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■春牛(1)

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(C) Eriki Kawaguchi 2020-01-31/改2020-04-18
 
その日青葉は久しぶりに赤いアクアを運転して高岡から金沢への通学組を乗せて8号線を金沢に向かって走っていた。
 
メンバーは青葉、美由紀、明日香、世梨奈の4人でこれに星衣良が加わる日もある。4年前の大学進学以来このメンツで高岡から金沢まで通学してきた。当初は毎日青葉が運転していたのだが、その内青葉が多忙になり、一昨年春以降は明日香が運転する日が多くなっている。昨年の夏休みには世梨奈と星衣良も就職を見据えて免許を取ったので、最近は世梨奈が若葉マークをつけて運転する場合もある。ちなみに美由紀はみんなから「あんた絶対事故起こすから免許は取らないほうがいい」と言われている。
 
(世梨奈は夏休みに免許を取りに行って30万使い、また夏休み中のバイトもできなかったので授業料が払えなくなり冬子から50万ギャラを前借りした)
 
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それでおしゃべりしていた時、アメリカとイランの対立問題が話題になり、トランプは何やるか分からないから怖いよね、という話から、昨日もアメリカ大使館にロケット弾が撃ち込まれたんだって、と明日香が言った。
 
すると唐突に美由紀が
 
「え?ロケット団がどうしたって?」
と発言した。
 
青葉も一瞬訳が分からなかったのだが、世梨奈が
「ポケモンの話じゃないよ。戦争の話だよ」
と言ったので、青葉もようやく理解した。
 
「ムサシ・コジローの方じゃなくて、ロケット・ランチャーなのね」
 
「人は聞いた言葉を自分のよく知っている単語として把握する傾向があるのよ」
などと世梨奈は言っている。
 
「カチューシャ使ったらしいよ」
「ロシア軍の規律の緩い所から横流しされているのでは?」
「世界の平和を守るためだね」
「わざと横流ししているんだったりして」
「ありそうで怖いなあ」
「ところでロケット団といえばムサシとコジローでニャースは忘れられがちだよね」
 
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どうもまだ話はかみ合ってないようである。
 
「でも勘違いといえばさ、こないだ友だちからノーパン・カフェに行こうと言われて気でも狂ったかと思ったよ」
と世梨奈が言う。
 
「ああ、ノーパンと言えば多くの人がパンツ穿かないという意味に取るよね」
「ノーパン喫茶なんて流行ったのはもう40年くらい前だけどね」
「最近では鍋の類い(パン)を使わない料理、レンチン(レンジでチン)の料理をノーパンと言うらしいね」
「ああ、ノーパン健康法なの?」
 
「レンジのみで調理するのがポリシーというカフェらしいのよ」
「ポリシーというのは微妙だな。手抜きとしてのレンチンはありだけど」
「でもレンジ使うと油が最小限で済むらしいよ」
「ダイヤモンドコートのフライパンとか使えば、鍋を使用した料理でも余分な油は使わずに料理できるけどね」
 
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「そうだ!フードが全部レンチンという喫茶店作ってさ、ノーパン喫茶って看板出したらお客さんたくさん来ないかな」
「詐欺だと言われて袋だたきにあうという説に1票」
 
「でもダイヤモンドコートって本当にダイヤ使ってるの?」
「使っていなかったら、ダイヤモンドコートは名乗れない」
「ダイヤも安くなったもんだね」
「指輪に使うような巨大なのは高いけど、粉レベルのものは合成でどんどん作られているから安いよ」
 
もう既にイランの話はどこかに行ってしまった。
 

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「え〜?桃姉、また切符切られたの?」
と青葉は呆れたように言った。
 
「お巡りの奴、ずっこいんだよ。脇道に隠れていて。そもそもあの道は直線で道幅も広いし、あんな所を40km/h制限にするっておかしいよ。あそこは60kmか、せめて50km/hにすべき」
と桃香は文句を言っている。
 
