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■春二(22)

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翌日(10/4 tue)は同じような感じで両手の爪にマニキュアされちゃった。
 
「ねね、松崎さんのこと下の名前で呼んでいい?」
「うん。もちろん」
「“もとのり”ちゃん?」
「できたら“もとき”で」
「OKOK。“もとき”ちゃんね」
 
「私たちのことも下の名前で呼んでいいからね〜」
「了解。そうさせてもらう」
 

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火曜日の午後は体育があった。元紀は後期はサッカーを選択している。元紀が更衣室の前でもじもじしていたら(蒲池)聖美ちゃんが来て
「元紀(もとき)ちゃんどうしたの?」
「えっと」
「入ろ入ろ」
と言って彼女が元紀の手を握り、一緒に女子更衣室に入った。それで一緒に着替えたが誰も何も言わない。そのうち(皆川)蔦代ちゃんと(相沢)雪江ちゃんも来て4人での会話になった。4人はごく普通のおしゃべりをしていたのだが、他の3人が元紀のバストが結構あるのと、ショーツのフォルムがすっきりしているのをしっかり見ていることに元紀は気付かなかった。
 
この日は
「男子vs女子で試合をします」
と言われる。
 
「たまに見た目で男女の違いが分かりにくい人がいるから女子はビブスを着けてね。なお性別は自己申告ね。大谷翔平みたいなマッチョな身体持ってても、自分は女と思ったら女子に入っていいからね」
と言って教官は笑いを取る。
 
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すると高校までは柔道やっていた185cm/90kgの森田君が
「じゃ俺女子に参加しようかな」
というので
「歓迎歓迎」
という声が女子たちの中からあがる。他に教官自身も女子の方に加わった、ちょうどいいハンディになったようである。元紀は(松元)典実ちゃんから
「はい」
とビブスを渡されてもちろん女子に参加した。
 
ゲームは森田君大活躍で彼が2点もあげ、元バレー部の(笹原)良美ちゃんも1点取って女子が勝った。
 
「森田君、このまま性転換手術受けて本当の女子にならない?」
「考えてみようかな」
 
「手術受けていいよー。私、ビアンもいけるから」
と森田君の彼女である(高林)玲花ちゃんが言っていた。
 

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さて、彪志は10月10日の夜(正確には11日の午前0-2時頃)突然女の身体になってしまったのだが、股間の形が変わり、バストができたほかに幾つかの変化が起きていた。
 
・ヒゲは全く生えなくなった。性変が起きる直前に生えていたハズのヒゲも無くなっていた。毎朝ヒゲの処理をしなくてもいいのは楽〜と思った。
 
・スネ毛・お腹の毛も無くなっていた。その後、生えてきたりもしなかった。脇の毛は残っていた。つまり女性の身体にもあるような毛だけが残り、女性にはあまり無い部分の毛は無くなったようである。毛の無いスベスベした白い足を見て、ついうっとりしてしまった(←危ない傾向)。
 
・身長が1cmくらい縮んだ気がするが、その前の身長を測ってないので不確か。しかし足のサイズは明らかに小さくなっている。今まで26cmの靴を履いていたが、少し空きがある気がした。靴屋さんで確認したら25cmの靴が入ることが分かった。体重も2-3kg減った気がするが通常の変動の範囲かも。
 
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・ウェストがぐっと細くなった。メジャーで測ってみると、69cmだった。もしかしたらお腹の肉が無くなった分、バストが大きくなったのかも。またお尻のサイズが大きくなっていた。
 
・長年抱えていた肩の凝りが消えた。ただし一時的なものかも。
 
・足にあった傷跡が消えている。これは小5の時にトラックに轢かれた時のものだった。この事故で彪志は睾丸の機能を失いペニスが立たなくなったが“睾丸をもらう夢”を見た後機能復活しペニスも立つようになった。
 
・肩が少し撫で肩になっていた。それで肩掛けのバッグが掛けにくい。また腰の骨が少し大きくなった気がする。つまり女性的な骨格に変化している。俺この骨格なら妊娠できるかも、とチラッと思った。
 
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腰の骨の形が変わったのもヒップサイズが大きくなった要因という気もする。ズボンがきついので、悩んだあげくレディスのスラックスを買って穿いている。(レディスを穿いていてもそもそもペニスが無いので、排尿で悩むことは無い)
 
また、喉仏が無くなったまま、千里さんに?男の声が出るようにしてもらったが、その後、女のような声も出せることに気がついた。両者は「スイッチを切り替える」ような感じで変更できる。つまり今彪志は両声類の状態にある。
 

