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■春気(1)

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(C) Eriki Kawaguchi 2020-02-29/改2020-04-18
 
千里4は1月5日に高岡から東京に戻った後、翌日球団事務所に行き、2年半にわたって二重人格状態にあったのが統合されたので二軍のNo.66 川島十里は抹消してくださいと告げた。
 
球団は千里が本当に元気そうなので喜んでその作業をした。球団としても千里が本格的に復活するのは、大いに喜ばしいことだった。実際その日1軍の練習場に出て行った千里は絶好調で、チームメイトたちからも
「サン、すごく元気」
と驚かれていた。
 
千里4は6日の夜は西湖のアパートに行き、分裂してびっくりしている彼(彼女?)に対応した。
 
千里は翌日1月7日の練習でも調子良いところを見せていたが、
「今日は早引きしてもいいですか?」
と言って15時頃であがらせてもらうと《わっちゃん》に転送してもらって仙台に行った。そして和実と会って和実が購入予定の土地を見せてもらった。
 
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『こうちゃん、これどうよ?』
『よくこんな土地買う気になるな』
『改善できる?』
『地縛霊は処分しておくよ。浮遊霊も掃除しておくけど、ここはまた変なのが寄ってくる。青葉に結界を作らせろ』
『それがいいかもねー』
 
それで千里4は和実に地縛霊がいたが処分したこと、これは絶対『出る』噂があったはずだから、値引き交渉の材料にするのがいいと伝えた上で、青葉に結界させることを勧める。それで和実も売買契約したら、青葉に連絡しようと思った。
 
千里4は帰りは新幹線で帰り、座席で楽曲を書いた。
 

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その日龍虎Mが仕事を終えて代々木のマンションに帰ったら、FがNの部屋から出てくる。
 
「何してたの?」
「Nが居なくて寂しいから、お人形さんを置いてみた」
 
見ると“アクア人形”がNのベッドに置いてある。
 
「せっかく千里さんが3人でひとつずつ部屋を使えるように3LDKを選んでくれたのに居なくなっちゃうんだもん」
とFは言っている。
 
「別に死んだ訳でも無いし、いつでもNとは話せるんだから、あまり寂しがるなよ」
とMは言う。自分も本当は寂しい気持ちがしているのだが、ここは男の強がりだ。
 
「最初お花を置こうとしたら、死んだみたいだからやめてとNが言った」
「うん。お花はやめておこうよ」
 
「何か食べた?」
「ううん。まだ」
「じゃ餃子でも焼こうか?」
「あ、Mの焼いた餃子好き。ボクなかなかうまく焼けなくてさ」
「OKOK。ネットでも見てなよ」
「さんきゅ」
 
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3人で暮らしていた時はNがわりと料理が得意だったのでNが御飯を作ることが多かったのだが、2人になってから、その付近の負荷が増えた。Fが寂しがっているようでもあり、Mは御飯作りなどは進んで引き受けている。
 

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西湖はとても調子が良かった。おおむね学校は聖子F、仕事は西湖Mが引き受けているのだが、主としてボディダブルの仕事がある時はFも学校が終わってから撮影場所にやってきて、男役を西湖M、女役を聖子Fがする。入れ替えは《わっちゃん》がやってくれるから楽である。だいたい片方はアパートで休憩している。龍虎たちと同様、長期記憶を共有するので、今撮影がどこまで進んでいるかは常にお互い把握できる。
 
分担するようになってから、聖子(西湖)は宿題などもきちんと提出するようになり「忙しいのに頑張ってるね」と先生に褒められた。
 
親友の伊代などには「アクアちゃんはますます忙しくなってるみたいなのに最近よく頑張ってるね」と言われる。
 
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「アクアさんが高校卒業するとかなり忙しくなるだろうということで少し体制が変わったんだよ。今、アクアさんの日中の仕事の代役は、佐藤ゆかさんがしてくださるようになったから、私は行かなくていいのよ。そうしないと私が4月以降は全然学校行けなくなるって、醍醐春海先生が申し入れてくれて。夕方からの仕事も今、町田朱美ちゃんが半分くらいしているから。結果的に負担が12月までより減ったんだよ」
と聖子Fは説明する。
 
