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■春避(1)
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(C) Eriko Kawaguchi 2023-01-21
日本代表の海外合宿でオーストラリアに行っていた千里(千里3)は6月3日に帰国した。いったん各自のチームに戻るが、6月7日からはNTCで合宿を行い、6月18-19日には千葉ポートアリーナにトルコ代表を迎えての親善試合がある。
しかし千里3が帰国したことで、“千里たち”の運用が少しは楽になった千里5(Grace)はホッとした。
※現在の千里たちの所在
千里1:アメリカでWBDAに参戦中
千里2A:妊娠中(浦和に居る)
千里2B:フランスとスペインで水泳日本代表をサポート中
千里3:オーストラリアから帰国
千里4:頻繁に石川富山に行き、北陸方面の案件をサポート中
千里3の出国後は国内で稼働できるのが実質1人だけになり、千里4(Robin)の負荷がかなり高まっていたのである。松本花子の打合せや§§ミュージックの会議にはほとんど千里6(Victoria)が出ている。
千里1はアメリカのコロナの状況が酷く、実質試合ができないようなので、千里2を装った千里5が電話して
「試合できないのなら帰国しない?」
と言ってみたものの
「こんなに選手が少ない状況では気の毒で抜けられない」
ということであった!
ところで、5月に急遽グラナダに呼ばれて、グラナダの千里邸にパイロットさん用の部屋を増築した播磨工務店の清川はどうなったのであろうか?
千里4は、九重(徳部)が忙しそうと思い、氷見の体育館の件を清川に頼もうかと思ったのだが、いつまでたっても帰って来ない。どこ寄り道してるんだ?と思う。
乙和御前の現在の邸がある場所は7月4日から病院建設工事が始まる。だから6月20日くらいまでには新しい邸の場所を提供しなければならない。
しかし九重が忙しそう、清川が帰ってこないので仕方なく、あまり気が進まなかったが、千里は体育館の建設は、勾陳(こうちゃん:アクアの山村マネージャー)に頼もうと思った。彼は多数のエイリアス(*1) を使っているので、誰か1人こちらに回してもらえば何とかなるだろうと思った。
実際千里が1番に電話を掛けて「工事を頼みたい」と言ったら6番が来たので
「今日は6番か」
と言ったら
「なんで分かるんです〜!?」
と彼は驚いていた。
(*1) 勾陳のエイリアス(全部で14人と千里は推定している)
1:千里1担当(本体)
2:アクア担当(常時女装)
3:千里2担当
4:鹿島信子担当(しばしば子供のお守りをさせられている)
7:バリヌル共和国の“橋”建設担当
彼のエイリアスの中で少なくとも 1,2,3,4,6,11 は最低一度千里に去勢されたことがある!
去勢の方法は(1) 勃起能力を奪う (2)睾丸を取り外す (3)睾丸と陰茎を取り外す のどれかである。後の方ほど重罪。だいたい半年程度で返してやっているが
「いつも返してやるとは限らないから甘く見るなよ」
と彼らには言っている
2番の場合は、彼がアクアのマネージャーになった直後、千里4が“天野貴子2”に命じて、罰ではなく“予防措置”として男性器を“預からせてもらった”。
2017.07.04 千里1が死亡して十二天将との接続が切れる。蘇生するが霊力を失う。
2017,07.08 勾陳2がアクアのマネージャーに就任する
2017,07,09 貴子2が勾陳2の男性器を除去。サービスでバストを大きくしちゃう!
「お願いチンコ返して。立って小便もできない」
と泣いていたが、
「いや、ペニスのあるあんたにアクアのマネージャーをさせるのは狼に羊の番をさせるようなもの。千里が正常に戻ったら、千里も間違い無く同じ処置をする」
と言ってその後5年経っても返していない。最近は諦めて
「まあチンコ無くても何とかなるかな」
などと言っている。
しかし女装してても立って小便してたのか??
その後、勾陳2は時々“貴子1”に
「そろそろあれ返してよ」
と言うものの、貴子1は去勢のことなど知らないので
「何のことだっけ?」
と言う。それでやはり返してくれないのかと、しくしく泣いている!
彼は女装していて男性器も取り外されているものの、アクアにもコスモスや花ちゃんにも男としか思われていない。コスモスからは「女湯使用禁止」を命じられていて
「俺おっぱいあるから男湯には入れないのに」
と言っていた。
青龍がほとんどの人から女性と思われていて、最近は小樽ラボの女性専用エリアにも入ることを許されている(洗濯物を干すのを頼まている。所長なのに!)のとは対照的である(やはり年齢的な問題か?)