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10月15日(土)、
 
藤弥日古(広瀬のぞみ)は母が運転する日産ノートで宮崎市に出た。市内の大学に通うためアパートに住んでいる井寿海(いずみ)の元を訪れる。
 
「こんにちはー」
「あ、お母ちゃん、弥日古?」
「すっかり女らしくなって」
「いやそれはこっちのセリフ」
「まあこれで私たち4姉妹になったね」
「まあ、弥日古が女の子だったのは子供の頃からだったけど」
 
という訳ですっかり女性化している“元長男”の井寿海に会いに来たのである。
 

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「これ振袖ができてきたから」
と言って弥日古が箱を渡す。
 
「わあ、ありがとう」
「さっそく着てみよう」
「待ってトイレ行ってから」
 
それで井寿海は元恵の手で1時間半掛けて振袖を着付けしてもらった。
 
「きれーい」
 
井寿海は姿見に映して感動している。弥日古が記念写真を撮ってあげた。母と並んでいるところも写す。弥日古と並んでいるところは母が写した。
 
「本番では美容師さんに気付けしてもらったほうがいいね.私の着付けではたぶん30分しかもたない」
「早めに予約しておかないと予約いっぱいになってるからね」
「うん。でも予約受け付けてもらえるかなあ」
「普段行ってる美容室に相談してごらんよ。早朝とか前日夜遅くで他のお客さんとあまりぶつからないような時間帯ならしてくれるかもよ」
「あ、そうかもね」
 
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実は井寿海に振袖をプレゼントしようというのを弥日古と真理奈で計画したのである。
 
井寿海は身長が174cmあるため既製品でもレンタルでもこういう身長の人向けのものはなかなか無い。しかし東京の呉服屋さん?で高身長の人の振袖を2ヶ月程度で作ってくれるお店を176cmの品川ありさが紹介してくれた。それでその費用を2人で負担してあげたのである。
 
寸法は母に測ってもらい、デザインは定型デザインの中から本人が選んだ。そして8月上旬に注文したのでまだギリギリではなかったことから、なんとか10月中に仕上がった。
 

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「でも思ってたより、いい振袖だね。高かったでしょ?」
「まあ出世払いで」
「うん。就職したらボーナスとかで返すよ。でもこれインクジェットプリンタじゃないみたい。80-90万しなかった?」
「いや、インクジェットだよ。だから40万円ほど」
「うっそー。友禅かと思った」
「この商品は友禅の工程に準じて作るけど、手作業で染めるところだけをインクジェットで染めた物」
「へー!!」
「だから手描きや型押しに比べると制作が速いけど、普通のインクジェットより時間がかかる。でも普通のインクジェットとは模様の深みが違うよね」
「なるほどー」
「このお店はかなり大きな生地とかも用意してて、身長2mの人の振袖作ったこともあると言ってた」
「凄いね!」
と言ってから、井寿海は
「やはりそれ男の娘さん?」
と訊く。2mってバスケかバレーの選手だろうかと思う。
 
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「外人の女の人だったって」
「外人さんか!」
ということで納得した。
 

10月20日(木).
 
元紀は「たぶんダメだろうな」という気持ちで法務省のサイトを見た。
 
え?
 
手元の受験票と、ディスプレイに表示されている番号を見比べる。
 
・・・・
 
「いやきっと勘違いだ。少し時間を置いて見直そう」
 
と呟くと、元紀はバッグを持ってコンビニまで行き、コーヒーとサンドイッチを買ってきた。そしてコーヒーを飲みながらサンドイッチを食べた。
 
トイレに行ってくる。
 
お風呂にお湯を溜めて入浴する。
 
最初にサイトを見てから約2時間後、元紀は再度サイトを見た。ひとつずつ数字を見比べる。
 
「うっそー!?信じられない!」
 
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元紀は真和にメールした。
 
「このサイトを開いて、この番号が合格者一覧にあるかどうか確認してくれない?自分1人では不安で」
 
真和からの返信は5分後に電話が掛かって来た。
 
「確かにあるよ。おめでとう!」
「ありがとう」
「これで合格?」
「いや。あと口述試験があるけど、これに落ちる人はほとんど居ない。でも緊張したりして落ちる人が毎年10人くらい居るんだよ」
 
「緊張なら、お姉ちゃん大丈夫だね。たくさんドラマに出て度胸付いてるもん」
「あ、そうだよね。でも油断したらいけないから頑張る」
 
「うん、頑張ってね。合格したら弁護士になれるの?」
「いやこれで司法試験の受験資格ができるから、それで来年司法試験を受けてそれで合格したら司法修習を受けて最後に“2回試験”に合格したら法曹資格が取れる」(*59)
「大変だね!でも頑張ってね。再来年には女弁護士だね」
「あ、そうだね」
 