「ああ。町田朱美ちゃんは今の段階ではまだ時間に余裕があるだろうね」
「うん。売れ出したら、また状況変わるかも知れないけど」
 

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和実はローズ+リリーのカウントダウンに、マベルの出店の応援に行き、12/31 23:10くらいまで営業してから撤収。その日は京都マベルでゴロ寝して、1月1日朝、一緒に行ったルシア・モナミとともに仙台に帰還した。
 
京都10:21-12:33東京12:44-14:17仙台
 
モナミは仙台駅からそのままタクシーに乗せて自宅に帰したが、ルシアはお店に置いている荷物を取って来たいということでいったん一緒にクレールまで行く。するとクレールの初期メイドで元チーフのライムが来ていた。育児の手も少し離れてきたので可能ならまたメイドをしたいということだったので、昼間を中心にシフトを入れようかなどという話をした。ライムは和実と面談した後、同じ初期メンバーのルシアとも話し込んでいた。ルシアはお店にいったん戻って正解だったようである。
 
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1月1-2日はお店はお休みにしたのだが、1月3日の信濃町ガールズの定演から営業を再開した。1月4日はTKRのアーティストが5組登場する予定だったのだが、1組は日程を勘違いしていてきていなかった。するとちょうど来店していた千里が代理でステージを務めてくれた。千里が「買物しにきた」というので何を買いに来たのと訊くと、土地を買ったというので驚く。クレールに隣接する12haの土地が、イオンが来るという噂で高騰していたのが、誘致の中心的存在だった市会議員が逮捕されたことで話が消え、暴落した所を14億円弱で買ったのだという。最初は20億円超だったのを必殺値切り人に交渉させてその値段で買ったのだという。千里はこの土地は公園にして体育館を建てると言っていた。和実も隣が公園というのは歓迎と言った。今のように荒れ果てたままになっているより、ずっといいと思われた。
 
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1月6日(月)は仙台市街地、南町通り沿いにあるTKR仙台支社に行き、今年のTKRライブ予定などについても山崎さんと打ち合わせた。この場で和実は現在お店自体は黒字経営だが、お店の建設の際の借金の返済が重くて苦労していると正直に打ち明け、場合によっては仙台市街地に移転するかもという話をした。最初は人の多い一番町や中央通りがいいのでは、などと言っていたものの、山崎さんと話している内に、クレールの場合、むしろ青葉通りや広瀬通りなどの車通り沿いのほうがいいという話になった。なお現在の若林区のお店はそれなりに存在価値があるので、“移転”より“支店設置”の方が助かるなどという話もした。
 

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打ち合わせの後、和実は泰陽楼で中華料理をおごってもらい、その後、仙台駅前からバスに乗ってクレールに戻ろうと思って、南町通りを東へ仙台駅方向に歩いて行った。なお今日は2人の子供は自宅でベビーシッターさんにみてもらっている。
 
駅まで行く途中の細い道の所で、杭を打ってロープを張っている人たちが居た。これは南町通りとその北の青葉通りを結ぶ道で細いが一応車も通れる道である。和実は何だろうと思って、つい寄り道してその道に入っていってみた。
 
古い4階建てのビルがあり、1階にコンビニとラーメン屋さんがあったのがどちらも閉店したようである。和実は何となくそのロープを張っている背広姿の男性に尋ねた。
 
「建て替えか何かですか?」
 
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「売り地なんですよ。ここを所有していた地主さんが亡くなりましてね。相続した息子さんが相続税を払いきれないので売ることにしたんです。ビルも昭和30年代に建てられた古いものだからそのままでは売れないんで、崩してから売ろうという話になっているんですよね。近いうちに解体工事を始めますが。ここのラーメン屋さんは先代の頃は美味しいことで評判だったんですが、一昨年息子の代になってから不味くなって客が来なくなって潰れたんです。コンビニのほうは去年の夏にオーナーの奥さんが亡くなって閉店したんですよ。夫婦で経営する契約だったから契約解除になったらしいです。新しいオーナー募集したけど契約に至る人は居なかったみたいで」
 
