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■春二(5)
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さて、アクアのほうは、8月31日にネットライブをした後、
「アクアさん、待ってましたよ」
と言われて、関西に振袖CMの撮影に行った。一昨年・昨年とCM撮影した呉服屋さんである。
「私もう成人式すぎたのに」
「では20歳のタレントさんと一緒に」
と言われて下記のメンツを31日の夕方、千里のG450で神戸空港に運んだ。(アクアたちは別便ということにして実は転送した。他に葉月は先週の内に現地入りしている)
原町カペラ・木下宏紀・南田容子・三田雪代・安原祥子・立花紀子・神谷祐子・竹原比奈子
「え?振袖の撮影なの?」
と詳しい話を聞かされないまま飛行機に乗せられた木下宏紀が驚いて言う。
「じゃ僕はアクアの弟か何かの役で」
「いや振袖を着てもらおう」
というので、しっかり豪華振袖を着せられることになる。
(木下君は成人式でも振袖着ていいと思うよ:親や姉は当然振袖と思っている)
ということで呉服屋さんから多数の振袖を渡されてみんな思い思いの振袖を着せてもらっていた。木下君も他の子と一緒に着付けしてもらったが、彼は女子と一緒に着替えても全然問題無い。着付けしてくれた人も彼が女の子でないことには気付かなかったようであった。
なお葉月とカペラは特別な振袖を着る。アクアは超特別な振袖を着る。
最初は♪♪ハウス所属の神谷・竹原(いづれもFlower Sunshine)は入ってなかったのだが、立花紀子が「もしよかったらこの子たちも入れてください」と頼んだので、クライアントも「うん、おいでおいで」と言い一緒に呼んでもらった。
おかげで、この2人は自分ではとても買えないような豪華な振袖を着ることが出来た。
「これ成人式本番の時にレンタルとかできませんよね?」
「ああ、お安くお貸ししますよ」
ということで、格安でレンタルすることができた。しかも半分は紀子が出してあげたので本人たちは普通の振袖レンタル程度の出費で豪華な京友禅の振袖を借りることができることになった。
今回の撮影は、一応先週のうちに、今井葉月(20)・中村昭恵(18)・太田芳絵(19)の“女優組”3人を使って既にロケハンしている。葉月はロケハンの上で本番にも参加することになった。でもこれはいつものことである。
さて昨年・一昨年が暑い中の撮影できつかったという声があったので、今年は冷房の入っている屋内で撮影が行われた。
しかし振袖の最初の着付けには1時間、交換にまた1時間掛かるので、撮影はなかなか大変である。着替えてる時間が撮影している時間より長い!
初日9月1日(木)は、まず午前中、この呉服屋さんの京都本店に行き、そこのVIPルームでお茶会でもしているかのような感じの絵を撮る。
ただし実際には茶碗にお茶は入れていない。高価な着物だけに万一こぼしたりしたら大変である。ここでは亭主役は立花紀子(*19)が務め、アクアの隣は今井葉月、原町カペラであった。またコロナの折、全員別の茶碗を使用している。各々の茶碗(唐津焼き:値段は知らない方がいい)に名前を書き、その名前(*20) も一緒に映されている。
上品な懐石料理(*21) を頂いた後、午後は京都現代アート・ミュージアムで2時間ほど撮影した。シュールな絵や彫刻、またインスタレーションの中で伝統的な和服を着るのは結構いい絵になった。(使用した振袖は全て本式の京友禅)
軽食にお好み焼きを食べてから(もちろん普段着で食べている)、夕方からは大阪市立・住まいのミュージアム(別名:大阪くらしの今昔館)に閉館後お邪魔し、江戸時代の町並みで多数の映像を撮影した。
しかし木下君は女子たちの中に完全に埋没していた。
(*19) 立花紀子はお茶を習っているので動作が様になっていた。
(*20) 名前は千里が書いた。下手な字で書かれたものを映したくないからである。撮影後、茶碗は全員記念にもらった。オークションなどへの流出防止で名前を直書きすることにした。神谷と竹原は「すごーい、鴨乃清見先生の直筆!家宝にしなきゃ」などと言っていた。
茶道の茶碗は、1楽2萩3唐津といわれ、この3種類がよいとされる。しかし楽焼きは黒くて名前を書きにくく、萩焼は中に入れた液体が染み出す特性があり初心者には使いにくいので、唐津焼を選択した。1個1万円ほどの品で、呉服屋さん側から提供された。CMの制作予算の一部。コロナの折なので紛れないように記名した上で再利用はしないことにして結果的に参加者がもらえることになった。
(*21) 懐石料理を食べた“後”お腹が空いたぁ!という声多数、それでおやつにお好み焼きを食べた。
『懐石料理』というのは、お腹が空くのを、暖めた石を懐に入れて我慢するという“我慢の美学”なので、お腹がいっぱいになるのは本物の懐石料理ではない。
でも高い!!