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元紀は嬉しいというよりあまりの驚きに電話を終えた後、放心状態だったがハッとしたように予備校から提供されているAIによる想定問答練習に取り組んだ。
 

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(*59) 司法試験を受けるのには2つのコースがある。
 
ひとつは法科大学院を修了する方法。
 
もうひとつは司法試験の予備試験を受ける方法。
 
実際には、後者を選ぶ人が多い。それは次のような理由による。
 
・法科大学院を出るまでに物凄いお金と時間が掛かり、貧乏な学生には無理。
 
・法科大学院で教えている内容が全く役に立たず「時間と金のムダ」という意見が根強い。
 
この背景には元々法科大学院という制度が法曹界の声を聞かず政治家や経済界の要請に応えて作られたという現場無視のシステムだったというのがある。そして大学の先生たちは法曹の現場を分かってない。
 
現状、法曹資格を目指す学生は、毎年予備試験を受ける。それで予備試験に合格したら翌年司法試験を受け、合格したら大学を中退して司法修習生になり1年間の修習を受けて「二回試験」に合格すれば法曹資格を得られる。
 
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大学2年生(20歳の年)で予備試験に合格した場合、3年生(21歳の年)で司法試験を受け、そこで合格したら大学を中退し22歳の年に司法修習を受け、二回試験に合格すると法曹資格をもらえる。
 
一方毎年受けている予備試験に合格できないまま6年間法学部・法科大学院に通って卒業し司法試験の受験資格を得た場合、司法試験を受けられるのは25歳の年である。こういう学生はなかなか司法試験にも通らない。5年たつと司法試験の受験資格を失う。すると29歳の年に、何の資格も無い状態で仕事を見付けなければならなくなる。大学・大学院時代に受けた奨学金はこの司法試験に挑戦している間にも返済を始める必要がある。また司法試験に合格して司法修習生になったとしても二回試験に落ちて「振り出しに戻る」者が毎年100人くらい出ている。
 
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更に法科大学院出身者の司法試験合格率があまりに低い。2023年の司法試験の場合、法科大学院の修了者または在学者の受験者数は3575人で合格者数は1454人(合格率40.7%)。これに対して予備試験ルートの受験者数は353人で合格者数は327人(合格率92.6%)。実力差は歴然としている。また司法試験に通った後の司法修習の場からは法科大学院出身者の実力不足を指摘する声まである。
 

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法曹資格を目指す人が大学の授業より重視しているのが法律予備校である。予備校の授業は実践的であり、みっちり鍛えられる。元紀も予備校に籍を置いており、ダブルスクールしている。現状、予備校に行かずに司法試験にパスし、その後の司法修習をこなすことは非常に難しい。予備校に行ってなかった人は司法修習のまず最初の予備修習で躓く。予備校での指導無しでそれを通過することはほとんど不可能である。
 
一方法科大学院制度ができた後多数できた法科大学院で「卒業生の司法試験合格率が低すぎる」として文部科学省から注意を受けた所が多く、また次々と閉鎖に追い込まれている。
 

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そういう訳で法曹資格を目指す学生は、大学に入ると毎年予備試験を受ける。予備試験は、短答式・論文式・口述試験と3段階になっている。
 
元紀は入学1年目の今年、まず5月に短答式を受験し、合格した(合格率22% 採点対象者12882 合格者2829)。これは自信があったが次の論文式は通らないだろうなと思っていた。
 
論文式は7月9-10日に行われた。元紀はその直後に『竹取物語』の制作で東京に出て来たが、これは騒音が大きなアパートよりも、東京の宿泊所のほうが集中して勉強できるのではという思いもあった.実際元紀は東京にいる間、ドラマなどに出演する時以外、ひたすら勉強していた。元紀は正直今年論文式に合格できるとは思えなかったものの、来年に向けて基礎を鍛え直すととともに、“万一”合格していた場合にも備えて、口述式の準備もAIを使ってたくさん練習していた。
 
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そして10月20日論文式の合格者が発表され、元紀は通っていたのである。(合格率18% 採点対象者2679 合格者481)口述試験は11月5-6日に行われる。
 

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(*60) 2023年度から、法科大学院の2年生(法学部以外の出身者は3年生)も司法試験を受けられることになった。結果的には法科大学院の存在意義がほとんど無くなったと思う。
 

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