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それって過労で亡くなったのでは?気の毒にと和実は思った。コンビニオーナーなんて物凄い激務っぽい。
 
「幾らで売るんですか?」
「息子さんの希望では8億円ですね」
「凄い金額だなあ。広さは?」
「この土地は間口18間(けん)、奥行き25間(けん)の約450坪かな」
 
今のクレールの敷地より少し広いくらいか。でもむしろ狭く感じるのは町中にあるせいかな?などと考える。
 
「すみません。メートルでは?」
「間口33m 奥行き45m くらいですね。約1500m2で、平米単価は53万円くらいになるから、かなりお買い得ですよ」
 
和実は冬子から左右の壁の幅14m 高さ14mが音響的には理想と言われたよなと思い起こしていた。客室の幅14mに、横に廊下とトイレを設置しても18m、これだけの幅があるならトイレと反対側のサイドに厨房を作ればいいなと考える。冬子は部屋の長さは特に言ってなかったけど、奥行き14mではステージで半分取っちゃいそうだから20mくらいかな。土地の奥行きが 45mあれば建蔽率60%として 27mくらい取れるから、客室24mとエントランス3mでもいいかな。ここ駅にも近いし車で入れるし、まるで私のお店を作るために用意された土地みたいなどと思う。取り敢えず資金のことは何も考えていない。
 
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和実がどうも興味を持っているようなので、男性は積極的に売り込んで来る。
 
「どうです、奥さん、株運用で儲けたお小遣いの投資先とかに?コンビニとか牛タン屋とか入店させて、2階以上には事務所とか入れたら、ここは駅に近いからお客さんも来て、家賃収入でローンが返せますよ」
などと言って男性は名刺をくれた。
 
《Tanabata Fudosan 青葉通り店店長・宅地建物取引士・不動産鑑定士・棚機秀香 Tanahata Hidetaka》と書かれていた。
 
「棚ぼた不動産?」
 
「あ、それよく誤読されるんですが、七夕(たなばた)です。七夕祭りにちなんだ社名なんですよ。創立者で先代社長を務めた人がお祭り大好き人間だったので。でも“たなぼた”はまだいい方で“たなブタ”と誤読されることもあります」
 
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「あなたは社長の・・・娘さん?」
 
「私の名前だいたい女の子の名前に見えますよね。たいてい“ひでか”と読まれちゃうけど“ひでたか”なんです。昔、波多野秀香(はたのひでたか)という武将がいて、そこから取ったんですよ。あと、私の苗字は“たなはた”で会社の名前は“たなばた”です。濁点が無いんです。『ちょっと足りない』とか揶揄されますが。ちなみに社長の苗字は松島です」
 
男性がかなり話好きな感じで、しかも和実を見込みのある客と思ったようで、結構な時間話した。それで和実が「そろそろ自分のお店に戻らなくちゃ」と言うと「では興味がありましたら、ぜひご連絡ください」と言って解放してくれた。“お店”と言ったので、スナックか何かでも経営している人で結構資金力のある人かもと思われたふしもあった。
 
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仙台駅前まで行き、バス乗り場に行くのに通りを渡ろうとした時、左手に宝くじ売場があるのに気がついた。
 
そういえばこないだ京都で宝くじ買ったんだったと思い出す。それで売場に寄り、バッグの中に入れたままだった宝くじの袋を散り出す。売場のおばちゃんに
「これ当たってますかね?」
と尋ねた。
 
「はいはい。確認しましょうね」
と言って、おばちゃんはくじを袋から取り出し機械に掛けた。
 
そして和実はおばちゃんがギョッとするのを見た。
 
「当たりました?」
と和実が尋ねると、おばちゃんは小さな声で言った。
 
「おめでとうございます。高額当選しています。当たり券は銀行での換金になりますので、お早めにみずほ銀行に行ってください」
 
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