§§ミュージック音楽教室の姫路分室で1泊する。
“うちわ”の場所なので夕食の焼肉も思いっきり食べられたし、お部屋の外に出るのにお化粧しなくて済むからほんとにリラックスして休めたという声多数。ホテルなどに泊まった場合、アクアだけでなくガールズたちも盗撮の危険を常に意識する必要があり“変な格好”はできない。
リラックスしすぎて下着姿で出歩いていた子はさすがに高村マネージャーに叱られていた。
翌日(9/2)の午前中は分室内に作られた神社のセット(?)で撮影する。本職の女性神職さんがお祓いしてくれた。そして分室内でお昼に猪カツ!(*22) を食べる。
(*22) アクアや葉月は、九重たちのおかげで猪肉はたくさん食べている。また立花紀子はグルメ番組で実に様々なものを食べていて猪も食べたことがある。
しかし猪と聞いて中には食べる前に顔を見合わせていた子も居た。アクアや紀子たちが美味しそうに食べていたのでおそるおそる食べて見て「あ、行ける」と思ったようである。最終的にはみんな美味しい美味しいと言って食べていた。
午後は姫路市内のイーグレット美術館にお邪魔した。ここを今日の午後は貸し切りにしている。
「あ、西村南風さんの彫刻だ」
とアクアが言うと
「よくご存じですねぇ!」
と御主人が感心している。
アクアが高村マネージャーの顔を見ると頷いているのでアクアは言った。
「実は西村南風さんの作品を大量に並べた西宮市の“彫刻の森”で写真集を撮影してきたんですよ」
「そうだったんですか!いや私も4日の開園式には出席します」
と館長さん。
「そのオープン前にお邪魔しました」
と言ってアクアはみんなに説明する。
「西村南風さんの彫刻を108点並べた野外美術館が明後日4日にリニューアル・オープンするんだよ」
「へー。108って凄いですね」
こちらの美術館エントランスにも、西村南風さんの彫刻が12体並んでいる。
アクアたちはこの西村南風作の彫像の前、そしてこの美術館に納められた多数の彫像、木彫り人形、陶磁器、などの前で映像を撮影した。招き猫などの常滑焼きも多数展示されている。
他に東北地方の様々なコケシ(鳴子・遠刈田・作並・弥治郎・肘折(ひじおり)など)、神戸人形、姫路独楽、佐世保独楽、福岡・太宰府天満宮の木彫りの鷽(うそ)、東京・亀戸天神社の木彫りの鷽、など。
北海道の“鮭を咥えた熊”の木彫り、網走刑務所謹製ニポポ人形、なども並んでいる。木彫りの熊は50年ほど前の北海道観光ブームの時にお土産用に作られ人気になったものだが、最近はあまり生産されていないので、ガールズたちの中では知らない子が多かった。木下君と立花紀子だけが「見たことある」と言った。アクアと葉月は制作した職人さん自身!から頂いたものを所有している。
撮影は16時で終了し、大宮万葉(青葉)の結婚祝賀会に参加する人は姫路分室からあけぼのテレビを見ていたようである。お料理はここに配送してもらっていた。
この祝賀会では、アクアと常滑舞音も余興で演奏しているが、ふたりとも伴奏はマイナスワン音源を使用した。バックバンドのメンバーは物凄く多忙なので、このような私事にまで動員してはいけないとどちらも考えていた。
しかしお陰で木下君は9月2日が空いていたので振袖CMの撮影に動員された!
