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■春牛(6)

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和実は“チーフ”のマキコを呼んで話し合った。
 
「マキコちゃんは3月で大学卒業だけど、ここ続けてくれるよね?」
「ええ。メイドの仕事に結構ハマっちゃったので、ぜひ続けさせてください。それに私、性別変更しているから、一般企業への就職は難しいんですよ」
「そんなのバッくれてれば、絶対バレないのに」
「そんな気もしますけどねー」
 
「それでさ、先日から色々動いていたんだけど、青葉通りに支店を出すことになったんだよ。もしよかったら、マキコちゃんに、青葉通り店の店長兼チーフをしてもらえないかな」
 
「こないだから、私とナタリー(サブチーフ)のどちらかが青葉通りに行くことになるよね、とか話していました。やります」
とマキコは力強く言った。
 
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「ありがとう。店長はまた色々大変だろうけど、分からないことがあったらいつでも相談して」
と和実は言った。
 

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それで和実はサブのナタリーも呼んだ。
 
そして青葉通り店を開設するので、マキコにそちらの店長兼チーフをしてもらうことになったことを説明する。
 
「それで、ナタリーちゃんにこちらの店のチーフを引き継いでもらえないだろうかと思っているんだけど」
と和実は言ったのだが
 
「すみません。私サブチーフはしてますけど、まだメイドになって1年も経ってなくて不安です」
などとナタリーは言う。
 
「いや、ナタリーちゃんはしっかりしているよ。判断力もあるし、みんなから頼りにされている」
とマキコ。
 
「でも私まだ19で若いし」
とナタリー。
 
「年齢は関係無いよ。年下の子に従うのは嫌だなんて子は誰もいないと思うよ」
「でもせめてあと1年くらい経験してからにしたいんです。それで考えていたんですけど、元チーフのライムさんが復帰なさるんでしょう?ライムさんにチーフはお願いできないでしょうか?」
 
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「でも彼女は週3日、昼間に3時間くらいずつ入るだけだよ」
「それ以外の時間は私がチーフ代行で頑張ります」
などとナタリーは言っている。
 
「要するにチーフの仕事は何とかなりそうだけど、チーフという名前がまだ重たいんだな」
とマキコは解説する。
 
「うーん。だったらライムをシニアチーフ、ナタリーはジュニアチーフということで」
 
「あ、そのくらいなら何とかなるかな」
 

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それで若林本店のチーフは当面は変則体制で行くことになったのであった。なお、リボンの色は、ライム・ナタリーともにチーフ色である青を使用する。
 
リボンは、チーフが青、サブチーフが黄色、チーフ・サブチーフ不在時のチーフ代行がグリーン、一般のメイドはペールピンク、店長は紫である。この配色はエヴォン、ショコラ、マベルとも共通の仕様。青葉通店の店長はマキコなので、紫をつけてもいいのだが、店長とチーフを兼ねる場合はチーフのリボンをつけるのが“エヴォン方式”である。
 
なおチーフを兼ねない女性店長はエヴォン・ショコラ・マベルには存在しないので実は紫を付けているのは和実のみだが「店長は紫」というのはエヴォンのオーナー・永井が言っていた話である。その永井に「メイド服着て紫のリボンつけます?」と尋ねたら、奥さんの麻衣(メイド名=もも)が「客が逃げて行くからやめろ」と言った。ショコラのオーナー・神田にも言ってみたことがある。神田は「楽しそうだなあ」などと言っていたけど、やめたほうがいいと和実は思う(お笑いには見えるかも?)。マベルの高畑は本気にしたら怖いので、そういう話はしないほうが良さそうな気がする。
 
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「でも青葉通りにお店出すって凄いですね。ここ結構儲かってるんですか?」
などとナタリーは訊く。
 
「君たちが頑張っているからね」
と和実。
 
「そこはクレールだけの建物ですか?」
 
「地下2階・地上4階建てで、地下2階が体育館、地下1階は20-30台入る駐車場、2階と3階はテラス席とか、更衣室・倉庫・事務所の類い、4階はTKRの音楽スタジオ」
 