「俺最初の主人には女童(めのわらわ)として仕えていたのに」
などと勾陳は言っていたから、子供の頃はきっと可愛かったのだろう。
「その時点で性転換しておくべきだったな」
と六合には言われていた。
男の娘を性転換して女の子にしてあげる趣味があるのは1番で、奥村春貴も、リダン♂♀の鹿島信子も、古くは女優の神内松乃なども彼の魔の手に掛かって女性にされてしまった。彼の問題点は本人の意志と無関係に勝手に性転換してしまうことである!(みんな女になれて喜びはしているものの)
それで千里は6月8日(水)、勾陳6を連れて、氷見市に買った土地に行ってみると、九重が播磨工務店のメンバー10人ほどと体育館の建設をしている最中だった。
「じゅうちゃん、なんでここで工事してるの?」
「なんでって、千里さんのご指示で体育館を作っているのですが」
「私が・・・指示した?」
「はい。地下に乙和御前様の邸のための空間と判官(ほうがん)様の人形館を作り、地上に体育館を2つ作れと」
やはり人形館はできるのか!
しかし“私が指示した”と九重が言っているということは、私自身が指示してそのことを自分で忘れたか(千里には日常茶飯事)、あるいは“別の千里”が指示したかだなと思った。
実は千里6の伝え忘れ!
ま、いっか。
「そうだ、勾陳さん、相談があるのですが」
と九重は言い、こうちゃんに“判官様人形館”の計画を話した。
「おお、それはぜひ作ろう!」
とこうちゃんも乗り気である。どうも凄い人形館ができそうだなと千里は思った。
知〜らない!
なお、清川は6月9日にやっと帰国し、すぐさま九重に捕まり、体育館建築の手伝いをさせられた。彼はわりと仕事が適当だが、九重が見ていれば大丈夫だあろう。
しかしまあ、知り合った頃“悪戯っ子”のイメージだった九重も18年間の間に人格的に成長したなあと千里(千里4)は思った。勾陳が千里Bとの関わりが深いのに対して、九重は自分との関わりが深い。アクアもプライベートでは九重をよく頼っているみたいだなと千里4は思った。
Timeline
5.05 千里2Bが清川をグラナダに転送し、パイロットさん用の宿泊室増築を命じる
5.06 青葉たちがグラナダに移動
5.09 千里4が乙和御前→ゆう姫の依頼で氷見市に土地を購入。
5.11 茶組の手で古い店舗は撤去される
5.21 ムーランエアーのパイロットさんたちがグラナダに入る。
5.29 九重が「火牛北体育館の建築でうっかり体育館の材料を1個分多く作った」と言うので、千里6がその材料で氷見市に体育館を建てるよう命じる。
5.30 基礎工事・地下室作成(乾くまで約1週間置く)
6.07 第1体育館(フラミンゴ)建築開始
6.08 千里4が勾陳を連れて行ったら建築中だった
6.09 第1体育館完成。第2体育館(ピーコック)建築開始。清川帰国。
6.11 第2体育館完成。
6.12 検査班による検査。
6.13 早朝、撤退しようとしていて若い龍・沢田(*2) がクレーンをH南高校旧美術室にうっかり落とす。千里と九重が学校に謝罪に行き、フラミンゴとピーコックをH南高校に貸すことにする。
6.13 千里が地下室の鍵を森元蓮に渡す。
6.14-20 乙和御前の邸、お引越。
7.04 乙和御前旧邸の場所、病院の建築工事始まる。
(*2) 沢田は罰として九重により去勢された(既遂!)が春貴が「去勢とか可哀想。許してやって」と言ったので、千里の手で男性器を復活させてもらった。彼は泣いて千里に感謝していた。
彼はクレーンをトレーラーで運べと言われていたのに面倒くさがって手で抱えて飛んでいて、うっかり落とした。千里も九重も命令違反には厳しい。
清川はアラビアで偶然遭遇した可愛い女の子龍と遊んでいて遅くなったらしい。千里に謝っていたが
「去勢だな」
と言われ
「嫌だぁ!助けてぇ!」
と叫んでいた。土下座して謝って、下記の仕事を無償ですることで勘弁してもらった。
(1) 黄金の流星で使用した隕石のセット表面に貼った銅箔を回収していったん熔かし、再度銅箔に加工する。
(2) 黄金の流星の撮影のため樹木を大量に伐採したオロン島で、伐採したまま現地で自然乾燥(葉枯らし)させていた樹木を朱雀林業・留萌製材所まで1人で運ぶ。
