えず開業が延期されたスポーツクラブの場所に押し込んでおいた。この分も最終的には若葉と千里が追加で欲しいと言って買っていき、全て無くなったので、冬子はストック場所も不要になり、資金も回収できて大いに助かったのである。
 
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現在ムーランは、東京3店・9車両、埼玉(郷愁村・高崎・熊谷市街)3店・3車両、若狭(小浜・舞鶴・敦賀)3店・3車両、加越能(津幡・羽咋・高岡)3店・3車両、と運用しており、春から仙台(若林・青葉通り・石巻)3店・3車両も加わる予定で、21車両、約250席の客席を持つ。
 
若葉は感染症対策で、これを170席ほどまで減らした上で、ビニールシートの衝立を立て感染対策をしたいと言った。そのため約400枚の衝立が必要とみたのである。
 

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2月上旬、和実はチーフのマキコ、“会長”伊藤君、“副会長”小野寺君と4人で感染症対策について話し合っていた。
 
「これ多分かなりやばいよね?」
「万が一にもうちの客から感染者が出たら、お店が潰れますよ」
 
「その件では、こないだから、冬子や若葉が、かなり議論しているみたい」
 
と言って、和実は教えてもらったイベントの感染対策について3人に話した。
 
「そこまでやるのか!」
と伊藤君も小野寺君も想像以上の対策内容に絶句して腕を組んでいた。
 
「結局、感染している客が来店すると、その客と接したメイドが感染する危険がある。メイドが感染するとそこから多くの客に感染させる可能性がある」
 
「その事態が起きたら店は潰れるな」
 
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「つまりメイドの感染を絶対的に防ぐ必要がある」
 

「女子寮を作りません?市内にアパートとか借りていて、そこから通勤してくると通勤途中で感染する危険がある」
とマキコが提案する。
 
「そうそう。バスとか電車も危険だと冬子が言っていた。密閉した室内でウィルスが拡散する」
 
「よし。女子寮は作ろう。何部屋くらい必要?」
「今若林店に登録しているメイドが全部で38人ですが」
とマキコが言うと
 
「そんなに居たっけ?」
と和実がびっくりしている。
 
「常勤に近いのは10人くらいですね」
「全部で20人くらいかと思ってた」
「まあ幽霊メイドもいるから」
 
「幽霊?」
「あ、そっちの意味か」
「牡丹灯籠みたいなのだと恐いね」
「そんな子が2〜3人居ても面白いけど」
 
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「まあ男の娘は多いし」
「今何人男の娘がいるのか分からない」
「私ももう分からなくなった」
とマキコまで言っている。
 
学生バイトが多いので、口座番号と電話番号・アドレスくらいまでしか把握していないメイドも多い。最初から本人が性別をバッくれていたら全く分からない。口座の名義人にしても姉妹の口座を借りていたりすると分からない。
 

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