9月3日から10日までアクアはレギュラーのCM撮影を20本くらいこなした。もはや何の撮影しているのか自分で分からなくなるくらいこなした。ここ半年くらいどうしても時間が取れなかったので、松梨詩恩・羽鳥セシル・水森ビーナ・白鳥リズム・町田朱美・姫路スピカなどが代替してくれていたものに復帰である。
(万が一にも疲れたような表情で映ってはいけないのでMF交替で出演した)(*24)
CMの歌も何本か録ったような気もするが、ほぼ初見で歌ったので、録音したら即忘れている。これはだいたい8小節程度の短い曲が多い。
(*24) アクアたち自身も気付かないうちに代理の“カブちゃん”も混ぜて2人を休ませている。このあたりの操作は和城理紗がしている。
明確な記憶が残ったのは太陽光パネル(アマテラス)とアクアのアクアくらいである。太陽光パネルはMが撮った。これは信濃町ガールズ10人くらいとの撮影で、富山県の大宮万葉の自宅までDo228で往復して来た。結婚したばかりの大宮先生も出て来てくれて全員とエア握手してくれた。Do228なので、調布飛行場から氷見飛行場までの往復で済み、あまり時間が掛からなかった。アクアはすぐ帰京したが、ガールズたちは翌日の帰還となった。
アクアのアクアの方はFが出演した。これは富士スピードウェイでの撮影となった。国際C級ライセンスも持っている醍醐春海が運転する同型車(リミッターが解除されている)の助手席に乗って 200km/hの世界を体験したが、醍醐春海の運転はこの速度が出ていても凄く安心感があった。この部分ではアクアはレーシング・スーツを着ている。(アクア自身も一応国内A級ライセンスは取っている)
この日の午後からはローカルな町道?を30km/h で走って御殿場の小さなスーパーの駐車場に入る所、駐車場にアクアのアクアが駐まってアクアが傍に立っているところを撮影した。この部分ではアクアはオレンジ色のワンピース(サンローラン)である。アクアが自分で運転している。
この急・緩の対比が今回のテーマだった。
CM撮影はこのスーパーの許可を取って撮影しているが、このあと“聖地巡礼”に訪れる人が増えて、オンエア後ここのスーパーの売上が倍になって年末年始は臨時バイトを雇ったらしい!
ところでアクアMの身体であるが、8月24日に「水着撮影するから」というので勝手に女の子に性転換させられてしまったのだが、25日の夜アクアMが千里に電話して「これ困るから男の子に戻してください」と言ったら、「いいよー」ということで、すぐ来てくれてコテージのベッドで再度性転換を掛けてくれた。
「せっかく素敵なおっぱいができきたのに男みたいな胸に戻っていいの?」
「おっぱいが大きいのは困ります」
「せっかく邪魔なちんちん無くなったのにまた生えてきていいの?」
「ちんちん無いと困ります」
「無くてもいいよねー」
「そんなのあったら邪魔なだけですよねー」
と千里とFの間では意見一致するがMは、ちんちんが是非欲しいと言う。
「じゃ男の娘にしちゃうよ」
「お願いします」
それで再度意志を確認してから千里が性転換を掛けるとMは眠ってしまった。
(男に変えるのは何度も意思を確認する。女に変えるのは本人の意思は無視して強引に変えちゃう)
「でも翌日に性別を戻せるんですね。西湖ちゃんはいったん女の子にされた後、男の子に戻すには1年待たないといけないと言われたというのに」
とFが訊いた。
「それは使ってる術が違うからだね」
「え〜〜!?」
「千里たちの中で、2番・3番は“羽衣・瞬嶽式・チンターマニチャクラ逆転の法”(*25)を使っている。これは性別を変えるのと同時に年齢を若返らせる。成長期の人に使うと身体も縮む。どちらかというと若返りがメイン。性別が変わるのは副作用。そして1度掛けると1年間は掛けられない」
「これに対して1番が使ってるのは“子牙・虚空式・リンガチャクラ回転の法”。これは若返り効果が無い。そして使用制限も無い。また性別円盤(リンガチャクラ)を任意の角度で停められる。しかしこの術は人に教えることができない」
(*25) “チンターマニチャクラ”は日本語では通常“如意輪”と訳される。如意輪観音の如意輪である。ただし“チンターマニチャクラ逆転の法”も“リンガチャクラ回転の法”も実は千里が今適当に今思いついたことばである!次に訊かれたらきっと別の言葉を言う。
また羽衣はこの法を途中で停められるので結果的に性別軸を任意の角度にできる。
でも1年間変更できない!(それで千里1に助けてもらった)
なお1番は両方の術を使い分けているもよう。意識して掛けているのは瞬嶽式だが、本人も気付かないうちに!掛けてしまうのは子牙式である。
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