(3) 春貴の大型免許練習に付き合う(後述)。
(4)アクア映画の撮影に使用した春日部の公爵邸セット(というより本当の邸)を2個とも、ひとりで郷愁村に移動する(解体移築)。この作業は“去勢仲間”の沢田も許されて手伝った。実際2人いないと難しい作業もあった。
彼の作業は8月頃まで掛かったようである。終わるまでメシ抜きと九重からは言われたが、千里4の近接ガード役コリンが御飯を差し入れてくれたので感謝していた。また運転練習中には春貴から肉まんとかチキンとかをもらった。
「チンコ取られなくて済んで良かったぁ」
と清川は言っていた。
「でも実際去勢罰受けた人って居るんですか?」
と広沢が尋ねる。
「勾陳さんは俺が知っているだけでも既に10回は去勢されてるな」
と九重。
「あの人、何本チンコあるんですか!?」
(九重は要領がいいので大抵逃げており、要領の悪い勾陳が千里に捕まって去勢されている)
そんな会話をした翌週には沢田が九重により去勢されたので
「こっわー。俺もみんなに押さえつけられてちょん切られていたかも」
と清川は冷や汗を掻いた。
沢田は結局春貴の願いにより千里の手で男に戻してもらったものの
「チョン切られた時は痛かったぁ」
と男(オス)に戻った後も泣いていた。
チョン切られた沢田のペニスはそれ自体が男の子の龍に変化したので、沢田の息子として育てると言っていた。
「元俺の息子の俺の息子だ」
とか言っていた。
森元蓮には千里1が鍵を渡した。
千里が彼女(正確には当時はまだ“彼”)に会ったのは2014年で、当時は“第2次統合千里”の状態の時である。当時ほとんどの時間“表”に出ていたのは、千里Bwであり、現在の千里1に近い。
(霊的な処理をする時はY1またはY2が表に出ている。だから当時の千里は自分に霊力があることを本当に意識していない。Bwは普通の人間にとても近い)
それで人手不足だったこともあり、千里5は1番を一時的にアメリカから転送で戻し、彼女に鍵渡しの仕事を頼んだ。
「蓮さん、お久しぶり」
彼女はすっかり女らしくなっていた。
「わあ、川上さんの妹さんでしたね。お久しぶりです」
と彼女は言っていた。
「結婚して赤ちゃん産んだんだって?」
「はい。4月から幼稚園なんですよ」
「可愛い盛りだね」
「可愛いです。自分が赤ちゃん産めるなんて思いもしてなかったから、幸せ」
「産む時辛くなかった」
「辛かったです。もう死ぬかと思いました」
「まあ辛いよね。頑張ったね」
「でも赤ちゃん産んだから彼のお父さんが私との結婚を認めてくれて結婚式をあげましたし、赤ちゃん産んだことで性別の修正が認められて無事法的にも母になれましたし」
順序がおかしいぞ。
「妊娠した時点で性別修正はできたと思うけどなあ」
「出生届出そうとした所で男性の出産は法的に認められないと言われて、それから市役所の人から弁護士頼んだほうがいいと言われて手続き開始したんです」
「ああ。知らないとそうなるかもね」
引越は半月以内にやると言っていたが、実際には昔の判官の郎党が多数集まって来てくれて、一週間で済んだようであった。引越作業の間、緩菜(付添:いんちゃん)が御前や姫、侍女たちを近くの雨晴海岸に案内して、判官の足跡などを教えてあげると感動していたようである。浪の戸姫は泣いていた。
「へー。判官殿の人形館を作るのか」
と御前は感心していた。これが6月21日頃であった。
「どんなものができるのかちょっと心配です」
と千里。
「楽しみじゃ」
と御前は笑顔で言っていた。
「ところで上で練習しているバスケ部員で性別が変わってしまった者たちがいるようだが、言っておくが、私は何もしてないからな」
と御前が言った。
「へー。性別が変わったって、男から女ですか?女から男ですか?」
と千里。
「どっちだったっけ?」
「元々ボーダーラインに立っている子は振り子のように男になったり女になったり、しやすいからなあ」
「まあ本人たちが良ければそれでいいんじゃないの?」
と森元蓮は言っていた!
数十人の男の娘を女の子に変えた千里1とでは話にならない気もする。
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