(和実はまだ5階ができるという話を聞いていない)
 
「色々入るんですね」
 
「テナントも募集中。まだ2階に少し空きがあるんだよ」
「どんなお店が入るんですか?」
 
「ムーランのお菓子屋さん、アクセサリーショップとスポーツ用品店、美容室、までは決まっている。あと、パン屋さんが欲しいなとか言っているんだけど、お店を出してくれそうなパン屋さんで美味しい所とか知らない?」
と和実が訊くと、マキコがなんか不思議な表情をした。どうしたんだろう?と思ったらナタリーが言った。
 
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「佐織(マキコ)さんの実家がパン屋さんですよ」
 
「そうだったんだっけ!?」
 

そのパン屋さんは、マキコの両親がパン作りは巧いものの“商売のセンス”が無いため、マキコのお祖母さんと、マキコの妹を中心に運用しているらしい。和実は肩書きは専務であるものの実質的経営者である、マキコの妹・竹西友紀(20)と会ったのだが・・・・
 
和実はマキコたちの両親に同情した!
 
なるほど。こういう“妹”だったわけか。むろんその点については触れない。ビジネス的には性別など些細なことである。“彼女”は一応まだ女子大生(少なくとも男子大学生には見えない)だが、早朝からパンの仕込みをし、大学が終わった後の夕方から夜8時までお店に詰めているらしい。物凄い体力だなと思った。
 
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友紀は最初にお店のパンの陳列を見せてくれて
「どれでも好きなものを何点かどうぞ」
と言うので、和実は食パンを取った。
 
「できますね」
と友紀は言う。
 
「味の誤魔化しがききませんからね」
と和実は言い、奥の部屋で出してもらったニルギリのミルクティーを頂きながら食パンを食べてみた。
 
「美味しいですね。ナチュラル系の生地だ」
「ありがとうございます」
「このパンはサワードウ(sourdough)発酵なんですね」
「それもよくおわかりで」
「イースト菌で膨らせませたものとは風味も食感も違うから分かりますよ。ずっと育てているんですか?」
「曾祖父の代からの種なんですよ。でもここの店のは震災で失われてしまって」
「ああ」
「祖父の妹の息子にあたる人が石川県の金沢の近くでパン屋さんをしていて、兄弟種を持っていたので、そちらから分けてもらいました」
「それは良かった。こういうものは失われたら復活は不可能ですからね」
「そうなんですよ。やはり子供は遠くにやるべきもんだとか、言ってました」
 
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友紀さんの話では、名取市のスーパーに置かせてもらっていた分が、改装(というより売場面積縮小)でこちらのコーナーが無くなってしまったので生産余力はあるということだった。
 
今考えている広さは6坪くらいなんだけどと言って予定図を見せる。
 
「売場としてはそのくらいの方がやりやすいです。広くすると生産能力が追いつかなくなります。大きな工場でオートメーションでどんどん作るような所なら、面積は広くてもいいんでしょうけど、こちらは人海戦術なので」
 
「ここで製造して青葉通りまで運びますか?それとも現地で焼きますか?」
「厨房は作ってもいいんですか?」
「ビルの本体がそもそもカフェを運営するためのものなので排煙システムは完璧です。ちゃんと無害化してから外に出しますよ」
 
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「だったら大丈夫ですね。鮮度を考えたら現地で焼きたいですね。ここで作ってから配送すると、どうかすると製造してから1時間以上経ったパンばかりになってしまう」
 
「確かに焼きたてが美味しいですからね。2階はもう空きが無いんですが、3階でもよければ厨房が作れる程度のスペースをお貸ししましょうか?」
「それやりたいです。家賃はいくらくらいですか?」
 
「厨房はどのくらいの面積があれば作れます?」
「そうだなあ。8坪くらいあれば」
「今3階になら9坪くらいの空きエリアがあるんですが、使います?」
「使いたいです。で家賃は?」
 