「でいくらオーバーしたのさ?」
と青葉が訊くと
「24kmオーバー、15000円、点数2点」
と言って、薄青色の切符と納付書を見せる。
 
「制限速度60キロとしてもオーバーしてるじゃん」
と朋子が指摘する。
 
「15000円も無いや。千里〜、貸してくんない?原稿料入ったら返すから」
「はいはい」
と言って、千里は財布から2万円出して
「払い込んだらお釣り返してね」
と言っている。
「うん。ありがとう」
と言って桃香は受けとるが、こういう場合、まずお釣りも本体も返って来ない。しかし千里自身がだいたいお金を貸したことを忘れてしまう。千里は忘れ物の天才である。
 
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ちなみに反則金は1週間以内に納付する必要があり、納付しなかったら交通反則通告センターから再度納付書が送られてきて、それでも払わなかったら警察から出頭要請が来て、それも無視していたら、最悪逮捕・本裁判もあり得る。普通は7日以内に払い忘れたとしても、通告センターから納付書が送られてきた時点でビビッて払うが、繰り返し無視続ける悪質ドライバーは本当に本裁判まで行く可能性もある。また車の所有者に対して使用禁止が科せられる場合もある。
 
「桃香、免停は大丈夫だったの?」
「今回ので5点になるんだよ。あと1点で免停くらう」
「桃香、前歴はなかったんだっけ?」
「前回免停くらってから1年間あいたから消えた」
「よく1年も捕まらなかったね」
「私も、そうしょっちゅうは捕まってないよ」
 
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「ちー姉はゴールドだよね?」
と青葉が訊く。千里は
「もちろん」
と言って、金色の帯の免許証を見せる。
 
「千里がゴールドって信じられない。結構スピード出す癖に」
「警察がいる所やオービスのある所では慎重に運転するからね」
 
「警察の居るところって結構法則があるよね」
と青葉も言っている。
 
「まっすぐの直線とか、下り坂の先とか、高速のICを出た後とかは危ない。そもそも金曜の夜から土日祝日は警察が頑張るから怖い」
と千里は言っている。
 
「あと変わり方の速い信号は信号無視車ホイホイだから、特に知らない道では歩行者信号に気をつけて点滅し始めたらスピードを落としてすぐ停まれるようにする」
 
「普通は赤になってから3秒間はそのまま通過しないか?」
などと桃香が言うと
「その3秒の根拠はどこから来るの?」
と朋子が呆れて言っている。
 
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「だけど、この付近だと、今のちょっとやばかったかなと思いながら赤信号を通過すると、だいたいそのあと2台は後ろの車が通過するぞ」
 
「田舎ではそうだけど、それ都会でやると確実に捕まるから」
 
「あとスピード違反の場合、警察は車列の先頭しかたいてい捕まえないから、自分が先頭にならないように走っていれば、まず安全。2台目まで捕まったのは1度しか見たことない」
と千里は言っている。
 
「やはり2台目まで捕まることもあるんだ?」
と朋子が訊く。
「うん。珍しーと思った。ネズミ取りだったけどね」
 
「しかしちんたら走る車の後ろとかイライラするんだけどな」
「桃姉、それでハミ禁(はみ出し追越禁止:黄色い中央線がある)の所で切符切られたこともあったのでは?」
「あんまりノロノロ運転しているから追い越したらすぐ前からパトカーが来るんだよ。タイミング悪かった」
「ハミ禁の所は見通しの利かない場所が多いから、そもそも追い越しは危険なんだけどね」
と千里は言った。
 
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竹田はその日、日中珠洲まで仕事で行ったのだが、打ち合わせが長引いてしまい終わったのはもう20時すぎだった。会社に連絡を入れた上で直接帰宅することにする。打ち合わせていた取引先の人から「お子さんにどうぞ」と言われてもらったケーキ(吉野屋のケーキだった)をお土産に、珠洲道路・のと里山海道を南下し、徳田大津JCTからは能越自動車道を走って高岡ICで降りた(高岡の次の福岡ICまでが無料区間。しかし福岡まで行くと遠回りになるので高岡で降りる)後、国道8号を走って富山市の自宅に向かった。
 
珠洲を出たのが20時過ぎで、途中のコンビニで休憩したり軽食を買ったりしていたのもあり、高岡まで来たのはもう0時すぎである。もっと早く戻りたかったのだが、珠洲道路で過積載のトラックがノロノロ運転していて追越も困難だったので、かなり余分な時間を取ってしまった。珠洲道路の一番の問題点は追い越せるような場所が少なく、それも対向車線を使わないと追い越せないので、向こうから車が来ていると追い越せないことである。
 
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国道8号はだいたい制限速度60km/hの所が多いが、竹田は夜中だし警察もいないだろうと思い、75km/hくらい出していた。それでしばらく走っていた時、後ろから白いワゴン車が来て竹田の車を追い越して行った。竹田は自然にその車に追随した。速度は90km/hである。ちよっと出し過ぎじゃないかと思ったが、夜中の8号線は高速道路と間違っているのではと思うような車さえ居る。
 
しかし警察が捕まえるにしても、先頭の車を捕まえるだろうから自分は無事なはずだ。それで竹田は若干の罪悪感を覚えながらも90km/hで前の白いワゴン車を追随した。この車のお陰で早く帰宅できる。助かった、などと竹田は思っていた。ところがそれで10分近く走っていた時、後方に赤いランプがあるのに気づく。白バイだ!やばいやばい。竹田はブレーキを踏まずにエンジンブレーキで速度を落とした。前の白いワゴン車との距離がどんどん離れていく。
 
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白バイが自分の車の所まで来る。
 
停止を命じられる!?
 
嘘だろ?俺より前のワゴン車を捕まえろよ!
 
と思うが白バイの指示には従わなければならない。
 
竹田はブレーキを踏むと同時にハザードを点け、車を左に寄せて停止させた。白バイから警官が降りてくる。窓を開ける。
 
「免許証を見せて」
「お巡りさん、俺より前のワゴン車を捕まえないんですか?」
「前のワゴン車?」
「俺はあのワゴン車に追随して走っていただけですよ」
「そんなワゴン車は見なかったけど」
「え?だって俺のすぐ前を走ってましたよ。今からでも追えば追いつくと思うけど」
「あなたが車列の先頭だと思いましたけどね」
と警官は言い
「そんな速い車がいたのなら念のため手配しよう」
と言って無線で連絡していた。
 
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「でも先頭でなかったとしても、あなたも速度違反ですよ。何キロ出していたか分かりますか?」
「えっと・・・70くらいかなあ」
「車載の速度計で測ったのでは84km/hだったんですけどね。ここは60km/hの道ですよ。いつもこのくらい出しておられます?(誘導尋問)」
と警官は言った。
 

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「幻のワゴン車?なんです?それ」
と青葉は幸花に尋ねた。
 
「今ネットで噂になっているのよ。だいたい出没しているのは白山市から魚津市まで付近の国道8号線や国道159号・160号・415号とか、富山県道32号,57号、石川県道1号,2号,59号」
 
「けっこう範囲が広いね」
「一応全部幹線か」
「そうそう。夜中の幹線に出没している」
と幸花は言う。
 
「ひとりの人が『納得いかない』と言ってツイッターに書き込んだら、『自分も同じ目に遭った』という書き込みが続出して、それで“幻のワゴン車”という名前がついた」
 
「どういうのなんですか?」
と、この日もテレビ局に遊びに来ている真珠が尋ねる。
 
「真珠ちゃんもバイク運転するから気をつけなよ」
と幸花は前置きをしてから説明した。
 
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「だいたい夜中の0時すぎくらいから2時くらいに時間帯的には集中しているけどもっと早い時間帯の場合もある。白いワゴン車が後方から来て追い越して行くんだって。だいたい付いていける程度のスピードオーバー、70km/hから大きな道だと90km/hくらいで走るから、つい追随していく。付いて行く側としては、こんな時間に警察は居ないだろうし、もし捕まるにしても先頭のあのワゴン車だろうと思って追随する。ところが白バイとかパトカーが来て、その追随している人を捕まえる」
 
「もしかして白バイはそのワゴン車を見ていないというのですか?」
と明恵。
 
「そうなのよ。自分よりあの先頭のワゴン車を捕まえてくださいよと警官に抗議しても、警察はそんなの見てないと言うらしい」
 
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「幽霊ワゴン車か」
と城山が言う。
 
「どうもそういうものみたい」
 
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