「売上額に応じて家賃を払ってもらう方式で、合計15坪なら売上100万円までは15万円くらいの線でどうでしょう?売上がそれ以上出る場合は
12%くらいの線。他に共益費は坪あたり3000円で」
「1日100万円ですか?」
「1ヶ月です」
「ですよね。さすがに1日に100万売る自信はないと思った」
「それはもうマクドナルドの旗艦店みたいな所の売上ですね」
 
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「そちらのお店は妹に任せようかな。そしたら私と妹で競争になるし」
と竹西友紀が言うので
 
「ああ、もうひとり妹さんがおられるんですね?」
と和実は言った。
 
「私とひとつ違いで、昨年高校を出たばかりなんですけどね。私より商才がありそうで。今挨拶させますよ。道佳(みちか)、ちょっとおいで」
と友紀は妹を呼んだ。
 
「紹介します。私や佐織の妹で道佳です」
と友紀が紹介し、道佳も
「竹西道佳です。よろしくお願いします」
と挨拶した。
 
その“妹”を見て、和実は彼女たちの両親に本気で同情したくなった!
 

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竹西道佳は現地を見たいと言ったので、和実はプリウスに竹西三姉妹を乗せて現地まで連れて行った。現在は目隠しがされているが、中で現在基礎工事をしているところだと説明した。
 
「佐織姉ちゃんがカフェの店長なのか。うちのパンを仕入れてよ」
などと道佳は言っている。
「だったら売価300円のパンを30円で」
「原価割れするよ!」
 
「まあサンドイッチ用のバゲットとか仕入れてもいいかもね。格安仕入れ値で」
などと和実まで言っている。
 
道佳は近所を結構歩き回り、雰囲気などを確認していたようである。和実が渡した概略図面のコピーもよく見ている。
 
道佳は言った。
 
「月山さん、厨房なんですが、何とか2階に店舗に隣接して確保できませんか?パンは作っている所を見せた方が絶対的に売上がよくなるんです。デリバリー型のショップより、厨房併設型の方が、お客様に大きくアピールするんですよ。その分、家賃の率が高くなっても構いませんから」
 
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「そうですね。ちょっと調整してみようかな」
 
それで厨房も2階に併設する形で検討してみることにした。
 

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和実は千里に電話した。
 
「申し訳無いけどさ、スポーツ用品店を3階に移動させてもらえない?レイアウトを考えていたんだけど、どうしても2階に入らないんだよ」
「うっそー!?」
 
それで和実は現時点で考えているレイアウトを千里にメールし、理解を求めた。
 
「確かにパン屋さんは厨房併設がいい。パン生地をこねている所が見えて、厨房から酵母の臭いがただよってくるのが客寄せになるんだよ」
「じゃスポーツ用品店、3階でも良い?」
「アクセサリーショップを2階に置いてもらえば。あ、待って。どうせなら4階にできない?4階に楽器店を作るんでしょ?その隣に並べてがいいな」
 
「楽器店は作るけど、スペース足りるかあ」
「スタジオの大半は5階に移動するんだから、そのくらい入らない?」
「5階!?何それ?」
「1フロア増設することになったって、若葉が言ってたよ」
「うっそー!?」
 
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それで和実は若葉と連絡を取り、5階ができることになったことを聞いて仰天するのであった。
 
「建設費はほんの3000万円くらい上がるだけだよ」
 
あはは、こういう金銭感覚の人と一緒に仕事するのは色々大変な面もある、と和実は思った。
 

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色々テナントが入ったため、当初の和実・若葉・千里の面積比率が変わることになったが、出資比率は変更しないことで3人は同意した。
 
なお、フロアが追加されたので、和実・若葉・千里の負担額も3人で合計3000万円追加されることになった。結局土地代・建設費の合計は6億9200万円となり、各々の出資額は和実が3億4600万、若葉が6920万、千里が2億7680万ということになった。
 

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